メキシコ便り（126）：ロペス・オブラドール大統領就任４周年スピーチ❣️「愛」で始まり「愛」で終わる。

大統領の４周年スピーチの箇条書き

「愛は愛で償う」
大統領が国民からもらった「愛」は「愛」で返すという意味。大統領のいつもの口癖です。この言葉でスピーチは始まりました。

貧しい人々が最優先という原則が適用（貧困家庭への国の援助）

✅最低賃金は、政権交代時の88ペソ【約６１３円】から172ペソ【約１,１９８円】になり、実質62％の上昇。私たちの政権が終わるまでに１００％上昇の予定。国境では2倍以上に増加、これらは過去40年間では見られなかった。

✅アウトソーシング【日本で言うとパソナの派遣のようなもの】廃止。

✅21,722,857人の労働者が社会保障制度に登録、これはかつてない数字であり、平均給与も月給14,712ペソ【約101,645円】と歴史的快挙。

✅経済はすでに再び成長中。今年のGDPは3.5％、少なくとも2023年と2024年は同じ割合で成長すると私は推測する。

✅メキシコ銀行の準備金は14％増加。私たちの政権下で、株式市場の指数は24％伸び。

✅283,535人のシングルマザーに月800ペソ【約5,571円】援助、外で働きながら子供をデイケアセンターに預けている。

✅就学前、小学校、中学校に通う子どものいる3,730,000世帯に、隔月で1680ペソ【約11,699円】の奨学金を支給。

✅貧困家庭の大学生41万人を月々2,450ペソ【約17,000円】で支援。

✅コナクト【国家科学技術委員会】は、大学院生や研究者に128,950の奨学金を支給。

✅「ベニート・フアレス」システムとして145の無料の公立大学を設立。
私たちの政権が終わるまでに、医学部と看護学部を中心に200のキャンパスと6万人の学生が誕生予定。

✅公共、自由、世俗、科学、人文主義教育の原則に基づき、25の幼稚園、小学校、中学校の教科書の新しいコンテンツが完成し、現在進行中。

✅障がい者（特に子ども）130万人が、2カ月ごとに2,800ペソ【約19,500円】の援助。

✅1,000万人以上の高齢者が2カ月ごとに3,850ペソ【約26,810円】の年金を受け取り、この支援は1月までに25％、2024年1月までに同様に増加し、政権終了時には発足時の5倍となる予定。


✅見習いの若者には5,258ペソ【約36,615円】の最低賃金が支払われ、貧困に陥らないようになっている。勉強や仕事の可能性がない場合は、犯罪集団の温床とならないように、企業や事業所、田舎で見習いとして1年間働く機会が与えられる。そして、この2,339,000人の見習いの若者のうち、半数がすでに企業や事業所、研修所などに残って働いてくれている。

すべてのサポートは、ボトムアップで行われている。

医療（民営化からの救済、医療の無料化）

✅5ヶ月間で、国内のほぼすべての高齢者にワクチンを1回接種。
累計2億2,800万回のワクチン接種が行われた。

✅質の高い、無料の、新しい国民皆保険制度であるIMSS-Bienestar【イムス・ビエネスタール】を立ち上げた。最初の9州における医薬品の供給は平均で94％。医療費も薬代も無料なので、レジはもうない。

✅国民の健康に対する権利を実現するために、IMSS-Bienestar【イムス・ビエネスタール】システムを全国に拡大することを約束。この11ヶ月間で、通常のIMSSシステムは、52,319,721人の受益者に対応。

経済政策：増税ではなく贅沢と無駄をなくす方式が有効

✅私たちの政権は、経済政策において、政府の腐敗を根絶し、贅沢や無駄をなくすという方式が有効であることを示した。

✅増税せずに、今まで払っていなかった大企業や銀行への課税を徴収するだけで、4年間で1兆8900億ペソ【約13兆円】の追加財政を強化した。

✅ウアチコル【パイプラインからガソリンを盗む集団】対策により、236兆1340億ペソ【約1644兆円】を回収。

✅政府の緊縮財政計画、つまり貧乏国民と金持ち政府があってはならないという基準や、工事やサービスの契約における汚職を許さないことによって574億ペソ【約4000億円】を節約できた。

✅常々、権力は謙虚であり、緊縮財政は行政の問題ではなく、原則【道徳】の問題であると主張してきた。だからこそ、私たちの政権には贅沢や無駄がない。例えば、政権交代時、大統領府には36億ペソ【約251億円】の予算があったが、今年は6億ペソ【約42億円】を切るだろう。

✅この4年間、連邦政府高官には一台も新車を買っていない。

✅大統領府の参謀本部は消滅、その8000人の構成員は国防省に移管された。

✅元大統領らの億万長者年金の年金廃止。


✅影響力、縁故主義、汚職、免罪符はもはや許されない。

✅政府広告の支出は削減され、420億ペソ【約3000億円】が節約された。

✅不要で不透明な信託は解約され、1320億ペソ【約9,200億円】が回収された。

エネルギー

✅私たちは、増税、ガソリン代、ディーゼル代、ガス代、電気代の値上げをしないという公約を果した。

✅今年は、インフレ率8.1％、ガソリンとディーゼルへの補助金3380億ペソ【約2兆4000万円】をしたもかかわらず、税制上の特権を認めない、税を容認しなくなったことで、連邦政府の収入は昨年同期に比べ4600億ペソ【約3兆円】、実質3.7％増加。もしガソリンへの補助金を出すという決断をしなければ、インフレ率は8.1％ではなく、13％になっていただろう。インフレは、貧しい人たちに最も影響を与える、負担の大きい税だ。

✅輸出用原油の価格が上昇したのはラッキーだった。なぜなら政治は徳と運なのだ。1バレル60ドルと見積もっていたのが、一時は100ドルになった。今は下がったが、平均80ドルで、そこそこ余剰感がある。

✅新自由主義的なテクノクラート【技術家行政官ら】は、補助金を非常に恐れている。なぜなら、彼らは異なる概念を持っており、補助金を悪者扱いしているからだ。私たちは違う。なぜなら、私たちにとって最も重要なのは、人々の経済について考えることだからだ。なので「もし、ガソリン助成金を出さなければ、ガソリンの値段が上がるだろう。」と言った。それに、ガソリンの値段が上がれば、すべての値段が上がるのはみなさんが承知済み。「ガソリン代が上がったから、鶏肉、卵、豆、米、トルティージャの値段が上がったんだよ。」という人までいる。


✅私たちの政権下で、インフラと開発への公共投資は78％増加し、これは過去数十年間見られなかった。

✅製油所6ヵ所のリハビリに401億5,800万【約2800億円】ペソが割り当てられた。

✅シェルからテキサス州のディアパーク製油所の株を6億ドル【約824億円】で購入し、わずか1年の利益で投資を回収し、1日21万バレルの燃料を生産するこの工場は、現在メキシコのものとなっている。

✅14年連続で減少していた石油生産量は現在下げ止まっており、日量179万1000バレル、ガス採取量は日量47億9500万立方フィートと増加。

✅石油の埋蔵量は、探鉱に投資したため6％増加。

✅電力業界も民営化と腐敗から救われた。わが国では民営化は汚職と同義語だった。

✅来年末には自給自足が可能になり、海外でガソリンや軽油を購入する必要がなくなる。

✅ダムと水道の建設に、160億181万ペソを投資。

食糧生産

✅2018年のトウモロコシ、豆、米、小麦の生産量は3120万トン、昨年は3230万トンと3.5％増え、今年の食糧生産はかなり増えるだろう。これは、価格保証の確立や、年間30万トンの肥料の無償提供などによって実現した。来年、全国200万人の小規模生産者に肥料を無償で提供。

✅アメリカにも、カナダにも、中国にも、ロシアにも、このようなものはない。年間300億ペソ【約2086億円】を投資し、45万人の農民が働き、永久日当をもらって自分の土地に果樹や材木を植えるという、世界で最も重要な森林再生プログラムである。200万人の小規模生産者が、年間平均6,000ペソ【約42,000円】の支援を直接受けている。


✅同様に、18万人の漁師が7,200ペソ【約５万円】を受け取った。Tarjeta del Bienestar（メキシコ国営銀行ビエネスタールのカード）によって、すべてが直接的に行われるようになった。

✅パンデミックにもかかわらず、昨年は農業部門が2％の成長。この9ヶ月間で前年同期比3.2％増。

公共事業（道路）

✅軍の技術者も参加した「フェリペ・アンヘレス」国際空港が完成し、今年3月21日に開港した。

✅4年間で715億ペソ【約5000億円】を投入し、40,516キロメートルの道路、特に無料道路の整備。

✅マヤ・トレイン、219両編成の42両編成で、全長1554kmを完成させる予定。このマヤ・トレインは、現在建設中の鉄道プロジェクトとしては世界最大。2位は、どこの国とは言わないが、750キロの列車を建設中。

都市整備

✅国内の135の自治体で都市整備に380億ペソ【約2600億円】が投資され、151のスポーツユニット、293の公園、海辺、芸術・文化スペース、44の市場、162の学校、22のヘルスセンター、216と飲料水ネットワークが建設された。そして2017年の地震で被災した6,721の公共建築と1,953の歴史的寺院と文化的建造物が再建。

国営銀行ビエネスタール

✅福祉銀行ビエネスタールの支店は1,779店舗が完成し、787店舗が稼動中。来年半ばまでには、2,744支店が稼動し国内最大の銀行となり、この銀行を通じて6,000億ペソ【約4兆2000万円】が最遠隔地に分配され、2,500万人の受益者に提供されることになる。

治安

✅私は、平和は正義の果実であり、その鍵は若者や最も弱い立場にある人々、疎外された人々への配慮にあると確信している。この基本戦略で、私たちは暴力を減らしている。

✅私たちが就任して以来、連邦犯罪は27.3％減少。

✅同様に、州政府や自治体との連携により、車両盗難40.1％、殺人10％、誘拐68％削減することに成功。月曜日から金曜日まで毎日、朝の6時に安全保障会議を開き、国内で起きたことの報告を受け、共和国の住民の平和と平穏を保障するための決定を行っている。各州の知事も同じことをしていることを認識することが重要だ。


✅国家警備隊が創設され、政府終了までに稼働する500近い兵舎のうち、247の兵舎が建設された。そして、12万3千人の隊員が採用され、専門的な訓練を受けている。共和国の19の連邦政府機関では、州警察よりも州兵の人数が多い。

✅私の趣味ではないが、私たちの敵は非常に偽善的であり、保守主義の真の教義は偽善であるため、言わざるを得ない。しかし、私たちの政府にはガルシア・ルナ（新自由主義時代の警視庁のトップ、スーパーポリス。カルテルとズブズブだった人。現在、アメリカで裁判中。）のような役人はいないということを知らしめることは重要だ。

アメリカのメキシコ移民に尊厳を

✅4000万人のメキシコ人が米国に住んでいる。2番目に大きなヒスパニック系コミュニティはプエルトリコで500万人、そしてキューバ人は400万人。私たちはメキシコ人を特別扱いしろとは言わない、あくまでも尊重してほしい。アメリカで誠実に働いているメキシコ人の尊厳を傷つけるような政策を実行することだけが問題なのだ。テキサスで票が欲しい、カリフォルニアで票が欲しい、でもメキシコ人の悪口は言う、なんてことはしないでほしい。【テキサスの政治家はよくメキシコの不法移民問題を選挙キャンペーンで使います。】

✅今年、アメリカに住むメキシコ人が親族に600億ドル【約8兆円】を送金すると推測。【メキシコの歳入の第一位がアメリカに住むメキシコ人から送られてくる仕送りです。】

飢えがないからこそ、平和が保たれ、希望の炎が灯り続けている。

外貨投資増加

✅メキシコは、世界でも最も投資やビジネスの可能性が高い国のひとつとされている。トランプ前大統領、トルドー首相とともに、米国、カナダとの貿易協定に調印したことが深く関係している。外国からの投資は増え続け、私たちの政権下では歴史的な水準に達している。今年1-9月期の海外投資額は32兆1,470億米ドル【約4400兆円】で、前年同期比29％増。

外交

✅私たちは、世界のすべての人々と政府を尊重する。私たちは、不干渉、自決、発展のための協力、紛争の平和的解決という外交政策を適用し、普遍的な同胞愛の理想をもって行動する。

✅採掘のためのコンセッション（許可）を一切認めていない。

✅フラッキングによるエネルギー搾取を許可していない、また遺伝子組み換えトウモロコシの導入も許可していない。

憲法改正

✅私たちは憲法改正の公約を果たし、委任状回収という民主主義の原則が初めて適用された。大統領の訴追免責が撤廃され、他の国民と同様にあらゆる犯罪で裁かれるようになった。

✅経済・金融の大企業に仕えていたコナクト【国家科学技術委員会】が、解放された。国民のお金が、基本的に外国企業のための研究費に使われるなんてとんでもない。

✅政府には贅沢品はなく、公務員は効率と責任と誠実さをもって行動し、フアレス大統領が推奨したように、正しいバランスで生活できる所得を得ている。

✅高齢者のための年金、障害者のためのユニバーサルサポート、貧しい家庭の学生への奨学金などが憲法に昇格。教育や医療は特権ではなく、国民の権利であるという原則が現実になろうとしている。

✅抗議デモも少なく、ストライキも横行せず、統治不能な状態にはなっていない。表現の自由と反対意見を述べる権利は、かつてないほど保証されている。現在のメキシコは、自由の聖地だ。

✅メキシコの最大の財産は、人々の誠実さであることが実証されつつある。

４T（＝クアトロ・テ）「第四の変革」

私たちが提唱し、「第四の変革」を鼓舞するメキシコのヒューマニズムの政治的、経済的、社会的原則とは何であろうか？

私たちは、基本的なことは量的なことではなく質的なこと、すなわち所得と富の公平な配分であると考える。国家の究極の目的は、人々が不幸や恐怖から解放され、幸せに暮らせる条件を整えることである。

さらに、単純な経済成長だけでなく、汚職や特権を追放し、得たものや貯めたものをすべて国民の大多数の利益、特に最も貧しい人々や疎外された人々の利益に配分することが不可欠である。

社会政策の分野における政府の中心的な戦略は、すべての人に敬意を払い、耳を傾け、しかし、貧しい人々や屈辱を受けた人々に優先的に配慮することにある。


私たちはいつも言っている。これは2000年にメキシコシティ市長選で私が掲げたスローガンでもあるのだが、すべての人の利益のために、貧しい人々が最初に来なければならないということです。なぜなら、この言葉はヒューマニズムと同義であり、権力の重要性を別の角度から理解するものだからだ。権力の行使は、何度も言うように、他者のために置かれたときにのみ純粋で高潔なものとなるのだ。

本当に民主主義政府を擁護する人はいるのか？

それは基本的に国民である。
リカルド・フローレス・マゴンが多くの教訓を残したことをご存知だろうか。そして彼は、私がとても好きなフレーズを持っていて、それを繰り返し、繰り返し、繰り返し言っている。「国民だけが国民を救うことができる」と。

歴史上最高の大統領である先住民サポテカ族のベニート・フアレスは「民衆とともにであれば、すべて【可能】、民衆【の支持】なしでは、何もない【何もできない】」と言った。

では、「第4の変革」を支えているのは誰なのか。国民だ。だから、私たちは絶対に国民を裏切らない。

そして、基本的で本質的なものは何か、これはとりわけ若い人たちのためだが、国民に対する愛がなければ何も達成できない。多分、他の時代には、ふりをして、選挙運動をして票を求め、国民を抱き、そして政権をとって国民のことを忘れることができたのだろう、多分。今は違う。


政治家という崇高な職業に身を捧げようとするならば、国民に対する愛、国民に対する愛、国民に対する深い愛を持つことが肝要であることを忘れてはいけない、というのが私の若い人たちへのアドバイスである。国民への愛なくして、何事も成し得ない。

政治は、一般に信じられているのとは反対に、最も高貴で精神的階層の最高位の職の一つである。

本物の政治とは、その基礎と本質において、そして何よりも、他者のために、とりわけ貧しい人々のために実践されるとき、深く人間的なものなのだ。

親愛なる友よ、

私たちは歴史を作り続け、メンタリティーの変革、良心の革命を促進し続けよう。メキシコのヒューマニズムを現実のものとし、栄光をもたらそうではないか。

メキシコ万歳!