ぴょんぴょんの「TSMCは第二のチッソか?」 ~熊本TSMC工場のもたらす災厄の数々

 以前、ここで、TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の熊本誘致について書いたことがあります。その時、読者の方から「深田萌絵さんは、台湾の半導体TSMCについてとても詳しいです」というコメントをいただきました。
 今現在、熊本県菊陽町のTSMC・ソニー・デンソーの合弁会社「JASM:Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」の第一工場がほぼ完成し、来年2月に始動して、来年末にはフル起動するようです。
 が、すでに工場周辺の井戸が枯渇したとか、水の汚染を始めとする工場周辺の環境や、住民の健康被害についての不安がささやかれています。TSMCは「国家最大の寄生虫(「光と影のTSMC誘致」 16p)」と言い切った、深田萌絵氏の警告は無視できません。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「TSMCは第二のチッソか?」 ~熊本TSMC工場のもたらす災厄の数々

そもそも「半導体不足」はホント?


熊本のTSMC、正確にはJASMの半導体工場が、ほぼ完成したみたいだよ。


早いもんだな。日本政府が4760億円も出して「来てちょーだい」と頼んだ、台湾TSMCの工場が、とうとう熊本にできちまうのか。

世界的な半導体不足でピンチになっていた日本の自動車産業も、国内で半導体が生産できるようになれば安泰だね。それに、TSMC進出に伴う経済効果は「100年に1度の規模」だって。工場周辺はマンション、大型店舗、ホテルがじゃんじゃん建ち始めて、雇用が増える、人口が増える、九州が盛り上がると期待も高まっている。地価も上昇して、まるでバブルだそうだ。読売新聞

いいことづくめに見えるが、この誘致は、最初の最初がまちがっている。

え? Appleのチップも作るほどの半導体大手TSMCが日本に来てくれたのは、いいことじゃない?

いいか? 前提条件の「半導体不足」が、もしもウソだったら?



でも現に、半導体が不足して、日本の自動車製造はストップするところだったんだよ。

深田萌絵氏の言うように、世界的な半導体不足は、中国と台湾が仕組んだものだったとしたら?

は?!

世界の半導体製造の7割を占める台湾企業TSMC、UMC、SMICの3社が、中国と手を組んで、日本などの自動車メーカーからオーダーされたチップの供給を減らして、世界的な半導体不足を引き起こし、余ったチップをシレッと中国の電気自動車(EV)企業に流していたとしたら?YouTube

ウソだ〜! そんなことあるワケないよ〜!

じゃあ、その根拠を言ってみろ。

だって、台湾のチップを横取りしなくても、中国は中国で半導体を作ればいいじゃん。

わかってねえなあ。半導体を製造するには半導体製造装置が必要なんだよ。だが、アメリカの輸出規制で、中国は半導体製造装置を手に入れることができない。自国で半導体を作れない。じゃあ、どうするか?

輸入する?

よその国に頭を下げて、高い半導体を買うってのか? それじゃ、コストがかかりすぎて、安い中国産EV車を大量生産できないぞ。

じゃ、安く売ってくれる所を見つければいいじゃん。 

その、安く売ってくれる所が、台湾だとしたら?

そんなの、ムリだよ。だって、台湾と中国は仲が悪いんだから。

わかってねえなあ。台湾TSMCの創業者モリス・チャンは台湾人じゃなくて、生粋の中国人だよ。

モリス・チャン(張忠謀)

へ? そうだったの?

モリス・チャンは中国生まれの中国育ち、アメリカに渡った後、台湾に来てTSMCを創った。だから「台湾人はTSMCを中国と呼んでいる。」(「光と影のTSMC誘致」17p)

なるほど台湾なら、アメリカからの輸入規制を受けてないから、半導体製造装置を入れて半導体製造ができる。それに、中国の親戚みたいなもんだし。


盗んだ設計図から作らせた半導体


ところで、半導体の製造は設計専門の「ファブレス」と製造専門の「ファウンドリー」の分業になっている。台湾は他社が設計した半導体を製造する「ファウンドリー」を受け持っている。

じゃあ、中国から半導体の設計図をもらって、台湾のTSMCに作らせるんだね。

それもあるかもしれんが、実は中国にアメリカの最新技術が盗まれていることが発覚している。TSMCは、Appleなど最先端の半導体設計図をもらって半導体を製造している、と来れば?

わかった! それをパクるのか。

そう、同じ設計図から発注分より多めに作って、中国に安く売るとか?

でも、それはルール違反じゃない?「不盗」に反するよ。

ああ、中国共産党がヤマ・ニヤマを守ってくれてたら、地球はもっと平和だったよ。深田氏によれば、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深セン市には、半導体の闇市があり、そこに出回る有名企業のチップの類似品は、実は台湾企業が作ったものだと言う。YouTube

香港から見た深セン
Author:ystsoi[CC BY]

あきれたね、盗んだ設計図から作らせた半導体を、中国製EV車に載せて、それを海外に売って儲けてるとしたら。

だから、わかったな。TSMCは中国共産党の犯罪の片棒を担いでるんだよ。

世界的な半導体不足を演出したのも、中国とタッグを組んだTSMCだったとしたら?熊本は、中国共産党のオトモダチを誘致したことになるよ?

そうなるな。

あんなに歓迎ムードなのに、ガックリだ。


TSMCによって危機にさらされている熊本


だが、このことをまったく知らなかったとしても、「誘致して良かったね! 地域も潤ったね!おめでとう!チャンチャン♪」では終わらない。深田氏は言う、「TSMC誘致は、日本の経済、産業、環境に禍根を残す寄生虫となることを筆者は予見している。」(「光と影のTSMC誘致」16p)

寄生虫? カネ喰い虫ってこと? 日本政府がTSMCに4760億円ものおカネを出したから?

いや、この寄生虫の好物はカネだけじゃねえ。水も大好物なんだよ。熊本の水が枯渇するまで、吸い上げるかも。

水?! 熊本は水を自慢にしてるのに? 「(熊本)市民の水道水の100%を地下水で賄っており、清らかで豊富な地下水は、社会活動を営むうえで様々な用途に利用されています。人口約74万人を擁する都市で、水道水の全てを地下水で賄っているところは、日本全国でも他に例がありません。まさに世界に誇る地下水都市と言えます。」(熊本市役所環境局

そうだ、そんな「世界に誇る地下水都市」が今、TSMCによって危機にさらされている。熊本大学・嶋田名誉教授によると、熊本市や菊陽町の地下には琵琶湖の約1.6倍の貯水量があると言う。読売新聞

ちょっと待って! 「菊陽町の地下」って言った? 菊陽町ってTSMCの工場ができた場所だよ!


その通り!上の図を見ると良くわかるが、TSMCは、熊本県の水がめ「地下水プール」の真上にデーンと工場を建てたってこと!

まさか、知ってて、ってことはないよね?

知ってたんだろな。半導体チップはわずかなゴミも許されないから、清掃や洗浄のために莫大な量の水を使う。深田氏「台湾は水を汲み上げすぎて、水が枯渇したから熊本に来たんです。」(YouTube

マジか? 熊本の水がヤバいぞ!

それに、まだ工場は建設中だと言うのに、すでに井戸が枯れたところがあるらしい。「(工場から)数キロメートルぐらいの近隣農家の井戸水に変化が起こった。工場がまだ稼働してないのに、井戸をかなり掘って水の採取を始めたようで、酪農家の井戸水が枯れたのである」「調査したところ、井戸の推移が20メートルほど下がってしまったのである。」(「光と影のTSMC誘致」61p)

このまま工場が稼働したら、どうなっちゃうんだろう?

完成間近の第一工場が使う水量は、菊陽町ですでに稼働している工場全部の水量を上回り、菊陽町全世帯の3倍、約5万6000世帯分の水量になる予定だ。読売新聞

熊本の水がめ、大ピンチ! ちなみに、台湾ではどうなってるの?

台風の通り道で水の豊富な台湾でさえ、2021年の水不足は大変だった。台湾政府は人工雨を降らせるために飛行機で化学物質を散布し、農地の灌漑(かんがい)を止めたせいで農家は悲鳴をあげた。台湾政府は、水不足の原因が半導体工場にあるとして、TSMC本社のある新竹市に海水の淡水化施設を建設したり、北部から水を運ぶパイプラインを敷設した。東洋経済


台湾政府も、半導体工場が水喰い虫だと認めてるんだね。でも、一企業のために国が税金を使ってインフラを建設するなんて、台湾がどれほど半導体工場を優遇しているのかわかるよ。

ああ。日本政府も同じことをやりそうだ。すでに熊本県はTSMCに甘々だ。2014年から現在まで「地下水の量には限りがある」と言って、市民に節水を呼びかけてきた熊本県だが、2023年6月に突然、「熊本市の観測井戸の水位は増えている」と言い出した。(「光と影のTSMC誘致」63〜64p)

アヤシイ〜!

さらに、企業が情報開示せずに水を大量使用できるように、「環境影響評価条例」の要件を緩和しようとしている。(「光と影のTSMC誘致」64p)

ますますアヤシイ〜!

さらにさらに、工場が使う電気代も安くしようとしている。半導体工場は24時間稼働なので、電気も食うが、日本の電気料金は台湾より高い。そこで、「JEITA半導体部会は5月、経済産業省に電気料金の負担軽減策などを求める提言書を提出した。同部会は『日本の半導体産業がさらに競争力を持つには、他国並みの電気料金が必要だ』と指摘している。」(読売新聞

そこまでする?

だが、TSMC工場には、地下水の枯渇や電気の大食い以上に、もっと深刻な問題がある。それは水の汚染だ。半導体製造にはありとあらゆる有毒、有害な重金属や化学物質が使われる。台湾では河川の25%が発がん物質や重金属で汚染され、農地の5%も汚染されていると言う。

台湾のTSMC工場

ウソ! あんな狭い小さな島なのに?

有毒物質の中には、半導体のエッチング液に使われる有機フッ化化合物PFAS(ピーファス)も含まれる。(「光と影のTSMC誘致」135p)

PFASと言えば、ダイキン汚染で問題になった、永遠に分解されずに蓄積されるフォレバー・ケミカル(永遠の化学物質)だよね? 発がん性や催奇形性があるPFAS! 台湾の人たちは大丈夫?

台湾の人口あたりの人工透析率は、世界第1位!YouTube

ヒョエ〜〜!!

ちなみに、日本は台湾に次いで世界2位。(わが国の慢性透析療法の現況

熊本のTSMCがフル稼働し始めたら、日本が第1位になる日も遠くない・・。


TSMC公害が「第2の水俣病」になる前に


そうなる前に、なんとかせにゃならん。熊本では、人びとが県に情報開示を求めたり、動き始めているが、県は開示を拒んでいる。

何を隠しているんだろう?

深田氏は言う、「水俣病とかぶるんです。水俣病って、あの工場の排水が出てきてから、魚が死んでるし、病気も増えたし、みんなおかしいおかしいと。あの工場が原因じゃないのと言ったら、政府と当時の大企業チッソが隠蔽した。」(YouTube

水俣病の患者が多発していた水俣市湯堂の漁村
Wikimedia_Commons[Public Domain]

そ・・そう言えば、水俣病も熊本だった!

水俣病は「40年間、隠蔽されてたんですよ。被害者は踏みにじられている。また、同じことをやろうとしている」「熊本の人の命に関わる問題だから、黙っていたら何も知らずに被害にあって、チッソの水俣病事件のときみたいに、何十年間も人は苦しんで、人工透析で週3で病院に行くことになったら?」(YouTube

エライコッチャ!!

熊本県もいちおう台湾まで出向いて、行政の担当に環境汚染について質問している。だが、「TSMCが原因で深刻な環境問題が発生している事実はない」との説明を素直に受け取って出した結論は、「TSMCが原因で深刻な環境問題が発生した事実はなかった」。(朝日新聞

うわ〜ん! 県職員は、台湾行って台湾料理を食べて帰るだけじゃダメじゃん! 県民の命を預かってるんだから、あっちの言うことを鵜呑みにしたらダメじゃん! 工場周辺に住む人たちの話も聞いて来なきゃダメじゃん!

台湾では地元の新聞が汚染を訴えても、台湾政府が隠蔽する。だが熊本県は、住民の問い合わせにも「企業秘密だから開示できない」と言い、熊本のメディアも「TSMCの環境汚染はない」と報道している。YouTube

熊本県と熊本のメディアは、住民の敵になってしまったのか。

台湾政府はTSMCのおかげで潤ってるから何も言えない。熊本県もTSMCに潤してもらう予定だから、あっちの言うことを鵜呑みにするしかない。

台湾総統府
Author:CEphoto, Uwe Aranas[CC BY-SA]

雇用が増える、地価が上がる、人口が増えるって喜んでいたら、水は枯渇する、発がん物質や重金属で水は汚染され、住民は病気になり、がん患者や人工透析に通う人が増えるかもしれない。これから先、健康被害が起きて、企業も国も県も責任のなすり合いで、40年も裁判が続くとか止めてほしい。

深田氏は書いている。「台湾では、TSMCと台湾政府が癒着していることに業を煮やした台湾人らがApple社に環境被害を訴え、中国では中国人が環境基準を守らないTSMCに対して拡張工事反対運動を起こした。アメリカではアリゾナの労働組合がTSMCに踏みにじられた労働者の権利を守るために闘っている。」(「光と影のTSMC誘致」230p)

TSMC公害が「第2の水俣病」になる前に、熊本だけじゃなくて、日本中が声を上げなければ!


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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