[大川原化工機事件] 亡くなった相談役・相嶋静夫氏の長男による陳述書から判明した日本の刑事司法の非人道性 〜 「人質司法」によって引き起こされた「逮捕監禁致死事件」

 2025/8/20時事ブログで、大川原化工機事件が取り上げられました。警視庁公安部のねつ造によって強引に冤罪が作られ、「この国の産業基盤を支えてきた優秀な中小企業」大川原化工機の社長、常務、相談役が逮捕、勾留されました。相談役の相嶋静夫氏に至っては胃がんで勾留中に亡くなるという取り返しのつかない結果を招きました。ぴょんぴょん先生の記事では、その事件の本質的な原因を突いていました。
 亡くなられた相談役・相嶋静夫氏のご長男が裁判所に提出した陳述書が全文公開されていました。提出した裁判というのは、「KADOKAWA前会長の角川歴彦(つぐひこ)氏が、いわゆる五輪汚職事件をめぐって取り調べで否認を続けたために長期にわたって保釈が認められなかった『人質司法』告発訴訟」です。角川氏の受けた拘置所医療の実態と相嶋氏の受けた被害が通底しているとして共に戦っておられるそうです。長い書面ですが、同じ国民として恐怖と怒りを感じざるを得ない刑事司法の現場が明らかにされています。角川氏は拘置所医師から「角川さん、あなたは生きている間にはここから出られませんよ。死なないと出られないのです」と言われたそうです。
 「1 事実経過」では、警視庁公安部外事第一課警部宮園勇人により逮捕状が請求され、相嶋静夫氏が逮捕された過程が語られています。警察、検察、裁判官が一体となって無理やりな理由をこじつけ起訴勾留をしています。相嶋氏は「警察署の雑居房で床に置かれた冷たい食事をとり、多大なストレスにさらされながら約4カ月過ごしていた」そうです。逮捕前の検診では健康状態に問題なかった相嶋氏ですが、徐々に胃痛を訴え、医師による投薬が続きました。その後、心電図や血色素数、黒色便など異常が判明し、次いで胃カメラによる胃がんの疑いが本人に告知されます。弁護士が保釈請求をしますが、「証拠隠滅のおそれ」を理由に却下され続けます。さらに診察を依頼した外部の病院からは「被疑者・被告人である方は、事前連絡なく来院されても診療はできない、改めて事前連絡の上来院してほしい」と告げられ、検査、治療は受けられませんでした。結果的に手遅れとなり緩和ケア病棟で涙を流しながら息を引き取られたそうです。
 「3 本件において人質司法、恣意的拘禁と考えられるポイント」では、違法捜査と人質司法によって命を失った被害者家族として、裁判官および検察官、警察官に対して、これは「逮捕監禁致死事件」だと厳しく指摘されています。
「本件において身柄拘束判断に関与した裁判官を列挙します。  岡野清二、世森ユキコ、吉崎佳弥、井下田英樹、池田翔平、赤松亨太、柏戸夏子、遠藤圭一郎、蛭田円香、坂田正史、島尻大志、長野慶一郎、宮本誠、丹羽敏彦、長池健司、佐藤有紀、小林謙介、西山志帆、松村光泰、楡井英夫、竹田美波、佐藤みなと、本村理絵、牧野賢、三貫納隼、守下実、家入美香、一社紀行、佐伯恒治、室橋秀紀、名取桂 以上31名」
 よってたかって無実の人を虐待し、死に追いやったのが日本の司法でした。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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大川原化工機事件で逮捕された父・相嶋静夫が受けた仕打ち 相嶋静夫 長男
引用元)
(前略)
 逮捕当日、父が出勤の準備をしていた朝8時頃、警視庁公安部の捜査員5名が自宅に来て、家宅捜索が開始されました。捜査員らは同居している母には挨拶もせず、家中を物色しました。このとき、母は強い恐怖感を抱いたようです。3時間ほど経過し、父は任意同行を求められ、これに応ずる形で捜査員と共に家を出ました。母は、その後父が逮捕されたことを知る由もなく、夜中まで父の帰宅を待っていました。母は翌日の昼のニュースで父の逮捕を知りました
(中略)
 父は健康に気を遣っており、近隣のかかりつけの内科医院を毎月受診、2カ月に1回は定期的に血液検査を受けていました。逮捕される前日にもかかりつけ医を受診しており、診察の結果、特段の異常所見はありませんでした。
(中略)


逮捕翌日の3月12日に東京地方検察庁塚部貴子検事による勾留請求を受けて、13日に東京地方裁判所世森ユキコ裁判官は罪証隠滅の相当理由があること等を理由として勾留決定しました。この決定に対して、弁護人は準抗告を申し立てましたが、東京地裁刑事第11部の吉崎佳弥裁判長、井下田英樹裁判官、池田翔平裁判官は、「共犯者や関係者に働きかけるなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認められ、逃亡すると疑うに足りる相当な理由および勾留の必要性も認められる」として、これを却下しました。東京地方検察庁塚部貴子検事は「被疑会社はホームページに事実認否に関するコメントを発表するなどしており、会社ぐるみで口裏合わせを行っている可能性が極めて高い」として接見等禁止の解除は不相当と意見を述べました。そして同年3月31日に東京地方検察庁塚部貴子検事は父とともに逮捕された社長および役員の2名、合わせて3名について公訴提起をおこなったのです。しかし、後述するように本事案は犯罪ではなく、東京地方検察庁塚部貴子検事による違法な起訴だったのです。
(中略)
父も番号で呼ばれ、何の仕切りもないトイレで排泄し、貧血になっていても、その検査結果も説明されず、いつ治療が始まるのか、全く先が読めない絶望の淵に立たされていたことがわかりました。今でも角川さんが出版された『人間の証明~勾留226日と私の生存権について~』は、読むと苦しくなり読了できていません。
 なぜ拘置所の職員、法務省の職員、検察官、裁判官はここまで非人道的なことができるのか、理解に苦しんでいます
(中略)
令和7年1月10日の角川人質司法違憲訴訟の第1回口頭弁論が行われ、私も傍聴しました。角川さんが涙ながらにご自身が受けた不当な処遇や父の無念の気持を陳述してくれましたが、薄ら笑いを浮かべながら聞いている国代理人(訟務検事)には怒りと情けなさ、哀れさという気持ちが交錯しました。我が国の法務省職員の質の低さを目の当たりにした瞬間でした
(以下略)

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