ぴょんぴょんの「こもりびと」 〜人間はどこで自立につまづくのか?

 夜、なにげなくラジオをつけたら「みんなでひきこもりラジオ」が始まるところでした。
 なんとも珍しいタイトル、2時間、最後まで聞いてしまいました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「こもりびと」 〜人間はどこで自立につまづくのか?


ひきこもりが抱える問題


「おくりびと」は聞いたことあるけど、「こもりびと」?
子守りびと?

ちゃうちゃう!
「ひきこもらー」のことだよ。

「ひきこもらー」?

ひきこもりのことだよ。
全国に、100万人以上いるという。


100人にひとり?! なんか、多くねえか?

夕べ、ラジオでひきこもらーを対象にした、「みんなでひきこもりラジオ」をやっててさ。
ひきこもらーのメッセージや電話トークがおもしろくて、2時間、最後まで聞いちゃったよ。



ひきこもらーのメッセージが、おもしろい?

ふつうのラジオじゃ聞けないようなメッセージが、新鮮でね。
でも、驚いたのは、リスナーの年齢層。
若い人ばかりと思ったら、13歳から60代まで、幅広い。
特に50〜60代が多かったけど、今や、ひきこもらーの半数以上が40~64歳だって言うからね。

ひきこもらーで、生活できてんのか?

そこが深刻な問題なんだ。
8050(はちまるごーまる)問題」。

はちまるごーまる?

80代の年金暮らしの親が、生活力の無い50代の面倒を見ているケースが増えている。

そういや、こんな事件があったな。
元中学体育教師の父親(66歳)が、20年以上ひきこもりの長男(40歳)を殺した事件。
YAHOO!ニュース



8050じゃなくて、6640かあ。

息子は、高校受験でおかしくなり、浪人して大学に入ったが、ひきこもりになって大学も中退。母親に暴力を振るうので、実家から出して、近くのアパートで一人暮らしをさせ、その間、父親は負い目もあったのか、献身的に息子の世話を焼いた。
その後、息子も結婚、やれやれと思ったら離婚で、状況はさらに悪化。
幸せそうな妹家族に殺意を抱くようになった。
「このままだと、長女一家に危害が及ぶか、妻が耐え切れなくなって自殺するか」となって、長男を殺した。(YAHOO!ニュース

ぼくが覚えてるのは、農林水産省に勤めていた父親が、引きこもり息子を殺した事件。
この子も、中学に入ってから母親に暴力を振るうようになり、しだいに父親にも振るうようになって。(東洋経済Online


「東大を出て、頂点に登り詰めたエリート官僚の凶行」って騒がれたな。

ひきこもらーの悲劇は、これだけじゃないよ。
ラジオメッセージに、こんなのあった。
「うつがはげしくなってしまって、毎日食べるごはんにも、お風呂にも困っています。両親がすでに他界していないので、ただただ寂しくて、横になっているばかりです。」
(「みんなでひきこもりラジオ」8月11日放送)

うつ病でひとり暮らしか。

こういう人も、
「仕事を辞めて、8年引きこもり、48歳の男です。
おととし、親父が死に、去年、かあちゃんも死んで、家族もおカネもすべて無くなりました。さらに2回目の感染で、当たり前のように自宅療養しています。歩けないので、コンビニどころか、ゴミ出しも行けないし。」
(「みんなでひきこもりラジオ」8月11日放送)

こいつら、だいじょうぶか??

こういう人が一人で亡くなる、「ひきこもり死」も増えてるらしい。

ひきこもり死!

神奈川県の56歳の男性、10年前に両親が亡くなって、自宅に一人、とり残された。
貯蓄を切り崩しながら暮らしていたが、最期は、ゴミに埋もれて栄養失調で亡くなった。YAHOO!ニュース


はあ〜 親に殺されるのも悲劇だが、一人で餓死するのも悲劇だな。


ひきこもらーの声を反映して作った、NHK「みんなでひきこもりラジオ」


こういう悲劇を取材してきたNHKが、「ラジオだったらみんなの声が届く」「自分たちのメディアがほしい」というひきこもらーの声を反映して作ったのが「みんなでひきこもりラジオ」。NHK「#こもりびと」

だが、ラジオなんか、腹の足しにならねえぞ。

心の足しにはなってる。
「ひとりじゃないって思いました」という反応が、一番多かったそうだよ。

NHK「#こもりびと」

ラジオに居場所を見出したってことか。
ラジオで接触するのはできるが、それじゃ、腹の足しにはならない。
でも、ひきこもらーって複雑だな、
人と接するのはきらい、でも、一人ぼっちも寂しい。
じゃ、どうすりゃいいんだよ?

ほとんどが、その矛盾で葛藤してるみたい。

そんなヤツら相手に番組やるのも、大変そうだな。

そう思うよ。
司会の栗原望(のぞむ)アナウンサーは、ふだん、ニュースを読む人だけど、ジャッジも、アドバイスもしなくて、いつも、ニュートラル。
メッセージには「死にたい」「消えたい」ってワードが多いけど、まるでニュースを読むように、たんたんと読むから、聞いてて重くならない。

向いてるな。

栗原アナは、自分の兄弟のひきこもりを経験してるから、と言うけど、
ときどき、メッセージ読んだあと、黙りこくっちゃって。
でも、そのしばしの沈黙に、ホッとするんだ。
ラジオの向こうにいるのはAIじゃなくて、血の通った人間なんだと。


で、他にどんなメッセージがあった?

「焦りとか不安みたいなマイナスな感情は増えていっています。がんばりたいと思っても、マイナスな感情が強いために、プラスの感情をさえぎる弊害になっていると思います。このまま感情がなくなったら、いっそのこと、誰かの心のない言葉に傷ついたりすることもなくなるのかなあとか、極端なことも考えたりします。他の人がうらやましいです。」

う〜ん、気持ちはわかるが、感情をなくしたら、レプティリアンになっちまうぞ。

じゃあ、くろちゃんはマイナスの感情でいっぱいになったら、どうするの?

まず、心の中味を洗いざらい書き出す、
ガヤトリー・マントラの除霊と浄化をやる。

必要なら、ガヤトリー・マントラを3マラ唱える。
スッキリしたら、ごほうびにおいしいコーヒーを入れて、好きなアニメを見る。


ぼくなら、そこにケーキもあるといいなあ。
そう言えば、こんな質問もあったよ。
「自分の本当の味方って、どんな人?」

本人の答えは「自分がどんな立場、仮にひきこもっていても、その立場にかかわらずかかわってくれる人、アドバイスじゃなくて、自分の話を静かに聞いてくれる人。」

いやいや、そんなヤツいねえっしょ。
やっぱ、自分、自分しかいねえっしょ!!
どんなに頼りになるヤツがいても、最も必要な時に、呼び出せるか?
ごはん中かもしれねえ、トイレ中かもしれねえ、お取り込み中かもしれねえ。
それより、おれなら、いつもおれのそばにいる。
だって、おれは生まれたときから、おれのことを知ってるからな。
おれを弁護してくれるのもおれ、そして、最高の答えを出してくれるのもおれだ。


さっすが、くろちゃん! カッコいい!!
だけど、ひきこもらーは、そんなふうに自分を頼りにはできないみたい。
自分を信用してない、自信がないって言うか。
どうやったら自信がつくんだろうって、悩んでる人、多いよ。

アホだな、自信てのは、転んで初めてつくもんだ。


ええ?! 転ぶのは、イヤだよ。

転んで、自力で立ち上がったとき、初めて自信が生まれる。

そうかな、世間一般には、どうやったら転ばずにすむかと思うのがふつうだよ。
特に親は、子どもが転ばないように、ハラハラドキドキじゃないの?

そこが、まちがっとる!
できるだけ小さい時に転んでおかないと、後々、大変だ。
小さいほど、傷も小さい、しかも、それによって得る自信も大きい。


もどかしいね。
苦しんでるひきこもらーに、「つまづいている今が、自信をつけるチャンスだよ」なんて、とてもじゃないけど言えないよ。

大人になって転ぶのは、怪我も大きいから、立ち上がるのも大変だ。
だから、子どもの頃に、たくさん遊ばせて、転んでおけと言ってるんだ。
子どもにとって、転んで泣いた経験よりも、自分で起き上がったときの快感の方が大きい。そして、それが自信になっていく。

家族の絆 〜親子(15):背く子背かれる親(思春期の要求)〜 」で、竹下先生もおっしゃってたね。
子どもの遊びが大事だって。
遊ばせないで勉強ばかりさせてると、自分を確立できないで大人になっていく、
回りを見て、自分の行動を決めるようになる
って。

笛吹きが、ピ〜ヒャラヒャラ♪と笛吹けば、みんな一斉にワクチン打って、海にドボンと飛び込んだ、になるんだな。

Wikipedia[Public Domain]

そして、自発的な遊びをさせないと、「ものすごく心がもろいです、弱いです。これまで全力で生きてないから、つねに人の評価と、成功、評価を気にしているから」「なにかちょっとしたことで挫折すると、ものすごい心の傷を負ってしまって立ち直れない。」(映像配信

学校のいじめにも、弱くなるな。
そういう不満や怒りが、外に爆発すれば暴走族や犯罪者になり、内に向かえば、登校拒否、ひきこもり、自傷、自殺に追い込まれる。

遊ばせなかった子どもたちが、社会的に大きな問題になる。

その上、自分の好きなもの、得意なものもわからないまま大人になって、「おれは、何が好きなのか?」「何に向いてるのか?」と、人に聞いても、誰も答えちゃくれねえ。
そんなの、他人にわかるはずねえからな。

そこが、ひきこもり支援の難しさだね。
支援する側としては、生活のために、まずは仕事を見つけさせたい。
できれば、本人が生きがいを感じて、意欲が持てる仕事がいい。
それには、本人が何が好きで、何に喜びを感じるかを知らなくちゃいけない。

YAHOO!ニュース

本人、そこが一番、わからんと思う。

だから、せっかく仕事を見つけても、長続きしないんだね。


親のよかれは子どもの迷惑になっちゃう


そして、いつまでも、ひきこもらーから抜け出せねえ。

はあ〜 大人になって、好きなものがわからない人、どうしたらいいんだろう?

やっぱ問題は、親だな。


見ろよ、このキツネの両親の賢そうな顔。
今どきの人間で、こんな賢そうな顔、見たことねえ。

子ぎつねたちを自由に遊ばせて、干渉しないんだ。

親なんて、子どもを遠くから見守ってるだけでいいんだよ。


支援活動をしてる、長谷川俊雄氏も言ってた。
親はとことんこの子のために考えて提案しているんですけれども、親のよかれは子どもの迷惑になっちゃうという
栗原アナも言ってる。
「全国の当事者や家族と対話を重ね、だんだんとわかってきたのは、実は一番そばにいる親の存在が壁になっているのではということです。」(NHK「#こもりびと」

親のよかれは、自分のためだからな。
子どもに勉強させて、いい大学に行かせて、いい会社に務めさせて、結局、自分たちの老後の安泰が、親の最終目的だから。
映像配信

ずいぶんと、自分勝手な話だね。
欲のために子どもを追い詰め、怪物にして、手に負えなくなったら殺し、または一人ぼっちで餓死させたり。

人間は、おろかだな。
年取った子が、いつまでも親のおっぱい飲んでるとか、キタキツネの世界じゃありえねえぞ。

人間とキタキツネの違いは、なんだろう?
学校がない? 成績がない? 世間体を気にしない? 老後の心配をしない? 

あいつらに、ひきこもらーになってる余裕なんかあるか?
彼らの生活は過酷だぞ。
人間に住む場所を追われ、車やクマなどの天敵におびやかされ、生まれると兄弟との力関係に従わされる。おっぱいを離れたら、親について食べ物の調達を学び、どんな環境でも自分でエサを探さねばならない。いずれ、両親にそっぽを向かれるからな。

厳しいね。だから、りっぱに一人前になっていく。
映像配信柳生博さんの話を思い出した。柳生家では、男は13歳になると一切のお金を持たないで、1ヶ月間放浪をして無事に帰ってこないといけない儀式があるんだって。


かわいい子には旅をさせろ、か。
今ごろ、北海道の子ぎつねたちは、自立の季節だそうだ。

みんな、たくましく生きぬいて!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声


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