竹下雅敏氏からの情報です。
――――――――――――――――――――――――
お金の秘密・打ち出の小槌物語① 〜信用創造に関するわかりやすい物語
文:seiryuuさん
あるがままの世界を知る必要があります。さてこの世界、物質的にはお金で動いているという実態には誰しもが同意するでしょう。そして人々の苦悩のほとんどは実際のところお金にまつわるものだと言うことも・・・。人々はどうやってお金を手に入れて蓄積できるかと多くの時間、思いを巡らし苦心します。書店にはそのための本も多く並んでいます。しかしお金そのものについて「それは何か」の議論はされないし、教える本も目にしません。これから記す内容はある意味世界最大の秘密と言って良いかもしれません。知ってみれば得心し何という事もないのですが、知らないと金輪際分からないよう巧みに秘匿されたものでもあります。
日本の昔話、おとぎ話に、「打ち出の小槌」がたびたび出てきます。振れば何でも願望が叶う。何もないところからお金が出てくる夢の魔法アイテムです。さて質問です。
Q1. 打ち出の小槌は現実の世界にあるといったらあなたは、信じますか?否か?
Q2. 打ち出の小槌があり、あなたが偶然それを手にしたらあなたはどうされますか?
a. 誰にも内緒にしてこっそり使用する。
b. 便利なものだから公表してみんなで使用する。
いかがでしょうか?先に答えを示します。質問1,何もないところから振るだけでお金を生みだす打ち出の小槌は確かにあります。信じられないかもしれませんが事実です。毎日振られてお金が生みだされています。驚愕でしょうが全てのお金はこれで生みだされていると言っても過言ではありません。名前もあります。小槌を振るうのを「信用創造」、打ち出の小槌そのものを「信用創造権」といいます。「そんなバカな!なぜそれがおおっぴらにならない?」そう思われるかもしれません。その答えは質問2,です。小槌を手にしたものは秘密にしてそうと解らないよう使用しませんか?
ともあれ、お金とは一体誰がどのように生みだす(発行する)のかを知る必要があるようです。「信用創造権」は別名「通貨発行権」です。通貨の発行?いうまでもない莫大な権限権力です。この打ち出の小槌の所有者とは?
手元にあるお金を眺めて見て下さい。どう刻印されていますか? 十円玉、百円玉等のコインは日本国の刻印ですね。つまり政府が発行したと分かります。しかし、紙幣は?千円札など、どれも日本銀行券と刻印されていますね。日本銀行が日本通貨の円紙幣を発行したことの証明です。莫大な利益が出るはずの紙幣の発行を政府はできていないのです。
「政府と日銀、それは同じ事でないの?」こう思われた方、やられています。マスコミの洗脳です。無理もありません。NHKニュースなど必ずこう言います「政府日銀」と。これを聞くと政府と日銀は一体、もしくは政府の公的機能の一つに日銀があると受け取られます。意図的にそう受け取らせているのです。
しかし政府と日銀は全く別組織であり、日銀は公的機関でなく民間つまり私有銀行です。嘘と思われる方は直接日銀に電話で問い合わせれば良いでしょう。
さらにお金(通貨)とは現金だけではないです。企業間や各種振り込みなど日常お金の取引は通帳で行っていますね。通帳に印字された数字こそがお金です。通帳を発行し印字するのは?言うまでも無く銀行です。通貨の発行者は紛れもなく銀行なのです。その通貨の発行の機能仕組みが「信用創造」です。全ての銀行はその機能にて日々毎日通貨(お金)を生みだしています。打ち出の小槌が振られているのです。
しかし、誤解されてはいけません、信用創造の「機能」と「権限」は別です。銀行は数多くあります。地域の信金、地銀から都銀の支店等々、こういった銀行は全て信用創造機能に基づき活動していますが、その頭取やましてや支店長などに本質権限はありません。全ての銀行を統括するいわばラスボス、それが中央銀行(日本では日銀)です。権限はここです。続きは次回以降にて。
日本で財政危機が言われるようになってから久しく、その言い分で消費税が導入されました。次々その税率は上がり更に増税の流れです。財政健全に向けて、これは正しい対処でしょうか?・・・
実のところ完全な間違いです。歴史事実を見ましょう。消費税が導入されて経済は悪化して景気は冷え込み、その税率が上昇の度に更に景気は落ち込み、全体としての税収は低下し続けています。つまり明確な財政の悪化です。これは当たり前のことなのです。経済が悪化すれば税収は減り、経済が良くなれば税収は増えます。消費増税は経済を悪化させますから財政健全には完全な間違いなのです。そして経済をよくすることは本来実に簡単なことなのです。(権限を有するものが合意すれば、ですが)。
これで明らかになります。Mとは通貨の総量、Vはその流通速度、Pは物価水準、Yは実質GDPです。P×Yは名目GDPです。税収は名目GDPに対して何%という形で決まります。
簡単に分かります。財政健全に向け税収を増やすには名目GDPを上昇させればいい。
その名目GDPを上げるにはMつまり市場にたくさんのお金を入れ、それを活発に使えばいいのです。民衆が多くのお金を持ち(Mの上昇)、安心してどんどん何かを購入するなど使用する。(Vの上昇)。するとどうなるか?多く購入される物や利用物の値段は上げられます(Pの上昇)。企業はそうして忙しくなれば人を雇い施設拡充しフル稼働します(Yの上昇)。これが好景気の循環です。当然名目GDPは上昇し税収を増やせます。
逆に消費税など上げたらどうなるか? 手元のお金が目減りした(購買力が少ないMの下降)民衆は、物の購入に二の足を踏み買い控えます(Vの下降)。企業は売れなくなると物の値段を下げざるを得ません(Pの下降)。暇になり人員を削除し設備も稼働しません(Yの下降)。不景気そのものです(デフレ)。税収は減ります。
こうやって経済が悪化してわざわざ財政悪化させる、この当たり前に解ることを20年以上続けているのです。賽の河原の石積みの如く無意味というより、一般国民や国内中小企業にとっての破壊行為が延々続けられているのです。解決策は簡単です。民衆が手元にお金が来て安心して使えるよう市場にお金を注ぎ込めば良いだけです。
・・・そんなことできるはずがない?いいえ簡単にできます。何しろ「打ち出の小槌」があるのですから。しかししません。絶対の権限を失いたくないからです。一般国民や中小企業に賽の河原で石を積ませては壊しているのは彼らなのです。
建前上日本は民主主義で国民主権。民衆が好景気を求めているのに実現しない。なぜか?
お伝えしたように通貨(お金)を発行しているのは国家でなく銀行だからです。経済の根本であるお金全体をコントロールしているのは中央銀行である日銀であり、日銀は公共機関でなく民間私有銀行だからです。
ここで「あれっ?」と疑問を持たれた方は鋭いです。こう思われたのでは?
「日銀は政府の要望によってアベノミクスで異次元の金融緩和を断行。市場にジャブジャブお金を注入した。それでも約束していた物価水準2%アップもないし、景気も良くなっていないぞ。」と。
その通りです。市場の通貨量が多くなっているので、経済は良くなり、物価水準もGDPも上がるはずです。しかしそうなっていない。なぜか?
市場は二種類あります。製造、サービスなどの実質経済。もう一つは株式などの金融経済です。異次元の金融緩和によって注がれた大量のお金は全て金融経済市場に流れ、実質経済市場には回っていないのです。金融経済はGDPを生みません。圧倒的多数の国民が関係するのは実質経済です。金融経済に注ぎ込んだお金の一割でも実質経済に入れていたら日本の現状は全く違ったものになっていたのです。
世界最古の近代中央銀行は英国のイングランド銀行とされます。その創設当時、英国はフランスと戦争中でした。戦争には莫大なお金が必要です。資金に困った英国王は民間の私人逹が営む銀行で多額の融資を受けます。この際国債を発行したのです。国債ですから利子が付きます。利子は民衆の重税であがなわれます。国家に金を貸し利子を得た私有民間銀行はやがて英国通貨の発行を認可されます。それが世界初の中央銀行イングランド銀行です。中央銀行が統制して国家の通貨を発効する制度(中央銀行制度)の始まりです。以降現在でも英国ロンドンのシティが金融の中心地となります。
さて、一国の通貨を発行し経済をコントロールする中央銀行、世界中の中央銀行の99%以上が実のところ公共ではなく民間の私有銀行です。日本の日銀は政府が株式(正確には出資証券)の55%を保持することになっているので、政府の意向が色濃く反映されるのは確かです。しかし民間銀行であることには変わりません。
現在も一応は世界基軸通貨とされているドルを発行している米国の中央銀行はFRB(連邦準備制度理事会)です。このFRBに至っては米国政府機関どころか米国政府はFRBの株を全く保持していません。100%私有銀行です。ユーロを発行しているECB(欧州中央銀行)は、無論どの国の公共機関でもないです。むしろEU各国は自国通貨発行を放棄しています。世界中の中央銀行が民間なのです。
中央銀行が国家機関なのは欧米から「悪の枢軸国」と名指された北朝鮮、キューバ、イラン等ぐらい(ごく最近ではアイスランド、ハンガリーも中央銀行制度から脱却したようですが)でしょうか。「悪の独裁国家」といわれ数年前まで中央銀行が国家機関だったリビアは、クーデターで首脳が惨殺政権転覆され、すでに民間になっています。
かつてこううそぶいた男がいました。中央銀行が民間ということは中央銀行の所有者逹が存在することを意味します。民間の私人です。私人が国家の通貨発行権を握り通貨を生みだし(発行)、コントロールすることができる、このことの意味は再考に値するでしょう。
基軸通貨たるドルを発行する米国。ドルはFRBが発行し続けていますが、昔かつて一度だけ米国で大量の政府通貨が発行されました。その紙幣はグリーンバックスと呼ばれ、発行者代表の大統領はあのアブラハム・リンカーン。しかしその後すぐにリンカーンは暗殺され、通貨発行権は米国政府の手からもぎ離されます。また、その後、少量ですが政府通貨を発行した大統領がいます。彼はその半年後、白昼に衆人注視のもと射殺されます。あのケネディ大統領です(発行された政府通貨は回収された模様です。)。以来50年余、ドルの発行はFRBが握り続けています。
米国中心(日本も少し遅れて)に、1%対99%どころか、0,001%対999,9%とも評される猛烈な格差社会が進行しつつあります。かつて日本では「一億総中流」と呼ばれていたときがありました。この頃が最も豊かなときでしたがすでに遠い過去となってしまっています。かつて手厚かった米国の中間層はいまや完全に破壊されています。この現状を米国建国当時から杞憂していた大統領がいます。第3代大統領トーマス・ジェファーソンです。彼は指摘しました。
米国では建国当初中央銀行の創設に非常な警戒がされていたのです。しかし、トーマス・ジェファーソンの心配をよそに1913年ついに米国に中央銀行たるFRBが創設されます。大銀行の所有者たちによる100%私有銀行です。爾来100年余、トーマス・ジェファーソンの言葉通りに事態は米国、日本そして世界中で進行してしまったのです。
なお繰り返しになりますが、どこにでもある民間銀行が悪だと言っているわけではありません。特に地域に密着し地域企業に融資してくれる銀行は大切です。米国においても大銀行と地域銀行が戦いを繰り広げてきた歴史があります。その銀行の理念といかなる行動をとってきたかを慎重に見定めて選択することが大事なのです。
②へつづく…
あるがままの世界を知る必要があります。さてこの世界、物質的にはお金で動いているという実態には誰しもが同意するでしょう。そして人々の苦悩のほとんどは実際のところお金にまつわるものだと言うことも・・・。人々はどうやってお金を手に入れて蓄積できるかと多くの時間、思いを巡らし苦心します。書店にはそのための本も多く並んでいます。しかしお金そのものについて「それは何か」の議論はされないし、教える本も目にしません。これから記す内容はある意味世界最大の秘密と言って良いかもしれません。知ってみれば得心し何という事もないのですが、知らないと金輪際分からないよう巧みに秘匿されたものでもあります。
打ち出の小槌
日本の昔話、おとぎ話に、「打ち出の小槌」がたびたび出てきます。振れば何でも願望が叶う。何もないところからお金が出てくる夢の魔法アイテムです。さて質問です。
Q1. 打ち出の小槌は現実の世界にあるといったらあなたは、信じますか?否か?
Q2. 打ち出の小槌があり、あなたが偶然それを手にしたらあなたはどうされますか?
a. 誰にも内緒にしてこっそり使用する。
b. 便利なものだから公表してみんなで使用する。
いかがでしょうか?先に答えを示します。質問1,何もないところから振るだけでお金を生みだす打ち出の小槌は確かにあります。信じられないかもしれませんが事実です。毎日振られてお金が生みだされています。驚愕でしょうが全てのお金はこれで生みだされていると言っても過言ではありません。名前もあります。小槌を振るうのを「信用創造」、打ち出の小槌そのものを「信用創造権」といいます。「そんなバカな!なぜそれがおおっぴらにならない?」そう思われるかもしれません。その答えは質問2,です。小槌を手にしたものは秘密にしてそうと解らないよう使用しませんか?
ともあれ、お金とは一体誰がどのように生みだす(発行する)のかを知る必要があるようです。「信用創造権」は別名「通貨発行権」です。通貨の発行?いうまでもない莫大な権限権力です。この打ち出の小槌の所有者とは?
通貨の発行者は?
手元にあるお金を眺めて見て下さい。どう刻印されていますか? 十円玉、百円玉等のコインは日本国の刻印ですね。つまり政府が発行したと分かります。しかし、紙幣は?千円札など、どれも日本銀行券と刻印されていますね。日本銀行が日本通貨の円紙幣を発行したことの証明です。莫大な利益が出るはずの紙幣の発行を政府はできていないのです。
「政府と日銀、それは同じ事でないの?」こう思われた方、やられています。マスコミの洗脳です。無理もありません。NHKニュースなど必ずこう言います「政府日銀」と。これを聞くと政府と日銀は一体、もしくは政府の公的機能の一つに日銀があると受け取られます。意図的にそう受け取らせているのです。
しかし政府と日銀は全く別組織であり、日銀は公的機関でなく民間つまり私有銀行です。嘘と思われる方は直接日銀に電話で問い合わせれば良いでしょう。
さらにお金(通貨)とは現金だけではないです。企業間や各種振り込みなど日常お金の取引は通帳で行っていますね。通帳に印字された数字こそがお金です。通帳を発行し印字するのは?言うまでも無く銀行です。通貨の発行者は紛れもなく銀行なのです。その通貨の発行の機能仕組みが「信用創造」です。全ての銀行はその機能にて日々毎日通貨(お金)を生みだしています。打ち出の小槌が振られているのです。
しかし、誤解されてはいけません、信用創造の「機能」と「権限」は別です。銀行は数多くあります。地域の信金、地銀から都銀の支店等々、こういった銀行は全て信用創造機能に基づき活動していますが、その頭取やましてや支店長などに本質権限はありません。全ての銀行を統括するいわばラスボス、それが中央銀行(日本では日銀)です。権限はここです。続きは次回以降にて。
いつまで続ける?賽の河原の石積み
日本で財政危機が言われるようになってから久しく、その言い分で消費税が導入されました。次々その税率は上がり更に増税の流れです。財政健全に向けて、これは正しい対処でしょうか?・・・
実のところ完全な間違いです。歴史事実を見ましょう。消費税が導入されて経済は悪化して景気は冷え込み、その税率が上昇の度に更に景気は落ち込み、全体としての税収は低下し続けています。つまり明確な財政の悪化です。これは当たり前のことなのです。経済が悪化すれば税収は減り、経済が良くなれば税収は増えます。消費増税は経済を悪化させますから財政健全には完全な間違いなのです。そして経済をよくすることは本来実に簡単なことなのです。(権限を有するものが合意すれば、ですが)。
交換方程式:M×V=P×Y
これで明らかになります。Mとは通貨の総量、Vはその流通速度、Pは物価水準、Yは実質GDPです。P×Yは名目GDPです。税収は名目GDPに対して何%という形で決まります。
簡単に分かります。財政健全に向け税収を増やすには名目GDPを上昇させればいい。
その名目GDPを上げるにはMつまり市場にたくさんのお金を入れ、それを活発に使えばいいのです。民衆が多くのお金を持ち(Mの上昇)、安心してどんどん何かを購入するなど使用する。(Vの上昇)。するとどうなるか?多く購入される物や利用物の値段は上げられます(Pの上昇)。企業はそうして忙しくなれば人を雇い施設拡充しフル稼働します(Yの上昇)。これが好景気の循環です。当然名目GDPは上昇し税収を増やせます。
逆に消費税など上げたらどうなるか? 手元のお金が目減りした(購買力が少ないMの下降)民衆は、物の購入に二の足を踏み買い控えます(Vの下降)。企業は売れなくなると物の値段を下げざるを得ません(Pの下降)。暇になり人員を削除し設備も稼働しません(Yの下降)。不景気そのものです(デフレ)。税収は減ります。
こうやって経済が悪化してわざわざ財政悪化させる、この当たり前に解ることを20年以上続けているのです。賽の河原の石積みの如く無意味というより、一般国民や国内中小企業にとっての破壊行為が延々続けられているのです。解決策は簡単です。民衆が手元にお金が来て安心して使えるよう市場にお金を注ぎ込めば良いだけです。
・・・そんなことできるはずがない?いいえ簡単にできます。何しろ「打ち出の小槌」があるのですから。しかししません。絶対の権限を失いたくないからです。一般国民や中小企業に賽の河原で石を積ませては壊しているのは彼らなのです。
建前上日本は民主主義で国民主権。民衆が好景気を求めているのに実現しない。なぜか?
お伝えしたように通貨(お金)を発行しているのは国家でなく銀行だからです。経済の根本であるお金全体をコントロールしているのは中央銀行である日銀であり、日銀は公共機関でなく民間私有銀行だからです。
ここで「あれっ?」と疑問を持たれた方は鋭いです。こう思われたのでは?
「日銀は政府の要望によってアベノミクスで異次元の金融緩和を断行。市場にジャブジャブお金を注入した。それでも約束していた物価水準2%アップもないし、景気も良くなっていないぞ。」と。
その通りです。市場の通貨量が多くなっているので、経済は良くなり、物価水準もGDPも上がるはずです。しかしそうなっていない。なぜか?
市場は二種類あります。製造、サービスなどの実質経済。もう一つは株式などの金融経済です。異次元の金融緩和によって注がれた大量のお金は全て金融経済市場に流れ、実質経済市場には回っていないのです。金融経済はGDPを生みません。圧倒的多数の国民が関係するのは実質経済です。金融経済に注ぎ込んだお金の一割でも実質経済に入れていたら日本の現状は全く違ったものになっていたのです。
中央銀行って一体何?
世界最古の近代中央銀行は英国のイングランド銀行とされます。その創設当時、英国はフランスと戦争中でした。戦争には莫大なお金が必要です。資金に困った英国王は民間の私人逹が営む銀行で多額の融資を受けます。この際国債を発行したのです。国債ですから利子が付きます。利子は民衆の重税であがなわれます。国家に金を貸し利子を得た私有民間銀行はやがて英国通貨の発行を認可されます。それが世界初の中央銀行イングランド銀行です。中央銀行が統制して国家の通貨を発効する制度(中央銀行制度)の始まりです。以降現在でも英国ロンドンのシティが金融の中心地となります。
さて、一国の通貨を発行し経済をコントロールする中央銀行、世界中の中央銀行の99%以上が実のところ公共ではなく民間の私有銀行です。日本の日銀は政府が株式(正確には出資証券)の55%を保持することになっているので、政府の意向が色濃く反映されるのは確かです。しかし民間銀行であることには変わりません。
現在も一応は世界基軸通貨とされているドルを発行している米国の中央銀行はFRB(連邦準備制度理事会)です。このFRBに至っては米国政府機関どころか米国政府はFRBの株を全く保持していません。100%私有銀行です。ユーロを発行しているECB(欧州中央銀行)は、無論どの国の公共機関でもないです。むしろEU各国は自国通貨発行を放棄しています。世界中の中央銀行が民間なのです。
中央銀行が国家機関なのは欧米から「悪の枢軸国」と名指された北朝鮮、キューバ、イラン等ぐらい(ごく最近ではアイスランド、ハンガリーも中央銀行制度から脱却したようですが)でしょうか。「悪の独裁国家」といわれ数年前まで中央銀行が国家機関だったリビアは、クーデターで首脳が惨殺政権転覆され、すでに民間になっています。
「我に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」
かつてこううそぶいた男がいました。中央銀行が民間ということは中央銀行の所有者逹が存在することを意味します。民間の私人です。私人が国家の通貨発行権を握り通貨を生みだし(発行)、コントロールすることができる、このことの意味は再考に値するでしょう。
世界の現状を透視していた大統領
基軸通貨たるドルを発行する米国。ドルはFRBが発行し続けていますが、昔かつて一度だけ米国で大量の政府通貨が発行されました。その紙幣はグリーンバックスと呼ばれ、発行者代表の大統領はあのアブラハム・リンカーン。しかしその後すぐにリンカーンは暗殺され、通貨発行権は米国政府の手からもぎ離されます。また、その後、少量ですが政府通貨を発行した大統領がいます。彼はその半年後、白昼に衆人注視のもと射殺されます。あのケネディ大統領です(発行された政府通貨は回収された模様です。)。以来50年余、ドルの発行はFRBが握り続けています。
米国中心(日本も少し遅れて)に、1%対99%どころか、0,001%対999,9%とも評される猛烈な格差社会が進行しつつあります。かつて日本では「一億総中流」と呼ばれていたときがありました。この頃が最も豊かなときでしたがすでに遠い過去となってしまっています。かつて手厚かった米国の中間層はいまや完全に破壊されています。この現状を米国建国当時から杞憂していた大統領がいます。第3代大統領トーマス・ジェファーソンです。彼は指摘しました。
「私有銀行がアメリカ合衆国の通貨の発行権を握ったならば、彼らはまずインフレを作り出し、それから一変してデフレにすることで、国民の財産を奪うだろう。ある朝、子供たちは目を覚ますと、自分たちの家やかつて父親たちが開拓してやっと手に入れた土地がなくなってしまったことを思い知るのだ」
米国では建国当初中央銀行の創設に非常な警戒がされていたのです。しかし、トーマス・ジェファーソンの心配をよそに1913年ついに米国に中央銀行たるFRBが創設されます。大銀行の所有者たちによる100%私有銀行です。爾来100年余、トーマス・ジェファーソンの言葉通りに事態は米国、日本そして世界中で進行してしまったのです。
なお繰り返しになりますが、どこにでもある民間銀行が悪だと言っているわけではありません。特に地域に密着し地域企業に融資してくれる銀行は大切です。米国においても大銀行と地域銀行が戦いを繰り広げてきた歴史があります。その銀行の理念といかなる行動をとってきたかを慎重に見定めて選択することが大事なのです。
②へつづく…
物語を読んでお金の秘密を理解された方は、通貨発行権を民間が持っていることの異常さに気付くと思います。お金は経済の血液で、これをある一族が独占的に所有しているという、あり得ない状況が現実に起こっています。例えて言うと、警察組織や消防、軍隊が民間であるのと同じくらい異常な事態なのです。
彼ら、中央銀行を所有している者たちは、意のままにバブルを作り出し、それを崩壊させることで人々の資産を奪い去って行きます。私たちは、バブル崩壊でこれを経験しました。しかし、バブルを作り出した真犯人が、日銀の通貨発行の操縦桿を握っていたほんの僅かな者たちであったことを知っている人は、ほとんど居ません。これは、リチャード・ヴェルナー氏の名著「円の支配者」によって明らかにされました。
この物語に興味を持たれた方は、是非、ヴェルナー氏の著作をお読みください。