核のゴミ問題 〜 NUMO「科学的特性マップ」住民意見交換会に参加してみた

 読者のぴあQ様から「科学的特性マップに関する意見交換会に参加しました。」という情報を頂きました。
なんじゃそりゃ?と不勉強なまのじ。「原子力発電の使用済み燃料からウランやプルトニウムを取り出す過程で発生する高レベル放射性廃棄物を長期間にわたり隔離するため、地下300mより深い安定した地層(岩盤)に埋設する最終処分方法」、これを「地層処分」と言うそうです。その地層処分を行う場所を選ぶ際に科学的特性を考慮した日本全国の分布図、これが「科学的特性マップ」で、早い話が「核のゴミをどこに埋めるかマップ」ということのようです。その候補地になった地域に、NUMO:原子力発電環境整備機構がシンポジウムや説明会を順次行なっているということでした。
 そもそも地層処分で本当に大丈夫なのか、「火山活動や断層活動といった自然現象の影響や、地下深部の地盤の強度や地温の状況」を科学的特性を総合的に判断するものらしいですが、誰がどんな責任で判断するのでしょう。
候補となった自治体の首長には、世耕経済産業大臣から直々の書簡が送られたそうです。
 そう言えば先ごろ、核のゴミの意見交換会で、東電が謝礼を出して学生などを動員していたというニュースがありました。それがまさに、この科学的特性マップの議論の場だったのですが、同様の説明会に、ぴあQ様が直接参加されたというのですから、どんな様子だったのかを伺いました。

 ぴあQ様の見たところ、NUMOの職員さん、そして説明にあたった専門家のお二人、共に、大変感じの良い方々だったそうです。「住民と対立しないように、和やかに進行するように、とても気を配っている感じがしました。」と伝えていただきました。一方、参加している市民は皆、危機感を持って、不安を抱えて、忙しい平日の昼間に参加しているわけですから、自ずと「みな拍手ひとつせず、厳粛な感じでジッと彼らを見据えている」様子になり、「“威圧されてる!”と感じたのはむしろ主催側の人達かもしれません。」と笑っておられました。しかし、説明される内容の重大さからすると、主催者側の、その一方通行の和やかさが浮いていた、という参加者ならではの空気を伝えて下さいました。
 なるほど、こういった説明会であれば、NUMOとしては原発容認の意見を持った市民をたくさん参加させ、和やかに進めたくもなるでしょう。
 住民が知らないうちに「説明会を済ませました、大勢の方に納得して頂きました」という既成事実を作らせないためにも、実際に参加し、見聞きされた意義は大きいと感じます。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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核ごみ説明会「機構が社員要請」 東電、内部告発受け調査
引用元)
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の住民意見交換会に、謝礼を持ち掛けて学生を動員していた問題で、東京電力が独自に社員が参加していたか調査していることが、東電への取材で分かった。主催者の原子力発電環境整備機構が、参加を要請していたとする内部告発があったため。社員に経緯を聴き、状況を詳しく調べる。
(中略)
 意見交換会を巡っては、機構が広報活動を委託した孫請けのマーケティング企画会社が、学生に一万円などの謝礼を持ち掛けて参加させていたことが十一月に発覚した。
(中略)

◆過去に電力会社 動員や「やらせ」
 原発を巡る集会などではこれまでも、電力会社が参加者を動員したり、国が「やらせ」質問を依頼するなどして問題になった。
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核ごみ説明会 新たに学生79人動員
引用元)
 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場に関する住民向け意見交換会に、謝礼を持ち掛けて学生を動員していた問題で、原子力発電環境整備機構(NUMO)の調査チームは二十七日、調査報告書を発表した。今年六月までに開かれた意見交換会やセミナーで、計七十九人の学生が謝礼を示しての参加要請を受けていたことが新たに判明。少なくとも二人に現金五千円が支払われていた。
 この問題を受け、NUMOは当面、意見交換会を中止し、どのような運営方法がいいか検討した上で再開時期を決める。
(中略)  いずれも、事業を受注した電通から広報業務を再委託された会社が、現場の判断で行っていたという。調査報告書は、NUMOや電通がこうした実態を認識していた証拠は見つからなかったとしている。
(以下略)
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「科学的特性マップ」とは



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科学的特性マップに関する意見交換会に参加してみた
(前略) 私はFB友の投稿を見てこの意見交換会のことを知りました。

知ったのは開催日の直前でしたがすぐさま参加しよう!と思いました。というのも以前、〇〇市の震災瓦礫受け入れの市民説明会に参加した際の主催側の横暴なやり方(反対の意思をもって大勢の市民が参加しているにもかかわらず、意見を述べることを許された数名以外の市民に対しては、“ご理解を得ました”と勝手に解釈される、等)を、目の当たりにしましたので(なるほどこういう風に一方的に物事は決められていくんだ、とよくわかりました)今度の説明会にも、ともかく参加して、場の空気を知っておきたいと思ったのです。

参加は前日までにインターネットでNUMO(ニューモ)に申し込みをせねばならず、定員は100名。(実際の参加は40名程で、内、意見交換会まで参加の人は25名程度でした)
申し込みをしますと受け付け画面に、報道機関が入って報道します、とか、二部の意見交換会(二部構成です)の様子はNUMOのホームページで公開します、等の文言が並んでいて、弱小一市民の私などはこれだけでちょっとびびってしまいます。

(中略) 説明によると、今後20年かけて、文献調査(2年)、ボーリングなどによる概要調査(4年)、精密調査を行い処分地を選定します。自治体の長から反対があれば次の段階に進まない、とのこと。(他の参加者によると、自治体がみずから手を挙げない限り調査もしない、とも言っていたそうです)

(中略)
そして20年の調査の後10年で建設。横に並んで人間が立てば20秒弱で死に至るというガラス固化体4万個を、オーバーパックで遮蔽し、地下300mの地中に埋めます。そして最終的には処分場の跡もわからない自然の状態(???)に戻すのだとか・・

想像するのも悲しく恐ろしくあり得ない話がさらさらと進められていきます。心の痛みなどはそこには存在しません。人間はこんな風にして心を失ってきたのかもしれない、と、自分自身のことも含めて、あらためてそう感じてしまいました。

ガラス固化体は、直径40㎝、高さ130㎝、重さ500kg。
FB友が質問して聞き出してくれた数の詳細は、現在六ヶ所村に2,500本。全国の原子力発電所に2万5千本分がすでに発生済み。また今後も原発を稼働していくと、100万kw発電で年間20本。原発事故前の稼働で計算すると年間1000本が発生する計算となるそう。
今後もあくまで原発稼働ありきで4万本になる予定ということなのでしょう。
ふと思い立って、日本の人口をこの数で割ってみると、なんと3,175人にひとつのガラス固化体があるすることになります!私の住んでる町は人口約4千人。もし自分の住んでる町でひとつのガラス固化体を受け持ちましょう!!と言われたら・・・???

 意見交換会がまだこれからの都道府県もあります。また、NUMOのホームページを検索すれば、会場で見るのと同じ説明動画も見ることができます。ぜひ多くの方に関心をもってほしいです!

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