※古賀茂明氏の冒頭会見は
こちら
タイムズ誌:
右傾化しているのは政府内だけでしょうか。それとも日本社会全体も草の根レベルで右傾化というのが見られるのでしょうか。
古賀氏:一般市民の間でも、安倍さんに近いとか、古くからある市民的なリベラルな思想とは違う、
タカ派的な考え方が出てきているというのは事実だと思うんですね。
それは、
中国の台頭とか、国際環境の変化に対応して安倍さん達がよく言うような
国際環境の変化に応じて、やはり日本の外交政策も変わらなければならないというような問題意識っていうのは確実に出てきているとは思います。
ただし、そう言う議論が出てきているのと同時にですね、
それに応じる形で今度は逆にその平和を志向するという議論も強くなっているということで、私は両方の議論が強くなっているんだと言う風に理解しています。
ただ
問題は、その時に本当に自由な議論ができる環境があるかという事が問題で、そういう大きな方針の転換をするか、しないかという議論を行なっているときに報道の自由とかですね、あるいは
表現の自由というのが権力側から脅かされるというような事があるということが非常に大きな問題だと考えています。
ガーディアン誌:政府や政党という
権力側が個人のジャーナリストや雑誌、報道局に圧力をかけたという具体的な例を出してもらますか?
古賀:一番知られているのは、
例えばこないだの選挙の前に自民党が、「一般論です」といいながら在京のキー局、
大手テレビ局に選挙にあたっての報道について注意事項というのを書いて「要請」という形で文章を出しました。
「これは圧力ではない」という風にとることも論理的には排除できませんが、この文書がどういう扱いを受けたか。各テレビ局の中で。
もし
これが「圧力ではない」と考えられているのであれば、この文書というのはもらっても、どこかに破いて捨ててもいいですし、本来であれば、「こんなもの来ました。ひどいですね」というのを放送すべきだと思いますが、それはどこもしませんでした。
じゃあこれを破いて捨てたかというと、私はいくつかの放送局に聴きましたけれども、
むしろ、これを関係するところに配布をしている。もちろん文章として「こういうのが来ているのでみんな委縮しましょう」と書いてあるわけではないですが、こういうものが来ましたよと。一応伝えていると。
これは「圧力」だと受け止めて、問題を起こさないようにということで考えざるを得ません。
これはずっと報道されなくて、
結局ネットのニュースで「ノーボーダー」というところが最初に報じたのですが、それを受けてもテレビ局は放送しなかったですね、ニュースで。むしろ隠しておきたいというような感じになったのですが、
それは何故かというと、それを出したら自民党に何をされるかわからないという
恐怖感があるのだと思います。
それから
もう一つ、最近また「ノーボーダー」がスクープで出していましたけれど、
自民党から「報道ステーション」のプロデューサー宛に特定の日付の番組の内容について抗議をして、それは要するにアベノミクスのおかげでお金持ちがすごくもうかっていますというビデオを流したのですが、それが
けしからんという内容の抗議文章、抗議といっても言葉はもちろん「ちゃんとやってくださいね」というお願いなんですけれども、
そういうものも出ている。そして、それも隠されているというようなことが、具体的に目に見える形で感じられる一つです。
質問:明日、
自民党に放送局の人たちが呼ばれているというが?
古賀:明日自民党の情報通信課、放送を扱う部会があるらしく、そこにテレビ朝日の私の放送の問題、3月27日私があそこで発言したこと。それからNHKの「クローズアップ現代」という番組、ここでヤラセが起きたんですね。その2つの問題を取り上げるのだろうということで、二つのテレビ局の責任者を呼び出しているという状況です。
そもそも政権与党が番組の編集について、口を挟むということ自体が実は放送法違反なんですね。よく放送法4条で「公平・公正」といったようなことを自民党は言うのですが、その前に3条という条文がありまして、この3条では
「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」という条文があるのですが、明らかにこれに違反している。
私は是非ですね、テレビ朝日にもNHKにも自民党のこの呼び出しは断ってほしいと思うんですね。もし本当に自民党がどうしても話したいというのであれば、「どうぞ我が社にお越しください」と。「それを生で放送しながら議論しましょう」ということをやってほしいと思います。
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勝ち組のメディア関係者が安倍政権を批判するはずが無いわけで、その中にあって政府を批判する人は、いわば良識の持ち主だということになります。
田中龍作さんの記事には、会社を首になることも覚悟の上で、NHKチーフプロデューサーの飯田能生氏が、翼賛体制に抗議する発言をしたことが記されています。古賀茂明氏を含め、こうした損得で動かない筋金の入った人物というのは、とても少ないのが現状です。ほとんどの人はいわば保身のために、権力側に擦り寄ってしまいます。
ですが、そうすることで、結果的に自分の子供あるいは自分自身が徴兵されるかも知れないという危惧は、どこかに持っているはずなのです。
現状は、誰が本物で、誰が偽物なのかがはっきりと浮かび上がって来ている状態だと思います。偽物は、一時的に良い生活が得られるように見えて、最終的には魂、そして来世を含め全てを失います。
何度も言っているように、今回の大変革で生き残れるのは、1000人に1人なのです。