長崎県の川棚町石木川で社会見学を行なった小学校教師が理不尽な文書訓告処分 〜 石木川ダム建設を進めたい行政の「報復的」処分か

 長崎県東彼杵郡の川棚町という自然豊かな場所に石木川という小さな川があります。小さな川ですが、100種類以上の生物が生息し、地域の人々は代々美味しいお米を作ってきました。長崎市の小学校の先生が児童を引率して「地域を流れる石木川での希少生物探しや、戦争遺構の見学、ダム建設に反対する住民たちから話を聞くなど」生き生きとした社会見学をされたそうです。美しい日差しの中、子ども達はいい体験ができただろうなと思えました。ところがその報道があった直後、引率した先生が突然に学校長から文書訓告処分を受けました。理由は「子ども達の感想文を学校外に提供した」という理不尽なものでした。子ども達が書いた感想やお礼を地元の人々に渡したことがいけなかったらしい。
しかしそれはこじつけで、真相はダム建設を進めたい長崎県の「報復的な」処分と見られ、引率した先生は「教育行政が教育内容にまで介入することは不当行為なので今後一切やめていただきたい」と処分を不服とする審査請求を起こしました。
 長崎県が進める石木川ダムとは、総工事費353億円を佐世保市民が負担する公共事業で「佐世保市の水の確保」と「川棚川の洪水防止」が目的とされています。ところが給水量が不足するという佐世保市の予測は実測を無視した有り得ないもので、洪水防止もダムが役立つという根拠はなく長崎県知事ですら「石木ダムなしで対処できる」と明言しています。莫大な負担を市民に押し付けてまでダムを作る理由が無いにも関わらず、ダム建設を理由に住民の土地家屋が取り上げられようとしています。
 石木ダム工事差し止め訴訟では一審、二審とも住民側が敗訴しています。10/21福岡高裁の判決では「快適な生活を営む権利などの平穏生存権の内容が抽象的で不明確なため」認めないという、およそ法律家とは思えぬ行政におもねったものでした。土地家屋を強制的に取り上げられることが抽象的でしょうか。
 川棚地域の様々な歴史や自然を知り、住民の方が直面するお話を聞くことは、教科書では学べない有意義な社会勉強になったはずです。長崎市教育委員会は、こうした学びの機会を正しく評価し、子ども達の学びを妨げない判断をしてほしい。メディアも住民の立場に立って、ぜひとも丁寧に報道してほしいと思いました。多くの人々の目が注がれますように。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)


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佐世保市民が353億円を負担するダムの建設計画が進んでいます。
引用元)
(前略)
どうして造るの?

石木ダム建設の目的は、大きく2つあります。
佐世保市の水の確保
川棚川の洪水の防止

佐世保市の水が足りていないの?

佐世保市の主張

建設計画を見直すべき理由

建設の大きな理由とされている「水の確保」と「洪水の防止」が客観的根拠に乏しい

膨大な総工費と維持費を支払い続けるのは、子育てをしている世代とその子供たち

佐世保市の人口は年々減少→税収も年々減少→次の世代の負担が大きくなる

ダム建設予定地に暮らす、13世帯の住民の土地や家屋が強制的に奪われる

自然の生態系が破壊され、ホタルをはじめ100種類以上の生物の生息が危ぶまれている

ダムを作る石木川は、川幅が2-6mしかない小さな小さな小川
 (現場を見た人はみな呆れる…)


ダムの前に、漏水対策が必要です 
1日あたり、約4万4千人分の生活用水が地中に漏れています。
(中略)
佐世保市における水道管の老朽化による事故

2015年1月潮見町 160世帯断水
2015年4月天神町 2500世帯断水
2015年12月藤原町 500世帯断水 市民生活に大きな被害が及びました。
(以下略)

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