里山社屋主義(36) 下屋(最終回)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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里山社屋主義(36) 下屋(最終回)

前回は設備工事が完了したところでした。

これでもう、ほぼ事務所として使える状態ですが、もっと便利にするために下屋を増設することにします。


下屋(げや)とは?


「下屋」で画像検索をしていただきますと、とにかく、屋根を建物の側面から出したものを、下屋というようです。この地域では、錣(しころ)とも言っております。

下屋は屋根と構造材だけなので、雨がかからない場所を安価に設けることができます。また建物本体を、雨の降り込みから防ぐことができますので、建物の長寿命化にもつながります。
建物を建てるなら、最初から検討しておきたいもののひとつです。

今回は、以下の図のような下屋を作りました。

断面図


正面図


上面図


施工手順も、次のようにシンプルです。

  1. 社屋側に、垂木受け(建物では棟木に相当、正式には何というのかは知りません)を取り付ける。
  2. 基礎に柱を立てて、桁を渡す。
  3. 垂木と桟木を取り付けて、波板屋根を貼る。


下屋の施工

大工さんでもある木材屋さんのアドバイスを受けながら上の図面を作り、木材とその加工、柱と桁の組み上げをお願いしました。

届いた材料(施工面積5.5坪分)


木材屋さんが来られるまでに、社屋側に垂木受けを取り付けておきます。

垂木受け(黒い水切りの下にある木材)を取り付けたところ


垂木受けの取り付けには、パネリードという、通常のビスよりも太くて丈夫なビスを使用しました。コーチスクリューにすると、もっと太くて丈夫なのですが、長い下穴を開けるため手間がかかることと、建物本体の構造材にあまり太い穴を開けたくないので、ビスにしました。

組み上げの前に、ウッドデッキでよく使われる羽子板付きの束石で基礎を作っておきます。



今回の基礎の仕様


基礎ができたら、木材屋さんに来ていただいて、組み上げです。
柱と桁を組み上げ、垂木を455mm(1尺5寸)間隔で渡します。


さらに、波板を貼るための桟木(胴縁)を、606mm(2尺)間隔で渡します。


右下の赤いものは、柱にクランプで取り付ける足場です。お借りしたもので、いったい正式名称は何というのかは知りませんが、こういうとき便利ですね。

桟木の上に、ポリカーボネイト波板を貼りました


この写真のビスのピッチ(10山に1つ)は、ちょっと空きすぎでした。強い風が吹くとよくバタバタという音がします。
波板の施工については、大日本プラスチックの標準施工資料のPDFがとても参考になります。ピッチについてはこのPDFの通り、6山ごとを基本にするとしっかり止まる感があります。

あとは、雨樋を付けます。


雨樋に使う金具は、次の図のように番号順につけるだけで自然と勾配がつく「五丁流れ」が便利でした。

雨樋の図面


これで下屋は完成です♪ 


事業にしても、家族が住むにしても、雨の当たらない広い場所はありがたいもの。後回しにせず早期に作っておいて本当によかったです。

費用は、約5.5坪の下屋で、材料費(木材・波板・雨樋など一切を含む)やお手伝いさんへの日当を含めて13万円ほどでした。


おわりに

里山社屋主義の連載は今回で終わりです。

第1回で触れた通り、この連載は里山資本主義というコンセプトを応援する意味で、「里山社屋主義」という名前を付けました。

これから日本の社会は、単なる経済的豊かさではなく、成熟した社会を目指さざるを得ないようです。そのような流れの中にあって、人々が田舎に入り、その地域の資源の豊かさを再発掘するという視点はとても大事なことのように思います。

今回の社屋の建築は、工務店に丸投げするのではなく、かといってセルフビルドでもありませんでした。施主自身が思いっきり建築に関わることで、少しでも費用を抑え、また、ほとんどすべて地元の木(=地域の資源)で作られた建物にすることができました。

地元の木の皮むきから始まった工事


費用に関しては、土地が約160万円、造成が約110万円、基礎・建物本体・設備等々が約700万円。
今回、田舎で土地を買い、床面積25坪(うちロフト11坪)の建物を作るのに、総費用は1000万円を切った
という結果になりました。

こちらの記事全国の平均坪単価を参考にすれば、今回の建築費部分の相場は約2000万円。上の通り実際の建築費部分は700万円であったので、1/3程度に抑えた結果となりました。セルフビルドの割合をもっと増やせば、費用はさらに抑えられるのではないかと思います。

リスキーな選択の中、大きな失敗もなく無事4〜5ヶ月で建物が完成し、今このシャンティ・フーラの事業で大いに活躍しております。ひとえに、この建築に関わってくださった木材屋さん、大工さんはじめ、関係者の皆様のお陰です。

そして、読者の皆様におかれましては、長い連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。
この連載の中に、これから田舎に上手に入って暮らしたいと思われる皆様のお役に立つことが少しでもあれば、この上ない幸いです。


(シャンティ・フーラ スタッフ るぱぱ)


(まの爺)
 季節を越えて社屋建築を担い、さらに年を越えて建築記録をものされ、
長期間、誠にお疲れ様でございましたなあ。
思いがけず、るぱぱ代表のお茶目なところも発見できた、楽しい連載でありましたぞ。

上下体癖でも、ここまで工具をふるって、何も無かったところに立派な社屋を生み出してしまわれた。
それも破格の安さで!
意欲と、人並みの体力と、好奇心あふれる情報収集力、そして、手助けを求めるコミュ力があれば、光に満ちた建物を造ることができると実証されたわけぢゃ。
例の名言「やってやれんこたないよ。」とともに、全国の有志にこの連載を捧げますぞ!

◇ お願い ◇
対応できないため、見学・来訪はなにとぞご遠慮ください。ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

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