「サイレント・フクシマ」〜 政府の原発事故軽視政策を批判し、忘却と闘う5人の日本人アーティストを描く

 五輪狂騒の裏で静かに日本を見つめる目がありました。「サイレント・フクシマ」という1時間足らずのドキュメント映画です。おしどりマコさん・ケンさんはじめ、写真家、詩人、ジャーナリストなど幾人かの方々と311以降の福島との関わりを静かに写した作品でした。本当は「美味しんぼ」の雁屋哲氏も加わるはずだったそうですが、コロナの渡航制限で実現しなかったとか。そこだけちょっと残念ですが、全体に気品すら漂う美しい記録で、ところどころに挿入された五輪の映像の「狂気」がいっそう際立つものでした。
 監督はスイス在住のアヤ・ドメニックさんという女性で、広島原爆投下時に広島赤十字病院の内科医であったお爺様の足跡を辿る作品「太陽が堕ちた日」という作品を撮られています。今回の「サイレント・フクシマ」は五輪と原発事故を切り離せないものとして描かれていますが、批判は前面に出ていません。とても静かに福島の無残が沁みます。中でも印象的だったのが、詩人のアーサー・ビナードさんの思いと活動でした。私たちが今置かれている、目隠しされている「マトリックス」からの解放に詩人らしいアプローチをされ、もっと知りたいと思わせるものでした。
 この作品は、五輪のアスリートの感動の涙とは全く異質の、若い母親の涙を記録に留めています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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SILENT FUKUSHIMA サイレント・フクシマ
配信元)


「原発事故から10年が経ち、日本では福島のことを話題にする人々がとても少なくなりました。東京では夏季オリンピックが予定されており、日本政府は世界に向けて優れた、そして安全な日本を見せることに一生懸命のように見えます。
しかし、多くの場所で放射線量は依然として懸念されるレベルのままで、崩壊した原子炉の解体をめぐる問題は未解決のままであり、多くの避難者は未だに汚染された家に戻ることができていません。
《サイレント福島》では、スイス・日本人監督のアヤ・ドメーニグが、政府の原発事故軽視政策を批判し、忘却と闘う5人の日本人アーティストを描いています。この映画は、市民と国家の関係、芸術と政治の関係、そして未来の世代に対する私たちの責任について問いかけます。」

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