学問的にナンセンスな要求を突きつけ、それに該当する文書(論文)が見つからないという理由で、“コロナの存在証明はない”と主張しているトンデモさんたち

竹下雅敏氏からの情報です。
 昨日の記事で、“コロナの存在証明はない”と主張するトンデモさんたちが請求している文書とは、「SARS-CoV-2が患者から直接分離された記録。ただし、培養細胞等を経ていないこと。」という条件付きでした。“同様の条件が付くと、ウイルスのみならず、微生物に関しても「分離の証明」は(ほぼ)できなくなってしまう”というものでした。
 4月29日の記事で、新型コロナウイルスは「コッホの4原則」を満たしているという記事を紹介しました。感染症の病原体を確定する条件として、コッホの原則(4原則)というものがあるが、コッホの4原則は「細菌」について提唱されたものなので、ウイルスへの拡大解釈には注意が必要だという事でした。
 細菌とは違って、ウイルスは宿主細胞の遺伝子を利用しなければ増えることができないため、コッホの4原則の2番目の「その菌を分離培養する(純培養)」には、“そのウイルスの感染を許容する、適切な実験動物(培養細胞)を選定する必要”があるのでした。
 ところが、トンデモさんたちの請求は、「培養細胞等を経ずに患者から直接分離された新型コロナウイルス」の文書なので、この様な文書は「見つかりませんでした」という回答になるわけです。
 遠心分離機にかけた上澄み(上清)を濾過して分離したウイルスを、培養細胞を用いて培養しなければ遺伝子を調べることも、コッホの4原則の3番目の「そのウイルスを動物に接種し、類似症状が引き起こされる」を検証することもできません。
 このように学問的にナンセンスな要求を突きつけ、それに該当する文書(論文)が見つからないという理由で、“コロナの存在証明はない”と主張しているわけです。ここからが面白いのですが、「存在証明はない」から、「コロナなんか存在しません、茶番ですよ」にジャンプする人達が後を絶たないのです。
 学問的には新型コロナウイルスは分離されており、「コッホの4原則」も満たしているわけですが、仮に「存在証明はない」としても、その事で「存在しない」という事にはならないのですが…。「ジャンプする人達」の立場からは、“SARS-COV-1(SARS)、インフルA型・B型、破傷風、ジフテリア…おたふく風邪、風疹…”も同様に、「存在証明のないウイルス」なのです。さて、そうすると、「そもそもウイルスの写真がウソ」というツイートに写っているものは何なのでしょう。ウイルスではないですよね。彼らの要求する「分離」ができませんから。
 「千葉真一がコロナで死ぬわけありません! 存在証明もない架空の病気にかかるなんてお笑い草ですよ」ということですが、例えばインフルエンザなどのウイルス感染症で死んだと思われる人の場合、本当の死因は何なのでしょう。インフルエンザウイルスは「存在証明のないウイルス」なので存在しないはずであり、「存在証明もない架空の病気にかかる」はずがありませんから、死因は別にあるはずです。
 トンデモさんたちの見解を支持すると、ほぼ全ての感染症は存在しないことになりそうです。しかし私たちは、風邪やインフルエンザが人から人へと感染することを、経験的に知っています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
 
 
 


 

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GISAIDに登録して、感染研の登録したSARS-CoV-2の情報を確認してみた。
引用元)
(前略)
今、新型コロナは存在しない派の中では、『GISAID(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data)』にログインしないと、国立感染症研究所(感染研)が最初に登録したSARS-CoV-2の遺伝子配列情報が確認できない。本当は情報がないんじゃないか?=「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は存在しない!」というデマが広がっています。

(中略)
では、『GISAID』に感染研が最初に分離したSARS-CoV-2の遺伝子配列情報が登録・公開されているか一緒に確認していきましょうか。
(中略)
遺伝子配列情報が、テロリストの手に渡り、その情報からヒトに感染する危険なウイルスを人工的に作られてしまったら、『生物兵器テロ』に使用されてしまう可能性があります。(中略)… そこで、身分を明らかにすれば、自由に鳥インフルエンザウイルスの遺伝子配列情報を閲覧・登録できる『GISAID』が構築されました。
(中略)
承認メールに記載されたユーザーIDとパスワードでGISAIDにログインし、『EpiCov』で、感染研が最初に分離し登録したSARS-CoV-2の遺伝子配列情報(Accession ID)『EPI_ISL_408667』を検索したところ、確かにその遺伝子配列情報がありました。削除もされていません。
(中略)
感染研のSARS-CoV-2分離の論文
Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Mar 31;117(13):7001-7003. doi: 10.1073/pnas.2002589117. Epub 2020 Mar 12.
Enhanced isolation of SARS-CoV-2 by TMPRSS2-expressing cells https://www.pnas.org/content/117/13/7001

GISAID設立の経緯、そしてその性質から考えても分かるように、一般人が自由にアクセスすることはできませんが、間違いなく感染研が最初に分離し登録したSARS-CoV-2の遺伝子配列『EPI_ISL_408667』は登録・公開されていました。もちろん、遺伝子配列をダウンロードすることも問題なくできました。
(以下略)

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