注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
◆「年末までに無条件で平和条約」という爆弾
プーチン大統領がロシア極東のウラジオストクで開かれている東方経済フォーラムの全体会合で「年末までに無条件で平和条約」という爆弾発言を行いました。
(中略)
これは安倍首相の演説での「今やらないでいつやるのか、我々がやらないで他の誰がやるのか」という発言を逆手に取った大技ですが、始めに切り出したのが安倍首相である以上、喉元に一気に迫られた形になっています。
◆自民党は「北方領土解決なくして平和条約なし」だった
日本は旧ソ連と1956年に日ソ共同宣言によって国交を回復し、その際に日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡すとしました。
しかし平和条約の締結交渉は、北方領土の全面返還を要求する日本の自民党政権と平和条約締結後の二島返還で決着させようとするソ連の妥協点が見出せないまま現在まで至っています。
(以下略)
プーチンの発言が飛び出したのは、全体会合で各国首脳が演説を終えた直後。安倍は演説で北方領土問題の解決を訴え、4島を物流拠点として「日ロ協力の象徴」に転化しようと提案。(中略)
「シンゾウはアプローチを変えようと言った。そこで今、思いついた。一切の前提条件を抜きにして、年末までに平和条約を結ぼう。平和条約に基づき、すべての係争中の問題を話し合おう」
(中略)
プーチンの発言を巡り、官邸は大慌て。菅官房長官は記者会見で「意図についてコメントすることは控えたい」と逃げ、10日の日ロ首脳会談で「無条件」との発言はなかったと釈明。「北方4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針の下、引き続き粘り強く交渉する」と火消しに躍起だ。
(以下略)
安倍晋三首相は9月13日、「外交成果を自民党総裁選挙でアピールしようと計算して、ロシア・ウラジオストクでの東方経済フォーラムに出席」したものの、「見事に大失敗」して、13日早々、逃げ帰ってきた。
(中略)
キッシンジャー博士、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席、金正恩党委員長は、完全に示し合わせていることがわかった。これは完全に仕組まれている。それが証拠に東方経済フォーラムで、安倍晋三首相が演説で『いまだに平和条約締結に至っていない』と言った途端、プーチン大統領が『シンゾウ・アベは今、アプローチを変えると言った。今、思いついた』と、安倍晋三首相の言葉尻をとらえて『日本と前提条件なしで、平和条約を結ぼう』と言った。これから想定外のことが起こり得るということが、始まったといっていい」と話している。
平和条約が締結されれば、両国間の国境の公式の画定という意義を事実上持つ。「無条件で締結」となれば、「2島返還」すら遠のき、それ以上の領土返還交渉の道も閉ざされる。中間的な条約はありえるが、平和条約は領土問題が最終的な解決にいたった段階で締結すべきである。
— 小池晃 (@koike_akira) 2018年9月12日
https://t.co/sM4xM98aSw
【「世界と渡り合えるのは安倍首相だけ」などと言っている自民党も世界中から大笑い】「外交の安倍」次々露呈する無残 世界は「3選」〝大歓迎〟ではないか 利用され翻弄される口だけ「親密外交」の正体 影響力も存在感もなく、全く相手にされなくなった日本(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/1vbu1hbswt
— KK (@Trapelus) 2018年9月14日
ま、はっきり言ってしまいますと、安倍は歴史も条約も軍事も安全保障もなーんにもわかってないので、「条件なしの平和条約」なんておちょくりで立ち往生。プーチンにからかわれたってことです。ここまでコケにされた総理、歴代自民党で皆無ですよ。自民党支持者、よく自覚を。本当にバカ扱いですよ。 https://t.co/KQKPdoDgnf
— 岩上安身 (@iwakamiyasumi) 2018年9月12日
「北方領土をあげるから、仲良くしてくださーい💕」#安倍晋三は売国奴 pic.twitter.com/6z7IgwpD1R
— ANTIFA大阪 (@antifa_osk) 2018年9月12日
安倍外交はすでに脳震盪状態。河野、外務大臣だろ、なんか言え!あいつは難しい局面は必ず逃げる。
— 藤原直哉 (@naoyafujiwara) 2018年9月13日
ロシアに抗議せず 首相「意欲の表れ」 与野党から批判https://t.co/yJz5145B11
世耕弘成がウラジオ行きをサボって札幌へ飛んだのは、原発復権のキャンペーンの目的もあるけれど、それ以上に行きたくなかったからだろう。手ぶらで行って相手に怒られるから。世耕弘成、ロシア経済分野協力担当相だもんね。今回のようになること(プーチンの最後通牒)、うすうす分かっていたわけだ。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) 2018年9月14日
結局、経産省は、3000億円の「8項目の日ロ経済協力プラン」の具体交渉を詰めずにほったらかしていたわけだ。法制度適用(主権)の問題に直面して、逃げて外務省に後処理を押しつけていたんだろう。最初からプランは破綻していたということ。外務省は怒り心頭だろうな。こんな悲惨な結果になって。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) 2018年9月14日
外務省からすれば、とんでもない事態ですよね。平和条約と領土問題の切り離しを面と向かって要求され、首相がその場で拒否せず、宿題として持ち帰ってしまった。年末までに回答しなきゃいけない。回答しなかったら、それを口実に中国資本が経済開発に入ってくる。北方領土はロシアと中国のものに。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) 2018年9月14日
フォーラム全体会合で安倍首相は、平和条約締結が今もって膠着していることを取り上げ、北方4島を「日露協力の象徴」となる物流拠点にすることで、北方領土問題の解決へ繋ぐ趣旨の演説をしました。すると、それを日本のアプローチの変更と受け止めたプーチン大統領が即座に「一切の前提条件を抜きにして、年末までに平和条約を結ぼう」と返しました。当のあべぴょんは、分かってないのかニコニコ笑顔で肯き、誰がどう見ても応諾したことで、日本は蜂の巣を突いた騒ぎになりました。
日露間の平和条約締結交渉は、「4島返還」を求める日本側と「2島引き渡し」以上の譲歩はないロシア側とで交渉が重ねられてきました。ここでいきなり「無条件の締結」となると、それは事実上「両国間の国境の公式の画定という意義」を持ち、もはや領土返還という交渉の意味が無くなります。これまで「全島の帰属問題が解決しない限り、平和条約締結はない」としてきた日本の立場が総崩れになります。
官邸は火消しに躍起とありますが、河野外務大臣は、遠いハノイの地で「文句言う筋合いではない」とオムレツな発言をし、ロシア経済分野協力担当相の世耕弘成大臣は気配を消している模様です。救い難い内閣ですが、こうした火事場騒ぎはまだ始まったばかりかもしれません。
板垣英憲氏のブログによれば、今回の「おちょくり」も周到に狙ったものだったようです。