水道法改正案が今月通常国会に提出 水道事業の民営化を想定している件 「外資売り渡しであれば、売国的政策」

 水道法改正案を2月下旬に通常国会に提出される予定になっていますが、厚生労働省ホームページの改正案を見てみると、改定前は「水道事業者は、…休止…廃止してはならない」となっていたものが、改正案では、この後に「ただし、…他の…水道事業者に譲り渡すことにより、…廃止することとなるときは、この限りではない」となっています。これは、明らかに水道事業の民営化を想定しているのではないでしょうか。
 麻生副総理が「水道は全て国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します」とCSIS戦略国際問題研究所の講演で発言していたのを思い出さずにはいられません。
 "続きがここから"以降は、山本太郎議員の国会質疑で水道民営化について取り上げています。水道事業の資産規模は約30兆円ぐらいあり、これが狙われているわけですが、山本太郎議員は"この水道という人間の生存の根本となるインフラ、これを金もうけの手段とする、外国人投資家のビジネスチャンスにするというようなことがあるとするならば、これは本当に売国的、反国民的な政策だと思うんですよ"と喝破しています。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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水道管更新へ台帳義務付け=老朽化対策で法改正-厚労省
引用元)
 厚生労働省は、老朽化した水道管の更新を加速させるため、構造や設置時期・場所などの施設データをまとめた「水道台帳」作成を市町村に義務付ける方針を固めた。2020年度から義務化する予定で、台帳をベースに計画的に老朽化対策を進めてもらうのが狙い。水道法改正案を2月下旬に通常国会に提出する。

(以下略) 

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水道法の一部を改正する法律案新旧対照条文
【改正 
第十一条 水道事業者は、給水を開始した後においては、厚生労働大臣の許可を受けなければ、その事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

【改正 
第十一条 水道事業者は、給水を開始した後においては、厚生労働大臣の許可を受けなければ、その水道事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。ただし、その水道事業の全部を他の水道事業を行う水道事業者に譲り渡すことにより、その水道事業の全部を廃止することとなるときは、この限りではない。
2 前項ただし書の場合においては、水道事業者は、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

第二十四条の三 水道事業者は、政令で定めるところにより、水道の管理に関する技術上の業務の全部又は一部を他の水道事業者若しくは水道用水供給事業者又は当該業務を適正かつ確実に実施することができる者として政令で定める要件に該当するものに委託することができる。

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【水道民営化】麻生太郎副総理兼財務相が言及 2013年4月19日 G20財務相・中央銀行総裁会議 CSIS戦略国際問題研究所
配信元)

文字起こし 

麻生太郎:例えばいま日本で水道というものは世界中ほとんどの国ではプライベートの会社が水道を運営しているが、日本では自治省以外ではこの水道を扱うことはできません。しかし水道の料金を回収する99.99%というようなシステムを持っている国は日本の水道会社以外にありませんけれども、この水道は全て国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します。

いわゆる学校を造って運営は民間、民営化する、公設民営、そういったものもひとつの考え方に、アイデアとして上がってきつつあります。


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2015.9.10 内閣委「PFI法改正案で水道民営化について追及~竹中平蔵主査、投資家にとって大きなビジネスチャンスとアピール」」

(前略) 

山本太郎君 今日は特に水道事業について質問したいと思います。

先ほどの日本再興戦略改訂2014の基になったのは、昨年5月19日の政府の経済財政諮問会議・産業競争力会議の合同会議で配付された、立地競争力等のフォローアップ分科会の竹中平蔵主査が配付した「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」というタイトルの資料です。あの郵政民営化で有名な竹中平蔵さんが主導している戦略なんですね、これね。この方針に沿うものとして、麻生副総理・財務大臣がアメリカで、水道は国営若しくは市営、町営、全て民営化しますと御発言があったんですよね。
甘利大臣、アベノミクスって、水道を全て民営化するおつもりなのでしょうか。教えてください。

国務大臣(甘利明君)(中略)…水道事業は地方自治体がやっていますから、国が強制的にこうしろという具合にはなかなかいきません。ただ、効果が、民間に任せて、先ほど言ったようなサービスも上がるしコストも下がるし税収も増えるということが見える化してくれば、自治体もそれに向けてどんどん取り組んでいくと思います。ですから、強制はできませんけれども、後押しはしっかりしていきたいというふうに思っております。

山本太郎君 竹中平蔵さん、先ほどの合同会議での配付資料で、コンセッション、公共施設等の運営権、コンセッション方式は、建設業等インフラ関連企業や投資家にとって大きな新規のビジネスチャンスとなる成長戦略の柱の一つであると言われているんですね。投資家にとって大きなビジネスチャンスと言っていらっしゃる。日本の株式市場の投資家といえば外国人投資家ですものね。また、先ほどの麻生副総理・財務大臣の発言、一昨年4月19日、アメリカ・ワシントンのCSIS、戦略国際問題研究所の講演での発言なんですよ。

お隣には、あのジャパン・ハンドラーのマイケル・グリーンさんまで座っていたと。麻生さんは、99.99%水道料金を回収するシステムを持っているのは日本しかないと、アメリカの投資家の方々にアピールをされているわけです。

(中略) 

おまけに安倍総理は、麻生さんのこの発言の二か月前、総理大臣復帰直後に、同じワシントンのCSISで演説を行っている。アーミテージさん、ナイさん、私はレポートにお応えしますというようなニュアンスで、彼らの目の前で約束しちゃっているわけですよね。

(中略) 

水道事業の民営化は、国と地方公共団体の資産規模でいうと、約30兆円ぐらいの資産があると。すなわち膨大な国民の資産ですよね、これ。これが切り売りされるということがあったとしたら、これもう許せないなと思うんですよね。水道って、水って、人間が生きていく上で二番目に大事ですよね。一番大事なのは空気、その次に水。なくては絶対に生きていけないというものですよね。

この水道という人間の生存の根本となるインフラ、これを金もうけの手段とする、外国人投資家のビジネスチャンスにするというようなことがあるとするならば、これは本当に売国的、反国民的な政策だと思うんですよ。

(中略)
この民営化という部分にこの水道という部分を、水道というところに手を出さすべきじゃないと。危険性は大いにある、だって海外まで行って言っているんだから、こんなことと思うんですよね。

(以下略) 

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