注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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石牟礼道子さん死去 水俣病を描いた小説「苦海浄土」
引用元)
朝日新聞 18/2/10
水俣病患者の苦しみや祈りを共感をこめて描いた小説「苦海浄土」で知られる作家の石牟礼道子(いしむれ・みちこ)さんが10日午前3時14分、パーキンソン病による急性増悪のため熊本市の介護施設で死去した。90歳だった。 (中略)
68年には、「水俣病対策市民会議」の設立に参加。原因企業チッソに対する患者らの闘争を支援した。
水俣病患者の心の声に耳をすませてつづった69年の「苦海浄土 わが水俣病」は高い評価を受け、第1回大宅壮一ノンフィクション賞に選ばれたが、「いまなお苦しんでいる患者のことを考えるともらう気になれない」と辞退した。
(以下略)
68年には、「水俣病対策市民会議」の設立に参加。原因企業チッソに対する患者らの闘争を支援した。
水俣病患者の心の声に耳をすませてつづった69年の「苦海浄土 わが水俣病」は高い評価を受け、第1回大宅壮一ノンフィクション賞に選ばれたが、「いまなお苦しんでいる患者のことを考えるともらう気になれない」と辞退した。
(以下略)
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「花びら供養」より
きよ子は手も足もよじれてきて、
手足が縄のようによじれて、
我が身を縛っておりましたが、
見るのも辛うして。
それがあなた、
死にました年でしたが、
桜の花の散ります頃に、
私がちょっと留守をしとりましたら、
縁側にころげ出て、縁から落ちて、
地面に這うとりましたですよ。
たまがって駆け寄りましたら、
かなわん指で、桜の花びらば拾おうとしよりましたです。
曲った指で地面ににじりつけて、肘(ひじ)から血ぃ出して。
「おかしゃん、花ば」ちゆうて
花びらば指すとですもんね。
花もあなた、かわいそうに、
地面ににじりつけられて、
何の恨みも言わじゃった
嫁入り前の娘が、
たった一枚の桜の花びらば拾うのが望みでした。
それであなたにお願いですが、
文(ふみ)ばチッソの方々に書いて下さいませんか。
いや、世間の方々に
桜の時期に、花びらば一枚、
きよ子の代わりに拾うてやっては
下さいませんでしょうか。
花の供養に
手足が縄のようによじれて、
我が身を縛っておりましたが、
見るのも辛うして。
それがあなた、
死にました年でしたが、
桜の花の散ります頃に、
私がちょっと留守をしとりましたら、
縁側にころげ出て、縁から落ちて、
地面に這うとりましたですよ。
たまがって駆け寄りましたら、
かなわん指で、桜の花びらば拾おうとしよりましたです。
曲った指で地面ににじりつけて、肘(ひじ)から血ぃ出して。
「おかしゃん、花ば」ちゆうて
花びらば指すとですもんね。
花もあなた、かわいそうに、
地面ににじりつけられて、
何の恨みも言わじゃった
嫁入り前の娘が、
たった一枚の桜の花びらば拾うのが望みでした。
それであなたにお願いですが、
文(ふみ)ばチッソの方々に書いて下さいませんか。
いや、世間の方々に
桜の時期に、花びらば一枚、
きよ子の代わりに拾うてやっては
下さいませんでしょうか。
花の供養に
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311の後、再び「苦海浄土」が多く読まれたと聞きます。
痛めつけられてもなお、深い悲しみの中から美しく蘇る自然、地球が見えてくるのでしょう。
ご冥福をお祈りします。