ユダヤ問題のポイント(日本 昭和編) ― 第14話 ― 統一通貨「圓」

 「虫の目」的に特務機関と、それぞれが夜の満洲の帝王、阿片王とも称された甘粕正彦と里見甫にスポットを当てて、民間の阿片事業特務機関が生み出した莫大な収益が関東軍に流れていたのを見ました。
 ただし、関東軍の活動資金は、この阿片事業の収益以外の主力となる資金がありました。かつてNHKスペシャル「圓の戦争」などで「関東軍は朝鮮銀行に通貨を発行させて軍資金を賄っていた」と指摘されています。
 関東軍が独自に朝鮮銀行から資金調達していた、これは大変なことで、実質的に関東軍は「通貨発行権」を駆使していたことになります。日本帝国陸軍の一部門に過ぎないはずの関東軍が、なぜこのような超国家的な権限を駆使できたのか? 関東軍単独で眺めたならばありえないことです。
 しかし、関東軍を含め、そのルーツとも言える満鉄などもひと塊のものとして見たならば、様相が変わります。満洲地域を植民地経営する目的で設立の満鉄が範としたのが、麻薬貿易独占と外国との宣戦布告・交戦権の他に通貨発行権も有していたイギリス東インド会社でした。イギリス東インド会社に倣って、満洲を植民地経営する満鉄や関東軍などの一つの塊としてのグループが、外国へ軍事攻撃を仕掛け、阿片事業を展開し、通貨発行権を駆使していたと見れば、関東軍の振る舞いなどに合点がいきます。
 言うまでもありません、この一つの塊グループは裏天皇グループです。彼らは満洲だけではなく満洲に先立って日本領となっていた台湾、そして韓国(朝鮮)の植民地経営も担っていたのでしょう。だからこそ朝鮮銀行が同じグループの関東軍に資金調達できたのです。
 今回は整理の意味もあってある程度の歴史も踏まえて、「鳥の目」的に日中戦争あたりまでの流れを見ていきます。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(日本 昭和編) ― 第14話 ― 統一通貨「圓」


満洲地域の植民地経営機関


この数回、裏天皇の実働部隊だと見なせる特務機関について、そして特務機関の中でも民間人による阿片取引の主役であった甘粕正彦と里見甫にスポットを当ててみました。

阿片売買事業は関東軍の傀儡国家であった満洲国の国策であり、その阿片売買事業の収益は関東軍に流れていたのです。ただし、阿片はその性格上、国や軍を表に出した事業展開はできないので、民間人である甘粕正彦や里見甫などが阿片事業を担当していたのでした。

満洲国北部の芥子畑
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甘粕も里見も同じ経緯を経て阿片事業を担当しています。即ち、中国大陸に渡った後に満鉄に勤め、その後に関東軍の要請によって阿片事業を展開しているのです。そして彼らの阿片事業の莫大な収益は関東軍に、また満洲国の行政を司っていた岸信介などにも渡っています。

満洲国設立後にこれを実質支配したのは関東軍ですが、関東軍はその傀儡国家である満洲国政府はもちろんですが、満鉄とは分かちがたい関係にありました。関東軍のウィキペディア記事に次のようにある通りです。

関東都督府陸軍部が前身1919年(大正8年)に関東都督府が関東庁に改組されると同時に、台湾軍・朝鮮軍・支那駐屯軍などと同じ軍たる関東軍として独立した。

また関東軍のもとになった「関東総督府」とは、ウィキペディアで次のようなっています。

日露戦争後、ロシアより譲り受けた関東州と長春・旅順間の鉄道(後の南満州鉄道を防衛するため、1905年9月26日に公布された「関東総督府勤務令」により天皇直属の機関である関東総督府が設置された。

先に南満州鉄道(満鉄)の存在があり、それを防衛するために関東都督府、そしてその陸軍部(関東軍の前身)が設置されているのです。満鉄が優先上位的な位置づけで、それに付随して関東総督府そして関東軍が設置されているので、元来は満鉄と関東総督府、そして関東軍はひと塊のものともいえるのです。

1905年9月5日に、ロシア相手にこの満鉄の利権を得ることになるポーツマス条約調印に漕ぎつけたのが、当時の外務大臣の小村壽太郎であり、この小村外交の中心を担ったのが玄洋社(白龍会)の山座円次郎でした。

小村寿太郎
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[Public Domain]
玄洋社 山座円次郎
Wikimedia Commons
[Public Domain]
杉山茂丸
JapaneseClass.jp
[Public Domain]

ポーツマス条約の前に、既に南満州鉄道利権をもとにした満洲植民地経営の絵図を描いていたのが、白龍会初代総裁の杉山茂丸であったことは、明治編 第33話で見た通りです。

ポーツマス条約調印の僅か3週間後に満鉄の利権を防衛するため「天皇直属の機関である関東総督府が設置された。」のです。杉山茂丸たちは日露戦争前から半官半民の巨大鉄道会社による満洲地域の植民地経営の構想を練っていたのは間違いないでしょう。

明治編 第32話でも見たように、この杉山茂丸と盟友関係にあったのが桂太郎であり、児玉源太郎でした。

桂太郎
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[Public Domain]
児玉源太郎
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一方で、この海外軍事進出による植民地拡大路線に真っ向から反対していたのが伊藤博文であり、その伊藤博文は1909年に暗殺されます。この伊藤博文暗殺の背後には杉山茂丸たちの関与が強く疑われるのです。

平成の松下村塾 [Public Domain]
平成の松下村塾 [Public Domain]
セリフはこちらを参考

植民地経営の主体者


初代満鉄総裁 後藤新平
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[Public Domain]

1906(明治39)年に満鉄の初代総裁に任じられたのが後藤新平です。ウィキペディア「南満州鉄道」記事には次のようにあります。

児玉源太郎とその台湾での部下である後藤新平は、満鉄はたんなる鉄道会社ではなく、満鉄付属地での徴税権や行政権をも担う一大植民会社たるべきだとの見解(満鉄中心主義)を標榜しており、彼らは東インド会社を範とした満洲経営を進めるべきだとの論に立っていた。

また『東京史学』「第6回[改軌論争]後藤新平と大陸政策」記事にも次の記載があります。

台湾統治で実績を示した後藤は、日露戦争によりロシアから引き継いだ南満州の鉄道および付属地権益を任せられます。後藤は東インド会社をヒントに、満洲を「経営」する国策会社「南満州鉄道株式会社」を設立し、1906(明治39)に初代総裁となります。

満鉄による植民地経営の絵図を描いたのは杉山茂丸です。その絵図では、満鉄は勅許会社イギリス東インド会社を模したものだったのです。そして実際に、この満鉄を稼働させたのが後藤新平であり、満鉄の稼働を強力にサポートしたのが児玉源太郎ということになります。

つまり、イギリス東インド会社を模した満鉄の満洲植民地経営を動かした中心人物が杉山茂丸、児玉源太郎、後藤新平の三者だったと言えるでしょう。


また、児玉源太郎と後藤新平は台湾での上司と部下の関係で、台湾統治に実績を残したとありました。

日清戦争の下関条約によって台湾が日本に割譲されたのが1895(明治28)年でした。ウィキペディア記事には「1898年(明治31年)、児玉源太郎が第4代台湾総督として就任すると、内務省の官僚だった後藤新平を民政長官に抜擢し、台湾の硬軟双方を折衷した政策で台湾統治を進めていく」とあります。

台湾総督の第4代が杉山茂丸の盟友の児玉源太郎ですが、第2代台湾総督は児玉源太郎と同じく杉山茂丸の盟友の桂太郎。更には第7代台湾総督が玄洋社のあの明石元二郎です。

要は台湾統治も、その初期から玄洋社(白龍会)が関与しているのが見て取れます。

台湾だけではありません。韓国もそうです。韓国が日本に併合されたのが、伊藤博文暗殺の翌年の1910年です。この韓国併合を強く推し進めたのが、明治編 第32話で見たように桂太郎であり小村壽太郎です。また玄洋社所属でアムール川の黒龍会の内田良平も、韓国併合に大きな役割を果たしていました。

台湾、韓国、満洲の植民地経営に携わっていたのが裏天皇グループだと見て取れるわけです。

後列左端が内田良平、ちなみに前列右端は孫文
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植民地経営の範はイギリス東インド会社


満鉄がそうですが、植民地経営に携わった裏天皇グループが範としたのがイギリス東インド会社です。

イギリス東インド会社は、1600年にエリザベス女王の勅許を得て作られた超国家企業です。その性格は次の記述が端的でわかりやすいでしょう。

勅許会社イギリス東インド会社は東洋貿易を独占する権利現地で政府を組織する権限通貨発行権軍隊組織権特定の国への宣戦布告権などを認められており、...(以下略)

ここでは「東洋貿易を独占する権利」とありますが、実際の貿易の主たる商品は阿片でした。イギリス東インド会社は麻薬貿易およびその収益の独占権も所有していたのです。


英国は世界中に植民地を広げ奴隷支配していますが、実際には植民地経営で人民を蹂躙していたのは「現地で政府を組織する権限、通貨発行権、軍隊組織権、特定の国への宣戦布告権などを」有するイギリス東インド会社であったのであり、その実態は外伝3などで一部見た通りです。

裏天皇グループは、このイギリス東インド会社を範として植民地経営としたのです。彼らが阿片事業を展開しその収益を独占するのは当然の成り行きでしょう。

また、関東軍はイギリス東インド会社が所有する軍隊組織に相当すると見て良いでしょう。次のような記述がありました。

関東軍は天皇直隷の軍で、その使命は仮想敵ソ連にそなえ、その尖兵の役割を果たすこと、そのために「満蒙」にたいする支配を確実にすることにありました。

「関東軍は天皇直隷の軍」、これは不正確です。関東軍が、政府どころか昭和天皇の認可なしに開戦を、具体的には関東軍が張作霖爆殺事件、満州事変、日中戦争を仕掛けたのは事実です。これで「天皇直隷の軍」などとは決して言えません。「関東軍は裏天皇直隷の軍」、こう記すのが正確でしょう。

また、イギリス東インド会社は通貨発行権を有していましたが、裏天皇グループも通貨発行権を有していたと見なせます。台湾には台湾銀行、韓国には朝鮮銀行、そして満洲には満洲中央銀行が設立され、通貨が発行されています。通貨は「圓」です。

台湾銀行の拾圓券
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朝鮮銀行の拾圓券
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満洲中央銀行の拾圓券
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朝鮮銀行が発行した「圓」が関東軍の軍資金に回された事実がありますが、裏天皇グループが(台湾銀行、満洲中央銀行もそうですが)朝鮮銀行の通貨発行権を握っていたとすればこれも納得できるのです。

裏天皇グループが見ていたのは「日本を中心とした統一世界政府樹立(NWO)」で、それには統一通貨が必要です。極東地域に日本を中心とした統一通貨「圓」の経済圏が、確かに一時的とはいえ現出していたのです。日中戦争には、その枠を中国大陸全域に、東アジア圏に広げようとの側面もあったでしょう。

大東亜共栄圏の最大版図領域。
朝鮮、台湾を含む大日本帝国の領域は濃い赤。
Wikimedia_Commons [Public Domain]


Writer

seiryuu様プロフィール

seiryuu

・兵庫県出身在住
・いちおう浄土真宗の住職
・体癖はたぶん7-2。(自分の体癖判定が最も難しかった。)
・基本、暇人。(したくないことはしない。)
・特徴、酒飲み。アルコールには強い。
・歯が32本全て生えそろっている(親不知全て)原始人並み。

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