注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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事実上のSNS規制となる情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)施行を閣議決定:表現の自由に関わる重大な法案を国会審議も経ずに決定した事にSNSでは反対の声殺到
(前略)
情報流通プラットフォーム対処法の概要と4月施行の決定過程
2025年3月11日、政府は閣議決定により「情報流通プラットフォーム対処法」(通称:情プラ法)の施行日を4月1日と正式に定めました。
この法律は従来の「プロバイダ責任制限法」から名称変更・改正されたもので、SNS等の大規模プラットフォーム事業者に対し、誹謗中傷投稿への対応を義務付ける内容となっています。
(中略)
情プラ法の主な規制内容とSNS事業者への影響
情プラ法の核心は、SNSなどの大規模プラットフォーム事業者に対する新たな義務の設定にあります。
総務省は被害者からの削除申出に対する対応期間を「7日以内」とする省令改正案を固め、事業者は削除基準の公表や削除・アカウント停止件数、日本語を理解する投稿管理者の人数などの実施状況を年1回公表することも義務付けられました。
月間発信者数1,000万人以上といった一定規模以上のプラットフォームが対象となり、Meta(Facebook・Instagram)やX(旧Twitter)などの主要SNSが該当すると見込まれています。
国会審議を経ずに決定された施行プロセス
本来であれば社会的影響の大きい法律は、十分な国会審議を経て内容の精査や国民的理解を得るプロセスが必要です。
しかし情プラ法は2024年5月に公布された後、国会での実質的な再審議や国民への十分な説明がないままに施行日が決定されました。
パブリックコメントは募集されたものの、利害関係者や専門家を交えた公開討論会など、多角的な視点からの検証機会が限定的だったことも批判を招いています。
(以下略)
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NHKの記事を見る限り、"SNSの重要性は認めるがフェイク情報への規制は必要、ただし憲法で保障される表現の自由への規制は慎重であるべき"という一般論が主に語られていたようです。
その中でネット上に上がっていた大石あきこ議員の意見は、SNS規制の一般論で終わらせず、問題の本質に迫る鋭いものでした。
「選挙のSNS活用・規制は? 偽・誤情報にどう対応?」という問いに対して、「このテーマに決着がつかないのは、一般国民や一般事業者のやる名誉毀損は表現の自由と必ずぶつかるので、その議論でスタック(立ち往生)してしまう。今起きていることのメカニズムは、大量の資金が流れ込んで、それでデマ情報や個人のセンシティブ情報に関わるような、公益性もないような情報を流して、それが選挙にまで影響してしまっている。そのメカニズムをちゃんとクローズアップして解像度を上げて議論しなければ法整備などできない。まず解明すべきは、自民党も取引をしていたと言われるDAPPI問題、これは2021年から2023年に裁判で決着がついて名誉毀損が認められたが、ワンズクエストという会社の、おそらく社長が月110万円もらって専業で、自民党や維新の会の賛同や動員を行ったり、一方で立憲や共産の誹謗中傷を繰り返し行っていたという裁判の結果が出ている。自民党も提供していた大量の資金源があって誹謗中傷を流していたという事例がある。その事例で検証していき、然るべき法整備をしていくことが大事だ。」
「SNSでのインプレッション(SNSの投稿や広告などが閲覧された数)で収益を上げることへの規制について」という問いに対しては、「国民の皆さんが間接的に報酬を得てしまうことの悪い部分に関心を持つのは分かるし、いずれ規制なども必要になるのかもしれない。しかし結局、憲法21条の表現の自由との兼ね合いでいつもスタックする。こうした間接的な報酬よりも、やはり直接的に報酬を与えてDAPPIのようなインフルエンサーに誹謗中傷活動をさせていたという事例を検証して、そこに時間をかけなければ、間接的な報酬の議論ばかりするのは滑稽な気がする。視聴者の皆さん、DAPPIを知らないかもしれないが、かつて17万人のフォロワーのいるインフルエンサーがいて、、、」と説明しかけたところで司会者に遮られていました。
大石議員の解説は、兵庫県の異様な知事選挙にも当てはまる問題で、DAPPIに相当するのは現在のクラウドワークスかもしれません。そこへの資金源は? 自民党への資金源は? その流れを断つことが規制の本質です。