円の支配者(日本語字幕・シャンティ・フーラオリジナル翻訳)
ドキュメンタリー映画 <中央銀行の真実 - Princes of the Yen >

翻訳チームからの情報です。
 本サイトでとりあげたリチャード・ヴェルナー氏の名著 『円の支配者』(2001年日本No.1ベストセラー) を、映画97%Owned のマイケル・オズワルド監督が2年半の歳月を費やして映像化しました。

Princes of the Yen - Central Bank Truth Documentary
監督:Michael Oswald ドキュメンタリー制作:Quepolitely
YouTube公開:2014年11月4日
上映時間: 93 分 日本語字幕提供:シャンティ・フーラ

本作品・公式ホームページ: http://princesoftheyen.com/
フェイスブック: https://www.facebook.com/princesoftheyen
同監督の公開作品: http://hushhushvideo.com/documentaries/

 字幕は、本時事ブログのために翻訳チームの阿呆神望がオズワルド監督から翻訳許可をいただき、同氏の協力を得て制作したものです。
 今回のご案内役は、翻訳を担当した阿呆神望がつとめます。
阿呆神望(翻訳者)
編注)文字起こしはこちら 

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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円の支配者 - 中央銀行の真実 (ドキュメンタリー)
転載元)
字幕:Amara.orgエディターにて掲載

【日本語字幕の設定方法】
1.ユーチューブの下側のコントロールバー(左端にスタートボタンがある水平方向の黒いバー)を確認。
2.このバーの右方にある歯車形のアイコン (設定/Settings) を押す。
3.字幕/Subtitles/CC (Options) の右方 (言語名の右方) にある小さな逆三角形を押す。
4.日本語/Japanese に ✓ を入れる。
※ この操作を行っても字幕が表示されない場合、左どなりの長方形のアイコン (字幕/Subtitles/CC) が On になっているか確認してください。


中央銀行に騙され続けた国民
― 日銀が過剰融資を命じバブルを起したと銀行員も証言!


「私に一国の通貨発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと
そんなことはどうでもよい。」1790年に初代ロスチャイルドが残した言葉.

バブルの崩壊後20年以上も続いた「日銀不況」。信用の創造と配分によって一国の経済・社会の構造を変革し、富と権力の集中をもたらした中央銀行の絶大な支配力がどのようなものかを初めて明らかにしてくれた名著『円の支配者』。この重要な著作にもとづいて戦後の日本経済の盛衰を支配した中央銀行 (日銀) の行動を検証し、私たち国民を苦しめてきた長期不況の原因が、かつてのアジア通貨危機や現在起っている欧州経済危機と同じく中央銀行の背信行為にあることを歴史的記録と証言によって映像化した珠玉のドキュメンタリー作品です。

本サイトの映像配信 (家族の絆~夫婦:86~124)ではすでに幾度も説かれてきたことですが、この映画の冒頭にでてくる終戦後のシーンを見ると、日本経済を復活させる方法が実はいかにも簡単だったことには驚いてしまいます...

【クイズ】日本は敗戦後、戦火に遭った企業に資金を融資していた銀行が不良債権の山をかかえ、銀行部門全体が実質的に巨額の赤字のため破産していました。ところが私たちの国の経済はまもなく見事に立ち直り、高度経済成長への道を歩みはじめたのでした。このとき事態を収拾するにあたって、日銀はどのような金融政策によって日本の経済を救済し蘇らせたのでしょうか?

【答え】実は日銀は新しい通貨(新円紙幣)をどんどん発行し、不良債権を買い取りさえすればよかったのです!

― この例からも国民の経済と生活に対する中央銀行の圧倒的な支配力の秘密がうかがえると思います。中央銀行の隠された権力の秘密を解く鍵は、金利の調整にあるのではなく、まぎれもなくこの信用創造の権限(通貨発行権)にあるのです。そのことが本当に理解できれば、この戦後処理の方法と同じく、バブルがはじけた時も、日銀は不良債権の買い取りを行いさえすれば、日本をすぐに立ち直らせることができたことが明らかです。 (この点の解明はすでに次の講座で行われています。家族の絆〜夫婦 (112), 1:33:00 ~)。

ところが日銀は、人々を苦しみから救う「経済」(経世済民)の本義にしたがって国民の福祉と実体経済への信用供与をその使命とするどころか、自らがもつこの信用創造・配分の権限をひた隠しにし、大蔵省(財務省の前身)と国民を欺いて緊縮財政を続け、歴史上前例のない長期不況を演出したのでした。それは一体なぜだったのでしょうか...


ストーリー(全編の構成)


この物語は、まず米軍による日本占領と対日政策の軌跡をたどることから始まります。ここで重要な点は、侵略戦争で国民を総動員するため思想統制を行った内務省のファシスト特高警察官僚が戦後も復活させられたことで、各部門で要職を担う日本の支配層の多くは、岸信介から孫の安倍晋三に至る自民党の例をはじめとして、政・官・財を通じて戦前と同じ人々だったことがこの映画のテーマの展開の伏線となっています。すでに戦前からロスチャイルドによって育てられた三井の渋沢栄一と、ロックフェラーの後押しを受けた三菱の岩崎弥太郎との不仲がよく知られていたように、日本の財閥と国際金融財閥の間には密接なつながりがありました。敗戦後の日本とドイツの運命はある意味で対照的で(9:21~)、日本の既得権益を代表する支配層の大方が米国にとってさほど都合の悪い人々ではなかったことがうかがえると思います。

● 戦時経済体制から戦後経済への移行と大蔵省解体の真相
戦後日本の経済的成功の秘密と米国側の指図に従う日銀のプリンスたち(「円の支配者」)の背信行為の実態が明かされる。(0:00~68:50)
(その過程で信用バブルはどのようにして創造され、崩壊したか 29:27~68:50)

戦後の日銀は、金利政策を大蔵省によって指図されていましたが、実はこれとは別に、市場を流通する通貨の量と新たに発行される通貨の配分 (貸出割当) を操作することによって日本経済を実質的に支配していました。その手段となったのが、日銀の営業部が市中銀行に対して通貨発行 (信用創造) の量と配分を指図する「窓口指導」です。実は日銀は、戦時経済で行われていた信用配分・信用統制の手法を用いて奨励するべき事業と貸出の目的を指定し、各銀行に対して次の四半期の貸出量と融資先(誰に、どの産業部門・下位部門か)の指図を行っていたのです。

消費材の生産に適したこの戦時経済の統制の仕組みは、資本家・株主にとって望ましいものではありませんでしたが、戦後もこの体制が非公式に継続されたことで短期間のうちに国民の所得は大きく伸び、均等な富の配分と安定した雇用、充実した福祉など、国民にとって多くの望ましい成果がもたらされました。

    しかも当時の経済競争は、官僚による高度の統制下に行われ、現在のアメリカ化された資本主義 (株主資本主義) のように企業の利潤の拡大や株主への高配当、乗っ取り合戦での生き残りを目的としたものではありませんでした。実は日本も1920年代までは多くの点で米国経済と似ており、このような好ましい官僚統制( = 自由化に対する「規制」) が行われなかったため、日米とも、現在の「貧困大国」アメリカや、アメリカ化された日本の現状と同様に貧富の格差はたいへん大きかったのです。(米国とは異なり、良き時代の日本では企業は互いに株を持ち合い、銀行と一般企業も持ちつ持たれつの関係にありました。 米国の意向に従ってかつてのこの共存共栄に基づく安定した日本経済の仕組みを全廃し、弱肉強食原理によるアメリカ資本主義を導入したのは、小泉、竹中氏らでした。)

しかし1980年代に入ると、日銀は、「前川レポート」に見られるように日本経済の「改革」、「自由化」を掲げ、成功した日本の経済体制の完全撤廃とアメリカ化 (アメリカ型資本主義の導入) を公に要求するようになりました。国民がこれに耳を傾けるようになったのは、日銀が窓口指導によってわざとバブル(投資ブームと土地価格の高騰)を創りだし、これが崩壊した後の日本経済の不振に対する責任が日銀ではなく大蔵省にあると信じられるようになったためでした。ところが明らかに、日本経済を襲った激しい景気の循環、好不況の波は、日銀が窓口指導による貸出(信用通貨発行) によって市中を流通する通貨の量を自由に上下させ、インフレ、デフレを操って景気を捏造したことに原因があったのです。

こうしてついに日本の旧体制は敗北し(大蔵省解体と日銀の独立)、米国側の指図を受けた日銀は、市場開放・規制緩和による私有化の推進、製造業を中心とする経済からサービス業への経済構造の転換など、すべての目標を達成することに成功しました。またこのとき主流メディアは国民の利益 (=国民国家の国益) に反して世論を誘導し、米国側の利益に大きく貢献したのでした。

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続いて最後の20分少々で、1) アジア金融危機の真相、2) 金融機関救済に関する米国金融政策当局のダブル・スタンダード、3) ユーロ通貨圏で欧州中央銀行 (ECB) が果たしてきた負の役割が次々と紹介されます。これによって私たち国民を苦しめてきた「日銀不況」も計画的に引き起こされたものであり、欧州中央銀行、米連銀をはじめ世界の中央銀行を操る寡頭勢力(ロスチャイルド以下、ロックフェラー、J.P.モルガンなど、大部分がアメリカに本拠を置く国際金融財閥)の世界戦略の一部であること、彼らの金融帝国による事実上の植民地支配の一環であることが暗示されています。

● アジア通貨危機 (1997年) とIMF介入の経緯  
これには経済危機の圧力によって外資が浸透しにくい日本型経済の全廃・鋳直しを謀った「円の支配者」と同じ意図が認められる。その実態はどのようなものだったか... (68:51~80:20)

【参考】同年、日本では自殺者が3万人台に増加。緊縮財政、消費税増税が重なるなか相次いで多くの銀行が倒産し、翌’98年日本列島は総不況 (第2次平成不況) に。 参考: YouTubeTPP反対で政治家が言わないアメリカのワナと自殺者の本当の数など 5:00~12:25 ... 不況で日本が被った信用収縮は1500兆円を上回るとの説も)

● アメリカでは... 危機に遭遇したこれらのアジア諸国に対して金融機関の救済を禁止しておきながら、自国の大手ヘッジファンドLTCMが破綻するとこれを救済した身勝手な米国金融政策当局 (80:20~82:26)

● ヨーロッパでは... 現在ユーロ通貨圏の国々では、欧州中央銀行 (ECB) の緊縮財政政策によって、かつて日本で起きた危機が再び繰り返されている! ヨーロッパの人々に対するこの警告によって本作品は結びとなる。 (82:26~91:12)


参考情報 日本の状況と本作品のドキュメンタリーとしての特色・位置づけ-権力を濫用し欧米と世界を支配するセントラル・バンカーに対する「99%」の民衆の覚醒への戦い

    ☆ 日本人が子孫に語り継いでいく必要のある米国による戦後支配(「永久占領」)の歴史に光をあて、従来知られなかった中央銀行の権力と「円の支配者」の国民に対する背信行為を明らかにした記念碑的な映像作品。すでに出版部門ではティム・ワイナー『CIA秘録』(邦訳2011年) に続き、孫崎享『戦後史の正体』(2012年) がベストセラーに。昨年は司法関係で瀬木比呂志『絶望の裁判所』が出るなど、近年「属国」日本をめぐるショッキングな状況が続いている...

    ☆ 映画部門では、2010年に米国の金融危機の背景となった金融関係者達の腐敗を抉るチャールズ・ファーガソンのドキュメンタリー映画『インサイド・ジョブ』が劇場公開(日本では翌年5月)されアカデミー賞を受賞。だがこれは個々の不正に焦点がおかれ、中央銀行の強大な支配力と犯罪行動を取りあげたものではなかった。本作品の公開を機に、世界で中央銀行の不正に気づく人々がさらに増えつつある。

    ☆「一億総中流」、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた80年代から、日本は長期不況下で相対貧困率が先進国中ワースト2位に転落 (第1位は米国)。給料が安すぎて結婚できない若年層が増えるなか、中小企業の労使、過酷な労働条件を強いられ追い詰められて働く正社員、非正規雇用労働者、失業者、そのほか「99%」の誰にとっても必見の映画。



監督・プロデューサー マイケル・オズワルド氏について
監督兼制作者のオズワルド氏は、哲学と社会人類学を学んだ後、映像表現に目覚め映画制作のキャリアに入った。このため諜報機関への協力を断ったところ、後の人生が難しくなるぞと脅されたという。通貨改革の必要を唱える「ポジティブ・マネー」活動家 ベン・ダイソンらの出演による前作 97%Owned (2012年) は、数カ国のテレビ・映画館で公開され、英国の中央銀行(1844年より銀行券を独占的に発行)の仕組みに初めて光が当てられた点でも好評を博している。本作品はその続篇として構想され、日本でのロケを含む2年半の制作期間の後に公開された。


著者リチャード・ヴェルナー氏について
2001年に日本で『円の支配者』が出版されベストセラーとなってから約14年が経過した。著者は、91年末から93年まで日銀と大蔵省の客員研究員をつとめた後、1994年から1998年までは奇しくもアヘン戦争を推進したジャーディン・マセソン商会 (東インド会社の後身) の末裔、ジャーディン・フレミングのチーフ・エコノミストをつとめた(同商会は、トーマス・グラバーを通じて龍馬に薩長同盟の仲介役を務めさせるなど、激動の幕末を動かしたジャーディン・マセソンがロバート・フレミングと合併してできた香港を拠点とする投資銀行)。この間、金融緩和政策について提言を行い、1995年には日本で初めて量的金融緩和という言葉を使用(日本経済新聞9月2日)。後に ”QE2” という表現を提案したのも氏であった。 GDPに関わる取引で創造された信用量と金融取引で創造された信用量を区別する「信用の量的理論」を初めて提唱。内外の専門誌へ寄稿された論文は常に大きな注目を集め、98年独立開業後、現在は英国サウサンプトン大学で研究センターを運営し教授職を務める。本作は8割がこの著書にもとづき、映画化にあたってオズワルド氏が独自に行った調査を踏まえているが、著者自身も全編に目を通し内容を承認している。ヴェルナー氏ツイッター: https://twitter.com/professorwerner/status/557629382370816000


ナレーター: アンドリュー・パイパー氏
ナレーター: アンドリュー・パイパー氏 (http://andrew-piper.com/) ― 映画『タイタニック』の広告でも活躍した英国の声優・俳優・作家。


制作者・著者の拡散希望と、今後の日程についての情報
監督、原作者がネット上での拡散を望んでいるため、YouTubeで無償で公開されている映画(近々DVD発売予定)。本作は戦後から現在に至る日本経済の歴史がたいへんよくわかり、通貨の不思議にふれるうちに政治や社会の仕組みについて多くの事柄が学べます。学校の視聴覚教育、地域の学習会、口コミ、職場や労働組合の活動などを通じて学べば「99%」が目覚めるための大きな力となることでしょう。映像を通して振り返る日本の戦後史には静かな哀愁があり、美術面も秀逸。推奨に価する作品です。今年夏には日本語吹き替え版の制作が予定されているので、こちらも本ブログで紹介されることと思います。


◇ 資本家に得をさせるウソ八百の経済理論VS人々の苦しみを救う本物の経済
映像配信:『円の支配者』関連 ― 経済の勉強をシャンティ・フーラで
 

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