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メキシコ便り(19):「ある金曜日の午後の出来事」ノンフィクション・ストーリー
ある金曜日の午後の出来事
ある日、旦那さまが人伝いに、小柄で真っ黒に日焼けしたモンチッチ似の職人Mさんを連れてきた。50代くらいの腕のいいベテラン職人。たしかに見事な仕事ぶりで、これは日本の職人さんと肩を並べられるかも!と旦那さまとpopoちゃんは大喜び!しかもメキシコの建設業関係の方には珍しく、とても正直で、お金を借りたり、盗みをしたりしないお方!そしてもっと稀なのは毎朝8時前にちゃんと出勤!メキシコでは10〜15分遅れはオンタイム!😆たまに30分遅れでも。。。全然オンタイム感覚っていう人もいたりする。そしてお仕事の終了時間も10〜15分前にさっさと片付けて帰っちゃうのもよくある話。
が、このMさんは、朝8時から夕方8時くらいまで、とにかく働く働く。。。。「すごいね〜、日本人みたいに働くね〜」「きっと自分のお仕事が大好きなんだね〜」「一人身だからあれだけ仕事に没頭できるんだね〜」とpopoちゃんと旦那さまは勝手にあれこれ想像。たまにMさんの帰り際を見計らって、お疲れさまと気持ちだけの食べ物をお裾分けし、また明日ね!と。。。(ちなみにメキシコでは貸したものが返ってこないことはよくあること。でもMさんは食べ物の容器など、必ず翌朝一番に、綺麗に洗ったものを返してくれるお方。)
こんな日々が続き、1ヶ月が過ぎた。。。。。。
ある月曜日の朝。。。「あれ?!来てない?!」あの働き者のMさんが来ていない!
そして連絡もない。。。翌日、翌々日も。。。来る日も来る日もこない。。。だんだんと旦那さまのお顔が曇ってくる。。。
そして、その週の金曜日の午後15時半ごろ、Mさんが家に来ていると連絡が入り、popoちゃんも旦那さまも至急帰宅!カンカンに照りつく太陽の下、赤ら顔でぐてんぐてんに酔っぱらったMさんが、アルコールのボトルを片手に「よぉ〜!」と笑顔でpopoちゃんと旦那さまのほうにフラフラ千鳥足で寄ってくる。
「仕事に。。来てなくて。。ほんっとに。。。すまない。。。許してくれ〜。。。来週からちゃんとくるよぉ〜。。。」と言いながらまっすぐ立てないMさんは、呂律も回わっていない。。。
これはかなり飲んでいると察した旦那さまは、まずMさんの手からボトルを取り上げ、目の前で中身を流し捨てた。旦那さまは「心配してたぞぉ〜。。。謝る必要なんてない、何もいわなくていいから、とにかく明日からまた仕事に戻ってきてくれればそれでいい。。。」popoちゃんも「わざわざ来てくれてありがとう」と伝えた。旦那さまは酔いを覚ませようと、水を飲ませながら話を聞きながらMさんをドライブに。。。もともとおしゃべりなMさんはアルコールのせいでいつもの10倍喋る。そして喋る内容は壊れたレコードのように同じことの繰り返し。。。どんなに自分がアンラッキーか、どんなに自分がみじめかを語り続ける。
ドライブの途中、Mさんはコンビニでジュースを買いたいと言い出した。でもMさんは今日アルコールのボトルはしっかり握って来たが、普段持っている携帯もお財布も持ってきてない。。。そんな状況を察知した旦那さまは「なんのジュースがほしい?買ってくるよ。」「う〜。。。。う〜ん。。。バドワイザーっていう名前のジュースがほしいなぁ。。。」と大ボケ!popoちゃん後部座席で大・爆・笑!!!こんなに泥酔してるときに、お茶目にこんな大ボケ噛ませるメキシコ人ってすごいなと。。。変なところに感心してしまった。。。が、その時にpopoちゃんは気付いてしまった。。。これはただの酔っ払いじゃないと。。。
「バドワイザーはダメだ!何のジュースがいい?」
下を向いたMさんは、しぶしぶ「う〜ん。。。ジュースなら。。。いらない。。」と首を横にふった。。。
その後、うちでご飯食べたり話をしたりと計5時間ほど一緒に過ごしたが、酔いが覚める気配は一向になし。。。popoちゃんはMさんの愚痴と妄想話しを聞きすぎて、もうへとへと。。。そしてそこでMさんが暴露したのはドラッグにも手を出していると。。。これはまずいとおもった旦那さまは「今日はうちに泊まれ!」と嫌がるMさんをほぼ無理やりうちに泊まらせることに。。。ここで返すとまたさらに飲み、ドラッグをやり、仕事に絶対戻ってこない。『お願いだから、どうにか仕事に復帰してくれぇ〜!!!』という旦那さまの叫び声がpopoちゃんには聞こえちゃった。。。
Mさんが眠りについた頃、旦那さまはpopoちゃんにポツリと語った。。。「Mさんを紹介してくれた人から、Mさんはアル中だと聞いてたんだ。。。」と。。。あれほどの長時間労働をしていた理由は、アルコールとの戦いをしていたのかと思うと胸が痛い。。。
Mさんはその夜も翌日も沢山寝た。。。それでもアルコールは抜けていない様子。。。仕事なんてできる状態じゃない。。。眼が覚めているときは、寂しがり屋なのか、popoちゃんや旦那さまが近くを通ると必ず話しかけ引き止め、喋りまくる。。。
翌日、Mさんを紹介してくれた方(Mさんのお世話をしている方)のところにMさんを車で送った。。。が、その後、Mさんはその方の家にとどまらず、すぐに姿を消したらしい。。。だれも口に出さないが、皆わかっている。。。Mさんのその後。。。専門家の助けも周りの助けもすべて拒むMさん。。。周囲はため息が出るばかり。。。
メキシコはほんとにアル中が多い!popoちゃんが知ってるだけでもこれで4人目。
やはり愛する女性がいないと男性は弱くなると竹下先生がどこかで言ってましたが、まさにこれかなと。。。なんとも虚しい。。。
一見、陽気に見えるメキシコ人。。。でも、実は植民地時代から続く格差社会差別、人種差別の心の傷は全く癒されてなく、何世代にも渡って彼らの心の奥に根強く健在しているのは明らか。。。
その心の痛みを麻痺させるためにアルコールにドラッグに走り、より惨めな自分を作り出す。。。悪循環。。。どうしたらいいのやら。。。
popoちゃんが唯一できるのは愛のマントラを送ることくらい。。。
もちろんMさんの選択の自由を尊重しながら。。。
過去23年間、メキシコ人に接してわかったこと。。。それは彼らの笑顔の裏には沢山の苦しみが埋もれていること。。。それを知ってしまうと、何をどうしたらいいのかわからなくてため息出ちゃうけど、でも実はこうやって、彼らの心の奥底の痛みの存在にそっと気づいてあげること。。。それだけでも十分なのかもしれない。。。そして、それだけでもなんらかの変化があるかもしれない。。。
(popoちゃん)
ちなみにメキシコのほとんどのお家が職人さんによる手作りのお家。ここファレスではレンガを一つづつ積みあげて家を作っていくのが主流ですが、最近は残念ながら安上がりにするためにコンクリートブロッグで作っているところを良く見ます。でもこの砂漠気候にあのコンクリはきっと暑くて大変!
今回はそんなpopoちゃん家の改装中に起こった「ある金曜日の午後の出来事」をノンフィクションでお送りします。😎ありのままのメキシコ体験!よりメキシコのこと、メキシコ人のことを知っていただければ幸いです。一見、陽気そうに見えるメキシコ人の笑顔の裏には。。。