誰もが感銘を受ける、仕事に向き合う新津春子さんの姿勢 ~裏表がなく、評価を求めず、ただ純粋な心で清掃の仕事をしている

竹下雅敏氏からの情報です。
 たまたま、この新津春子さんの番組をテレビで見ることができました。NHKの凄腕ディレクターが「一目ぼれ」したというのがとてもよくわかります。誰もが、“仕事に向き合う新津さんの姿勢”に感銘を受けると思います。
 「新津さん追っかけて入社しましたが、 本当にあのTVのまんまです(笑) 」というツイートがありました。“そうだろうな”と思いました。
 裏表がなく、評価を求めず、ただ純粋な心で清掃の仕事をしている。“それは清掃の仕事が好きだから”で、彼女のキレイな心が空間を清めているのだと思います。
 “続きはこちらから”をご覧になると、彼女は恩師から、“心を込めないといい仕事はできない”ということを教えてもらったとあります。技術では人を感心させることは出来ても、感動させることは出来ません。ハート(心)が、場(空間)を変化させるのです。本物のアーティストは、このことをよく知っています。
 あくまでも私の想像ですが、新津春子さんが清掃した場所は、光っているのではないかという気がします。それは、物理的な光ではなくて、心の光なのです。
 日本人は印象派の絵が好きです。印象派は光を描こうとしたのですが、彼らが描こうとした光が、まさにこの“微細な光”なのです。美しい絵画からは、物理的な光ではなく、この微細な光が放たれています。私たちは、それを見て美しいと感じるのです。
 この意味で、新津春子さんは、稀有なアーティストだと言えるかも知れません。宗教では、このように、見返りを求めず、純粋な動機から仕事をする人のことを、「カルマ・ヨーギー」と言います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
 
 
 
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NHKの凄腕ディレクターが「一目ぼれ」した凄腕清掃員とは?
引用元)
 イギリスにある世界最大の航空業界格付け会社・スカイトラックス社が公開している格付けランキングで、2013年、14年の2年連続“世界で最も清潔な空港”に選ばれた羽田空港。その栄誉の裏に、ひとりの女性の長年の努力が存在していることをご存じだろうか。

 彼女の名は新津春子。羽田空港国際線ターミナル、第1ターミナル、第2ターミナル清掃の実技指導者だ。

 彼女の名前は、NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」の弱冠30歳のディレクター・築山卓観氏の「一目ぼれ」をきっかけに世の中に知れ渡ることになる(築山氏は2014年・2015年と第一制作センター賞を受賞している凄腕ディレクターでもある)。
(中略)
 少し長くなるが、築山氏自身が記した文章を全文紹介しよう。その新津さんの姿勢に、私たちは背筋を伸ばさないわけにはいかないからだ。

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●新津さんのこと

「誰がやったから、じゃないのよ。キレイですねってお客さまが思ってくれる、それで十分じゃないですか。お客さまが喜んでくれれば、それでいいんです」

 密着ロケの終盤。深夜3時、誰もいない羽田空港のトイレでこの言葉を聞いた時、思わず熱いものがこみ上げてきたのを今も鮮明に覚えています。ビル清掃のプロ・新津春子さんが教えてくれた仕事の流儀。私にとっても今、仕事に向き合う時の大切な指針です。
(以下略)


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“やるしかない”から“どうしてもやりたい”仕事へ:新津春子さんインタビュー【前編】
引用元)
(前略)
――最年少で優勝を飾った「全国ビルクリーニング技能競技会」に出場しようと思ったのも、その研究の日々で自信をつけられたからでしょうか?

競技会は、鈴木常務から勧められて、最初は賞金に惹かれて出場することにしたんです。自分の清掃技術には自信を持っていたので、予選大会は1位を取ることができると確信していたのに、結果は2位でした。当然賞金ももらえませんが、何より技術がある私がなぜ2位になったのかという結果に納得がいかなくて。鈴木常務に聞くと、「あなたには優しさがない」と言われたんです。
 
――鈴木常務は「優しさ」という言葉に、どのような思いを込められていたのでしょうか?

「道具をつくった人の気持ちを考えて使っているか」と言われたんですが、今まで考えもしなかったことだけに、どうしたらいいのか分からなくなりました。中国では自分中心に考えることが多くて、自分にもそういうところがあったかもしれません。相手のことを考えるということが、頭の中になかったんですね。
 
最初は鈴木常務の表情を見よう見まねで練習しましたが、本当にその気持ちがなければ表現できないということが分かってきて。(中略)… 鈴木常務は人生を変えてくれた恩人です。心を込めないといい仕事はできないということを教えてくれました。
(中略)
私は必要な時に、私に足りないものを指摘してくれる人に出会えました。もしこの出会いがなければ、私は、技術はあってもいい人間ではなかったと思います。
(以下略)
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羽田空港が“世界一清潔な空港”であり続ける理由 ベテラン清掃員・新津春子さん「モノと人へのやさしさと、ちょっとの工夫で仕事は楽しくなる」
引用元)
(前略)  
――仕事が楽しいと感じたのは、本や講演会でも説明されているように、全国ビルクリーニング技能競技会がきっかけなんですよね。
 
そうです。最初は生きていくためのお金がほしくて大会に出場したのですが、当時の上司に、当時の自分には「やさしさ」が不足していたことを教えてもらいました。当時、私は仕事をする上で、自分のタスクさえ終わらせていけば、それで問題がないと思っていたんです。でも、仕事はどうしても誰かと一緒に行動する必要があるんですよね。一人で全てを完璧にこなすのは難しい上に、人って頭のレベルも体力もそれぞれで違うから、お互いに苦手な部分を補って協力しなければいけません。
 
そのように、自分自身のことだけでなく、周りが見えるようになってから、仕事の楽しさというのを実感するようになりましたね。
(中略)
たとえきれいにしても、使う人が誰もいなかったら、清掃をする意味がないですよね。だから、まずは使う“人”のことを考えます。いつもみんながどこに触っているのかによって、清掃の手順を変えていく。背の低い方や子どもならきっと脚の低い部分を触るのだろうし、年配の方ならテーブルに体重をかけて座るかもしれない。ものがある場所の環境や使う人によって汚れも変わるからこそ、どう清掃をするのかが大事です。
(中略)
――仕事に対して、どのようにモチベーションを保っていますか?
 
仕事を楽しく続けるコツは、どちらかといえば環境ではなく、自分の心の問題だと思います。仕事が好きか嫌いかなんて、入社するときは考えないじゃないですか。(中略)…  興味があるから第一歩を踏み出しているので、この気持ちを忘れないことが一番大事ではないでしょうか。
(以下略)

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