ぴょんぴょんの「挑発するコソボ(9)」 ~アルバニア山奥の「黄色い家」

一筋縄では行かない、コソボとセルビア。
互いに一歩も譲らない状態が続いていますが、
こうならざるを得なかったと言うか、こうなるように仕掛けられたと言うか。
こんな意地悪を、コソボとセルビアだけでなく世界中に仕掛けた国に、
日本もがんじがらめに縛られて絞り取られているなんて、もお~ ムリ!
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「挑発するコソボ(9)」 ~アルバニア山奥の「黄色い家」

アルバニアの山奥にポツンとある「黄色い家」


くろちゃん、昨日のBSの「ワイルドライフ」、おもしろかったね。
キノコが地下にネットワークを張り巡らして、森を養ってるんだって。
しかも、キノコの胞子で雨まで降らせてるんだよ。


おめえ、よおテレビ見るなあ。じゃあ、ポツンと一軒家」って、知ってるか?

もちろん。
衛星写真で一軒家を見つけて、尋ねていく番組だよね。
「日本各地の人里離れた場所に、なぜだかポツンと存在する一軒家。そこには、どんな人物が、どんな理由で暮らしているのか!?衛星写真だけを手がかりに、その地へと赴き、地元の方々からの情報をもとに、一軒家の実態を徹底調査しながら、人里離れた場所にいる人物の人生にも迫っていく。」(6ABC)
うちの両親が大ファンで、毎週録画して欠かさず見てるよ。

ほお〜、おめえんちはテレビ一家なんだな。

だって、おもしろいよ。
「ポツンと一軒家」に住んでる人たちって、みんな、なんらの不自由はあっても、大自然に囲まれて自給自足の豊かな暮らしをしながら、人生をエンジョイしてて、見ててうらやましくなっちゃう。
きっと、戦争や飢饉があっても、生き残れるのはああゆう人たちなんだろうなあ。



たしかに、理想的な生き方ではある。だが、ひっそり暮らしたいヤツらにとっちゃ、そっとしといて欲しいんじゃね?
前科があって、世を忍んで生きているヤツとかさ。

あ、もしかして、警察が指名手配犯を探すために番組を利用したりして。

ところで、アルバニアの山奥にも「ポツンと一軒家」があるのを知ってるか?「黄色い家」と呼ばれているんだが?

いきなり、アルバニアって??
聞いたこともないなあ。誰の家? 何の家?

拉致されたコソボ・セルビア人から、臓器を抜き取るための家。

ひええ〜〜!! ホラーハウスだ!!

だが、実際にあるんだ。以前も本を紹介したことがある、木村元彦氏の最新刊「コソボ 苦闘する親米国家」に、その「黄色い家」のことが書いてあるんだ。


なんせ、木村氏自身が、「黄色い家」に行って取材してるからなあ。

木村氏、ホラーハウスに行ったんだ!
だけど、いったいだれがコソボ・セルビア人を拉致して、そんなひどいことをしたの?

Kosovo Liberation Army、略してKLA、日本語だとコソボ解放軍

コソボ解放軍KLA【アルバニア語の略称UCK】
Wikimedia_Commons[Public Domain]

KLAと言えば、コソボ紛争のときに暗躍したコソボ・アルバニア人の暴力団体だね。


コソボの歴代首相や大統領のほとんどが、KLAの元高級幹部だった


もともとKLAは、氏族の結束を武器に、麻薬、売春をやってる犯罪組織。コソボ紛争の後、KLAは国際機関、特にアメリカから流れてきた復興金で組織を強大にし、コソボで少数派となったセルビア人を捕虜として拉致、若くて元気な捕虜を選別して、十分に食わせて「黄色い家」に運び、医師が臓器を取り出して密輸する。
この組織の主なメンバーは、当時のコソボ共和国の首相ハシム・タチとその仲間で、彼らは、アメリカ政府と西側諸国の後ろ盾で勢力を拡張した。

 (「コソボ 苦闘する親米国家」107p)

コソボの首相が、臓器密売の主要メンバーだったって?

ビックリだろ?コソボの歴代首相や大統領のほとんどが、KLAの元高級幹部なんだよ。
たとえばハラディナイ
KLAの軍事指導者で、戦争が終結した2004〜2005年にコソボの首相をしてた。
だがこいつは、戦争中にセルビア人、ロマ(ジプシー)、不服従のアルバニア人を虐待、殺害したことで、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)に訴追され、たった100日で首相を辞任。
そしてなぜか、裁判では無罪放免。


ハラディナイ

無罪?!

ハラディナイに不利な証言をするヤツらはみな、消されたから。

まさにマフィアの世界だ。

そうよ、法よりも血縁を重んじるアルバニア・マフィア。だが2017年、ハラディナイは再び首相に返り咲く。
しかし2019年、「セルビア人捕虜の臓器密売容疑」の事情聴取で、再びICTYに呼ばれ、それを拒否したため、またも首相を辞任せざるをえなくなった。

ハラディナイさん、ちゃんとお裁きを受けてください。

お次はアギム・チェク。KLAの高級幹部で、2006〜2008年、コソボの首相をしてた。もうひとりハシム・タチ
KLAの中核にいた人物で、2008〜2020年、コソボの首相と大統領を務めた。

こいつは現在、ICTYにて裁判中だ。

セルビア人たちを殺した人たちが、首相や大統領やってたのか。
それじゃ、コソボでセルビア人が安心して暮らせるワケがない。


ベオグラードで公開された「コソボ白書 − 黄色い家」と題する映画


ところで、NATOによるセルビア空爆の始まった「3月24日」は、コソボでは祝日、セルビアでは追悼の日とされている。今年はその前夜の23日に、記念式典の一環として「Kosovo Dossier - The Yellow House ( コソボ白書 − 黄色い家 ) 」と題する映画が、ベオグラードで初公開された。

VKより
〈ドキュメンタリー「コソボ白書 ~ 黄色い家」。
セルビア・ラジオテレビと国防省が制作に携わった。
いわゆる「黄色い家」とは、アルバニアのブレル近郊にある、臓器摘出手術が行われた家のことである。
本作は「コソボ白書」シリーズの3作目で、これまでユーゴスラビア軍とアルバニア人武装勢力の衝突を描いた「Ninety-Eighth」、NATOの侵攻の理由となったラチャック村の軍事施設を描いた「ラチャック」が公開されている。
全作品セルビア語だが、ロシア語、英語、アルバニア語の字幕もある。〉
(DeepL翻訳)

う・・う・・「黄色い家」の映画?
見たい・・けど、見たくない・・。

見たら、うなされそうだよな。だが、日本人はこうゆう陰謀論が現実にあることを、自分で確かめるべきだ。

でも、世界の人々はこの映画を見るべきだね。
これを見たら、セルビアだけが悪いんじゃないことがわかるし、セルビアに対する見方が変わるかもしれない。


たしかにそうだが、作者のスラジャナ・ザリッチ氏はそんなつもりでこの映画を作ったんじゃない、セルビアを擁護するプロパガンダ映画じゃないと言っている。「すべての被害者が自分の正義を求め、すべての犯罪者が罰せられ、有罪にならなければならないと考えています。『黄色い家』の物語は、セルビア人個人が犯した犯罪を免罪符にするものではありません。」(SERBIA POST)

ただしい!

でも、身内に行方不明者がいるセルビア人は、どんな思いで見るだろう・・。作者は語る。
「この映画で、私は遺族の痛みを和らげることはできませんし、愛する人の遺骨を見つけることに貢献できないかもしれません。しかし、私にできることは、彼らや彼らの運命について語り、セルビアの人々が彼らを忘れないようにすることです。」(SERBIA POST)

コソボ・アルバニア人の犯罪が明るみに出されたところで、まだコソボはセルビアを挑発してくるの?

ああ、つい最近も、コソボ民主党の代表がこんな物騒なことを言った。「コソボの完全性と主権が侵害された場合、コソボは戦争の準備が整っている。」(KOSOVO ONLINE)

戦争する気なんだ!

これに対して、セルビアのブチッチ大統領はなんと言ったか?「アルビン・クルティ( コソボの首相 ) は紛争を誘発することを望んでいる。
アルバニアの国民的英雄になるために、信じがたいほどの情熱で紛争を誘発したいと思っている。」(KOSOVO ONLINE)


5月2日と5月15日にブリュッセルで行われたコソボとセルビアの対話


そんな挑発に乗っちゃだめだよ〜。
ところで、5月2日にコソボとセルビアのトップ会談が行われたよね。
たしか、3回目?

〈コソボのアルビン・クルティ首相が昨夜、ブリュッセルでの会談で拒否したCSM規約の全文がメディアに掲載されました。〉

そう、5月2日にブリュッセルで、3回目のトップ会談が行われた。

結果は?

会談後のヴチッチのひとことを聞けばわかる。「私たちは壁にぶち当たっている。」(KOSOVO ONLINE)

はあ〜、やっぱり。

コソボ・セルビア人を守るための「セルビア人自治体共同体(Community of Serb Municipalities)」、略して「CSM」は決まらなかった。2013年の「ブリュッセル合意」で双方が合意したはずのCSMを、コソボはまったく実行に移す気がない。
コソボの憲法に沿わないとか、ボスニア紛争後に作られたセルビア人独立区「スルプスカ共和国」をコソボは望んでないとか・・グチグチ。

はあ~ ごねとるわ。

さらに5月15日、同じくブリュッセルで、コソボ・セルビア人代表とコソボ政府の対話があったが、そこでも完全にはぐらかされた。コソボ政府代表「CSMって何ですか?」
コソボ・セルビア人代表「はあ? 今日、私たちをブリュッセルに呼んだのは何だったんだ?」(KOSOVO ONLINE)

んもう! 完璧にはぐらかそうって作戦だね。

ヤツらは、セルビアを戦争に巻き込みたいだけ。NATOやアメリカの応援を当てにして、セルビアを打ち負かして、コソボをアルバニア人の天下にしたいのよ。

それだけは止めてくれ〜!

一方、セルビア側は、アルバニア人との共存が基本と考えている。

セルビアが理性的で安心したよ。

だが、理性を保つにも限界がある。コソボさんは日常的に、特殊部隊を使ってコソボ・セルビア人をいじめてくる。
セルビア人を殺した犯人は刑務所に送られることなく、数日の自宅軟禁で釈放されている。
セルビア人居住区で、ほとんどのセルビア人が投票していないアルバニア人が市長になったり、セルビア人の土地を取り上げて、そこに警察基地を作ったり。


セルビア人が安心して住めないようにする作戦だね。

セルビアのヴチッチ大統領は言う。「私たちは過去に過ちを犯したが、あなた方は私たちから何も学んでいないだけでなく、私たちよりも荒っぽい方法で過ちを犯しているのではないかと心配している。」(KOSOVO ONLINE)

ヴチッチ大統領
Author:duma.gov.ru[CC BY]

過ちを犯したと認める所は、セルビアの方がおとなだね。


「行方不明者に関する宣言」が採択された


だが、今回の首脳会談でひとつだけ進展があった。「行方不明者に関する宣言」が採択されたことだ。

行方不明者?

コソボ紛争が終わって世界の目がコソボから離れた後、国際機関がコソボを見張ってるから安心・・じゃなかったんだ。あの後、少数派になったコソボ・セルビア人がどんな目にあっていたのか?
セルビア人以外の少数民族も、コソボ新政府に不服従のアルバニア人も合わせて、今なお3000人が行方不明のままだ。


3000人?!
もしかして、さっきの「黄色い家」へ連れて行かれた?

その通り!ヴチッチはこう言った。
「行方不明者に関する宣言」が採択されたことによって、「私たちは、仲間が埋葬されていると思われる場所の発掘に関して、あなた方が私たちの要求を満たすことを期待している」と。(b92)

じゃあ、「黄色い家」の件も表に出されるってことだね。
コソボ側は、どうやって説明するのか?

世界が「黄色い家」のことを知れば、コソボも真実と向き合わねばならんだろう。

「黄色い家」を見つけた人のおかげだね。

最初に見つけたのは、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷 ( ICTY ) のスイス人女性検事、カルラ・デル・ポンテだ。

カルラ・デル・ポンテ
Author:Rama[CC BY-SA]

ICTYと言えばセルビア人に厳しいと言われる、セルビア人を裁くための法廷でしょ?

だが、デル・ポンテは公平な目で、コソボ・セルビア人の拉致、誘拐事件の証言と証拠を集めた。彼女は「黄色い家」の存在を突き止めた。そして、それを実行したのがKLAであることも。2004年の捜査では、デル・ポンテ自身が「黄色い家」に出向き、室内の血痕と、手術で使われた薬物を見つけている。
(SERBIA POST)

やるな~ デル・ポンテさん。

しかし、デル・ポンテ率いるICTY検察も「ゴムの壁」に突き当たってしまう。本来調査に協力すべき、国際機関UNMIKやアルバニア検察局が捜査を妨害してくる。
アメリカはもちろん、「KLAの訴追については、米国以外のNATO加盟国(イギリス)もまた非協力であった」。
(「コソボ 苦闘する親米国家」95p)
デル・ポンテの仕事を継いだ欧州議会のディック・マーティも、2010年発表した「コソボにおける非人道的行為と臓器密貿易」でこう言っている。
「衝撃だったのは、国際機関や西ヨーロッパ諸国、コソボ警察などは、この犯罪の事実を知っていたのに、政治的な判断から口を閉ざしていたことだ」。
(「コソボ 苦闘する親米国家」105p)

ディック・マーティ氏

つまり、臓器売買で潤っている国や組織は妨害する、というわかりやすさ。

しかも、KLAは有罪にできない。

証人が消されちゃうからね。
でも、臓器売買って、そんなにもうかるものなの?

マーティの報告書によれば、一番お高い肝臓が15万7千ドル、人間一人分の臓器だと100万ドル、つまり1億円を超えるビジネスだよ。「しかも拉致によって、『原材料』は無料で入手できるのだ。」(「コソボ 苦闘する親米国家」105p)

はあ〜、そういう商売にアメリカやイギリスがかかわっていることを、みんなちゃんと知ってよね。
でもさ、アルバニア人て、悪魔崇拝者の血でも流れてるの?
ヤバい民族だよね。

ちょっと待て! その言い方はよくねえぞ!

え?

アルバニア人に失礼だ。

はい?

まるで、アルバニア人のすべてが臓器売買をするKLAみたいだと聞こえる。臓器売買に真っ向から向き合って、批判しているアルバニア人もいる。
木村氏の「黄色い家」の取材も、アルバニア人の協力なしにできなかった。
現に、セルビア南部のコソボに近い地域では、今でもセルビア人とアルバニア人が助け合って生活している。

ごめん、「アルバニア人」とひとくくりで判断しちゃいけないね。

ああ、それこそ、「セルビア人は悪者」と同じことになるからな。一部の狂ったヤツだけを見て、「〇〇人は悪い」とレッテルを貼っちゃいけねえよ。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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