アメリカのファースト・リパブリック銀行が経営破綻 ~リーマンショックを予言したピーター・シフ氏「政府が銀行をこれ以上破綻しないようにする唯一の方法は、国民が銀行に預けているお金の価値を下げること、つまりインフレにすることだ」 / 中央銀行デジタル通貨(CBDC)を受け入れさせるというシナリオ

竹下雅敏氏からの情報です。
 5月1日に、アメリカのファースト・リパブリック銀行が経営破綻、“米カリフォルニア州金融当局は1日、ファースト・リパブリック銀行を公的管理下に置き、資産をJPモルガン・チェース銀行に売却すると発表”しました。
 冒頭の動画で及川幸久氏は、“2008年の金融危機リーマンショックを予言した人をご紹介します。それがピーター・シフと言うアメリカの経済評論家・エコノミストで非常に有名な方なんです。この方が今何と言っているかというと、今起きている銀行危機は終わっていないと。…彼は、「これはもっとひどい金融危機の始まりに過ぎないんだ」という言い方をしています。…シリコンバレー銀行が破綻し、それからシグネチャー銀行が破綻し、そしてクレディースイスが破綻した。ここで止まるかなというふうに思われたんですが、破綻の連鎖は止まらなかったんですよね。…預金が引き出されたんですけど、その預金というのは、保険外預金ということで、保険で保証されているのを超えた部分の預金という意味なんですよね。…3カ月で1,000億ドルもバンクランによって引き落とされていたんですね。この銀行の特徴は…地方銀行としては異例の高い保険外預金の額だったんです。…この銀行は一応地方銀行といってもとっても大きな銀行で、富裕層が相当お金を入れていたわけです。この人たちが敏感に感じ取って今年の2月・3月で一気にお金を引いてきた…”と言っています。
 動画の11分30秒~14分15秒で 何が起きたのかという分かりやすい説明をしています。先の2008年の金融危機リーマンショックを予言したピーター・シフ氏は、「政府が銀行をこれ以上破綻しないようにする唯一の方法は、国民が銀行に預けているお金の価値を下げること、つまりインフレにすることだ(15分50秒)」と言っているようです。
 In Deepさんの記事には、“現在は、たった数行が破綻したに過ぎないですが、その破綻した資産総額は、2008年から2009年の銀行破綻の資産と並んできています。…現時点ですでに、銀行破綻の際に預金を保障する組織である連邦預金保険公社(FDIC)の資産(日本円で約17兆円)ではどうにもならない”とあります。
 『アメリカの銀行の半分が支払不能になる可能性がある - 信用危機はどのように始まるか』の結論は、ピーター・シフ氏とは異なり、“「インフレ」か「銀行危機」という2つの毒のうち、FRB(連邦準備制度理事会)は銀行危機を選択した”となっています。
「FDIC はファースト・リパブリックを差し押さえ、株主と債券保有者の両方を一掃しなければならなかった。JPモルガンに資産の回収を働きかけるには、130億ドル(約1兆7000億円)の補助金と500億ドル(約6兆8000億円)の融資が必要だった」「連邦準備制度理事会は後退するつもりはない。さらなる利上げを予定している。米国のマネーサプライは記録的なペースで縮小し続けており、毎月950億ドル(約13兆円)の量的引き締めが行われている」と書かれているように、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入したい連中は、補助金を付けて中小の銀行を巨大銀行に吸収させるつもりなのでしょう。
 その後、「大き過ぎてつぶせない」という理由で、巨大銀行を守るためにFRBは資金を注入、ハイパーインフレが起こり庶民は資産をすべて失い、大混乱の中で負債の免除と引き換えにベーシックインカムを導入、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を受け入れさせるというシナリオではないかと想像します。
 キンバリー・ゴーグエンさんの情報を見ても分かるように、こんなに虫がいいシナリオは、どう見てもうまくいかないでしょう。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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2023.5.2【米国】ファースト・リパブリック銀行破綻【及川幸久−BREAKING−】
配信元)
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アメリカ4800行にのぼる銀行の「半数が支払い不能に陥る可能性」について英テレグラフの著名ジャーナリストが警告
転載元)
(前略)
5月1日に、アメリカのファースト・リパブリック銀行が経営破綻をしたと報じられていました。
(中略)
スマートフォンでもパソコンでも、ともかく、一瞬で大量の預金の流出が起きる時代となっています。土曜や日曜さえ、あるいは深夜や早朝でさえ関係なくなりました。
(中略)
5月1日に破綻したファースト・リパブリック銀行は、4月の終わりに以下のような株価の値動きを見せていました。
 
ファースト・リパブリック銀行の4月28日までの株価の値動き

zerohedge.com
 
こうなってしまうと預金の流出は加速するだけであり、結局、全体で十数兆円規模の預金流出となり、この翌営業日にファースト・リパブリック銀行は破綻しました
 
破綻規模は、リーマン以来最大です。

そして、おそらく、これがどんどん「続いていく」のです。

ファースト・リパブリック銀行が破綻した翌日のニューヨーク株式市場では、中小銀行の全体が下がったとはいえ、以下の 3つの銀行が 20%から 30%という壊滅的な株価の下げを見せていました。
 
・パックウェスト・バンコープ銀行
・ウエスタン・アライアンス銀行
・メトロポリタン銀行

もともと、すでに株価が半分とかになっていた後のこれです。
 
以下で少しふれています。
 
(記事) ファースト・リパブリック銀行の破綻を受けて、さらに3つのアメリカの銀行の株価が暴落し、複数回の取引停止に (2023/05/03)

そのうちのパックウェスト・バンコープ銀行の昨日までの株価の動きと、先ほどのファースト・リパブリック銀行が破綻するまでの株価の動きと照らし遭わせれば、すぐにどうこうではなくとも、「近い」とは言えそうです。
 
5月2日までのパックウェスト・バンコープ銀行の株価の推移

NASDAQ

これらの銀行に預金を預けている人たちが、「私の預けているこの銀行は大丈夫だから」と考える基準は、もはや消えているはずです。実際に、リーマン以来規模の銀行の破綻が次々と現実に起きているわけですから。
(中略)
ちなみに、現在は、たった数行が破綻したに過ぎないですが、その破綻した資産総額は、2008年から 2009年の銀行破綻の資産と並んできています。
 
2008年から 2009年に破綻したアメリカの銀行は、150行程度だったようです。
 
米国の2001年からの毎年の銀行破綻数と総資産
Crescat Capital LLC,Nofia
 
現時点ですでに、銀行破綻の際に預金を保障する組織である連邦預金保険公社 (FDIC)の資産 (日本円で約 17兆円)ではどうにもならないところに達しようとしています。
(中略)


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アメリカの銀行の半分が支払不能になる可能性がある - 信用危機はどのように始まるか

Half of America’s banks are potentially insolvent – this is how a credit crunch begins
Ambrose Evans-Pritchard 2023/05/02
(中略)
米国史上 2番目と 3番目に大きな銀行 (シリコンバレー銀行とファースト・リパブリック銀行)の破綻が立て続けに発生した。
(中略)
スタンフォード大学の銀行専門家であるアミット・セル教授は以下のように述べている。
 
  「不気味です。何千もの銀行が水没しているのです」
 
「これがシリコンバレー銀行とファースト・リパブリックだけの話だとは思わないようにしましょう。米国の銀行システムの多くが支払不能になる可能性があります」

連邦準備制度理事会による金融引き締めの完全なショックはまだ起きていない。巨額の債務は、今後 6四半期にわたって借り換えの崖っぷちに直面する
 
そうして初めて、米国の金融システムがパンデミック時の極端な金融刺激策によって引き起こされた過剰なレバレッジを安全に縮小できるかどうかがわかる。
 
セル教授と銀行の専門家グループによるフーバー研究所のレポートによると、現在、2,315を超える米国の銀行が、負債よりも価値の低い資産を抱えているという。彼らのローン・ポートフォリオの市場価値は、記載されている簿価よりも 2兆ドル (約 270兆円)低くなっている。
(中略)
米国財務省と連邦預金保険公社 (FDIC)は、3月に破綻したシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の無保険預金者を「システミックリスク免除」で救済することで危機を食い止めたと考えていたが、ホワイトハウスは、すべての預金を一括保証することに反発した。
 
すべての預金の一括保証は、富裕層への社会福祉のように見えるためだ。その上、FDIC の資産は 1,270億ドル (約 17兆円)にすぎず (しかも、じきになくなる)、最終的には独自の救済が必要になる可能性がある。
 
当局は、預金者たちが暗黙の保証を認識することを期待して、この問題をあいまいなままにしておくことを選択した。
 
しかし、そのギャンブルは失敗した。先週、ファースト・リパブリック銀行には大手銀行グループから 300億ドル (約 4兆円)が注入されたにもかかわらず、預金者たちは猛烈なペースでファースト・リパブリック銀行から預金を引き出した
 
ファースト・リパブリック銀行の乗っ取りの可能性を探っていたホワイトナイトは、帳簿を調べて不動産被害の規模を発見すると、後ずさりした。
 
FDIC はファースト・リパブリックを差し押さえ、株主と債券保有者の両方を一掃しなければならなかった。JPモルガンに資産の回収を働きかけるには、 130億ドル (約 1兆7000億円)の補助金と 500億ドル (約 6兆8000億円)の融資が必要だった。
(中略)
米国の商業用不動産の価格は、これまでのところ 4~ 5パーセントしか下落していない。キャピタル・エコノミクス社は、ピークから 22%の価格の減少を予想している。これは、すべての商業用不動産融資の 70%を占める地方銀行の融資ポートフォリオにさらに大きな打撃を与えるだろう。
(中略)
この債券と銀行の危機の根本的な原因は、FRB と米国財務省によって長年にわたって生み出された常軌を逸した行動とひねくれたインセンティブにあり、現在進行中の超イージーなマネーから超タイトなマネーへの暴力的な変化に至る。
彼らは最初に銀河規模で「金利リスク」を作成した。現在、彼らは自分たちで作成した「遅延式の時限爆弾」を爆発させている。
 
インターナショナル・リスク・アナリストのクリス・ウェイレン氏は、悪意のある銀行にすべての責任を負わせる虚偽の説明に注意する必要があるとして以下のように述べた。
 
  「 2019年から 2022年までの FRB の過度の公開市場介入が、ファースト・リパブリック銀行とシリコン・バレー銀行の失敗の主な原因でした」

ウェイレン氏は、米国の銀行と債券投資家 (つまり、年金基金と保険会社)は、FRB の QE 実験の最終ブローオフ段階によって残された 5兆ドル (約 680兆円)の暗黙の損失を「保持している」として、以下のように述べた。
 
  「米国の銀行は有形の自己資本が約 2兆ドル (約 270兆円)しかないため、これには問題があります」

ウェイレン氏は、連邦準備制度理事会が金利を 100ベーシス ポイント引き下げるまで、金融危機が、中小銀行から主流の銀行へと食物連鎖的に移動し続けると予測している。
 
連邦準備制度理事会は後退するつもりはない。さらなる利上げを予定している。米国のマネーサプライは記録的なペースで縮小し続けており、毎月 950億ドル (約 13兆円)の量的引き締めが行われている。
 
  (※)アメリカのマネー供給量は、世界恐慌以来の最低を更新し続けています。こちらの記事にグラフがあります。

恐ろしい真実は、世界の超大国であるアメリカの中央銀行が非常に混乱をきたしており、2つの毒のどちらかを選ばなければならないということだ。ひとつは、インフレに屈服するか。 または、銀行危機がシステミックな規模に達するようにさせるかだ。 そして、銀行危機が選択された。

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