里山Ubuntu通信:24日目 Ubuntuでメールを使う(4)
〜Thunderbirdの設定:プロバイダ毎の具体例

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Ubuntuでメールを使う(4) Thunderbirdの設定

プロバイダごとの設定について

これまで、「電子メールの概念」の説明に始まり、「Thunderbirdの設定画面の呼び出し方」、「設定項目の内容」について説明してきました。プロバイダと契約すると、電子メールのアドレスとそれに必要な設定情報が郵便で送られてきます。そこに記載されている内容(項目の並び、説明文)は、決まった様式があるわけでなくさまざまですが、必要となる情報はすべて「電子メールの概念」に由来しているので、変わりません。つまり、プロバイダから送られてきた情報の中にすべての答えがあり、「この値は、設定画面のこの項目だな」のように、それを正しくThunderbirdの設定画面の対応する入力欄に登録することによりメールが利用できるようになります。今回はプロバイダごとの入力例を主に紹介します。

「設定画面の呼び出し方」で説明したように、Thunderbirdは、「最初頑張って設定項目を自動的に登録しよう」と試み、それが失敗すると設定画面を表示します。Thunderbirdの自動設定がうまく動作するか否かはプロバイダによって異なり、プロバイダによっては、そのことを利用者向けの説明に記載しています。(幸運にも)自動設定が成功するプロバイダと契約している場合、必要最小限の情報を入力するだけで、設定が完了、メールが使えるようになります。必要最小限の情報とは、以下の3つの項目です。

項目名 記入する内容 説明
あなたのお名前 自分の名前 送信用の設定項目として使われます。メールを受け取った相手に表示されます。日本語、ローマ字いずれも可です。
メールアドレス 自分のメールアドレス 受信サーバの名前、送信サーバの名前、それぞれに接続する際のユーザ名、そして送信するメールの発信者のアドレスとして使われます。
パスワード メールの送受信用のパスワード 受信サーバ、送信サーバとの接続の際のパスワードとして使われます。

「あなたのお名前」は、受信および送信サーバへの接続には関係がなく、かつ正解不正解はありません。したがって、Thunderbirdが自動設定の元として使用するのは残り2つの項目となります。メールアドレスとパスワード、この2つの項目からThunderbirdが「これはどうかな?」と設定項目の組み合わせを作成して、試行錯誤するわけです。メールアドレスとパスワードとして入力した内容が誤っているともちろん自動設定は失敗します。しかし、それらが正しいとしても自動設定がうまくいかないことがあります。うまくいかない場合とは、プロバイダの設定が「Thunderbirdが想定している内容」と異なる場合です。Thunderbirdの想定している内容とは、

  • 受信サーバはPOP3方式である(受信サーバの方式がIMAPの場合必ず失敗します)
  • 受信サーバ、送信サーバに接続する際のユーザ名は、「電子メールアドレスの@より左の部分(penepenpenepen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)の場合、penpen)である
  • 受信サーバと送信サーバで接続する際のユーザ名は同一である
  • 受信サーバの名前と送信サーバの名前の付け方が「Thunderbirdの想定」(下のプロバイダごとの設定方法の内容をご参照ください)と異なる
  • 受信サーバ、送信サーバの「接続ポート」の値が一般的な値(下のプロバイダごとの設定方法の内容をご参照ください)と異なる

です。プロバイダからきた手紙で、受信サーバの方式がIMAPである、あるいはユーザ名が、@より左ではなく、電子メールアドレスであると「わかっていたとしても」、それらを設定する方法がありません。なので、必ず自動設定は失敗し、設定画面で個々の内容を入力するしかありません。

私は長年Thunderbirdを利用していますが、個人的な経験としては、すんなり設定された場合のほうが少ない気がします(なので、「頑張らなくていいから素直にPOP3/IMAPを含めて、最初から設定の項目欄をすべて入力させてくれたほうが良いのに」なと思っています)。

プロバイダごとの設定方法


各プロバイダは利用者(契約者)向けに電子メールの設定方法の情報を公開していますが、プロバイダによっては、Thunderbirdの自動設定に対応しているか記載しているところがあります。その情報を含めて、この記事を書いている2017年3月時点で、調べてみた結果をご紹介します。なお、各プロバイダの説明には、Ubuntu (Linux)向けの内容はありませんが、Thunderbirdは、Windows, OSX (Apple), Linuxに対応しており、Windows版Thunderbirdの説明の内容はほぼそのままUbuntu用のThunderbirdに当てはまります。

OCN


Thunderbird用のメール設定の説明ページがあります。Windows用 Thunderbirdの説明ページの内容を見ながら設定します。説明を読むと、Thunderbirdのメールアカウント自動設定機能に対応しているようなので、冒頭で説明した3つの項目を記載すると、設定が登録され、メールが利用できるようになるはずです。

説明ページの内容から、設定項目の「正解」をまとめておきます。


項目名 設定値 説明
受信サーバ pop.ocn.ne.jp
受信ユーザ名 自分のメールアドレスの「@」より左の部分 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpen
(受信)接続の保護 あり 説明ページには種類の記載がありませんが、自動で設定されるはずです。
受信ポート番号 110
送信サーバ smtp.ocn.ne.jp
送信ユーザ名 自分のメールアドレスの「@」より左の部分 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpen
(送信)接続の保護 あり 説明ページには種類の記載がありませんが、自動で設定されるはずです。
送信ポート番号 587

plala (POP3)


plalaは標準の電子メールはPOP3なのですが、IMAP3にも対応しています。ここでは、POP3について説明します。
説明(例によって、Windows版Thunderbird用です)を読むと、Thunderbirdのメールアカウント自動設定機能に対応しているか明記されていません。もし、自動設定が失敗した場合、下記の説明を見ながら設定項目を入力してみてください。


項目名 設定値 説明
受信サーバ xxxx.mail.plala.or.jp "xxxx"の部分はプロバイダから通知された内容で、利用者ごとに変わります。
受信ユーザ名 自分のメールアドレスの「@」より左の部分 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpen
(受信)接続の保護 なし
受信ポート番号 110
送信サーバ xxxx.mail.plala.or.jp "xxxx"の部分はプロバイダから通知された内容で、利用者ごとに変わります。
送信ユーザ名 自分のメールアドレスの「@」より左の部分 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpen
(送信)接続の保護 なし
送信ポート番号 587

plala (IMAP)


plalaでは、IMAPを利用することができます。その場合、連動して送信サーバの設定の内容も変わり、こちらに説明があります。


項目名 設定値 説明
受信サーバ xxxx.mail.plala.or.jp "xxxx"の部分はプロバイダから通知された内容で、利用者ごとに変わります。
受信ユーザ名 自分のメールアドレス 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)
(受信)接続の保護 SSL/TLS
受信ポート番号 993
送信サーバ secure.plala.or.jp
送信ユーザ名 自分のメールアドレスの「@」を「$」に置き換えたもの 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpen$penguin.com
(送信)接続の保護 SSL/TLS
送信ポート番号 465

So-net (POP3)


So-netは、IMAPにも対応しています。ここでは、POP3の設定について説明します。動画つきの非常に詳しい説明ページがあります。親切なことに設定例の画面まで掲載されており、一目瞭然ですが、同様に表に整理してみます。


項目名 設定値 説明
受信サーバ pop.so-net.ne.jp
受信ユーザ名 自分のメールアドレス 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)
(受信)接続の保護 SSL/TLS
(送信)認証方式 通常のパスワード認証
受信ポート番号 995
送信サーバ mail.so-net.ne.jp
送信ユーザ名 自分のメールアドレス 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)
(送信)接続の保護 STARTTLS
送信ポート番号 587
(送信)認証方式 通常のパスワード認証

So-net (IMAP)


IMAPの設定について、涙が出るほどわかりやすい説明ページがあります。親切なことに設定例の画面まで掲載されており、一目瞭然ですが、同様に表に整理してみます。


項目名 設定値 説明
受信サーバ imap.so-net.ne.jp
受信ユーザ名 自分のメールアドレス 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)
(受信)接続の保護 SSL/TLS
受信ポート番号 993
(送信)認証方式 通常のパスワード認証
送信サーバ mail.so-net.ne.jp
送信ユーザ名 自分のメールアドレス 例:penpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)ならpenpenpenpen_@_penguin.com(_@_を半角にしてください)
(送信)接続の保護 STARTTLS
送信ポート番号 587
(送信)認証方式 通常のパスワード認証

プロバイダごとの設定例について、ご紹介しました。こうして見比べてみると、パターンのようなものが見えてきたのではないかと思います。自動設定がうまくいかなかった場合、契約されているプロバイダからの連絡内容と、設定の説明のページを確認して、あきらめず挑戦ください。設定のコツは、正しい値を確実に入力すること、そして「必ず設定できると信じて、あきらめない」こと、です(実際、接続できないはずはないのです)。もし、不明な点があれば、あるいはどうしてもうまくいかなければ、個別にサポートしますので、どうぞお気軽に画面下のフォームにてご質問ください(その際には電子メールアドレスやパスワードは、****やXXXXのように加工下さい)。

今回でThunderbirdの説明を終わります、と言いたいところなのですが、実は、説明はまだ終わっていません。これまで説明してきた設定内容は、電子メールの読み書きを可能とするための基本的な内容であり、その他にオプションとなる項目が存在します。次回は、オプション設定についてご紹介する予定です。

(Haru)

著者:Haru(ペンペン先生)

1962年、北海道生まれ。うお座。
1985年、北海道大学工学部卒業、IT系企業に入社。
2003年、業務テーマとしてLinuxに取り組む。
2015年、関東地区交流会参加をきっかけに上映会スタッフに参加。
横浜市在住

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