特別会計を調べてる途中で、暗殺された石井紘基
「日本にはベルリンの壁がある。その見えない向こう側に『ほんとうの日本』がある。
ベルリンの壁を取り払い、ふたたび明るい陽光を浴びる日本をとりもどすために『ほんとうの日本』の一端を解明するのが本書の目的であった。」
 

衆議院選挙も終わって静かになったね。
 

選挙と言やあ、ここに引っ越して初めての選挙のとき、ご近所さんに言われた。
「あんた、今来て良かったね」。
 

どういう意味?
 

むかしここらも、選挙の時は騒がしかった、いろいろタイヘンだったって。
 

なにがタイヘンなの?
 

どいつもこいつも選挙に駆り出されて、大忙し。
しかも、候補者を渡り歩いてカネをせびるヤツら、飛び交う札束。
そんなみにくい光景を見なくて良かったね、って意味らしい。
 

へえ、こんな平和なところで、そんなことがあったなんて信じられない。
 

河井夫妻もその時代なら、逮捕されることもなかったな。
 

だけど、
なんでいつも、自民党ばっかりが当選するんだろう?
 
そら、国民の、いや一部の国民のお役に立ってるからさ。
とくに田舎は、オラのために働く国会議員じゃねえと、投票しねえよ。
日本の将来のために命をかけた、石井紘基(いしいこうき)のようなヤツには、入れてくれねえよ。
 
あ、その人、聞いたことある。
特別会計を調べてる途中で、暗殺された。
 

そう、
特別会計問題の質疑の準備中、「これで与党の連中がひっくり返る」という、重要資料を見つけ、2002年10月25日 金曜日、自宅を出たところで殺された。
 
重要資料はどうなったの?
 
盗まれたまま、見つかっていない。
 

ほんとに、それが目的だったの?
 

ああ、カバンを開けるのにジャマだった、石井の指が切り取られていた。
 

でも、
犯人はつかまったよね。
 
つかまったが、命令したヤツはわかってない。
 

与党、自民党に不利な書類だったんでしょ。 
 
そのころの日本は、バブル崩壊後の不良債権でもめていた時代で、石井はつねに小泉内閣のやり方を批判していた。
 

石井氏は、小泉政権にとって目の上のたんこぶ?
 

だな。
石井の著書「日本が自滅する日」の序章に、こう書かれている。
「小泉内閣は不良債権処理を、アメリカからの厳しい『お達し』に呼応して権力主導で進めようとしている。これは・・きわめて重大な問題である。」(
阿修羅)
 

日本がアメリカに売り飛ばされていくのを心配してたんだね。
となると、
石井氏を暗殺したのは、やっぱ自民党?
 
石井が所属していた民主党だって、おかしいぞ。
石井は、党首の管直人に相談に行ったが、その後殺されてる。
しかも亡くなった後、段ボール70個分の資料を遺族から託されて、民主党は何もしなかった。
 

ということは、与党も野党もグル??
 
与野党にかかわらず、甘い汁を吸ってる連中にとっちゃ、石井はジャマだったろう。
ま、自民党に潰れられたら困るんで、CIAも絡んでたってウワサもあるが。
(
管理人のぼやき特集!)
 

CIA!
 
社会主義ソビエトの相似形である日本

ところで、おめえは補助金、もらったことあるか?
 

うん、車買い換える時はエコカー補助金、実家では、太陽光発電の補助金をもらったことがある。補助金てうれしいよね。
 

そんなにたくさんのおカネが、補助金に?
 
石井が調べた所、同じ会社にいくつもの補助金が下りてるケースもあったという。
また、国の予算のほとんどが補助金で、税収入を補助金に配分するのが役所の仕事。
そういう棚からボタ餅のやり方は、まるで旧ソ連だと言っている。
 

日本がソ連?
 

1965〜1971年、
ソビエトのモスクワ国立大学法学部大学院に留学した石井は、ソ連の実情にくわしかった。
彼は「日本が直面している危機の原因は、官制経済のシステムだ」と言う。
官制経済とはソ連経済のこと。
中央集権、官僚制、計画経済、そして秘密主義、今の日本にソックリと思わんか?
 
モスクワ国立大学
 

そうかなあ?
 

その反対が市場経済。
自由競争で良いもの、良いサービスを提供して成長するやり方。
 

日本は市場経済でしょ?
 

いや、
「今日、わが国の体制はまさしく社会主義ソビエトの相似形である。」(
阿修羅)
 

なんでー? 信じらんない。
じゃあ、日本も、崩壊したソ連みたいになるって言うの?!
 
ああ、そうさ、だから本の題名が「日本が自滅する日」なんだよ。
 

そうなの?!
 

石井氏が亡くなった2002年から、日本は変わったと思うか?
 

ううん、変わってない。
どころか、報道も規制されて、ますます大本営発表みたいになってる。
 

だとすると、20年近くの間、日本はもっとソ連に近づいたことになる。
 

いやだー!
 
「利権財政の御三家」―― 特別会計・財政投融資計画・補助金

それなら、
官制経済を市場経済に変えないと。
利権システムを、そして利権システムを財政的に支える「利権財政の御三家」、特別会計・財政投融資計画・補助金をどうにかしないと。
「御三家」がなくなれば、政官権力は、特殊法人などを利用した、巨大権力ビジネスを続けることはできなくなるだろう。(
阿修羅)
 

補助金も「御三家」だったのか。
じゃあ、その利権の温床、補助金は誰が決めてるの?
政治家? 国会?
 

いや、官僚。
 
じゃあ官僚は、どこにいくら補助金を回すとか、どうやって決めるの?
 
そら、天下りできるとこが優先だろう。
 

は?
 
じゃなけりゃ、補助金もらいに頭下げにくる、政治家に恩を売るため?
 

なんで、政治家に恩を売るの?
 
自分らの作った法案を、国会で通してもらうため?
 

なんか、互いの利益になるようにやってるってこと? 
 

そうそう、うまくできてるんだよ。
企業は天下りをぶら下げて、自分らに有利な法案を官僚に作らせる。
有権者に補助金を回してもらった政治家は、官僚への恩返しに、法案を通過させる。
また、自分が企業に流した補助金から、政治献金を受け取り、選挙応援も約束される。
 
まるで、官僚・政治家・企業が、身内でおカネを回すウィンウィンゲームだね。
って、それ、ぼくたちの払った税金なんですけどお?
 

わかっただろ?!
補助金だけでなく特別会計、財政投融資も利権システムを支えていることを、石井は発見したってわけだ。
 

しかし石井氏は、よくこんな、誰も手を付けないとこに切り込んだね。
 

利権と無関係だったからできたんだろうが、
調べるきっかけは、中小の建設会社を営む友人からの相談だった。
「住都公団の営繕の工事に入札しているが、いつも決まって公団の子会社である日本総合住生活(株)が落札し契約してしまう。われわれには圧力がかかってまったく仕事がとれない」。(
阿修羅)
「住都公団」とは、税金で運営する国の特殊法人だ。
 

特殊法人!
 

そして、
いつも落札契約する「日本総合住生活(株)」は、「住都公団」の子会社だ。
ここに問題がある。
税金で運営してる特殊法人が、子会社を作って利益を上げている。
公的なカネで、私的な利益を得ている、いいのか?
 

ほんとだ、おかしい。
 

そこを問い合わせても、出資であれば法的に問題ないとか、お茶を濁すような回答しか得られない。
それだけじゃない、
「住都公団」の発注契約の7〜8割を、「日本総合住生活(株)」が受けていた。
 

明らかに、えこひいきだ。
 

こんなことしてるから、
当然、「住都公団」の子会社たちはガッポガッポ儲かっている。5社の営業収入だけでも2,000億円。
「日本総合住生活(株)」なんか、住宅関連サービス部門7,100社中、全国2位の売り上げ。
 

当然だよね、だってそれ、ズルだもん!
 

ズルの陰には、天下りもひそんでいる。
「日本総合住生活(株)」の社長は、建設省 → 住都公団 → 日本総合住生活(株) 。
こいつ以外にも、公団から子会社に天下っていたのは100人以上。
「これらの事実を知ったとき、私は暗い大きな洞窟を発見した思いがした。」
(
阿修羅)
 

ショック! 
社長は、もと官僚だったのか。
だけど、こんなズルを、なんでだれも言わなかったんだろう?
 

利権に絡んでたら、言えるワケねえだろ。
さらに、特殊法人の子会社、孫会社、天下り、放漫経営を調査すると、
「政府系の公益法人やファミリー企業、それらを支える財政の仕組みなどから、これまで誰にも発見されなかった『もう一つの世界』の実態が次々に見えてきた。
『もう一つの世界』は巨大な権益の世界であった。」(
阿修羅)
 

見つけちゃったんだね。
 

そう、見つけちゃったんだよ。
「本当の日本国は国民の目の届かない所でつくられ進んでいたのだ。
私は、地球が回っているのではなく、太陽が回っていることを発見した思いだった。
別の言い方でいえば、日本には『ベルリンの壁』があるのではないかとの直感がよぎった。すべての鍵は『ベルリンの壁』の向こう側にあるのではないか。
ほんとうの現実は『ベルリンの壁』の向こうに隠されているのではないか。」
(
阿修羅)
 

日本に「ベルリンの壁」?!
 
利権という壁で、おれたちは分離されている。
おいしい思いをしてるヤツらと、そうではないヤツら。
そのことを
、おれたちはずっと秘密にされてきたんだよ。
 

はあ〜〜〜〜
それを発見し、公表しようとしただけで、命を奪われるほどの重大な秘密。
日本を変えるには、このバーミューダトライアングルをぶっ壊さないとダメだね。
 
だが、甘い汁を吸ってるヤツらは、自分らにいいように法律作って、通して、カネを回している。せっかくうまくやってるヤツらが、やすやすと利権を手放すと思うか?
 

ガン細胞と同じだね。
日本が自滅しちゃうまで、続けるつもりだよ。
 

それなら、ガン細胞と戦う、おれら免疫細胞がもっと賢くなる必要があるんじゃね?
 

はあ〜〜〜〜
全身にガンが回ってて、手おくれだったらどうしよう?
 
まだ間に合うことを祈るしかねえが、おれたちが知ることが大事よ。
石井が伝えたかった日本の闇、利権システムを支える「御三家」の話はまだまだ続く。
 
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
 
 
官僚・政治家・企業のバーミューダトライアングルにまきこまれずに、
純粋に日本の未来を思う政治家が、何人選ばれたでしょうか。
石井紘基氏が20年前に書いた「日本が自滅する日」を読んで、
「ほんとうの日本」の姿と向き合う必要を感じます。