広島大学が開発した「メカノス法」は室温で50cm程の小型装置で、水素生成速度を300倍加速させ、海水からも高効率に水素を製造でき、CO2を排出しないという画期的なもの

竹下雅敏氏からの情報です。
 これまでなら高温で大規模な設備が必要だった水素の生成に、広島大学が開発した「メカノス法」では、室温で50cm程の小型装置で大量の水素生成が可能だということです。
 この驚くべき発見は、ボールミルを用いた金属ナノ粒子合成中に偶然に見いだされたもので、水素生成速度を300倍加速させ、海水からも高効率に水素を製造でき、CO2を排出しないという画期的なものです。
 “水素製造といえば、高温・高圧が必要で、大規模なプラントを建設しなければならないのが当たり前と考えられていました。しかし、メカノス法はこの常識を覆し、常温・常圧・低エネルギーで水素を製造する新たな可能性を提示したのです。もし、この技術が商業化されれば、水素社会の実現は大幅に加速するでしょう(11分27秒)。…日本は現在、エネルギー自給率が低く、約90%のエネルギーを海外からの輸入に依存しているのが現状です。しかし、もしメカノス法が商業化されれば、日本国内で水と金属さえあれば水素を作り出せるため、エネルギー自給率を劇的に向上させることが可能になります。これは、エネルギー安全保障の面でも極めて大きな意味を持ちます。特に、地政学的リスクが高まる中、日本が独自のエネルギー供給源を確保することは、国家戦略としても重要です。(20分37秒)”と動画では説明しています。
 “続きはこちらから”の記事は、広島大学がイギリス王立化学会発行の学術誌に掲載した論文を紹介したものです。
 広島大学が開発した「メカノス法」では、金属と水の反応が連続的に持続する仕組みになっています。ボールミルは円筒形の容器の内部に複数のセラミックなどの球状のボールを入れて回転させる装置です。水、金属粉末、粉砕ボールを入れて回転させるのですが、金属粉末にチタンを用いると「水素製造の収率は1,600%に及んだ」ということです。
 そのメカニズムですが、こちらの動画の説明によると、ボールミルの回転によって微細化されたチタン粉末は表面積の増大によって反応性が高まり、水との接触面で酸化が進みやすくなります。チタンが水と反応して酸化され水素を発生させた後、酸化チタンがボールミル装置の内壁に使われているタングステンと反応し、タングステンが酸化チタンの酸素を奪い取る反応が生じます。これにより、酸化チタンが再び還元されるのです。
 広島大学の引用元の記事には、“その反応メカニズムは、反応で生じたチタン酸化物がボールミルの物質(タングステンカーバイドまたはステンレス)により還元され、再生したTi(チタン)が水と反応し水素製造を繰り返す”とあります。
 また、水素の発生量が劇的に増加する理由として、水の超臨界状態が一時的かつ局所的に発生することが確認されているということです。超臨界水とは、温度と圧力が一定の臨界点を超えたときに現れる水の特殊な状態です。ボールミル内部で、極めて短時間・局所的に高温高圧の状態が生まれ、反応性が飛躍的に向上するということです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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歴史的瞬間! 広島大学が世界を変える『水素革命』を実現!?専門家は「中国にこの技術を盗ませてはならない」と警告
配信元)
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配信元)


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【研究成果】世界初、水素の高効率製造法!高温・巨大施設での製法が、室温・実験室でも可能に
引用元)
本研究成果のポイント

・これまで高温(600~2000℃)、広大な敷地(数100メートル四方)を必要としてきた水素製造法が、室温付近(30-38℃)、小型装置(50cm程)でも可能に。

・本製造法は、次の三つの発見に基づく、世界初の手法である。
1)メカノケミカル法(※1)により室温付近での熱化学サイクル(※2)が実現。
2)反応容器内で、高温・高圧のホットスポット(※3)が生成し、そこで熱化学サイクルによる水素生成反応が繰り返し起きた。
3)超臨界水(※4)が瞬間的・局所的かつ連続して生成し、水素製造を300倍加速。
その結果、高温・巨大施設での製法が、室温・実験室でも可能になった。
本製造法は海水からも高効率に水素を製造できる。そしてCO2を排出しない。
また、オンサイト(必要な場所)、オンデマンド(必要な時)での水素製造に繋がる。

概要

気候変動と環境汚染から、グリーンで低エネルギーなCO2を排出しない水素製造法は、極めて重要である。大学院生の山本拓哉氏(理学研究科 博士課程前期修了)、芦田翔氏(先進理工系科学研究科 博士課程前期)、自然科学研究支援開発センター(研究開発部門)の齋藤健一 教授らの研究グループは、ボールミル(※5)を用いた金属ナノ粒子合成中に、容器が天井に吹き飛ぶ程の大量の水素生成を、偶発的に見出した。安全な実験条件を探し、合計26種類の手法を用いた実験・理論の両面からメカニズムを詳細に研究したところ、金属がメカノ触媒(※6)、反応容器の材料が助触媒(※7)となり、原料の水が尽きるまで連続的に水素を製造する現象を見出した(純度>99%、収率1,600%)。特に、室温付近の温度(30-38℃)にも拘わらず、局所的には超臨界水が生成し、それが水素生成速度を300倍加速させた(図1)。

水の熱化学サイクルによる水素生成は、高温(600~2,000℃)を必要とする。その高温を得るために、数100メートル四方の敷地を要する施設が利用されている(砂漠の超大型太陽光集光システム(10,000~150,000 m2相当の面積)、または原子力発電所の排熱)。その熱化学サイクルによる水素生成が、50cm程の大きさのボールミル内で、室温付近の温度で進行することを見出した。その鍵は、ホットスポットの生成にあった。また、海水を原料にしても水素が高効率に生成した。小型で低電力 (0.26 kW)の高効率水素製造は、オンサイト、オンデマンドでの水素製造に相当する。これらの成果はイギリス王立化学会発行の学術誌に掲載された。
(以下略)

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