国立科学博物館が異例の1億円クラウドファンディングを達成、本来国が十分な文化予算を組むべき分野が「自助」で切り捨てられている / 国民の「自助」も限界

 国立科学博物館(略して「かはく」)のクラウドファンディングが話題になっていました。「かはく」の根幹となる「標本、資料の収集・保管」の運営が資金不足で大きな危機に立っていることを、館長、副館長ともに切々と訴えておられました。本来学者さんにこんな資金繰りの仕事をさせること自体が申し訳ないことで、国民の「義憤」の表れのように、あっという間に目標額の1億円を達成しました。
 それはそれで安堵しますが、以前に東京芸大で経費節減のためにピアノを売却するという信じられないような報道があったことを思い出します。日本の文化予算がOECD最低水準にまで削られていることを隠せなくなっています。「国立」とは名ばかりで、何から何まで独立行政法人化して「自助でよろしく」という緊縮財政の結果です。ぶら下がってきたコミュニティノートの「国だってお金出してるもん」と言わんばかりの的外れな指摘に笑います。国は国民のためにお金を出して当たり前、利益を生まないような分野こそ国が手厚く保護育成する責任があります。
 今回の「かはく」が成功例のように扱われ、本来国が出すべきお金をクラファンで資金調達することが当然になってはいけません。「子ども食堂」だって本来は国がやるべきことでした。しかし国民の「自助」も限界です。今後、岸田政権が導入を予定している「増税・負担増リスト」を見ると、介護保険料、後期高齢者医療保険料、健康保険料、所得税、消費税などは増額、配偶者控除、扶養控除は廃止、厚生年金、通勤手当、退職金などは縮小と、このまま行くとますます搾り取られます。私たちはお行儀良く殺されていいのか?
(まのじ)
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