今世界で注目を集める「MMT(現代貨幣理論)」~疲弊し活力を失ったこの国日本の困窮する人々を救うものになり得るか?!

 先般の参議院議員選挙では、投票率は低かったものの(操作された可能性もあるが?)、国民の関心を久しぶりに集める選挙戦が展開されたといってよいのでは無いだろうか。このトリガーを引いてくれたのが「れいわ新選組」の代表である山本太郎氏である。「れいわ新選組」が提示した政策で特に、人々の関心を引いたものは・・・
 1)消費税廃止 2)最低賃金1500円(全国一律/政府補償にて)では無いかと思う。これらを実現するためにはその財源は如何するのか?
 これが今まで語られてきた論点であり、財源が示せない政策は埋没していくのが常だった。しかし、山本太郎氏らはこの点について新しい考え方を語ってくれた。それが今世界で、大注目を集める「MMT(現代貨幣理論)」である。
 
 この理論は、米国の経済学者ステファニー・ケルトン女史が提唱するものである。ケルトン女史が本年7月来日して講演した折、「この理論が、日本経済を大復活させるかもしれない」と述べたようである。一方で、「山本太郎氏のMMT理論はアベノミクスと本質は同じ」だと、批判的な意見を述べる識者もいるのだが。

 それは元経済産業省の改革派官僚で、現在では古賀茂明政策ラボ代表を務める古賀茂明氏である。では古賀氏の批判は当たっているのか? それを判断するにはアベノミクスの実態を知る必要がある。当初は「金融緩和・財政出動・成長戦略」の3つを柱としていたものが、実際は「金融緩和・規制緩和」だけで、成長戦略を推進することも無く、効果のある財政出動が行われなかった。古賀氏が言うアベノミクスのばら撒きは財政出動と見做せるだろうが、それは、「幼児教育無償化、高等教育無償化、公共事業推進」であり、これでは一部の人々が少し楽になるのと、ゼネコンが儲けるくらいで、実体経済に活力を与えるものとはならず今に至っていると見て良いだろう。古賀氏の意見から参考にすべきは、「MMT理論+確たる成長戦略」ということだろう。また、最後に添付したツィートは、MMT理論そのものを否定した報道を取り上げ、この報道を”単なるフェイクニュースでは済まされない”と糾弾している。

 さてこの理論がどの様なものかその詳細を紹介したい。これは今まで人々が持っていた固定概念を根底から覆すものであり、従来の考え方に執着していてはこの理論を受け入れる事はできないかもしれない。ケルトン女史が講演で主張した論点は以下の6項目である・・・

1)「経済の見方」がガラリと変わる
   単純な経済政策論ではなく、価値観の大胆な転換を求める経済理論である。たとえば、税金とは何のためにあるのか?

2)「政府のための税収」ではない
   *政府は税収の為に税を課し、それで財政支出をするのではない
*政府がお金を支出することを先にやる必要がある
*国民から集めた税金が執行予算の「財源」になるわけではない

3)インフレもデフレも防ぐ
   *経済とは「インフレもデフレも過度にならないちょうどいい状態を維持させるための調整を行う」というのが基本である。
   *インフレの状態では、税金によって所得を誰かから奪うことで調整
*デフレの状態では、国債発行と減税をやること

4)日本政府は「目標設定」からして間違っている
   *景気が悪い状態の今の日本、政府がやるべきは、国債を発行して支出をすることと、減税することである
   *「PB黒字化」、「財政均衡」、「財政再建」などといった経済政策は誤りで、予算の均衡ではなく経済の均衡をやること

5)財政赤字とは「単なる手段」
   *「政府の赤字は非政府(国民)にとっての黒字である」ということ
   *「政府の赤字は悪でも脅威でもなく、財務のミスマネジメントの証拠となるものでもない。政府の赤字は単なる手段である

6)消費増税などしている場合ではない
   *消費税を廃止して、足りない税収20兆円を全て国債で賄うとする。
    それで果たしてどの程度のインフレとなるのか分析し、インフレ率が過度にならない試算であれば実行してみればよいのではないか

 以上が、日本を現状から脱出させるためにケルトン女史が主張し、日本政府の政策に対して指摘してくれた点である。この理論でことを進めるのが最良なように思えるが、人間の考えた理論であり、遂行していく過程で都度判断し、必要なら修正を加えていくしかないかも知れない。疲弊して活力を欠いてしまったこの国日本で、窮状に苦しむ多くの人々が、安らいだ心で、元気に明るく、生きがいを持って、幸せな人生が送れる日が来るよう舵を切る必要がある!!
(長哥)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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MMT(現代貨幣理論)が、日本経済を「大復活」させるかもしれない
MMT提唱者・ケルトン氏が明かした
引用元)
(前略)
MMT論者で、サンダースの経済政策顧問を務める経済学者のステファニー・ケルトン氏がこのほど来日。経済に対する価値観を180度転換させるこの理論は、「日本経済を救う可能性に満ちている」と語るのだ。
 
「経済の見方」がガラリと変わる
 
MMT(現代貨幣理論)が問いかけるのは「単純な経済政策論」ではない。MMTは経済に対する見方や価値観の大胆な転換を求める経済理論だ。

−−たとえば、税金とは何のためにあるのか。

従来からの常識は「税金=予算の財源」である。しかし、MMTは税金を財源確保のためとは捉えない
(中略)


「政府のための税収」ではない
(中略)
「政府は税収の為に税を課し、それで財政支出をするのではないということです。まずは政府が支出することが先です。その支出される円を発行できるのは政府です。政府は好きなだけお金を発行でき、財政的に縛られることはありません」つまり、国民から集めた税金が執行する予算の「財源」になるわけでは「ない」のである。(中略)...それでも国民が税金を支払うのは「納税の義務があるから」であり、後述するように「インフレの調整機能を果たすため」である。
(中略)
インフレもデフレも防ぐ
(中略)
「政府にとって財政が制約になるわけではない。何が制約になるかというと『インフレ』です。インフレは最も注目すべきリスクです。
(中略)
「インフレをどうやって防ぐか」、というのは同時に「デフレをどう防ぐか」を考えることでもある。つまり、経済とは「インフレもデフレも過度にならないちょうどいい状態を維持させるための調整を行うことである」というのがMMTの柱である。
(中略)
つまり、徴税というのは政府支出の財源を見つけるためではなく、経済から支出能力を取り除くためのものです」
(中略)
日本政府は「目標設定」からして間違っている
(中略)
「現在インフレの問題を抱えていない日本のような国が消費増税するということは経済的な意味をなしていない。予算の財源を得ようとしているからです。適切な政策目的にはなり得ない」と断じている。

では、政府がやるべきことは何なのか。(中略)...

経済のバランスをとることです。予算を均衡することではなく、支出と税金を調整することによって、『シンクの水が完全雇用になっても溢れ出ない』、『インフレをきたさない』という状況にコントロールすることです」
(中略)
財政赤字とは「単なる手段」
(中略)
重要なことは、「政府の赤字は非政府(国民/筆者注)にとっての黒字である」という事実なのである。
(中略)
「政府の赤字は悪でも脅威でもなく、財務のミスマネジメントの証拠となるものでもない。そういう見方ではなく、政府の赤字は単なる手段なのです」

赤字国債が膨らみ続けて政府が破綻することはない。自国通貨建てであるからだ
(中略)
消費増税などしている場合ではない
(中略)
20年以上のデフレに苦しむ日本である。
(中略)
MMTは言説のブームではない。出口の見えない不況。希望の見えない日本経済に大きなヒントを与えてくれていると捉え、最重要テーマとして国会で議論を始めるべきではないだろうか
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配信元)

出典: NHKニュース 2019年7月31日 ©NHK


Writer

長哥

会社勤務時代の健康診断で見つかったポリープが目覚めさせてくれました。それ以来、世の中の裏側に意識がいくようになり、真実情報を探求したいと思う気持ちが強くなったのですが、入手方法すらわからない始末で、それらの情報は殆どなく、あってもスピリチュアルな分野でしか見つけられない状況でした。

そんな中、「未来への分水嶺」というのがトリガーになったように思います。 支配するためだった筈の「インターネット」、いまでは情報拡散の道具となってしまったようです。 直感力(ひらめき)を第一に、日々接する情報から、多くの方々の気づきに成るようなものが発信できればと思っています。

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