たった10日のドタバタ劇

 トランプ大統領の「ドブ掃除」が本格化しています。先日、この時事ブログでも「ホワイトハウス内の騒動とトランプ大統領の反撃開始 〜ロックフェラー派に対する壊滅作戦〜」という記事がありました。
 最近の人事、なかなかに面白かったのでまとめてみます。脇道に逸れて、大統領以下、現政権が一丸となって人身売買に向けて取り組んでいるのも改めて確認出来ましたし。本日は、どたばた&ほっこりでどうぞ。
(Yutika)
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たった10日のドタバタ劇

10日て!


7月21日ショーン・スパイサー報道官兼広報部長がわずか半年で辞任し、アンソニー・スカラムーチ氏が広報部長に就任(※報道官の地位の方は、この前のCNNの記事でご紹介したサラ・ハッカビー=サンダース副報道官が就任)。
そのせいで28日ラインス・プリーバス首席補佐官が更迭されました。
そのせいで31日ジョン・ケリー元海兵隊大将が首席補佐官に就任し、スカラムーチが追い出されました。
※日本語だと同じ「ジョン・ケリー」になっちゃいますが、オバマ政権の国務長官Kerryとは別人です。今回はRじゃなくて「明るいL」、Kellyです。

まずはルーク・ルドコウスキー氏の動画で紹介されていたコラ画像から見ていきましょう:


2003年公開の映画『10日間で男を上手にフル方法』のポスター……だった筈

スカラムーチはトランプ大統領の熱心な支持者。1月の大統領就任以来ずっとお声掛けを期待し、自ら立ち上げた投資会社スカイブリッジ・キャピタルを売却までしたのに、プリーバスがずっと阻止していたと噂されていた人物です。やっと就任したと思ったら、期間はたったの10日。イヴァンカさんは面接時にも立ち会って推挙し、退任の日も電話で話して送り出したそう。それでオッケー牧場ということは、何か裏があるんですかね?

表の騒動の要約はこちらがオススメ:


◆7月31日朝の大統領ツイート「官邸の混乱ゼロ!」……いや、人事ぐっちゃぐちゃやがな!
◆スカラムーチの公式な仕事開始日は8月15日……まだ就任すらしてねーじゃん!
◆ホワイトハウスのおばけ……人事が入れ替わり過ぎて誰の所に出たらいいか分っかんない!
反トランプの番組なんですが、愛嬌があるので時々見ます。


アンソニー・スカラムーチ氏


ほいで次の日から仕事どーすんのこの人、とほんの僅かに心配したら、こちらの記事曰く、6月から勤め始めていた元の職場の合衆国輸出入銀行に戻るそうです。世の中、そんなことが可能なんですねぇ……上級副社長させてもらっていたらしいし、ありえん程の暴言を繰り返していた問題児でもコネでなんとでもなるのかな。

暴言ってのはですね……
◆官邸の夕食会のツイートをした『ザ・ニューヨーカー』紙の記者に対して:
「だからさ、この国の愛国者として誰がリークしたかのヒントくらい寄越せよ」……取材源の秘匿は記者の生命線です、国を裏切る云々じゃありません。「そうか。じゃあ一人残らず(自分の広報チームを)クビにしてやる、これでお前は誰も守れなかったことになるよな」……身内まで巻き込んだ立派な脅迫行為です。
◆スティーブ・バノンに関して:
「俺はスティーブ・バノンじゃない。自分の***をしゃぶろうとしたりしねーし」
※伏字は男性の某部位の卑猥な俗称の一つです(雄鶏さんという意味もある単語ってことで察してください)。
◆ラインス・プリーバスに関して:
「ラインスってのは、くそったれの妄想癖の統合失調症野郎なんだよ」
※「くそったれ」と穏やかに訳しましたが、Fワードですので元は「ちょめちょめする」を非常に乱暴に表現する言葉です。放送禁止用語です。

他にはプリーバスが自分の就任を阻んだという疑惑を、「雄鶏さんのお愉しみを邪魔しやがった」とも表現しておりますな(註:穏やかに訳し続けております)。……この人、広報と名の付く役職にだけは絶対就けたらあかんタイプやと思うのですが。ご本人はこれらを「色彩豊かな言葉遣い」とお呼びになっておられます。ヒップホップに憧れる十代じゃあるまいし、豊か過ぎじゃ、おっさん。

この10日間、私生活でも二番目の奥さんに離婚を申し立てられるわ、その奥さんの出産にも立ち会わずにトランプといそいそ出掛けとるわ。御年53歳だというのに、見事にしっちゃかめっちゃかな御仁です。

それでもジョーダン・セイザー氏は8月1日の動画で、このドタバタ劇はプリーバスを辞めさせるために計算されたものだったのではないかと推測しています。スカラムーチが任命前から後までホワイトハウスにいましたし、自分の処分についても全く異論はないとどこかでコメントしていたからだそうです。

「どこか」はこういう記事でしょうかね。このCNN記事に貼ってある動画によると、ご本人はこの短い就任期間を「成功」だと評価しているようです。元々短くなると覚悟していたようで(数日ではなく数箇月だと思っていたようですが)、自分は情報流出者を一掃するための「SPV(特別目的車輌)」だったと。

……あんまりダメージ受けてませんな。本人のツイッターアカウント、未だにトランプ大統領とのツーショットやし。最初から道化役者として引っ掻き回す算段だったんでしょうか。スパイサーとプリーバスを辞めさせられてご満悦みたいです(まだバノンが残っているぞーっ)。


ジョン・ケリー氏




さてスカラムーチを追い出して新たに就任したジョン・ケリー氏ですが、現在の評価は二分しております。


①ルーク・ルドコウスキー氏の意見 
ルドコウスキー氏の8月1日の動画でで紹介されたこちらの記事によると、退役半年弱の昨年6月からあの悪名高き民間軍事会社ダインコープの顧問に就任。12月に国土保証安全省の長官になり資産を公開したところ、たった五箇月で166,666ドルもの報酬を貰っていました。

※ダインコープ・インターナショナルは米軍のメンテナンス部門担当なので、ざっくり言うと米軍が引っ掻き回している世界中の紛争地帯には必ずいて、臓器売買や性奴隷などの問題と引っ掛けて検索すると各地での疑惑がボロボロ出てくる超キナ臭い企業。この前書いた記事でご紹介したシンシア・マキニー元議員が、「ダインコープは若い女性や子どもを売買していると暴露されています。この騒動の渦中、天然痘と炭疽菌のワクチンの管理契約をペンタゴンから任され続け、現在は混合ワクチン接種計画でペストのワクチンにまで着手しています。長官、女性や少女を売買する企業を取り立てるのがこの国の政府の方針なのでしょうか」とラムズフェルドをぐりぐり追求しています。

またルドコウスキー氏は、主要メディアがこぞってケリーを歓迎しているところも怪し過ぎると指摘していました。


②ジョーダン・セイザー氏の意見 
逆にセイザー氏は8月2日の動画でジョン・ケリーは信用出来る気がすると述べています。根拠はゼロヘッジのこの記事。2014年、雑誌『プリズム』のインタビューを受けたケリーは、米国が直面している「最も懸念すべき」脅威は薬物とセックス労働者を輸入する国際犯罪ネットワークであると語っていました
「こういったのが諸々の国際犯罪ネットワークです――全てが関与しています。何百トンもの違法な麻薬。比較的少量は我々の国境警備によって流通から取り除かれていますが。何万ものセックス労働者が、しかも多くの場合は未成年者が、毎年これらのネットワークを介してセックス産業に従事するためにアメリカへやってくるのです。タンパにある南フロリダ大学の人権会議で話したことがあります。私がセックス労働者について話すと聴衆はショックを受けていました」

ちょーっと本題から外れますが、セイザー氏の動画やゼロヘッジの記事で言及されていた政府のコマーシャル


今年1月中旬に始まった国土保証安全省の人身売買防止キャンペーン「もう一度見て」

このコマーシャル、冒頭がなんとピザ屋さんの前なんですよね。とある動画の作成者が指摘していました。全体としては奴隷労働の方に重点を置いた作りなんですが、冒頭の女の子は幼いし、ピザゲートをさりげなく暗示しているのかもしれません。

トランプ大統領も、人身売買と小児性愛の撲滅を自身の政権の優先事項の一つとして掲げています。それを受けてのコマーシャルでもあります。以下ゼロヘッジの記事から:

    そして6月、国務省の2017年度人身売買報告書の発表セレモニーのスピーチにおいて、イヴァンカ・トランプさんは人身売買の終結が我々の「道徳的かつ戦略上の関心」であり、官邸の最優先事項であると述べた。
    【中略】
    さらに先週金曜日、トランプ大統領はニューヨークの司法当局者の一団を前にし、人身売買は「世界史上でかつてないほど」最悪かもしれないと語っている。
    【中略】
    2004年に国務省は、60万から80万の人間――その内7割が女性であり、また5割が未成年だと考えられる――が毎年国境を越えて売り買いされていると推定。デイリー・コーラーによると:北極星プロジェクトという人身売買に特化したNGOは、米国の人身売買問題は悪化していると評している。2015年から2016年で、報告された人身売買の事例は35%増加し、とりわけ労働のための売買が47%も跳ね上がったのだ【以下略】。

北極星プロジェクトを見ると、世界的には2012年の時点で2,090万人もの人が奴隷状態に曝されています。別の頁も見ますと、これって世界人口の1,000人に3人の割合です。その内68%が強制労働、26%が子どもで、55%が女性や少女。人身売買は1,500億ドルの産業だそうです。「アメージング・グレース」を朝から晩まで流しても改心せんのかなー、金かー、情けないorz

③ロジャー・ストーン氏の意見 
閑話休題。7月28日にアップされた動画の時点でプリーバス首席補佐官の後釜として、ロジャー・ストーン氏はアレックス・ジョーンズ氏に三人の候補を挙げていました。最後の三人目に「ワイルドカード」として話していたのがジョン・ケリー。

ストーン氏によると、彼はジェフ・セッションズ司法長官同様、麻薬との戦争について「古い考えの持ち主」のようです(※軽度の使用でも厳罰をもって処する、またその為に大金を注ぎ込むという考え)。また次の首席補佐官になる人物には、行政的な手腕と政治的な手腕が求められるべき。前者の行政的な手腕は申し分ないものの、後者のトランプ支持層と主要メディアの絶え間なき攻撃についての理解が出来ているのかと疑問視していました。ストーン氏がざっと調べたところ、グローバリストかどうかははっきりしなかったようです。

こちらの記事でも、「彼と何年もの仕事をしていた人たち――彼を慕い尊敬していた人たち――ですらその政治信条は殆ど分からないと言っている」とあります。記事をまとめると、自分の考えを押し殺してでも、上司の方針や決められたことに従うタイプのようです。

御両親はカトリックです。ずっと連れ添った奥さんとの間はお子さんが3人。長男も次男も海兵隊に入隊し、次男は2010年にアフガニスタンで戦死しています。娘さんは陸軍病院の赤十字で働いているようです。

スカラムーチ氏とケリー氏。対照的な二人でしたが、ドタバタ人事劇が果たして吉と出るか凶と出るか。

文・Yutika

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