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シリアの東グータでの化学兵器攻撃は、予想通り”偽旗作戦”であることはほぼ明らか

竹下雅敏氏からの情報です。
 しばらく前から予想されていたシリアの東グータでの偽旗化学兵器攻撃が、ついに実行されてしまったようです。プーチン大統領は何度も警告していたのですが、実行せざるをえないところまで、連中は追い詰められたのかも知れません。連中の思惑は、この偽旗攻撃をシリア軍とロシア軍のせいにして、 NATO空爆に持ち込むことですが、かなりの無理筋です。この工作に対し、ロシア外務省は強く反発しています。
 この偽旗化学兵器攻撃と連動した作戦だと思いますが、シリアの空軍基地がミサイル攻撃を受けたとのことです。当初は米軍の攻撃かと思われましたが、米軍はこれを否定。どうやらイスラエル軍の仕業のようです。
 実行を諦めたのではないかと思われた偽旗化学兵器攻撃を、東グータが完全に解放される直前というこのギリギリのタイミングで実行した背景には、トランプ大統領のシリア撤退発言があるかも知れません。トランプ大統領のシリア撤退の思惑は本気のようですが、撤退されると困ると考えている者たちがトランプ政権の内外にたくさん居ます。またトランプ大統領自身も、こうした軍事的緊張関係をうまく利用している節があります。
 今回の事件の流れは、“続きはこちらから”のmkoさんの一連のツイートをご覧になると、よくわかります。東グータの完全開放寸前だったシリア軍が、化学兵器を使う理由がありません。偽旗であることがほぼ明らかなのに、何の証拠も示さず、シリア軍の仕業であると断定し、米国務省も“シリアとロシアを非難”しています。この事件のCIAと米国務省の関与を強く窺わせます。
 問題なのは、トランプ大統領がこれに同調する発言をしていること。大統領はこれが偽旗であることを知っているはずです。今後の推移を見守れば、トランプ大統領と米軍の意図がわかるようになると思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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トランプ氏「代償を払うべき」シリアの化学兵器批判(18/04/09)
配信元)
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ロシア外務省「化学兵器使用疑惑はテロリストを擁護し、外国によるシリアへの攻撃を正当化することが目的…捏造されたウソを口実とするシリアへの軍事介入はロシアが駐留するなかで決して許されない」(2018年4月8日)
引用元)
ロシア外務省は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、「捏造で外国の武力行使を正当化しようとするもの」と批判、「このような挑発は、テロリストを擁護し、外国によるシリアへの攻撃を正当化することが目的だと警鐘を鳴らしてきた」としたうえで、「こうした捏造されたウソを口実とする外国の介入は、合法的な政府の要請に基づいてロシア軍がシリアに駐留するなかで、決して受け入れられない」と発表した。
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シリア基地ミサイル攻撃の上空にイスラエル偵察機 マスコミ報道
転載元)
アラブ語の衛星TV「アル・マヤディン」が消息筋情報として報じたところによれば、シリア、ホムス州東部のT-4空軍基地がミサイル攻撃を受けた際、上空にイスラエル軍の偵察機が確認されていた。
スプートニク日本
これより前、シリア・アラブ通信は消息筋からの情報として、基地への攻撃が米軍の仕業である可能性も否めないと報じていた。

同通信が軍部の消息筋からの情報として報じたところによれば、ミサイル攻撃によって複数の死者が出ている。

シリア・アラブ通信の報道後、スプートニクが米大統領府に近い消息筋からの情報として、米政権は現段階ではシリアに対する軍事作戦は遂行していないと報じていた
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シリア政府軍の基地がミサイル攻撃を受けたと報道されているが、米軍は関与を否定
引用元)
 シリアのホムスにあるT4空軍基地が4月9日にミサイル攻撃を受けたと現地で報道されているようだ。アメリカ軍が実行した可能性を指摘する情報もあるが、アメリカ側は全面的に否定している。イスラエルやサウジアラビアが関係している可能性もある。シリア軍はミサイル数機を撃墜したとしているが、どの程度のミサイルが基地に到達したかは不明。被害状況も明確でない。
(中略)
 トランプ大統領だが、アメリカ軍をシリアから撤退させると発言、石油支配を目論む勢力から公然と批判され、アメリカ軍、特に特殊部隊の動きを見ると大統領の発言と逆方向だ。そうした中、白々しく化学兵器話がまたまた持ち出された。そうした中でのT4空軍基地への攻撃。何者かがアメリカ軍が撤退しにくいような環境を作っているようにも見える。

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第20話 ― お伽の世界

 トランプ大統領が遂に「シリアからの米軍の退去」を言明しました。幸いにもシオニストたちによるシリアの侵略戦争が失敗、ようやく終結の時を迎えられそうです。
 2000年時点で、中東にて同じアラブの同朋として大量難民のパレスチナの支援を実行していた国家はイラン、シリア、イラクとなっていました。他の中東国家はシオニスト側に寝返ってしまっていたのです。
 更に15年前、イラクの破壊によってシオニストに同調しない国家はイランとシリアのみとなり、両国はシオニストから常に攻撃の対象とされてきました。「悪の独裁者アサドへの民主化を求めるシリア国内の内戦」との欧米日マスコミのプロパガンダが喧伝され、激しい侵略戦争の攻撃をシリアが受け始めたのが2011年からでした。もしこの侵略戦争でシリアが倒されていたら・・・。
 1991年の湾岸戦争時、私はサダム・フセインが極悪だと思い込んでいました。油まみれの真っ黒になった水鳥の映像が強烈だったのです。映像による印象操作です。
 私たちは気づかないうちに常時洗脳攻撃を受けています。多くの人はテレビであからさまな「侵略攻撃」を「内戦」と常に報道されていたら「内戦」だと「思い込み」、それに従った思考と行動を無自覚にとってしまいます。実際は自分の「思い込み」でなく支配層にテレビを使い「思い込まされている」のに関わらず、その考えが自分の考えだと思ってしまっているのです。
 このように、支配層はマスコミや教育等を通して事実を改竄やねつ造して、自分に都合の良い「仮想現実」を大衆に押しつけて「現実」と思い込ませます。いわば大衆をお伽の世界をさまよう夢遊病者へと仕立てているのです。
 私たちは夢から覚め自立した判断と行動をとる必要があります。そのために「この自分の考えとしている想念は本当に自分のものか? 外から植え付けられたもでないのか?」のチェックはすべきでしょう。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第20話 ― お伽の世界


消えたスファラディ血統ユダヤ人の行方


pixabay [CC0]


1666年にメシアを名乗り非常に多数のユダヤ人信者を獲得したサバタイ・ツヴィはユダヤの父祖アブラハムの血統です。サバタイはイスラムに改宗しますが本来なら大変なこの裏切りをサバタイとナタンは改宗が「偽装」であり、それは「イスラム帝国という巨大な悪魔・敵を打ち倒すため、イスラムに成りすましその内部から破壊するためだ。」としたのでした。

そのサバタイ直系の有色血統ユダヤの弟子団がドンメーです。ドンメーの行動原理はサバタイに倣いイスラムへの「成りすまし」でイスラム世界を内部から破壊し「内部乗っ取り」することです。この行動原理に従いドンメーのムスタファ・ケマルたちは、オスマンーイスラム帝国を内部から破壊し「乗っ取り」トルコ共和国を設立したのです。また、イスラムの権威に「成りすまし」、長年にわたりイスラム世界を攻撃破壊しながらサウジアラビアを建国した有色アラブ人のサウード・ワハビ家、この正体も前回見てきたようにどう見てもドンメーなのです。

サウード・ワハビ家がドンメーということはアブラハムの血統となります。旧約の「約束の地」、もともとのユダヤ国家があった場所は、明らかにアシール地方でサウジアラビアの領土です。となると「アブラハムの子孫にこの地を与える」との旧約の一節はすでに幾度も果たされていたことになります。最終的には1925年にサウード・ワハビ家がハーシム家のヒジャーズ王国を滅亡させアラビア半島で覇権を確立した時点において、です。トルコを支配していたのも血統ユダヤ人ですから、中東の大国を血統ユダヤ人が既に支配していたわけです。

さてここである事実が・・・。現在ユダヤ人全体の9割がアシュケナジつまりハザール由来、残りの約1割がスファラディで血統ユダヤ人とされます。血統ユダヤ人の割合が余りに少ないので彼らはどこに消えたのか?が、このシリーズを始めた頃の私の疑問でした。血統12氏族のうち10氏族は消えているから血統ユダヤ人の割合が少ないのも分かりますが、それでも少なすぎると感じていたのです。

pixabay [CC0] 1 & 2 & Author:William Henry Irvine Shakespear [Public Domain]


今、歴史の中に見えなくなった血統ユダヤ人、その彼らの中でのかなりの勢力が、サバタイに倣いイスラムに偽装し中東の地に潜っている事実が浮かび上がっています。その彼らの現地での活動とは? ダーイッシュとアルカイダは本質同一のテロ集団で、櫻井ジャーナルではアルカイダとはベース(基地)との意味だが、実は「CIAやモサドと協力できる現地工作員のデータベースである」と繰り返し指摘しています。

となるとそのデータベースの元になる資料もあるはずです。それは? ふと「ドンメーの名簿では?」との想念がよぎり少し戦慄しました。単なる思いつきですが可能性はあります。テロ集団はドンメーが王のサウジから出てきているのですから。正統ユダヤ教つまりユダヤ人であることを捨て、中東の地に潜った血統ユダヤ人たち、その中の少数者は王族そして支配層となりますが、他のまとまった人数はテロ集団の一員になっている可能性は確かにあるのです。これがある一定勢力の血統ユダヤ人の長い長い放浪の末路だとすると・・・。

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第19話 ― 2002年イラク諜報機関レポート

 今から15年前、2003年3月20日、米国がイラクのバグダットにいきなり一方的にミサイルをぶち込み空爆し、衆人注視のもと「イラク戦争」という名前の「イラク人大虐殺」と大略奪を敢行しました。この国家大犯罪は現在も終了していません。イラクの無数の人々が殺害され、癒えない傷を負わされ、町を破壊され生活権を奪われています。イラクの極悪独裁者サダム・フセインが「大量破壊兵器」を所持しているとの虚偽でっち上げの言いがかりによる凶行です。それまでイラクが国連の査察に応じルールを遵守していたにもかかわらず、です。
 侵略者がバグダットを陥落させ最初に行ったこと、それはバグダット宮殿占拠とイラク国立博物館を押さえることでした。彼ら侵略者は、イラク国立博物館を破壊し、納めてあった貴重な歴史文化財を盗み出します。なぜ侵略者が何を差し置いてでも博物館を押さえたのか? 竹下さんは映像配信のどこかで「このイラク侵攻が始まる前にサダム・フセインが「これで、奴等も終わりだ。」と語っており、その意味はイスラエルの元々あった場所はパレスチナではなく、アラビアのアシール地方であったこと、その事実をフセインが掴んでおり、その証拠がイラク国立博物館に残されていたのではないか」とされていました。つまり証拠隠滅のため博物館を破壊し、文化財を運び出したという見立てです。
 これは事実でしょう。サダム・フセインのいう「奴等」とは誰か? 当時イスラムーアラブ世界の一員として、イラクが闘っていたのはイスラエルです。サダム・フセインの指す「奴等」とはイスラエルであり、同時に中東でイスラエルと同盟を組むサウジアラビアとトルコのはずです。そしてその後ろ盾となっている米英です。一口で言えばシオニストです。
 シオニストの主張するイスラエルが、パレスチナを占拠できうる根拠は、旧約聖書の中に出てくる「神がアブラハムを祝福しその子孫にこの地を与えることにした」との一節のみです。常識的には、こんな屁理屈が根拠になり得ないのは明白ではあります。しかしそのシオニストの主張である「約束の地」がパレスチナではなくアシール地方であるなら、シオニストの主張するパレスチナ占拠の根拠さえもが完全に崩壊です。証拠隠滅をシオニストが図るわけです。
 そして実はそれ以外にも、シオニストがその隠蔽を絶対に何としても実行せねばならない事実が、もう一つあると私は見ています。それはイスラエルと中東の地にて同盟を組むサウジアラビアとトルコの正体、とりわけサウジの王族サウード・ワハビ家の正体です。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第19話 ― 2002年イラク諜報機関レポート

サダム・フセインの諜報機関


米国に騙され、クエートに侵攻し、湾岸戦争で大ダメージを負わされたサダム・フセインのイラク。イラクは湾岸戦争後も次々と経済制裁等を負わされ、国家は疲弊衰退します。一方、建国以来中東戦争に次々と勝利したイスラエルは、中東で我が物顔に振る舞い、中東での同盟国のサウジアラビアとトルコも繁栄。


こういった状況の国家存亡の危機に、サダム・フセインは起死回生の一手を模索、特に米国に騙された苦い経験から、麾下の諜報機関に敵側の弱点発見を厳命したであろうことは想像に難くありません。そしてそれは見つかったようです。サダム・フセインから「これで奴等も終わりだ。」と言葉が漏れた報告が。サウジアラビアとトルコの正体を明かす報告です。

2002年サダム・フセイン政権下でイラク諜報機関がレポートを作成、それを米・国防省が公表したとの情報があります。情報の発信は2011年8月2日に独立史家デイビッド・リビングストン氏によりなされ、その要点の短縮和訳文が同年の8月4日「阿修羅掲示板」に投稿者ABCD氏にて以下のように投稿されています。
サウジ・アラビア王室を中心にしたワハビ派(サラフィス)は反・イスラム勢力である、という。

ワハビ派はイスラム教のサブ・グループとされるが、元は18世紀、英国のエージェントであったアブドル・ワハビが始めたカルトであった。オットーマン帝国時代(19世紀)は弾圧されたが、英国のアシストもあり、1932年、サウジを建国。それ以来、親米であり、イスラム原理主義過激派をそだててきた。アメリカの代理として、ソ連とアフガン戦争をした。

アブドル・ワハビとそのスポンサーであったイブン・サウッドが(隠れ)ユダヤ人であった可能性が出てきた。

トルコのドンメ―・ユダヤの出。ドンメ―・ユダヤは悪名高い偽メシヤ、シャベッタイ・ゼビの信者・その末裔
だ。ゼビは1666年、ユダヤからイスラムに回心(隠れユダヤ)している。

ヨーロッパでは、一世紀後、ゼビの生まれ変わりとされたヤコブ・フランクが主導者となり、このシャベッタィアンの中にロスチャイルドもいた。

ドンメ―はサロニカ市で活発で、これはフリーメーソンのホット・ベットと重なる。後のヤング・トルコ運動。

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シリアの東グータが、ついにテロリストから解放された! ~シリア政府軍とロシアは、侵略組織NATOと戦い、ほぼ勝利~

竹下雅敏氏からの情報です。
 シリアの東グータが、テロリストから解放されたようです。マクマスター国家安全保障補佐官が解任されたことから、東グータの解放は近いと思っていました。シリア情勢はこれまで非常に緊迫しており、識者の中には、第三次大戦が始まるのではないかとする声が多かったのですが、プーチン大統領が年次教書演説でロシアの最新兵器を紹介したあたりから、マティス米国房長官らの開戦の意思が急激に低下するのを観察していたので、米露の戦いは起こらないと思っていました。
 シリアでの敗北が受け入れられないイギリスとその背後にいるロスチャイルド家は、自作自演と思われるセルゲイ・スクリバルに対する毒殺未遂事件をロシアのせいにして、ロシアに対する嫌がらせを続けています。
 プーチン大統領は、“ロシアとその同盟国に対する核兵器使用には直ちに報復する”と言っています。これは単に、巡航ミサイルを発射した戦艦や空母を攻撃すると言っているのではない気がします。命令の出所であるロスチャイルド家の本拠地に核を打ち込むと言っているような気がするのです。彼らが開戦する勇気など持たないのは明らかだと思います。
(竹下雅敏)
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配信元)
 
 
 
 
 
 
 

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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第18話 ― サウード・ワハビ家

 2016年夏、トルコでトルコ軍の一部によるクーデター騒ぎがありました。トルコのエルドアン大統領が身柄拘束もしくは殺害、その直前にエルドアン大統領にプーチン大統領から知らせがあり、クーデターはすんでのところで未遂に終わりました。そしてこのクーデターに対する大粛正を行った結果、国際的には窮地にも陥ったエルドアンに、プーチンが援助の手をさしのべました。これにより、それまで敵対関係にあったトルコとロシアの関係は変化改善して、トルコはロシアの傘下に入ったように見えました。トルコは本来イスラエルの兄弟国で同盟関係にあるはず、しかし現在の状況は微妙ですが、少なくとも同盟関係では無くなっているように見えます。
 このトルコの立ち位置の変化は、中東そして世界情勢に大きな影響があったはずです。エルドアンは多分オスマン帝国の復活とカリフの座につく野望があり、現在もその野望を捨てていないように見えますが、これは「トルコの父」ムスタファ・ケマルの意志に反します。一連のクーデター騒ぎは、前回見たようにトルコが軍を中心にドンメー即ちサバタイ-フランキストにより支配される国家であったことが大きく関わっているでしょう。
 さて、こう見てくると中東でイスラムを名乗りながらもイスラエルと同盟関係にあるサウジアラビアが、いかなる国家であるのか?が気になります。サウジはアラブの盟主を自認し、イスラムのスンニ派を名乗って中東のイスラム世界に大きな影響をあたえています。しかし反面サウジはイスラエルと同盟を組み、テロ組織アルカイダやダーイッシュと関わりが非常に深く、各種の報告にてこれらのテロ組織の支援を行って来たことが明かされています。このまるで掴み所が無くジョーカーのような国、サウジアラビアを今回は追います。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第18話 ― サウード・ワハビ家

スンニ派とシーア派の闘争?


私たち日本人はイスラム世界と縁が遠く、その宗教や生活の実態は知りません。私たちは欧米のニュースを通してイスラムを知らされ、そのイメージ付けをされてしまっています。私たちは流されるニュースを通して、イスラムに対し「イスラム教徒とは随分熱心だなー!」と思う反面、「なんとなく野蛮そうで怖い。」「何かずっと争っている。」「同じイスラムでも宗派間で流血や殺人まで至る激しい闘争がある」。このようなイメージを抱いているのではないでしょうか?

イスラムは生活に密着しており、単なる宗教思想ではないのですが、大まかには二派に分かれます。スンニ派とシーア派です。イスラム全体の約8割がスンニ派、1割強がシーア派とされます。中東でのスンニ派の代表国とされるのがサウジアラビアで、シーア派の代表国がイランです。スンニ派とシーア派、この両派が激しく抗争しているように私たちは思わされていますが、ある意味では正解であり、同時に全くの間違いでもあるようです。


イスラムで両派が分かれたのは632年の預言者ムハンマドの死に遡ります。ムハンマドの後継者の最高宗教指導者カリフ、この選出は血のつながりでは無く皆の合意、特に「スンナ(慣行)」を重視すべきとしたのがスンニ派です。一方、カリフはムハンマドの娘婿で従兄弟、血の繋がったアリーとその子孫から選ぶべきだ、「シーア・アリー(アリーに従え)」と考えた人たちがシーア派を構成したようです。従ってスンニ派とシーア派の相違は、本質的に預言者ムハンマドの後継者に対する考え方だけで、宗教教義上の相違があるわけではないのです。お祈りの作法や回数に少し違いがあるようですが、スンニ派であろうがシーア派であろうが、同じイスラム教を信奉していることに変わりがありません。おまけに後継者争いがあったのは1400年近く前の話です。これで現在も宗教上の理由でスンニ派とシーア派が流血の争い、ましてや死者を出すほどの抗争がおきるはずがありません。実際イラクでは、スンニ派もシーア派の人々もいますが互いに交流し結婚もしているようです。当然といえば当然です。

しかし反面スンニ派とされる勢力とシーア派勢力の争いがあるのも事実です。国家としてサウジとイランの争いがあります。この抗争は宗教ではなく、経済や国家の姿勢によるものでしょうが、有り体に言えば、これも欧米というか偽ユダヤの思惑で「創られた抗争」です。そして中東での抗争の実行犯がサウジなのです。サウジはスンニ派を名乗っています。しかしこれは大いに疑問があります。政教一致国サウジの国教はイスラム原理主義のワッハーブ派です。「預言者ムハンマドの時代に戻れ」と叫び、それ以外の一切を認めない過激で排他的な宗派です。排他的なワッハーブ派は、とてもではありませんが、後継者選びに皆の合意を大切にしたスンニ派には見えないのです。

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