竹下雅敏氏からの情報です。
これは今年の記事です。美味しんぼの作者雁屋氏が、東北地方の海産物の多くは今後おそらく食べられなくなるということを、自らの体験を通して語っていることは、重要なことだと思います。私は新潟のお酒、特に佐渡のお酒が美味しいと思っていましたが、現在は気をつけていて、1本1本を直接に手で触れて確かめないでは購入することが出来なくなってしまいました。幸い昆布などは震災以前のものがまだあるので何とかなっていますが、これが無くなった時一体どうしたらよいのかと思うばかりです。東北のキノコは常識的に考えて無理だろうということはわかると思いますが、昆布はおそらく同様にダメだと思うのです。魚も現在では瀬戸内海産ジャコ以外は、口にすることがなくなってしまいました。魚の場合回遊するのと、産地偽装が甚だひどいのです。回転寿司を平気で食べることが出来る人にとっては、私の様な人間は放射脳と言ってもはや戦中の非国民扱いですが、時間が立てばどちらが正しいのかは必然としてわかるようになると思います。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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ルポ:シリーズ・原発問題を考える⑬
福島の真実 ──『美味しんぼ』作者・雁屋哲氏に聞く
福島の真実 ──『美味しんぼ』作者・雁屋哲氏に聞く
転載元より抜粋)
日豪プレス 14/1/13
想像を上回る被害
ーー雁屋さんは、3.11の東日本大震災の時はシドニーにおられたんですよね。
雁屋「その日の夜、レストランでご飯を食べていた時にオーストラリア人の友達から泣きながら電話がかかってきて初めて知りました。日中は大地震が起こったことを知らずに過ごしていましたね。電話を受け、家に帰ってテレビを見て初めて、どうやらとんでもないことが起こったのだということを実感として感じました」
ーー福島の原発事故についてはすぐに情報をキャッチできましたか。
雁屋「契約しているNHKのテレビやインターネット、友人からの情報などで知ることができました。4月には日本に帰りましたが混乱の真っ最中で、震災から2カ月半経ってやっと被災地に取材に行くことができました。昔『美味しんぼ』で取材に行った人たちはどうしているのだろう、どういう生活をしているのだろうと心配で、まずは宮城県と青森県に行きました。その後、11年の11月から13年の5月まで本格的に各地を取材して回りましたね。多くのジャーナリストが関連記事を書く中、僕はあくまでも二番手ですから実際に福島県に行って、自分の目で見て体験しなければという思いでした」
ーー真実を伝えなければという使命感を強くお持ちだった。
雁屋「もちろんそうです。オーストラリアのニュースはすごく煽りますからね。今にも日本が潰れそうな勢いで水素爆発を核爆発と言ったりする。それならば自分で行って見て聞くしかないという思いで現場に行ってみると、今度は日本政府が言ってることも信用できないという状況でした。原発の敷地内にも入りましたが、すさまじい破壊でした。ただ応急措置しているだけで、根本的には何も解決してないと感じました」
ーー実際に行かれてみると被害は想像をはるかに上回ったと。
雁屋「ぜんぜん違いましたね。中でも一番は、やはり放射能の被害です。目に見えないですし、ただちに被害は出ない。でも見えないというのがとんでもなく怖い。これは私自身の体験ですが、取材から帰って夕食を食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなったんです。なんだこれは、と。今までの人生で鼻血なんて出すことはほとんどなかったので驚きました。その後も夜になると鼻血が出るということが何日か続きました。ですが、病院に行っても『鼻血と放射線は今の医学では結びつけることはできない』と言われ、鼻の粘膜の毛細血管をレーザーで切ることになりました。
また、取材後にすごく疲労感を感じるようになった。取材に同行したスタッフも双葉町の村長も、鼻血と倦怠感に悩まされていましたよ。低線量だから被害はないと言いますが本当でしょうかね。子どもたちは学校でも塾でも、ぼーっとして何もできない、スポーツもしたくない、動きたくないと言っていました。残酷な言い方になるけど、あの周辺は人は住んではいけない所になってしまった。
でも、僕たちが住んでいる人に出ろとは言えない。『福島の食べ物を食べて応援しよう』というキャンペーンもありますが、これもどうかと思います。仮に市場に出回る食品自体は大丈夫だとしても、土の汚染はすごいですから。農作業中は、土が肌に触れたり、器官から吸い込んでしまったりもします。そういう意味では農作業に携わる人の被ばく量はものすごいものになります。ただ、11年に各地で高い線量が検出されたり、翌年には米の作付が禁止されたりしましたが、僕は福島で一番問題なのは漁業だと思いますね。これから先、何十年経っても漁業復活は無理なのではないかと思います」
ーー東北地方の海産物の多くを今後食べられなくなる可能性も。
雁屋「恐らく食べられなくなるでしょうね。どうしようもない、とんでもない被害ですよ。山の幸も川の魚も…」
ーー日本の食は今後どうなっていくのでしょうか。
雁屋「福島の原発の影響はものすごく大きいし、TPPで海外から安いものが入ってくることを考えると将来的には極めて厳しい状況です」
ーーそんな中、和食が世界無形文化遺産になりました。
雁屋「そうですね。いい宣伝にはなるかもしれないけど、本質的には何も変わらないですからね。何の意味があるのかと思わず考えてしまいますよ…」