世界はアジア主導の多極化へ、はっきりと舵を切り始めた ~アメリカの言いなりにならないロシア、中国の台頭、そしてアメリカの世界覇権を支えていたディープ・ステートの壊滅作戦が流れを加速~

竹下雅敏氏からの情報です。
 冒頭の長周新聞の記事のタイトルが、シンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談の意味を明確に示しています。世界はアジア主導の多極化へ、はっきりと舵を切り始めたのです。
 “底流に流れるのは…米国の軍事覇権の衰退”であり、アメリカの言いなりにならないロシア、中国の台頭によるものですが、アメリカの世界覇権を支えていたディープ・ステートの壊滅作戦が、流れを加速したのは間違いありません。
 次の記事では、サウジアラビアのムハンマド皇太子は、“サウジアラビアを、三大陸のアフリカ-ユーラシア経済の中心に本気でしたがっている”とあります。サウジアラビアはロシアに接近しており、トランプ大統領とは協力関係にあるように見えます。北朝鮮の次はイラン、そしてイスラエルですが、ムハンマド皇太子の中東における役割は、かなり大きなものになるかも知れません。
 その下の記事では、今回のG7サミットの壊滅的な様子と、対照的な上海協力機構会議の様子から、“アメリカ率いる欧米秩序は明らかに解体しつつある”としています。重要なのは、文末の太字にした部分。帝国主義とその傀儡であるG7を、“いかにすれば、安全に平和な多国間互恵的関係に変えられるか”です。
 この役割を担っているのが、当のアメリカ大統領と米軍部であるというのは、何とも皮肉なことではあります。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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朝鮮戦争終結へ歴史的一歩 対話で動き始めた東アジア 多極化を反映し新段階へ
転載元)
共同声明に署名したトランプと金正恩(12日、シンガポール)
画像はシャンティ・フーラが挿入

史上初の米朝首脳会談が実現
 
シンガポールのセントーサ島で12日、史上初の米朝首脳会談がおこなわれた。(中略)… 米朝首脳会談の実現は、事実上、米朝の戦争状態と敵対関係を終わらせ、国交正常化に向けて大きく前進する一歩となった。
(中略)
朝鮮和平に向けて北朝鮮、韓国、中国、ロシアとの間で合意が形成され、経済制裁が形骸化し、水面下では経済交流や市場開放のプロセスまで動き出すなかで、米国が東アジアの覇権や朝鮮半島における経済権益を維持するうえでは北朝鮮との早期対話と関係改善は避けられない事態を迎えていたといえる。
(中略)
底流に流れるのは、第二次大戦以来続く米国の軍事覇権の衰退であり、核による恫喝と介入、そして「核の傘」による分断支配を許さないアジアにおける世論の奔流に押されたものにほかならない。

対米従属のみを政治的命題として、蚊帳の外を飛び回るだけの安倍政府の孤立ぶりがそれを如実に物語っている。主権を回復し、平等互恵の原則にたった独自外交を展開しなければ、拉致問題の解決はおろか、新段階に進むアジア情勢からとり残されていく趨勢にある。東アジア情勢の急速な変化は、日本を米国の「不沈空母」とする対米従属政治に終止符をうち、みずからの手で主権をとり戻す日本の課題を改めて浮き彫りにしている。
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大西洋体制が崩壊する中、岐路に立つヨーロッパ
引用元)
ここ数日間の世界の出来事は(中略)…  EU内における西から東への地政学的極性反転とでも呼ぶべきものの初期段階を我々は目の当たりにしているのだ。
(中略)
アメリカ大統領のツイートの光景は、どう見ても、一貫性のないアメリカ大統領の気まぐれというよりも、アメリカの同盟諸国全てを動揺させるための計算ずくの戦略だ。(中略)…  アメリカ経済は、わずか1%の富裕層に失血させられ、限界点に至っているのだ。
(中略)
 壮大な一帯一路構想と、ロシアとイランの巨大な潜在的経済力で、経済的に成長市場が東方にあることが益々明らかになりつつある。(中略)… ロシア国有鉄道CEOが、ロシアは、ペルシャ湾南端沿いに、クウェートからオマーンを結ぶアラビア横断鉄道建設への参加を計画していると発表した。(中略)… ビン・サルマーン皇太子は、サウジアラビアを、三大陸のアフリカ-ユーラシア経済の中心に本気でしたがっているように見える。
(中略)
ユーラシアの潜在的経済力が、負債で膨れ上がって崩壊しつつある大西洋両岸のドル本位体制への実現可能な代案として出現しつつある。
(以下略)
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二サミット物語
引用元)
(前略)
週末、欧米のG7サミットがとげとげしく崩壊する光景は、同時期に中国で開催された、前向きで、まばゆい上海協力機構会議とは著しい対照だった。(中略)…  中国とロシアが率いる新たな多国間パラダイムに道を譲って、アメリカ率いる欧米秩序は明らかに解体しつつある。
(中略)
中国におけるSCOサミットの展開との対照は実に大きい。(中略)…  インドとパキスタンがSCOの新たな二国として参加、同席したのは、新たな地政学的パラダイムが、東で立ち上がりつつあることを証明する強力な証拠だ。(中略)…  イランのハサン・ロウハーニー大統領は、習とプーチンが多国間の尊重に基づく新たな世界構造を構築する道を拓いていることに感謝の意を表した。
(中略)
ヨーロッパは決して本当の同盟国ではない。彼らはアメリカ権力の付属物だった。アメリカの権威が衰退している今(中略)… ワシントンは、自分たちの本当の役割が属国に過ぎないことに今頃気づいた同盟諸国であるはずの国々に対し、一層あからさまな弱いものいじめ戦術を用いている。
(中略)
死につつある、アメリカ率いる資本主義覇権と帝国主義の欧米帝国を、いかにすれば、安全に平和な多国間互恵的関係に変えられるかが、非常に重要な課題だ。
(以下略)


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イラン外相、「上海協力機構の会議は、G7の会議とは全く違うものだった」
転載元)
イランのザリーフ外務大臣が(中略)… 11日月曜、ツイッター上で、カナダのケベックでのG7先進7ヶ国の会議の参加者は互いに論争して最大の約束違反国(アメリカ)を納得させようとしたがその努力が失敗した一方で、中国のチンタオで開催された上海協力機構の首脳会議は、完全に異なった雰囲気を有していた。その雰囲気とは、多極主義を信じる各国国民の間の尊重に基づく協力だった」と述べました。

ザリーフ大臣はこれ以前にも、別のツイートで、「今回の上海協力機構の首脳会議は、世界がいかに急速に、有益な二国間協力の遵守と核合意への断固とした支持、及び一極主義への反対という方向に変化しているかを示した」としました。

また、「今回の上海協力機構首脳会議の傍ら、イランのローハーニー大統領は、中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン大統領など各国の首脳たちと建設的な会談を行った」としています。
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配信元)

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