[sputnik]トルコはスホイ24にいかなる警告も行わなかった-シリアで救出されたロシア人乗組員 〜ロシアはエルドアン大統領を始めとして、ネオコンを完全に叩き潰すつもり〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 撃墜された戦闘機の乗務員が1人救出され、記事のような証言をしていることは、トルコにとって非常に具合の悪いことだと思います。下の櫻井ジャーナルを見ても、トルコの言い分に信憑性はまずありません。ロシア政府は、“撃墜時にトルコのF-16はシリア領空を侵犯した”と言っており、こちらの説明が正しいということはいずれ明らかになると思います。ロシアは飛行データを持っているはずだからです。
 今回の事件がトルコのよる犯罪行為であることは明らかですが、記事後半のエルドアンの一家が行っている石油密売という致命的な情報がどう考えても隠し切れません。ロシアはエルドアン大統領を始めとして、ネオコンを完全に叩き潰すつもりのようです。
 ただし、ロシアとトルコの戦争にはなりません。ロシアはこの件に激怒していますが、ネオコンの挑発に乗るほど愚かではありません。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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トルコはスホイ24にいかなる警告も行わなかった-シリアで救出されたロシア人乗組員
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トルコの戦闘機に撃墜されたロシアのスホイ24から脱出し、救出されたパイロットは、トルコは領空侵犯をしているとの警告も、攻撃を準備しているという警告も、乗組員に一切行わなかったと語った。

パイロットは記者団に、次のように述べた-

「実際には、いかなる警告もなかった。無線交信でも、視覚的にも(警告は一切なかった)。コンタクト自体が全くなかった。そのため私たちは、通常体制で任務に入った。爆撃機の速度と、F-16戦闘機の速度を理解する必要がある。もし私たちに警告したかったのであれば、並行して飛行し、自分たちの姿を示すことができたはずだ。しかし、何もなかった。そしてミサイルは、私たちの航空機の尾部に向かって突然やって来た。私たちは、自分たちの目で見ることさえできなかったので、ミサイル攻撃への対応も間に合わなかった」。

救出されたSu24の爆撃手、「飛行領域に熟知していたか?」の問いに断言

「もちろん熟知していた。我々はあの場所で幾度も戦闘飛行を遂行してきており、自分の5本の指のように知っている。戦闘課題は遂行され、元北ルートを空軍基地まで戻るところだった。爆撃手である自分はあの地域のすべての高度を知っており、計測器なしでもわかるくらいだ。」

この発言から、撃墜されたSu24機が誤ってトルコの領空を侵犯した可能性は除外される。

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ロシア軍機撃墜に関するトルコ政府の非現実的な説明を嘲笑する声がインターネット中に広がる
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 トルコ政府は自軍のF-16戦闘機が撃墜したロシア軍のSu-24について、トルコの領空へ向かっているので5分の間に南へ進路を変更するように緊急チャンネルで10回にわたって警告したが、ロシア軍機は1.36マイル(2.19キロメートル)の地点まで侵入、1.17マイル(1.88キロメートル)の距離を17秒にわたって飛行したので撃墜したとしている。

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WikiLeaksなども指摘しているが、この数字が正しいならSu-24は時速398キロメートルで飛行していたことになる。この爆撃機の高空における最高速度は時速1654キロメートル。飛行速度はあまりにも遅く、非現実的だが、もし最高速度に近いスピードで飛んでいたなら、4秒ほどで通り過ぎてしまう。いずれにしろ、トルコ政府の主張は最初から破綻している。まるまるトルコの主張を受け入れても、シリア領内で撃墜されたとしか考えられない。そのトルコの戦闘機も盛んにギリシャ領空を侵犯、2012年646回、13年636回、そして14年は2244回といった具合だ。ちなみに、スウェーデンは2011年から15年の間に領空を侵犯されたのは42回で、その大半はアメリカ機によるものだったという。

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しかも、ロシア政府はSu-24がトルコ領空を侵犯したとするトルコ側の主張を否定している。ロシア軍機はISを攻撃してから帰還する途中で、トルコとの国境から1キロメートルの地点を高度6000メートルで飛行、トルコにとって何ら脅威を与える状況ではなく、撃墜時にトルコのF-16はシリア領空を侵犯したとも説明した。


Su-24が空爆していた理由は外部勢力のシリアへの侵略にある。内乱ではない。アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールといった国々が傭兵、つまりアル・カイダ系のアル・ヌスラ/AQIやそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)を使って破壊と殺戮を繰り返しているのだ。ISと特に関係が深いのはトルコとイスラエルだと見られている。

DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成した文書によると、アメリカが使っている戦闘集団の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI。DIAによるとアル・ヌスラはAQIがシリアで活動するときに使う名称だ。

ロシアのウラジミル・プーチン大統領もトルコが石油密輸に関係していることを指摘しているが、昨年10月2日にはジョー・バイデン米副大統領がハーバード大学で、サウジアラビア、トルコ、アラブ首長国連邦がISへ資金や武器を提供していると語っている

盗掘された石油を業者まで運んでいるのがトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の息子が所有するBMZ社だと言われ、トルコのジェイハンからタンカーでイスラエルへ輸送、そこで偽造書類を受け取ってEUで売りさばくという仕組みだという。その石油を売りさばいている会社として名前が挙がっているのは、アメリカの会社でカタールに大きな影響力を持っているエクソン・モービルやサウジアラビアのARAMCO。

シリアの戦乱は外部勢力がバシャール・アル・アサド大統領を排除し、自分たちに都合の良い傀儡政権を樹立しようとしたことが原因で、問題を解決する最善の方法はそうした勢力が内政干渉をやめることだ。そうすれば「空爆」などは必要ないのだが、戦闘集団が送り込まれている状態で話し合い解決などは不可能である。資金源の盗掘石油の販売を止め、兵站ラインを断つことも有効だが、西側は石油の販売ルートや兵站ラインを守ってきた。

アサド体制の打倒を目論んでいる外部勢力の中心にはネオコン/シオニストが存在している。本ブログでも繰り返し強調してきたが、そうしたプランは遅くとも1991年から始まっている。ネオコンの中枢グループに属しているポール・ウォルフォウィッツがシリア、イラン、イラクを5年で壊滅させると口にしていたのだ。1991年にはソ連が消滅、翌年の初めには世界制覇プロジェクトをネオコンはDPGの草案という形で描き出した。この草案がいわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」であり、日本の軍事政策の指針になってきたことは本ブログでも指摘してきた。

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