ぴょんぴょんの「暴走するアルゼンチン」 ~新大統領ハビエル・ミレイ氏はどんな人?

 国がエライコッチャの状況になると、これまたエライコッチャな人が登場して、ワラをもすがる国民は、エライコッチャな人を選んでしまう。
 日本もエライコッチャの状況なので、よその国のエライコッチャに首を突っ込む余裕などないのですが、そこから学ぶことがあれば、と思って取り上げました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「暴走するアルゼンチン」 ~新大統領ハビエル・ミレイ氏はどんな人?

「神」のお告げ通りに大統領になっちゃった??


こいつ、だれだか知ってるか?

いきなりクイズ?

Wikimedia_Commons[Public Domain]

指名手配犯? 前科何犯?

う〜ん、じゃあ、ヒントを与えよう。白髪混じりのボサボサで、ついたあだ名が「ズラ(かつら)」。人前に出ると度を超えてクレイジーになるから、ついたあだ名が「クレイジー・ワン」。あるときは自身のヒーロー「アンキャップ将軍」にコスプレして登場、あるときはステージで歌って踊る「ロックスター」。(wiki

さっぱり、わかんない?

あるときは、フランシスコ法王を「共産主義を推進するイエズス会士」「クソ共産主義者」「クソの塊」「薄汚い左翼」と呼び、アメリカのギャング、アル・カポネは「英雄」と賞賛する。wiki

アル・カポネ
Wikipedia[Public Domain]

ただの、口の悪いおっさんじゃん。

中絶と安楽死に反対し、教育と医療の民営化を支持。予防接種の義務化に反対し、薬物の合法化と売春の合法化を支持している。wiki気候変動に懐疑的で、性教育を反家族の陰謀とみなし、銃器所有と人体臓器売買の合法化を望んでいる。RT

なんだって〜!?

あるときは「タントラ・セックスのインストラクター」で、何度か「3P」に参加したと自慢する。(RT

異常性欲者?

映画「コナン・ザ・バーバリアン」から名付けた、先代のイングリッシュ・マスティフ「コナン」のクローン犬、5匹を飼っている。

クローン犬を飼ってる?

霊能者を介して、先代犬「コナン」やクローン犬からアドバイスをもらったり、カウンセリングを受けている。wiki

「お犬様」のカウンセリング?

また、先代犬「コナン」は、剣闘士だった自分が、約2,000年前にローマのコロッセオで戦ったライオンだと言う。


なんか、頭がグラグラしてきた。


また、こいつが「ナンバー1」と呼ぶ「神」から、こう告げられた。「政界に入り、大統領になるまでやめないという使命がある」。wiki

どこの「神」とつながってるの? いったい、このエキセントリックな人はだれ?

こいつはな、11月の選挙で当選し、12月10日にアルゼンチン大統領に就任するハビエル・ミレイ(53歳)だよ。

ひょええ〜〜!! 「神」のお告げ通りに大統領になっちゃった??

ミレイは、著名な経済学者・作家で、テレビ討論会の常連だ。討論ではアグレッシブでブエノスアイレスの市長を「最低のクズ」、ブエノスアイレス州知事を「極悪非道の小人」と呼んだ。(RT

フランシスコ法王のことも、ボロクソだったね。

そして、これが「アンキャップ将軍」のコスプレで歌うミレイ君。

〈ハビエル・ミレイ次期大統領はかつて、スーパーヒーローの分身である「アンキャップ将軍」に扮し、アルゼンチンの経済危機を歌いながら登場した。(DeepL)

オペラだ、けっこう、いい声してるじゃん。

そして、これもミレイ君!

〈アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、ロスバードという名の犬を飼っている。
もう十分だろ。(DeepL)
注:ロスバードは、アメリカの経済学者マレー・ロスバードのこと。

ヒャッホー!! 「7種」まる出しじゃん!

こういうところが、若者に人気がある理由かもしれん。21歳の学生「正直、有頂天だよ。ミレイは変化を象徴している。マッサ(前大統領)だったら私たちに未来はなかった。私たちの未来は戻ってきた」 31歳のレストラン従業員 「ミレイは新しいもので、ちょっと未知数だし、ちょっと怖いけど、新しいページをめくる時なんだ」 20歳の学生「ミレイの言うことすべてに賛成したり、共感できるわけではないかもしれないけれど、彼は私たちの未来なんだ。」 (X

ぼくは、ちょっと不安。

そして、これがミレイ君のクローン・ワンコたち。

〈ハビエル・ミレイと5匹のクローン犬が、アルゼンチンの選挙に登場。(DeepL)

やさしい人みたい。でも、クローンを作るなんて、よっぽど先代の犬が忘れられないんだね。ああ見えて、意外と気が弱い人かも。

「弱い犬ほどよく吠える」。


経済がズタボロで瀕死のアルゼンチン


でも、なんで、この人がアルゼンチン大統領に?

アルゼンチンは今、経済がズタボロで、国内の消費者物価が過去30年間で最も上昇し、貧困率は40%に達している。それに、IMF(国際通貨基金)に440億ドルも借金してる。RT)(RT

それは、大変な状況だ。

そんな、瀕死のアルゼンチン国民の前に、救世主のごとく現れたミレイ。「ワラをもつかみたい」国民にとって、ミレイは「ワラ」だった。

だけど、なんでアルゼンチンは、「世界を相手にするサラ金」IMFなんかからおカネを借りちゃったの?

「ブエノスアイレスの経済危機は、マウリシオ・マクリ前右派大統領(2015~2019年)が直接の原因であり、彼は厳しい再選挙の前に政治的信用を高めることを期待して国際通貨基金(IMF)から巨額の融資を受けたが、結局は敗れたことを前もって指摘しておく必要がある。この巨額で返済不可能な借金は、現職のアルベルト・フェルナンデス大統領の政権にも引き継がれ、ハイパーインフレの一因となった。」(RT

マウリシオ・マクリ前右派大統領

自分のために借金作ったのに、落選したから責任も取らない。なんて人だ!

サイテーだな。

でもさ、アルゼンチンて、BRICSに入るって言ってなかった?

そう、アルゼンチンは、BRICSに加わる6つの新規加盟国のひとつだった。フェルナンデス前大統領は、「BRICSへの参加はアルゼンチンにとって新しいシナリオを切り開くチャンス」と語った。(RTすでに、中国との貿易は、米ドルではなく人民元でやり始めていたし、年が明けて1月1日には、めでたく正式加盟するはずだった・・が。RT


実際にミレイがやろうとしていること


が・・?

ミレイは選挙戦で、BRICSに加盟しないと宣言していた。ミレイのお仲間も「アルゼンチンは1月1日にBRICSに加盟する予定はない」と言ってる。つまり、12月10日にミレイが大統領に就任したら、1月1日のBRICS加盟は消えるか、延期されるだろう。RT

へえ?! 経済的に立ち直るせっかくのチャンスなのに。

ミレイはBRICSよりも、IMFや欧米(主にアメリカ)と仲良くしたい。北米、ヨーロッパ、イスラエルとのビジネスを選ぶと言ってるし。RT

えええ?! IMF? イスラエル? パレスチナをいじめてるのに?

ああ、ミレイはバリバリのイスラエル支持者だ。イスラエル軍への支持を「力強く表明」しているし、アルゼンチン大使館をテルアビブからエルサレムに移すと言ってる。ついでに言うと、ミレイはロシアよりウクライナを支持している。RT)(RT

う〜ん、ぼくは、この人に投票しないなあ。

だが、実際にミレイがやろうとしていることは、もっとヤバい。自らを「アナーコキャピタリズム(無政府・資本主義)」と称するミレイは、とんでもない政策を提案している。アルゼンチンの中央銀行を閉鎖し、米ドルを法定通貨として採用する、税金と公共支出を大幅に引き下げる、すべての国有企業を民営化または閉鎖する、保健省、教育省、環境省を廃止する。RT

えっ?! 国民の生活がヤバいことになりそうだけど、米ドルを法定通貨にするって?

ミレイは、アルゼンチンの自国通貨「ペソ」を捨てて、「米ドル」を公式通貨にするつもりなんだ。


そんなことしたら、自国のおカネが刷れなくなっちゃうよ。

同じ南米で自国通貨を捨ててドル化した、エルサルバドルもエクアドルも苦労しているのを知らねえのかな?

それに、米ドルなんて、いつ紙切れになってもおかしくないのに。まるで、アメリカと心中したいようだ。じゃあ、「中央銀行の閉鎖」はなんのため?

刷りすぎてインフレになったから、これ以上刷るなってことか? 仮に、中央銀行という民間銀行を国営銀行にするんなら良いが、そうは言ってない。

じゃあ、アルゼンチンの経済は、完全にアメリカの支配下に置かれることになるよ。

その通り。「エクアドルやエルサルバドルがそうであったように、自国の通貨を放棄することは、アルゼンチンの金融政策がワシントンDCで書かれることを保証することになり、アルゼンチンは事実上アメリカの植民地になってしまう。」(RT

はあ〜、それでいいの?

ドル化に失敗したエルサルバドルのように、ビットコインを法定通貨にしたいんじゃないかとささやかれているが、ミレイは「WEFのヒト」だから、最悪、WEF(世界経済フォーラム)の推奨する、デジタル統一通貨の実験に使われるかもしれん。

え? WEFのヒト?

見てくれ、ミレイはWEFのHPに紹介されている。


ほんとだ・・。

「皆さん、盲目的に支持する人物には要注意です。盲目的にだれかを支持するのは気をつけましょう。経済学者から政治家に転身したハビエル・ミレイ次期大統領は、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ公認メンバーとして長年活躍してきたのです。」(Your NEWS

ああ〜!!

だが実際は、ミレイの政党は議席が少なすぎて、どっかと連立を組まないと実現までの道のりは遠い(YouTube 7:29)。とは言っても、ヤツの政策提案には見過ごせない部分が多い。たとえば、「移行期間中の施設の軍事化」「営利目的の官民刑務所システムの構築」「収監規制の緩和」「受刑者の強制労働の実施」「未成年者の刑事責任年齢の引き下げ」「カメラと顔認識機能を完備した全国監視ネットワークの構築」。RT


うわ〜! これって、犯罪の取り締まりのためだよね? 自分に反対する人を、片っぱしから刑務所にブチ込むためじゃないよね?

もしそうなら、アルゼンチンはミレイ閣下が独裁する「警察国家」になっちまうだろう。

もしかして、それが「ナンバー1」と呼ばれる「神」のお告げ?

「お犬様」のお告げかも?

Author:Fotosuabe[CC BY-SA]


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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