注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
・2018年12月26日に放送された「NHKニュースウォッチ9」の中で、世界に広がっている性被害を受けた女性たちによる「#MeToo」運動を紹介。「安倍総理の代弁者」として知られるジャーナリスト・山口敬之氏による薬物レイプ被害を訴え続けている伊藤詩織さんが大きく取り上げられた。
・ところが、安倍総理と深い交友を持つ加害者の山口敬之氏や、山口氏の逮捕中止を命じた菅官房長官の秘書官も務めた中村格刑事部長(当時)などについては一切触れず、ネット上では疑問の声が多く上がっている。
・また、伊藤詩織さん本人も放送に際してコメントを出しており、かなり以前からNHKの取材を受けていたものの、ここまで全く放送されてこなかったことや、ようやく放送まで漕ぎ着けた背景に、同世代のディレクターらの尽力があったことを明かした。
世界中に広がった #Metoo 。日本でのきっかけとなったのが #伊藤詩織 さんの告白でした。去年、自身が訴えた #性被害 が不起訴になったことで記者会見を開き、手記を出版。現在、海外で主に取材活動を続けています。いま何を思い考えるのか。その日々を見つめました。 #nhk #NW9 pic.twitter.com/FKuV9hb1MH
— ニュースウオッチ9 (@nhk_nw9) 2018年12月26日
#伊藤詩織 さんが告発を行った年内に海外で事件が①積極的に報じられ、②特集を組まれ、③テレビで独占インタビューが行われ、④ドキュメンタリーまで制作された中で、母国の公共放送がやっと独占インタビューを報じたことには失望の念を禁じ得ない。が、中で戦い続けてきた方々には敬意を表したい。
— 💫T.Katsumi🎸 (@tkatsumi06j) 2018年12月26日
詩織さんご自身、放送の10分前に放送のことを告知しなければならない事情について、「もっと早くお知らせしたかったのですが、ギリギリまで波を立てたくなかったのでご報告が遅れてしまいました」と複雑な思いを吐露していた。内部でこの放送を実現した方々の思いもさぞ複雑であっただろう。
— 💫T.Katsumi🎸 (@tkatsumi06j) 2018年12月26日
詩織さんは、「なぜ報道できないのか、どうしたら報道できるのかとこれまでずっと試行錯誤されてきた内部の記者さんやディレクターさんの声を聞きながら、それが難しいことなのだろうと思っていました」と述べ、局内でさまざまな紆余曲折があって放送に漕ぎ着けたのだという思いを滲ませた。
— 💫T.Katsumi🎸 (@tkatsumi06j) 2018年12月26日
そして最後に、「ここまで報道するということを諦めず頑張ってくれた同世代のディレクターの方の姿勢にとても励まされました」と、内部で奮闘されてきた方の健闘を讃えている。
— 💫T.Katsumi🎸 (@tkatsumi06j) 2018年12月26日
責められるべきは、このように個人が孤軍奮闘せざるを得ない状況を作り出してきた局上層部とそうさせてきた現政権だ。
(中略)尚、以上の引用は全て詩織さん自身によるありのままの言葉である。 pic.twitter.com/2BAWUmVv03
— 💫T.Katsumi🎸 (@tkatsumi06j) 2018年12月27日
詩織さん本人は、「報道することを諦めずに頑張ってくれたディレクターの方々の姿勢に励まされました」とコメント!
(中略)
NHKのニュースウォッチ9で、突如伊藤詩織さんが大きく取り上げられたことに驚きの声が多く上がっています。
しかし、(やはり)詳しい事件の経緯や、加害者の山口敬之氏と直前で山口氏の逮捕中止を命じた中村格氏らのことは一切触れておらず、ネット上では批判や疑問の声が多く噴出している状況です。
ボクも、「一体どういう風の吹き回しだろう」と思いつつ、(事件の詳細に触れようとしないことに)相変わらずNHKのダメさ加減を痛感していたところだったけど…伊藤詩織さん自身がこの放送に際してネット上でコメントを発表。
どうやら、かなり前よりNHKから取材を受けていたものの、これが全く放送されなかった中で、一部のディレクターらの努力によって、ようやく彼女の存在や現在の世界各国での活動がNHK内で取り上げられたという実情があったっぽいね。
詩織さん自身は、ここまで放送に繋げてくれたNHKのスタッフに感謝しつつ、彼らを気遣っている様子が見えるけど、こういう話を聞いても、いかに日本のマスメディアが「強烈な放送規制」のもとに、安倍政権の核心や本質に迫る報道が全く出来ない実情があるのかということを強く感じざるを得ない。
これはまさしく、健全な民主主義国家の中に存在しているマスメディアとは最もかけ離れた姿であり、いかにこの国がすでに「本格的な独裁政治体制」に入ってきているのかを改めて確認することができたよ。
(中略)
本当に暗澹とした気持ちにさせられてしまうけど…考え方を少し変えると、詩織さんの存在を「完全に殺してしまいたくない」「応援したい」と考えるスタッフがNHKの中にもいたということだろう。
(また、不自然なまでに性被害の内容が伝えられないことで、逆に多くの人が彼女のことに関心を持ち、ネット検索を通じて詳細な情報を得る可能性もある。)
(以下略)
予想された通りNHKの番組では、事件の核心部分である安倍政権による事件のもみ消しには触れておらず、この点についてネット上では当然の批判が起こりました。
確かにその批判は尤もでしたが、今回目を引いたのは、詩織さん自身のコメントです。もはや日の目を見ることはないと思われたNHKの取材内容を「ここまで報道することを諦めずに頑張ってくれた」同世代のディレクターに励まされたとあります。
詩織さんも同じジャーナリストとしてNHK内部の苦境はよく理解された上で、不十分ながらも国営放送で大きく取り上げられたことに意義を感じられたのだなと分かりました。
ゆるねとにゅーす管理人さんが書かれたように「考え方を少し変えると」、マスメディアが完全に安倍政権に屈服する中、NHKという巨大な組織の中にあってなお、圧力に屈したくないと思うスタッフが、なんとかその姿勢を形にしたということに光を感じます。
私たちが批判すべきは、言論弾圧をするもの、それを支持するもので、懸命に正そうとする人達とは手を結ばねばならないと思ったのでした。