ぴょんぴょんの「水まわり職人」 ~キッチン水栓の取り外しに2時間かかった話

 劇場型水道屋YouTuber 「すいどうわーかー」氏は言う。「形あるものは、いつか壊れる。あなたの家は大丈夫ですか?
 うちをリフォームした大工さんも引退して、家のことを頼める人がいなくなった。特に水まわりの専門家を探さなきゃと思っていた矢先、台所の水栓から水が漏れ、いつの間にかシンク下が水びだしになっていた。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「水まわり職人」 ~キッチン水栓の取り外しに2時間かかった話


シャワーヘッドの付け根から水が漏れていた


はあ〜はあ~ 疲れた〜!!

どうしたの?

ノミを打ち続ける音に、疲れた〜!!


家の中で、ノミを打つって? 何があったの?

ある夜、例のごとくゴキと追っかけっこしていた。そうそう、この頃、いい方法を見つけてな、古くなった鍋つかみでヒョイとつかまえて外に出す。ちょうどいい運動神経の訓練にもなる。

まだ、ゴキがいるんだ。

それで、シンクの下をのぞいたら、水たまりができているのに気づいた。あれ? そんなとこに水をこぼしたっけ? もしかして、ネコのオシッコ? だが、ネコにしちゃ無色透明、無味無臭、それに量が多すぎる、オシッコじゃねえ。

ネコのオシッコは臭いからねえ。

だが、拭けばおしまいだろ? そんな簡単な話じゃなかったんよ。きれいに拭き取ったはずなのに、数日してまた同じところに水が貯まっていた。

・・となると、怪談だねえ?

うちは、「ナディー・チャート 風水キット」で守られてるから、そうゆう話はないの。

ほっ。

それから数日して今度は、水を出すと、シャワーヘッドの付け根から水が漏れるのに気づいた。


ここが原因か?

とりあえず、製造メーカーに電話してみたら、業者を手配してくれることに。だが、場合によっては、1週間くらいかかることもあると言う。

1週間も?

まあ、すぐにどうってワケじゃねえから、待ってみようと思ったら・・翌日、シンク下の水びだしがひどくなって、フローリングの床までしみ込んでいた。まずい!1週間は待てない! 急がねば床下浸水になっちまう。


修理を依頼した人からの苦情が相次ぐマグネット型広告


思い出した! うちの冷蔵庫に貼ってある「水まわりのことなら何でもご相談ください」ってマグネット広告。電話番号、教えてあげようか?

ノーサンキュー! 知らんのか?! 問題になってるんだぞ。「インターネットやマグネット型の広告を見て、修理を依頼した人からの苦情が相次いでいる。」水漏れで困った74歳の男性は、マグネット広告「24時間365日対応」の会社に修理を依頼して、最終的に90万円を請求された。(読売新聞) 


90万円?! ボッタクリだ!

61歳の女性は、インターネットで「トイレ」「つまった」で検索し、一番上に表示された大手住宅設備メーカーサイトを見て、「正規取扱店」「最安値」だけでなく、利用者のコメントに「料金は良心的だった」と言うので、修理を依頼した。工事が終わって請求された金額は50万円だった。(読売新聞)

50万円?! ちゃんと見積もり取ったの?

「見積もりをください」と言ってもなかなかくれない。ここが、あやしい業者の見分けポイントだ。50代の女性は、洗濯機排水管の漏水で、やはりインターネット検索上位のサイトを見た。「出張・見積もり無料」「明確な金額を提示、追加料金一切なし」とあるので、依頼したが、見積もりを見せてくれと言っても、「今、作ってます」と言いながら、いきなり床板を切断して工事を始め、終了後に約65万円を請求された。後で調べたところ、多く見積もっても7万円程度だったそうだ。

ひどいボッタクリだ。

だが、焦る気持ちも良くわかるのよ。おれだって、「床が水びだしになってる! 大変だ! 急がないと床が腐る! 誰でもいいから早く何とかしてくれ!」って、なったもんな。

そっか、精神的な焦りにかこつけて、高額請求するんだ。
日頃から、顔なじみの修理業者を見つけておかないといけないね。

ああ、いざと言うときの医者と弁護士より、「水回りの専門家」だよ。人間的にまともで腕がよくて、呼べばいつでも来てくれる。おれも、そういうヤツを探していたが、こうゆうのは縁だからなあ。


でも、急がなくちゃ!


ただひたすら、電動ドリルで穴を開け、ドライバーを差し込んでハンマーで叩く


さあ、どうする? 今すぐ来てくれる修理屋はいねえのか・・・と思っていたら電話が鳴った。「Yメーカーから水栓の修理の依頼を受けた◯◯です。これから伺ってよろしいですか?」 まさか、昨日の今日に来てくれるとは!

盆暮れの混み合う時期じゃなくて、良かったよ。

さて、どんなヤツが来るのかと思ったら、けっこう若いヤツだった。一通り見てこう言った。シャワーヘッドにつながる蛇腹ホースが破損して、そこから水漏れしている。シャワーヘッドと蛇腹ホースを取り替えれば直る。しかし、10年以上経過しているので、近い将来、水栓本体も故障する可能性がある。

部品だけを取り替えるか、全換えするか?

実際、彼の店からうちまでは車で2時間。また何かあって、呼ぶのもめんどくさい。それに、金額的にも1万円しか違わない。ってことで、本体ごと取り替えることにした。見積もりから3日後、無事に工事が終わって、今はこんな感じ。


これが、新しい水栓だね。ピカピカだあ!

ああ・・だが、大変だったわ。

なにが? 古いのを引っこ抜いて、新しいのをつけるだけでしょ?
今じゃ、ホームセンターで何でも手に入るし、水栓取り替えの動画だって、YouTubeに「DIY 素人でも出来る! 台所水栓の外し方」とか、いっぱいあるし。くろちゃんでもできたんじゃない?

いやあ、自分でやろうとは思わなかったが、やらなくて良かったよ。きっと、途中で後悔していただろう。まさか、2時間もノミを振るい続けることになろうとは!

ノミを振るう? なんで?

問題は、うちがミネラル豊富な地下水を使っていることにあった。どうしても、シャワーヘッドの開口部にカルシウムが沈着するので、なるべくシャワーを使っていたことも寿命を縮めた原因と思われる。蛇腹ホースに圧がかかって、負担になっていたんだ。いつしかホースに裂け目ができて、水栓内部に水が漏れ、最終的に水栓の根本に貯まって、水垢から石灰化にまで行ってしまったのよ。

水栓の根本が石灰化して、取り外せなくなっちゃったのか。

どんなに回そうとしても、ガッチガチで動かない。職人は、「これは、困りましたね。壊すしかないです。いいですか?」と聞き、おれの許可を取ると、電動ドリルで穴を開け、マイナスドライバーを差し込んで、ハンマーで叩く。破壊しすぎないように少しづつ、少しづつ、石を砕いていく。キンコンカン、キンコンカン、キンコンカン♪

まるで、被せものをはずす歯医者さんみたいだ。

それそれ、中の歯を削らずにセメント部分だけを削るような、ビミョーな仕事だよ。さらに、歯医者が口の中という狭い空間でやるように、職人も「流し(シンク)」という制限の中でハンマーを振るわねばならない。傍から見ていても、手を打つんじゃないかヒヤヒヤしたわ。


もっと、簡単な方法はないの?

水栓本体を輪切りにすることもできるが、中を通る管が取り出せなくなると言う。ついに、一番下の帯状の部分がめくれた時、思わず「おめでとう!」と叫んじまったわ。だが、それでも本体はうんともすんとも動かない。職人は言った「これからですよ、難関は。」

ひええ!?

そこからも、職人はただひたすら、電動ドリルで穴を開け、ドライバーを差し込んでハンマーで叩く。キンコンカン、キンコンカン、2時間経ってようやく取り外せた時は、「おめでとう!」と叫ぶ元気もなくなっていた。

なんとまあ、根気のいる仕事だねえ。

ゼッタイ、おれにはムリってわかるだろ?職人は、汗だくになりながらこう言った。「あきらめずに、やり続けるだけですよ」「他のところでは4時間かかりました。」

くろちゃんちだけかと思ったら、もっとツワモノがいたんだね。

ま、すんなり取れることもあるようだが。うちみたいなケースが、他にもあるのか探してみたら、「古い水栓の取り外しに手こずるケース」とか、けっこうあったぞ。


そして、こいつも。




底辺部の水垢のたまり具合が、まさにうちと同じだ。

シャワーヘッド+井戸水という組み合わせは、石化しやすいみたいだね。

ああ、だから、新しいのはシャワーヘッド無しにした。シンプルが一番だ。

それにしても、大変だったね。超過料金とかかかった?

かからない。しかも「大変だった!」「やってやったゼ!」感はまったくない。本物の職人と見た。

日本にも、まだそういう職人が残っているんだ。

冷たい麦茶を飲みながら、ボツボツ話すには、他の業者があきらめた仕事も頼まれると言う。


その人、いい! ぼくんとこも、水まわりのトラブルがあったら紹介してよ。

ああ、言われなくても、紹介してやるわ。水まわり関係には詐欺師も多いが、名人もいる。劇場型水道屋YouTuber 「すいどうわーかー」の名言で、締めくくろう。
「ここからは誰の手も借りられない、たった1人の戦いとなる。ここで助けを求めるようじゃ、一人前とは言えねぇ。」
「水道修理は孤独な闘いであり、託された気持ちの大きさほど、己の力を発揮できる。」 
(【第一止水栓の漏水修理】掘ってからが勝負!2#2「ゆるされた者だけの領域」)

カッコいい!!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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