ヴチッチ大統領への期待が感じられる「希望のセルビア」集会
5月26日の夕方、セルビアの首都ベオグラードで、セルビア与党「セルビア進歩党」主催の「希望のセルビア」という集会が開催された。これは与党「セルビア進歩党」の政治集会ではなく、「困難な時代における国の結束を示す未来のための集会」として、
支持政党に関係なくすべてのセルビア国民が招かれた。
セルビア本国は元より、コソボからもセルビア人約1万人が200台のバスで駆けつけた。
みな、セルビアへの愛国心と、ヴチッチ大統領への支持を表明するために集まったのだ。(
BETA BRIEFING)
〈セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、ベオグラードで開催された「希望のセルビア」集会で、「対話を求めている」「安っぽい政府はありえない」「祖国は、路上ではなく、国民の意志によって勝ち取られる」と述べた。(DeepL翻訳)〉
雨にも関わらず、何万人規模になったようだ。
へええ、すごい人数だね。
これほど多くのセルビア人が集まったことは、未だかつてなかったらしい。
歴史的瞬間かあ。
参加者からは、ヴチッチへの期待が感じられる。「コソボとメトヒヤのセルビア人は、『希望のセルビア』とアレクサンダル・ヴチッチ大統領の集会を支持します。なぜなら、彼は私たち全員のために日夜戦っているのですから、それに値するからです。」
「ヴチッチ大統領は、良い時も悪い時もセルビア人をサポートし、コソボとメトヒヤのセルビア人をあらゆる問題で助けてくれます。」
セルビア正教のスラビッチ司教「この国には、愛し、尊敬し、支持する大統領がいることを全世界に知らしめよう。」
(
SERBIA POST)
ヴチッチさん、すごい人気だ!
「カラー革命」が計画されていた?
・・
でもねえのよ。ヴチッチ打倒を目論む、反政府運動が盛んになっている。
そのきっかけが、5月4日、セルビアの首都ベオグラードの小学校で起きた銃の乱射事件だ。一人の生徒が学校に持ってきた父親の拳銃で、8人の生徒と警備員1名を射殺した。
そんなことがあったんだ!
5月19日、政府与党がベオグラードで開いた「追悼集会」の演説で、ヴチッチはあるスジから警告を受けたと打ち明けた。その翌日に予定されていた野党主催の反政府集会で、「カラー革命」が計画されていると言うのだ。
(
KOSOVO ONLINE)
あるスジ? もしかしてロシア?
で、今さら聞くのもなんだけど、
「カラー革命」ってなに?
「カラー革命」については、最近の「
ユダヤ問題のポイント」に詳しい。
アメリカ、と言うより
CIAが、カネを出して組織する抗議運動のことだ。目的は、アメリカの利益に反する指導者を打倒すること。
2003年のグルジアの「バラ革命」が有名だが、実は「カラー革命」が初めて成功したのは、2000年のユーゴスラビアだったとか。
当時のユーゴスラビア大統領ミロシェヴィッチは、CIAの支援を受けた学生運動によって辞任に追い込まれたそうだ。(
RT)
なんと! ユーゴは「カラー革命」でやられたのか。
大成功を収めた「第1回目カラー革命」の記念すべき場所で、ふたたび
実行しようとしたらしいが、ご覧の通り、数千人規模のデモになったが暴動は起きなかった。
〈デモ隊は政府庁舎を通過する際に「Vucic go away」と唱和している。(DeepL翻訳)〉
良かった~ でも、「ヴチッチ、やめろ」って!?
ヴチッチは、西側主要5カ国〈アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア〉に従順じゃねえのよ。
彼は言う、欧米はセルビアがコソボを大皿に載せて差し出すのを期待している。
セルビアの子供たちが殺され工場が破壊された1999年のNATOの空爆についても、
「私たちは和解した、あの爆撃は正しかった」と言うのを期待していると。(
KOSOVO ONLINE)
そんなの、ゼッタイにムリ!
そうだ。ヴチッチはそんな期待には答えない。
ヴチッチは言う。我々は決して降伏しない、コソボを独立させない。セルビアは、あなた方の革命にうんざりしている。セルビアは、外国人がセルビア的なものをすべて破壊することにうんざりしている。(
RT)
ヴチッチ大統領
ヴチッチさん、ファイト!!
「カラー革命」なんかに、負けるな!!
さらに、ヤツらの気に入らないことは、セルビアがロシアを見捨てないことだ。アメリカの西バルカン専門家、セルワー教授は言う。
「セルビアにロシアと決別させ、より親欧米的な方向に向かわせることができていない。セルビアはアメリカやEUではなく、中国とロシアという2つの椅子に座っている。」(
KOSOVO ONLINE)
ぼくには、セルビアが賢く見えるけどね。
ヴチッチは、ウクライナがロシアに勝利することは「ほとんど不可能」と知っている。だから、軍事的中立を維持してきた。だが、EUはそれを許さない。EUに加盟したければ、ロシア制裁に加われ、コソボの独立を承認しろと圧力をかけてくる。(
RT)
EUなんかより、これからはBRICSだよ?
さらにひどくなるコソボ・セルビア人へのいやがらせ
ふう〜〜~ 他にもいろいろありすぎるほどある。たとえば、5月26日の「希望のセルビア」集会の直前にも、北コソボでひと悶着あった。
北コソボと言えば、コソボ・セルビア人が多く住む地域だね。
そう、その
北コソボの市庁舎の前で、集まったコソボ・セルビア人らが、コソボ警察に催涙ガスや殺傷力の低い爆発物「スタングレネード」を浴びせられて、病院で手当を受けたと言うんだ。(
KOSOVO ONLINE)
M84 スタングレネード
なんで、市庁舎の前に集まってたんだろう?
不正に選ばれた市長たちを、市庁舎に入れさせないためだよ。
不正選挙?
話は4月23日、北コソボで行われた4つの自治体の市長選挙にさかのぼる。約4万人のコソボ・セルビア人有権者のほぼ全員が、この選挙をボイコットした。
つまり投票したのはたったの1,567人。
その中で最大得票を得た4名のアルバニア人が、4自治体の市長になったのよ。
へ? そういう時はふつう、選挙は無効になるよね。
セルビア人に対して「ふつう」は通用しない。セルビア人自治体の一つ「北ミトロビッツァ」では、たった553票を獲得したアルバニア人が市長に当選した。こいつは市庁舎にコソボ国旗を掲揚して、セルビア人たちの反感を買った。(
KOSOVO ONLINE)
「ここはセルビアじゃない、コソボ共和国だ」と言わんばかりだ。
今だってセルビアは、コソボを国と認めてねえのにな。
しかも、あきれたことに、西側主要5カ国も「この選挙結果は合法である」って、認めちゃってさ。(
KOSOVO ONLINE)
へええ? 完全にコソボ寄りだねえ。
自分たちの国も、こんな低い投票率で選ばれた代表者を認めるんだろか?
さらに、コソボ・セルビア人へのいやがらせは、これまで以上にひどくなっていて、彼らの忍耐も、限界に達してきている。たとえば、5月10日の深夜、
コソボ・セルビア人3人の乗った車が、武装警官グループに呼び止められた。警官はアルバニア語でまくしたてたので、セルビア語を話す人はいないかと尋ねると、
3人は車の外に出され、足を蹴られた上に車内を捜索された。
(
KOSOVO ONLINE)
コソボ・セルビア人だって、税金を払ってるんだよね。
警官も彼らの税金で雇われてるんだよね。
こういう犯罪的なことをするから、コソボにはCSM ( セルビア人自治体共同体 ) という概念が必要になってくるんだよ。
5月19日、
帰宅途中のコソボ・セルビア人が、コソボ警察特殊部隊(ROSU)の検問所で止められた。そこでセルビア発行のナンバープレートを没収された上に、150ユーロの罰金を科された。コソボとセルビアの合意で、コソボ・セルビア人はセルビア発行のナンバープレート使用を許可されていると言うのに。
(
KOSOVO ONLINE)
まるで無法地帯だ。
さらにコソボ当局は、コソボ・セルビア人が多いエリアに、警察基地を5つも新設する予定で、コソボ・セルビア人の土地を収用して建設用地にすると言う。そのために新しく規則も作り変えたとか。(
KOSOVO ONLINE)
収用と言うことは、コソボ・セルビア人の土地を取り上げるってこと?
そうだ。
コソボ・セルビア人の土地に、彼らを監視する「アメリカが創設した架空の麻薬国家の特殊テロ部隊」、特殊部隊ROSUを配備するつもりだ。(
Twitter)
〈昨日、KFORの代表団がヤリンジェ検問所付近のバリケードに到着し、コソボ特殊部隊ROSUと交渉している。メディアは、彼らの撤退とNATO平和維持軍への置き換えの可能性について議論している。(DeepL翻訳)〉
こうゆう連中が家の周りをウロウロしてるなんて、耐えられない。
セルビア人の忍耐も我慢も限界にきている
だが、コソボ・セルビア人は、そういう環境にずっと耐えてきた。
特にここ数ヶ月は、コソボのクルティ首相は意図的にセルビア人を攻撃しており、セルビア人の忍耐も最終段階に来ている。(
KOSOVO ONLINE)
はあ・・。
だから、彼らが宣言したのもムリはないと思う。6月1日までにコソボ政府がなんらかの対応をしなければ、コソボ・セルビア人は行動に出ると。
コソボのセルビア人政党「セルビア・リスト」のシミッチ副会長は言う。
「国民は、アルビン・クルティの政権を容認することはできない。私たちは、土地の差し押さえ、偽の収用、逮捕、偽の起訴と同様に、国民に対する弾圧を停止するために6月1日までの期限を与える。」
「コソボ中の刑務所で拘束されている、無実のセルビア人への迫害を止めろ。医療や教育といった、基本的な権利を妨害することもやめろ。これらの行動が続くなら、コソボ・セルビア人は6月1日に反撃に出るだろう。我々はあらゆる手段で自らを守るだろう。」
「我慢も限界にきている。」
(
KOSOVO ONLINE)
うわあ! また、去年の年末みたいに主要道路にバリケードを張るのかな。
てゆうか、この記事が公開される頃はすでに6月1日を過ぎてるよ。
バリケードくらいで終わればいいが・・。血が流されなければいいが・・。
もしかして、コソボ当局は特殊テロ部隊ROSUを暴れさせて、セルビア軍を引っ張り出す作戦かもよ。
だが、セルビア軍はNATOの許可がなければ、コソボに入れない。
それを無視して、介入せざるをえない状況を作るんだよ。
それこそが、クルティの考えている作戦じゃないの?
アルビン・クルティ首相
・・・
ロシアがウクライナを侵攻せざるを得なくなったように?たしかに、「コソボvsセルビア」は「ウクライナvsロシア」の相似形だな。
コソボ・アルバニア人は、小さい頃から「セルビア人=悪者」と教育されて大きくなった。そして、セルビア人を殺しても罰せられないことも知っている。
「ロシア人=悪者」で洗脳された、ウクライナの子どもたちに似てる。
ウクライナのロシア人がいじめられているのを見過ごせなくなったロシアは、ウクライナへ侵攻せざるを得なかった。コソボでいじめられているセルビア人を見過ごせなくなったセルビアも、決まりを破ってコソボに侵攻するかもしれない。
そうなったら、ロシアの時のウクライナみたいに、コソボは世界を味方につけてセルビアを悪者だと宣伝する。その結果、コソボは世界から独立国として認められ、セルビアは孤立するのか。
目が話せない状況になっているのは、確かだ。前に、コソボ民主党の代表が言っていたセリフ、覚えてるか?
「コソボの完全性と主権が侵害された場合、コソボは戦争の準備が整っている。」
(
KOSOVO ONLINE)
ヤバい!
すでに、セルビアも動き始めた。最高司令官ヴチッチは、セルビア軍の戦闘態勢を最高レベルに引き上げ、コソボとの行政境界線に向けて緊急に移動するよう命じた。(
KOSOVO ONLINE)
ああ~ 神さま!!
Writer
白木 るい子(ぴょんぴょん先生)
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
こんなに続けるとは思っていませんでした〜。
コソボの現状を知るほど、日本は海に囲まれていて良かったと思います。
「平和ボケ」「ゆでガエル」であっても、恵まれているなと。
セルビアのように、周囲を外国に囲まれた国は大変です。
特に、バルカン半島という因縁の深いこじれた土地は。
でも、彼らの「意地」と「熱い愛国心」は、私たち日本人にマネできないようなレベルで、少しうらやましくも感じます。