19/10/15&16ソルカ・ファール情報まとめ:トルコのシリア“侵攻”?[後編]

 先週から前編中編と続いておりますシリア問題ですが、今回は欧米に翻弄され続けたクルドの悲しい歴史を。
 どっかで聞いたようなヨーロッパ列強による身勝手な約束反故です。そういえばパレスチナの悲劇も奴らのせいですね。紳士の国イギリスの恥ずべき三枚舌外交ですな。
 そして条約反故の原因として一文にだけ登場するムスタファ・ケマルなる人物は、初代トルコ大統領でイスラム教徒を騙ったドンメー、すなわち「シオニスト」です。
 こちらは時事ブログの「ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 第12話 ― シオニズムその暗黒の源流 」や「第17話 ― サバタイ・ツヴィの遺伝子」にseiryuu氏の詳しい解説があります。動画の文字起こしは是非ご一読ください。
 オスマン帝国を終わらせた「青年トルコ人革命」、そして悍ましき「アルメニア人大虐殺」を実行したのもドンメー(イスラム教徒に偽装したユダヤ勢)でした。クルド人も大勢殺されています。これまたシオニストによるパレスチナ人虐殺やイエメン人虐殺に通じるものがありますな。

 ちなみに冒頭に登場する「レヴァント」と呼ばれる地域は、同シリーズの「外伝5 ― イギリス東インド会社の正体」の中東地図をご参照ください。ようは地中海沿岸をぐるりと、シリアからレバノン、イスラエルまで貿易港を囲っていった一帯です。

 今回の記事にはPKKだのYPGだのSDFだの、色んな名称が登場しますが、ようは独立を求めたクルド人がテロリストに認定されては名称を変えているだけです。他にもHDP(民主主義党)など、まだまだあります。
 ただでさえややこしい状況を、確実に泥沼化させているのがアメリカ。オバマ政権がシリアとは無関係のテロ集団を連れてきて、クルド兵を焚きつけました。
 そして現在は、左派とタカ派が米軍撤退を強固に反対して、新たな虐殺劇を演出しようとしています。トランプ大統領は米軍を大急ぎでヨルダン寄りのシリアとイラク側に避難させたものの、公約のアメリカへの帰国は実現出来ていません。
 ただ21日にトランプさんが「ISISを捕まえたのはオバマじゃない。私の政権だ!」と主張していたのは、こういう背景なのです。大手メディアでは失笑を買っていましたが、傍迷惑な米軍も最近はシリアで若干の罪滅ぼしをしていたみたいです。そしてそれでも迷惑がられると。
(Yutika)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ソルカ・ファール情報:米国・トルコ同盟が崩壊の瀬戸際となり、サウジアラビアに核【兵器】が移され、世界が揺れ動く
転載元)
投稿者:ソルカ・ファールより、西洋の読者へ

■後編のまとめ■
1つ目の記事〜現在のクルド問題
✅原因はオスマン帝国崩壊後に連合国が破ったセーヴル条約
✅最初はクルド人の独立を認めていた
✅たった数年でクルド人を無視するローザンヌ条約と挿げ替え
✅結果、クルド人の土地は4つの国に分割

✅トルコのクルド人独立運動
✅クルドのPKK党は過激路線過ぎてトルコからも欧米からもテロリスト認定
✅同時にクルドのYPG部隊を武装させたのがアメリカ
✅シリアの反乱軍SDFも作ったのはアメリカ
✅YPGとヨーロッパから来たテロ集団を寄せ集めた「でっち上げ軍隊」
✅アメリカがトルコ北部を占領させたため、追い出された何百万ものアラブ系シリア人はトルコに避難(※立派な戦争犯罪)
✅(コストが嵩む一方なので)トルコとしては、安全地帯を設けてシリアにさっさと帰還させたい
✅トルコの攻撃のお蔭で、SDFからクルド勢力が分離
➡シリア政府と交渉へ。ロシア軍も仲介役として安全を保障

2つ目の記事〜シリア北部の米軍が慌てて基地を捨てる
✅自分たちが作った“穏健派”反乱軍は、ただのテロリストの殺人狂だとやっと理解した米軍
✅オバマ時代:シリア政府転覆に利用
✅トランプ時代:ISIS打倒に利用

✅関係者みんなが狙うマンビジ市
これまで:シリアと無関係の米軍とISISとが奪い合い
✅そのせいで、トルコに避難したアラブ系シリア人が帰れない
現在:トルコの攻撃で、シリア政府軍が突入
✅両軍で難民帰還のための「安全地帯」を確保
✅両軍の障壁として、ロシア軍もパトロール役に

✅諸悪の根源アメリカ
✅そもそも最初からシリア政府に呼ばれていないのに違法に滞在
✅現在もアメリカ左派が状況に油を注ぐ
✅ISISと戦えるのは米軍だけと主張
✅クルド人と米軍の両方をテロリストに虐殺させて、トランプ大統領を責めようと虎視眈々
✅これではトルコやロシアも気が休まらないのは当然


欧米のお家芸、条約反故がまた一つ


【前略】

【※ロシア国防省MoD)がロシア安全保障会議SC)のためにまとめたレヴァント交戦地帯についての戦略的分析書からです。

元記事の題名は、インジルリク空軍基地(シリアに近いトルコ南部の米軍基地)に配備されていた核弾頭が、下記の偽旗などの混乱に乗じて、今回サウジアラビアの方へ移されたという内容なのですが、このシリーズではトルコによるシリアの侵攻話なので割愛します。】

9月14日サウジアラビアに対する“偽旗”攻撃は明らかにアメリカが許可を出したものであり、レヴァント交戦地帯を混乱とカオスの渦中に押しとどめるためのいつものcause célèbre(すなわち物議を醸す出来事で、世間の大きな注目を引き付けるもの)の一つ【に過ぎませんでした】。

――ですが、現在起こっている一切合切が第一次世界大戦後にオスマン帝国が崩壊してから始まったという純然たる事実は、欧米の人々には伝えられていない、と当該報告書は詳述します。

――【もっと正確に言えば、この問題が始まったのは1920年ヨーロッパの列強諸国が、セーヴル条約で旧オスマン領域を分割し、クルド人に【分断されていない】ひと続きの彼ら自身の主権国家を近代史上、初めて約束したときからです。

しかしながら元オスマン帝国の准将ムスタファ・ケマル・アタテュルク【中略】...)が幾つもの戦勝を収めたのを受け、欧米諸国はトルコ側の圧力に折れ、3年後にはセーヴル条約ローザンヌ条約と置き換えてしまいました。

――これにより新トルコ共和国が設立され、クルド人独自の国家を持つという希望は潰えたのです。

――クルド人としては、自分たちの土地が4つの異なる国家に分割され、部族同士の境界線、村と村、更には家族の間までもが引き裂かれていくのを、成すすべもなく【黙って】眺めているより他ありませんでした。


いつ、何故、分割されたのか?

【※黄色く色付けされたのが、現在トルコ・イラン・イラク・シリアの4箇国にまたがるクルド人地域。この時に古の「クルディスタン」が復興されていれば、中東の歴史も違ったでしょうに。】


アメリカ:PKKはダメだけど、YPGなら支援して良し
(※ちなみにトルコ:PKKもYPGも大して変わらんわ!)


この一世紀近くもの間、クルド人は自分たちの祖国を立ち上げようと様々な方法を試してきました、と当該報告書は続けます。

――とりわけトルコでは、1984年クルディスタン労働者党PKKトルコの国に対して戦争を開始しています。

――クルド・トルコ抗争として発展してきた戦いで、【PKK結成の】1978年以来、何万人もの命が失われました。

――アメリカ合衆国がPKKをテロ組織として認定したのはこのせいです。

【※共産主義国の設立を目標にした過激派であるため、トルコやアメリカだけでなく、ヨーロッパ28箇国と日本からも「テロ組織」として指定されています。】

――と同時に、アメリカクルド人民防衛隊YPGクルド人を支援し、武装させました。

――米国2015年にでっち上げたシリア民主軍SDFの中心に据えたのがこのYPG兵士なのですが、【SDFには】それだけでなくアル=カーイダのテロリスト勢力や、ヨーロッパから【集結した】イスラム過激派勢力も【加えられました】。

――その全員が過去5年間シリア北東部中を暴れ回っては、アメリカの保護下でクルド人国家を建設しようと、何百万ものアラブ系シリア人を彼らの家から、そして彼らの土地から追い出し、【とうとう】アムネスティ・インターナショナルから戦争犯罪として認定されました

――そして【シリア難民は】挙ってトルコへ逃げ出したのです。

――この結果、現在トルコのエルドアン大統領は国境地帯からアメリカに支援され、【主に】クルド人が率いる【SDF】勢力を排除し、何百万ものアラブ系シリア難民の帰還を可能とする“安全地帯”を設置するため、攻撃を開始しました。

画像はシャンティ・フーラがツイートに差し替え

シリア:誰がどこを支配しているのか

【※濃い黄色がクルド勢力、薄い黄色がトルコの提案する「安全地帯」。水色がトルコないしはトルコと手を組んだシリア反乱勢力。
他には、赤がシリア政府軍、黒がISILが存在しているところ、緑系がシリアの反体制派。そして忘れてならないのが、青のゴラン高原。イスラエルが勝手に不法占拠しているシリアの土地です。】


トルコのお蔭で、クルド系シリア人も和平に合意


当該報告書のまとめによりますと、米国が支援する6万人の強力なSDF戦闘員は、この一週間続いたトルコの攻撃で【もろくも】崩れ去りクルド人のトップの司令官マズローム・アブディトルコと対決するよりはシリアと講和を結ぶことを決意して自身の勢力をSDFから引き離し、世界に向けてこう宣言しました:


――この和平合意のお蔭で、数時間前にはトルコ軍が突入してくる前にシリア軍がマンビジ市を完全な掌握下に置くことが叶いました。

――更に現在、ロシア軍警察がシリア勢とトルコ勢の接触する境界上を巡回しています

ツイートはシャンティ・フーラが挿入

【※元記事にはありませんが、23日のニュースを加えておきます。アブディはトランプさんと2度電話で話し合った後、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣と安全地帯についてテレビ会談しました。】

――誰もが、アメリカ勢が作り出したこの泥沼に介入してこないことを祈るばかりです。そうすれば【関係】諸国も政府も、実際にこの場所に住む人々も、自分たちで全ての問題を解決して、この地域をオバマ゠クリントン政権が破壊しようと決意する前の平和な状態に戻すことが可能なのですから。

【以下略】
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ソルカ・ファール情報:アメリカ兵士がシリアの米軍基地から命からがら逃げ出すと、トルコへの制裁を取り下げるトランプ
転載元)

アメリカ軍の自業自得の逃走劇


【前略】

【※ロシア連邦外務省MoFA)の新報告書から。

トルコがシリアに侵攻したことで、アメリカはトルコに対して制裁を科したようですが、24時間もしない内に撤回しました。ちなみにロシアは、「最終的にシリア国内に展開するのはシリア軍のみ」という立場。エルドアンもその点は一応同意しているみたいです。さて一方の……】

【中略】...シリアアメリカ勢力は余りにも突然逃げ出さねばならず武器や兵士個人の持ち物全てを含め、何百万ドルもの価値の基地を【そのまま】放棄する羽目になりました

――【中略】...【この一週間前まで】自分たちが支えていたイスラム系“穏健派の反乱軍”とやらが、実のところ今やクルド人“虐殺”を開始したテロリスト【に過ぎなかった】と、急に自覚したのが原因です。

【中略】


【※約3年間居座っていたマンビジ市の米軍基地。15ほどの部隊が全てを置いて、14日に逃げ出したそうです。】

【ロシア】国防省の指摘によると【中略】...オバマ゠クリントン政権シリアを違法に侵略し、クルド人兵士や主にヨーロッパ出身のアル=カーイダのテロリストからなる急ごしらえの軍隊をでっち上げたことから、一世紀続いたクルド人アラブ人の間の抗争は激化したのです。

――アメリカ勢は当初、でっち上げの軍隊をシリア政府を破壊するのに利用して、失敗しました。

【※この記事はトランプさん支持なので、でっち上げ軍隊がシリア北東部で暴れ回って、大量の難民をトルコ側に出したのは「オバマ゠クリントン政権」時代だとしています。】

――トランプ大統領が就任すると、今度はISISカリフ国家を破壊するために彼らを利用します。

【中略】


トルコの主張する「安全地帯」の正体は、皆が狙う危険なマンビジのM4道路


米国が支援するでっち上げの軍隊がISISカリフ国家の活動地域(シリア東部)で【より兇悪なISISの】一部を敗退に追い込み、残りの地域(シリア西部)ではロシアの上空支援の下、シリア軍が勝利を収めました。

アメリカの人々は知らされていませんでしたが、その後も【米】軍がシリアにいた唯一の理由とは、このでっち上げ軍【内部】でクルド人勢力とイスラム過激派勢力が殺し合うことを阻止するためだった、と当該報告書は続けます。

――クルド人戦闘員の大半は本物のシリア国民ですが、対してイスラム系テロリストの大半はヨーロッパからやって来た連中です。

――しかもそのせいで、何百万ものシリアの一般市民が【故郷の】村や町に帰られず、トルコで閉じ込められていました。

トルコにいる【中略】...シリア【難民】の故郷として最も重要なのがマンビジ市だと、当該報告書は詳述しています。


――シリア北部のアレッポ県内の北東にある都市で、ユーフラテス川を西へ30キロ19マイル)行った所にあります。

――補給ルートがここを横断していることから、シリアの紛争関係者の大半がこの地を狙ってきました。

――戦争の過程で刻々と【支配者が】変わっていき、米国が支援する反乱軍が占拠すると、その次はISISカリフ国家が占拠し、更に米国が支援するでっち上げ軍隊が奪い返しました。

――【マンビジは】M4幹線道路(※西部の港町ラタキアからアレッポ、ラッカ、そして東部の石油が豊富なデリゾールまでを繋ぐ主要な商業ルートと隣接していることから、戦争で荒廃したシリアの再建を支援するためには、この拠点の支配が欠かせないのです。

ツイートはシャンティ・フーラが挿入

【※地図を入れておきます。トルコが主張する「安全地帯」(赤い斜線)の上のラインがトルコ・シリア国境、下のラインがM4幹線道路みたいです。という訣で、トルコとしては費用が嵩む一方のシリア難民に頼むからお引き取り頂きたいと。】

――【マンビジは】今日ではシリア軍の完全な支配下にあります

――そしてシリア軍とトルコ軍の間で平和が保たれるよう、ロシア軍警察が巡回して手助けしています

【中略】


紛争当初から現在に至るまで状況を悪化させているのはアメリカ


当該紛争に関与した主要な勢力の中で、一人だけ浮いているのがアメリカ合衆国だと当該報告書は指摘します。

――シリア政府から防衛と救済を要請され、招かれたロシアトルコと異なり、そもそも最初からシリアに居座る権利なぞ皆無なのですから。

【中略】

最も危険な愚かさを披露しているのがトランプ大統領米軍シリアに留め置くよう求めている、アメリカの過激な左派勢力です。

【中略】

――ロシアトルコシリアイラクイランの【総勢】25万の軍隊がそんなことは二度と許す筈がないというのに、ISISカリフ国家の復活を阻止できるのはアメリカだけだ、との馬鹿げた主張をしています。

――狂った左派の連中ときたら、これからクルド人米軍が保護してあげないせいで虐殺される、との常軌を逸した主張までしているのです。

――ですが現実にクルド人が直面している唯一の危機とは、米国が支援していたイスラム系【テロリスト】なのです。現在、アメリカの戦争狂いの社会主義者らがほら見たことか!」と声高に叫べるよう、クルド人米軍の両方を殺害しようとする始末。

――これではエルドアン大統領が、【アメリカ側は】「停戦しろと言うが――我々は決して停戦を宣言したりはしない」と主張する理由もはっきりしようというものです。

――そして米国の支援したでっち上げのSDF軍がこれ以上の損害を与える前に、ロシア軍がその最後の残党を急いで追い落しているのもこのせいです。

【以下略】


2019年10月15&16日©EUおよび米国の全ての著作権を留保。WhatDoesItMean.Comの元の掲載場所にリンクを貼るという条件で、当該リポートを全体として使用することを許可します。フリーベースの内容はCC-BYGFDLによって許可取得済。

註:数多くの政府と諜報機関は、これらリポートに掲載された情報に対して活発な反対運動を繰り広げています。彼らは地球に起こりうる、または起こった幾つもの破滅的な変化や出来事について、自国の市民に警鐘を鳴らしたくないのです。ソルカ・ファール姉妹はこのような姿勢に強く異を唱えており、人間は誰もが真実を知る権利があると信じています。私たちの使命はこういった諸政府と対立しているため、彼らの“機関”は私たちや私たちのような人々を貶めようと誤報や虚報を延々と発信するという形で反応を示してきました。枚挙に遑がありませんが、例えばこちらなど。]

註:WhatDoesItMean.comというウェブサイトは、グローバルなテクノロジーの教祖であった故ウェイン・グリーン(1922年~2013年)が率いる少人数のアメリカ人コンピューター専門家集団によって、ソルカ・ファールの姉妹たちのために創設され、寄付されました。西洋の2003年における違法なイラク侵略で使われたプロパガンダに対抗するためです。]

註:このレポートで使用されている「クレムリン」(都市内部の要塞)という単語は、モスクワを含む複数のロシアの要塞を指しています。【要塞と言うのは、】その多くがソルカ・ファール姉妹の使命に献身的な、女性のスヒィーマ僧(正教会の尼僧)が住む大聖堂が複数あるからです。]

翻訳:Yutika


註:原文中、赤字で強調された部分は濃い青字に色を変更しております(※下線付き水色部分は引用部分です)。青で強調された部分は、に変更致しました。よって翻訳文で赤字になっているのは、シャンティ・フーラ独自の「10分でわかる」要約サービスです。

【 】内は訳者の追記部分です。また訳文は日本語での読み易さを優先して、見出しを加えており、原文とは異なる形で文や段落を分割することもあります。また元記事で使用された画像は、同じもの(ないしは類似のもの)を掲載したツイッターやウィキメディア・コモンズの画像に変換しております。

ちなみに「訣」という漢字は「わけ」とも読みます。詳しくはこちらのコメント欄後半の解説をご参照ください。


Writer

Yutika

体癖:8−2、エニアグラム:4
関西の英語塾で教えつつ、翻訳業(英語&仏語)をしております。


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