アパレル業界の技術者が訴える日本の洋服産業の危機 〜 使い捨てのファストファッションが主流となることで失われる日本の高い技術

 2024/10/10時事ブログに「アパレル製品工場国バングラデシュの驚愕の実態」を取材した動画がありました。「少しでも利益を上げようとする業界と、少しでも安いものを買おうとする消費者の愚かさと醜さが、地球上で地獄を生み出している」ことをまざまざと伝える内容でした。
 これを観た時に思い出した投稿がありました。「アパレル総合商社の企業で『デザイン』と『パターン』を手掛けることが本職のファッションの技術者」の「リサ| fashion creator」さんによるシリーズです。
「今は大量生産の時代。『ファストファッション』が主流に様変わり。」「今は衣類にそんなにお金がかけられない世の中で、安いものが売れる時代です。 (中略)ですが『古き良き日本の産業』を失ったきっかけでもあります。」と、ファッション業界の変遷から伝えておられました。
「『カンボジア』『ミャンマー』『ベトナム』『バングラデシュ』へ縫製工場が移りつつあります。 これ裏の話ですが、みんな中国の傘下の縫製工場で(一部で日本の工場もありますが)中国が潤う産業なんです。」
 リサさんは「日本の技術は宝です。」と言っています。日本は「洋服産業」を受け入れた明治以降、高い技術を培ってきました。ところが日本が昔から作ってきた「素材や作りがしっかりしていて長持ちするし、縫製もきれい」な服は今はもうできない、「服の質がどんどん落ちています。」「昔のような時代は戻ってこないです。古着の価値が上がっているので捨てない方がいい。」とまで危機感を募らせておられます。
一例として「貝ボタン」を紹介されていました。他国には真似できない高度な技術によって貝殻を「くり抜き」「削り」「磨く」ことで生み出される美しい貝ボタンの産業も激減し、「昔の伝統は継ぐ人が居なくなればいずれ消滅してしまいます。」ファストファッションを使い捨てるのではなく、高品質の製品を「長いスパン」で愛用することが本物の「コスパ」ではないかと問いかけておられました。日本の「ものづくり」が活力を取り戻し、「産業のあり方次第で日本製の良い品質のものも安く買えます。」と経済政策の必要を現場から訴えています。
 利益のみの追求は、海外の縫製工場で人々を苦しめるだけでなく、日本が持っていた貴重な技術も文化も失われつつあることを実感します。
(まのじ)
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