アーカイブ: 言論統制・言論弾圧

百田「日本国紀」を、「決定版 国民の歴史」「増補 学び舎中学歴史教科書」の2冊と比較した書評 〜 斎藤美奈子氏

 いつも的を射た、ユーモラスなメッセージを発信される斎藤美奈子氏が、あの百田尚樹「日本国紀」を俎上に乗せていました。ネット上では百田氏がどうやらまともに著作していなかった証拠が次々と挙げられ、また本を推薦している顔ぶれを見ても手に取るのすらオゾマシイぞ、と読まずにいました。
 そんな折、「どんな通史なのさ、え?」と斎藤氏が頼もしく切り込んでいかれました。
 百田氏については、これまでベストセラーになった本の数々、また攻撃的な発言の数々から「右派論壇のスター」と認識しておられたようで、内容に関して「事実誤認」「コピペ」「引用wiki」ばかりが話題になることに物足りなさを感じておられたようでした。
斎藤氏は、著作で語られる本質に論点を置きました。
 氏の読後の感想はあっさりと「わかりやすい自賛史観、しかし期待したほどではない」、むしろ同じ自賛史観系の通史であれば西尾幹二「国民の歴史」の方が「おもしろかったぞ」と評されて愉快です。
ベストセラーとなった「国民の歴史」は刊行後20年とあって、そう言えば、先ごろ西尾氏の記念インタビューを見たばかり。それも踏まえて斎藤氏は、90年代から表面化してきた歴史修正主義本を振り返り、「新しい歴史教科書をつくる会」に代表される自虐史観批判、日本会議の活動、嫌韓感情、山積みされるヘイト本の延長線上にあるものとして、この「日本国紀」を(劣化版として)据えました。
 斎藤氏は「論争的だし、挑発的」な「国民の歴史」に比べ、「日本国紀」に特徴があるとすれば、GHQによる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」という洗脳を自虐史観の発祥と主張している点だとしています。
しかし、この認識に対して斎藤氏は、説得力のある考察をして否定的です。むしろこれまで、こうした歴史修正主義に対して、きちんと批判をしてこなかったことが、現在のこの「日本国紀」ベストセラーという現象を生んだのではないかと指摘しています。
 そして斎藤氏は新たに、「日本国紀」のワクチンとして(って、もうインフルエンザ扱いですね)、もう一つの歴史教科書を紹介されました。
 それが学び舎の中学歴史教科書「ともに学ぶ人間の歴史」です。灘中学が採用したことで話題になったそうですが、氏曰く「すげえ斬新。かつ正しい!」ですって!
日本国の為政者を中心とした歴史ではなく、「北海道」「本州」「沖縄」などを並列で俯瞰し、アイヌ文化や琉球王国も同時に学べるようです。その複眼を持つと「もはや自虐史観も自賛史観もない」と言われる通り、本州の動きすらも客観的に見ることができそうです。面白そう。
お値段2,400円也ですが、つ、つい買ってしまいました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【第105回】百田尚樹『日本国紀』をどう読むか 斎藤美奈子
引用元)
 11月に発売された百田尚樹『日本国紀』が話題である
(中略)
 となれば、読むっきゃないでしょう。なにしろ著者は(中略)問題発言をくり返してき右派論壇のスターである。どんな通史なのさ、え?

 同じような物見高さで手にした読者も多かったのだろう。案の定発売直後から、ネット上には批判の山が築かれた。ただし、その多くは事実関係の単純な誤認を指摘したものとか、ウィキペディアと同じ文章だったとか、これこれの本の丸写しだったとかいう「コピペ疑惑」で、重箱の隅をつついている感は否めない。つまり批判に迫力がない。そりゃあウィキペディアの丸写しも褒められた話ではないだろう。しかし、いま検証し、追及すべきは「コピペ疑惑」だけなのか。

もっと重要な論点があるんじゃない?

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総務省が世界に例を見ない犯罪行為を特例的に行う 〜 家庭や企業のIoT機器に無差別に侵入するという暴挙

 はて、IoT(Internet of Things)とは、、? 
どうやらあらゆるモノからセンサーで情報を収集し、その情報をインターネット経由でクラウドに蓄積し、蓄積されたデータをAIによって分析し、その分析結果を利用者にフィードバックする、そのようなサイクルのようです。要介護の人の家の家電などから、その人の状況を把握し、介護する人へ情報を送るなどが役立つモデルとして挙げられます。
 総務省は、家庭や企業のIoT機器に無差別に侵入し、サイバー攻撃に対して充分かどうかを洗い出して利用者に注意を促す、という調査を行うことにしました。頼みもしないのに勝手に侵入してきて、安全にしろと説教垂れた挙句に情報をごっそり持ち去る気?
まるで不意打ちのようですが、昨年11月に改正法が施行され、総務省は「やる気満々」だったことが読み取れます。
 しかしこれはサイバー攻撃対策という名目はあるものの「実質的に不正アクセスと変わらない行為を特例的に国が行う」ことに他ならず、ネット上では一斉に警戒の声が上がっています。調査の対象機器が明示されておらず、プライバシーの侵害や、憲法で定めた「通信の秘密」に抵触する恐れもある非常に問題のある調査です。調査を行う情報通信研究機構は「ルールにのっとり運用する」としていますが、総務省の所管で信頼を置けるのか?
 この度、防衛局発注で、辺野古反対派リストを警備会社が作成し、監視していたことが明らかになりました。リストには思想信条に関わる個人情報も細かく記載されているようです。
 マイナンバーは漏洩するわ、データを改ざんして「大したことない」と開き直るわ、個人情報を民間に集めさせるわの独裁政権が、「ルールを守る」と言っても冗談にしか聞こえぬわ。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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総務省 IoT機器に無差別侵入し調査へ 前例ない調査に懸念も
引用元)
サイバー攻撃対策の一環として、総務省は家庭や企業にあるインターネット家電などのいわゆる「IoT機器」に無差別に侵入して対策が不十分な機器を洗い出す、世界でも例のない調査を行うことになりました。しかし、実質的に不正アクセスと変わらない行為を特例的に国が行うことに懸念の声もあがっています。

この調査は、総務省が所管する情報通信研究機構が行うもので、25日、国の審議会をへて実施計画が認められました。
(中略)
今回の調査は、実質的に不正アクセスと変わらない行為を行うことから、国は去年5月、情報通信研究機構の業務を定める法律を改正し、5年間に限って行うとしています
(中略)
どういった機器が調査の対象となるのかが現時点で明示されておらず、プライバシーの侵害につながる危険性があるとしたうえで、「侵入した時点でウェブカメラの映像が見えてしまったり、保持するデータの中身がわかってしまったりすることも考えられるほか、もし通信先がわかってしまえば憲法で定めた『通信の秘密』に抵触するおそれもある
(以下略)
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辺野古反対派リスト「国が作成依頼」 警備会社の内部文書を入手
引用元)
 防衛省沖縄防衛局が発注した沖縄県名護市辺野古沖の海上警備を巡り、業務を委託された警備会社の幹部社員が、米軍普天間飛行場の辺野古への移設反対派リストを作って監視するよう、防衛局側から2015年に依頼されたとする内部文書を作成していたことが明らかになった。
(以下略)

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福島事故直後、11歳の少女が100mSv被爆していたことが報告されていた 〜 甲状腺がんリスクは国の基準100mSv以下でも増加している

 2011年の福島原発事故直後に、11歳の少女の甲状腺被曝が100mSvとの報告があったことが判明しました。国はこの事実を伏せ、これまで100mSvの子供は確認していないと発表していました。測定を行なったのは、国の機関「放射線医学総合研究所」で、原子力規制庁の所轄です。
 国の資料では、チェルノブイリ事故後を参考に100mSv以上の被曝で甲状腺ガン発症のリスクがあるとされ「100mSv未満」をリスクの基準にしていました。しかしチェルノブイリ事故後の小児甲状腺ガンは、100mSv以下が半数以上、10mSv以下でも発症しています。つまり、そもそもの基準が大甘でした。
 また、福島での事故当時の甲状腺スクリーニングの状況を知っている人の証言では、100mSvに達する数値が出てしまったため、1080人に至った時点で意図的に調査を止めてしまったそうです。都合の悪い実態を明らかにするのを避けたとしか思えません。
国のトップが「アンダーコントロール」などという大ウソをつくだけあって、調査もその評価もデタラメなのでした。
 ネット上では、専門家と称する人により「甲状腺の等価線量で100ミリシーベルトという値は実効線量に換算すると4ミリシーベルト」と、大した被曝数値ではないような印象操作が湧いています。
しかし、等価線量から実効線量への換算は意味なしと迷いを払って下さる方もあり、事故後8年経っても今だに正しい情報を選択する必要があるのは残念なことです。
 「甲状腺等価線量で100mSvを超えた子どもが一人いたからって、なにがどうなるわけではない」などと、それが自分の子供だったとしても同じことが言えるのでしょうか、この冷血学者は。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告
引用元)
東京電力福島第一原発事故の直後、福島県双葉町にいた十一歳の少女が、喉にある甲状腺に推計で一〇〇ミリシーベルト程度の被ばくをしたと報告されていたことが、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の文書から分かった。一〇〇ミリシーベルトは国などの資料で放射線の影響でがんの発症が増加し得る目安として使われてきた。しかし、国はこれまで「一〇〇ミリシーベルトの子どもは確認していない」と発表し、この報告は伏せられていた。 
(中略)
 甲状腺は首の部分にあり、放射性ヨウ素が集まりやすい。国や福島県の公表資料には「がんのリスクは一〇〇ミリシーベルト未満で検出困難」「チェルノブイリ事故では一〇〇ミリシーベルト以上でがん発症」と記されている
(以下略)
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福島の女児 甲状腺に放射線100ミリシーベルト被ばくか
引用元)
(前略)
甲状腺被ばくリスクと等価線量

放射線による健康への影響を管理する際、一般的には全身への影響を表す「実効線量」という値が使われています。

甲状腺への被ばくは、この「実効線量」とは別に特定の臓器への影響を示す「等価線量」という値で健康への影響が判断されます。

甲状腺の等価線量で100ミリシーベルトという値は実効線量に換算すると4ミリシーベルトになります。
(以下略)

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辺野古土砂投入海域でのサンゴ移植はゼロ、妄想あべぴょんに付き従うNHKと、毎度抗議を無視する官邸 〜 民意はホワイトハウスへ向かう

 NHK「日曜討論」でのあべぴょんの妄想発言「あそこのサンゴは移している」には、すでに多くの非難が上がっていますが、改めて「ウソだ」と断じた琉球新報の社説が明快です。
 土砂投入区域ではサンゴ移植は全く行われておらず、埋め立て海域のサンゴ約7万4千群体のうち、移植したのは他の区域のたった9群体。しかも移植後の長期的生存率は低く、環境保全策にはならないとの専門家の指摘もあります。ついであべぴょんは、ヌケヌケと「絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移す」とも発言していますが、そのような事業は実施していないそうです。恐るべき厚顔。
 もはやウソをついていないと息ができないのではと呆れますが、サンゴ移植発言に続いて、さらにこれまで何度も繰り返された悪質なウソ「普天間の代わりに辺野古に基地を」という主張も登場しました。「普天間固定化か辺野古か」の二者択一の刷り込みですが、辺野古は普天間の代替ではなく、新基地建設であることは今や検証された常識で「誤解」などではありません。辺野古新基地が仮に完成したとしても普天間が返還されないことは、日米地位協定と沖縄の歴史が物語ります。
 そして今回、社説が重く見たのは、これほど明らかなウソを、事前収録で確認できるにもかかわらず、NHKがノーチェックで放映したことでした。
 一国の首相は平然とウソをつき続け、NHKは安倍様の広報に成り下がり、官邸は言い訳どころか答弁すら拒否する崩壊国家に何を訴えても意味なしと思うのは当然でしょう。
 ホワイトハウスへの請願署名はいよいよ20万筆を突破し、世界を巻き込んで土砂投入の暴挙をやめさせようとしています。あべぴょん、立場ないよ?
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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<社説>首相サンゴ移植発言 フェイク発信許されない
引用元)
安倍晋三首相がNHK番組「日曜討論」で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てについて「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移している」と、事実と異なる発言をした。一国の首相が自らフェイク(うそ)の発信者となることは許されない

 (中略)これらは事実ではない。
 現在土砂が投入されている区域ではサンゴの移植は行われていない(中略)他のサンゴ移植は沖縄県が許可していない。砂ごと生物を移す事業も実施していない
(中略)
 首相は「全く新しく辺野古に基地を造ることを進めている」との誤解が国民にあると述べ「誤解を解かなければいけない」として、危険な普天間飛行場を返還するために辺野古に基地を造るのだと強調した

 この点についても多くの疑問や批判が沖縄側から出されてきた。移設先が県内でなければならない理由はないこと、普天間にない軍港や弾薬庫などの機能が備えられること、新基地の完成時期が見通せないこと、完成しても普天間が返還される保証がないことなどだ
 これらに対する説明を避けたまま、政府は普天間固定化か新基地かという身勝手な二者択一論を押し付けてきた。それが今回も繰り返された。
(中略)
 今回、もう一つ問題があった。事前収録インタビューであるにもかかわらず、間違いとの指摘も批判もないまま公共の電波でそのまま流されたことだ
(以下略)

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ジュンク堂書店難波店ですごいフェア「店長本気の一押し STOP!ヘイトスピーチ、ヘイト本」

 昨年末からポツポツ目にしたツイートがありました。
ジュンク堂書店難波店が「店長本気の一押し STOP!ヘイトスピーチ、ヘイト本」というフェアをやっているというものです。今時の書店では判で押したように、頭ツルツルのあべ友本が所狭しと積まれていることが多いですが、それを思うと異例の風景です。
ネット上では好意的なツイートが多く、書店の物量作戦のヘイト本にウンザリしている消費者も多いのでしょう。
 この福嶋店長さんは知る人ぞ知る伝説の店長らしく、2014年のブログを拝見すると「嫌中憎韓」という造語とともに盛んに出回り始めたヘイト本を、日常の仕事として「書店の目立つ場所に展示する」ことへの違和感に理解を示されています。
 今回のフェアで平積みにされている一つは「NO!ヘイト」という本で、書店員や出版社、業界内部からヘイト本の製造責任を問うている書物です。書棚がヘイト本に埋め尽くされること自体が、訪れた市民に嫌中僧韓を煽るものだと抵抗を感じる書店員に対し、表現の自由だ、売れ行きが良いのだから構わない、という反論もあります。
このような中で福嶋店長は、自らはヘイトもヘイト本も大嫌いだとしながらも、そのような批判すべき本を書棚から外すということはしない、と断言されていました。ヘイト本が溢れる現状を隠したところで、その事実が無くなるわけではなく、むしろそうした批判すべき本を読んでみる必要があるとさえ語られました。それだからこそ、この度のフェアにも、ヘイト本とされるものが一緒に並んでいるのでしょう。
 2014年のブログから現在に至るまで、今も変わらず書店は言論操作の手段にされっぱなしです。
福嶋店長の「ヘイト本を並べる書店員もヘイトの当事者であり、時に加害者でもある」という当時の言葉そのままに、今回のフェアに繋がったのだろうと想像しました。
 本を商売の道具としない書店があるのは、とても幸せなことです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)




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