注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
10月2日に開催された控訴審第3回口頭弁論の内容や報告集会,今後の進行についてのご案内です。
また,刑事裁判の現状についてもご報告いたします。
12月13日午後1時30分より,今村文彦氏の証人尋問が行われます。
控訴審最大の山場となる見込みです。
12月13日、東京高裁で東電福島事故の群馬訴訟控訴審第4回口頭弁論。国側の証人として今村文彦・東北大教授(津波工学)が証人。「土木学会手法(2002)は福島沖で将来津波が起きるかどうか、詳細な検討はしていない」と驚きの証言。「土木学会手法で福島第一原発の安全性は確認されていた」とする国や
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
東電のこれまでの主張は、根拠を失った。いや、それはおかしい今までの話と違うだろうと東電弁護士は三度も表現を変えて「検討していた」と言わせようとしたが、今村教授は「2003年以降の検討課題だった」と断言。東電弁護士は、ショックのあまり十数秒間フリーズしていた。念押しスーパーオウンゴール
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
オウンゴールまでの経過を整理すると
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
住民側弁護士が今村教授の「福島沖を検討してない」という言質をとる
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あとから質問した東電の弁護士が、それを覆すべく、「検討してたんでしょ」と三度、表現を変えながら質問
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今村教授、そのいずれにも「土木学会手法(2002)では、検討してない。今後検討
だった」とはっきり言い切る。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
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東電の弁護士、呆然となる
たぶん、事前の打ち合わせとは違う証言をしたのではないか。今村教授が、なぜここまで明確に電力に楯突いたのかは、ナゾ。
これとは別に、結果回避可能性についても、今村教授は注目の証言。これまで国や東電は「(防潮堤で敷地浸水を防ぐ)ドライサイトの方法以外は、事故前は発想さえなかった」と主張してきた。これも今村教授がどんでん返し。建屋の水密化は事故前の考え方でも可能だった、それで事故が防げた可能性は高く
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
なっただろうと述べた。「水密化なんぞは事故後の後知恵」と意見書を出した岡本孝司東大教授は、同じ国側の専門家からも撃墜されてしまったことになる。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
土木学会手法(2002)が、波源をきちんと検討していなかったことについては、佐竹健治・東大教授も千葉地裁で「そもそも土木学会の津波評価部会では、個別の地域で地震発生可能性というようなことを議論はしておりません。それは長期評価部会でやっていること」(2015年11月13日)と述べている。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
国側証人の今村、佐竹教授に、「土木学会でサイトごとの津波発生可能性までは検討してない」と言われてしまったのでは、「土木学会手法で安全は担保されていた」という国や東電の主張は、信頼性ガタ落ちだろう。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
この日の弁論で、住民側の弁護士が整理して提示したように、土木学会手法の主眼は「波源が決定されたあとの、シミュレーション技術」にある。波源を決定したり、シミュレーション結果にどのくらい裕度を持たせて具体的な対策をするか(重要設備だけは安全率3にするなど)は、土木学会手法の範疇を超え
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
ている。にもかかわらず「土木学会(2002)の付録の波源でシミュレーションして、数センチ余裕があったから安全なんだ」と主張してきた東電、それを認めてきた国は、土木学会手法をあえて誤用してきた。それを今村氏らは知りつつ、今日までは黙っていた、という感じだろうか。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
というように、今日の口頭弁論は、土木学会手法の性格や、結果回避の方法について考える上で、とても重要な回だった。けれども、取材はパラパラとしか来てなかったのは在京メディアのアカンところですな。東京高裁でやってたのに。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
まあ、本日の今村証言を踏まえて国の責任を考えてみると
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
2002年
長期評価発表時に、東電に計算を要請したものの拒否される。東電は土木学会手法をもとに「福島沖で津波地震を想定しない根拠を説明した」と国は説明しているが、そもそもそんな根拠は無かった。騙された。「確率論的な方法で検討する」
と言い訳され、東電は「確率論でやるということは、実質何もしないこと」と裏で舌を出していた。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
2006年
溢水勉強会
敷地を超えた場合に、すぐに全電源喪失につながることが確認された。「我が国の全プラントで対策状況を確認する。そうでないと不作為を問われる可能性がある」とまで考えていたのに、
バックチェックとごちゃまぜにしてしまい、結局2011年まで何もできず。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
2009年
貞観地震(既往津波)のリスクがはっきりしてきて、「福島は敷地高を超える恐れがある」と認識。女川については、貞観を入れてクロスチェック。でも東電後回し。
というわけで、結局2002年以降、安全確認ができないまま
「対策考えないと、不作為問われるかも」とまで認識しながら、放ったらかし。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
福島沖の津波を想定すべきかどうか、長期評価が出たあと9年も結論ださないまま運転するのを認めていたのは、規制当局としては無責任すぎるだろう。2、3年なら猶予期間という言い訳もできそうだが、9年は長すぎ。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
貞観については、既往最大なんだから、放置するのはもっとダメ。当初のバックチェック期限2009年には、何らかの回答を出させる必要があった。中越沖の反映は、津波評価には関係なかったんだから。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
想定超え対策(津波アクシデントマネジメント)についても、2006年当時、審査班長が電力会社と激しく議論していたことが刑事裁判でわかったが、結局それも具体策にはつながらず、放ったらかし。これもダメ。
— 添田孝史 (@sayawudon) December 13, 2018
これまでは
— 添田孝史 (@sayawudon) December 14, 2018
福島沖で巨大地震起きる(長期評価)
vs
福島沖では起きない(土木学会)という構図で、「長期評価は乱暴で、土木学会の方が工学的に妥当な波源を設定している」と国や東電は説明してきた。ところが土木学会は、福島沖について詳細に検討したことは無いと、よりによって国側証人に断言され
これからどう立て直すのかしら
— 添田孝史 (@sayawudon) December 14, 2018
冒頭の2つのツイートをご覧ください。どうやら、国と東電が予想だにしなかった、スーパーオウンゴールがあったようです。一連のツイートから要点を抜き出すと、どうやら、国や東電は、“土木学会(2002)の付録の波源でシミュレーションして、数センチ余裕があったから安全”と主張していたようです。ところが今回、国側の証人として出てきた東北大教授の今村文彦氏は、「土木学会手法(2002)は福島沖で将来津波が起きるかどうか、詳細な検討はしていない」と証言。
この証言で、これまで「土木学会手法で安全は担保されていた」という国や東電の主張は、完全に崩れてしまいました。
ツイートの中に出てくる「ドライサイト」とは、“発電所敷地に津波を侵入させないこと”らしく、「水密化」とは、水密扉を設置するなどして、建屋に液体が流入しないようにすることのようです。
以下の一連のツイートを読んでいただくと、国と東電の主張に全く根拠がないのがよくわかります。