バッシングを受けた小西洋之参議院議員は、自民、維新、公明、国民、有志の会からなる改憲5会派の出した「衆参議員の任期延長改憲」論を見事に阻止していた

 衆議院と参議院には50以上の委員会がありますが「毎週開催が定例化しているのは衆院憲法審のみ」だそうです。国会審議で優先順位が全然低い「改憲」に公費を費やすことは、国民の望みではありません。今年3月「衆院憲法審の毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやること」とのオフレコのコメントで小西洋之参議院議員は常軌を逸したバッシングを受け、あっという間に憲法審査会の筆頭幹事を更迭されました
 今、振り返ると、バッシングの理由はなんでも良く、メディアも共謀してなんとしても小西議員を憲法審から追い出したかった理由がありました。それは改憲5会派(自民、維新、公明、国民、有志の会)が今国会で狙っていた「衆参議員の任期延長改憲」です。小西議員はその改憲条文案を「①憲法論的にも、②政治的にも」阻止する戦略を準備していたのです。
 その戦略を明かしたのが3月29日のオフレコの記者会見、そのオフレコ会見での発言がきっかけでを強引に小西議員が更迭されたのが3月31日でした。メディアは改憲派の刺客に成り下がりました。
 小西議員はしかし、更迭後も準備していた戦略を進めました。衆院の改憲5会派が出した改憲論の曲解とこじつけを丁寧に解説し、憲法学者の確認を得て、ついに参院の自民、公明、国民は、衆院の改憲論を否定するに至りました。これによって衆院での任期延長改憲は不可能となり、憲法は守られました。

第五十四条
1.衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2.衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

 改憲5会派の主張は「災害などの当初の70日間は緊急集会で対応できるが、70日以降は議員任期の延長による衆参両院(国会)で対応する必要がある」というものでした。これに対し小西議員は、「緊急集会は憲法制定時に災害などの不測の事態を想定して作られたもので、70日間しか使えないという主張には合理性がない」「参議院の緊急集会は戦前の反省から緊急事態につけ込んだ国家権力の暴走(制度の濫用)を防ぐために設けられた仕組み」と、まさしく今の政権に最も懸念されることを指摘したのです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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不可能となった衆院憲法審の「議員任期の延長改憲」~毎週開催の暴論を打破した参院憲法審の論戦~
引用元)
(前略)
 昨年の通常国会以降、延べ36回の開催を行う中で、改憲5会派(自民、維新、公明、国民民主、有志の会)は国会議員の任期延長改憲に狙いを定めてきました

しかし、この議員任期の延長改憲は、今国会で事実上不可能なものとなりました。そしてそれは、参院憲法審の立憲会派の論戦の力によって実現されたものでした。

 議員任期の延長改憲は、先の5月3日の投稿(文末にリンク)でご報告したように、参議院の緊急集会(54条2項)が災害などの有事を想定していない「平時の制度」であり「70日間しか使えない」という、憲法規範にも憲法尊重擁護義務(99条)にも立憲主義にも反する空前の暴論から成り立っているものです
(中略)
 この暴論を打破するため、参院憲法審において立憲会派は敢えて緊急集会を議題とすることを求め、そこで戦略的な論戦を展開し、その結果、①憲法論的にも、②政治的にも、任期延長改憲を不可能なものとしたのです

 すなわち、前者(憲法論的)については、憲法制定議会の金森担当大臣答弁やGHQとの協議記録などから、緊急集会の立法事実や根本趣旨を明らかにし、改憲派の「平時の制度説」、「70日間限定説」の主張が以下のように憲法に違反し、立憲主義に反することを論証しました。

● 災害などの緊急事態に対処するという緊急集会制定の立法事実に反する
● 衆院を解散した内閣の居座りを防ぐためという70日(40日+30日)の規定の趣旨に反する
● 任期延長の間の太平洋戦争の開戦などの戦前の反省から権力の濫用を防ぐという緊急集会の制度の根本趣旨に反する

 そして、更にこれらについて、日本を代表する憲法学者から賛同する陳述を引き出しました。
(以下略)

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