注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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【大西つねきの一問一答】Part3~年金問題の本質~
— 大西つねき (@tsune0024) June 18, 2025
年金問題は、そもそもお金の話ではないです。
年金問題の本質とは、今いるお年寄り世代を今いる現役世代が支える話です。
お金で考えている限りは、絶対に解決しません。
詳しくはYouTubeなどでお伝えしています。https://t.co/IG42cXkAxX… pic.twitter.com/YBJlQChMym
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2019.6.10「日本一まともな年金の話」大西つねきの週刊動画コラムvol.82
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YouTube 19/6/10
【要約の書き起こし】
(1:43)
そもそも年金は何なのか
老後のために若いうちにお金を積み立てて、それを年金運用基金が増やして、老後にそれを給付することによって安心して暮らせるためのもの。
その前提条件
「お金は時間とともに増えるものだ」という前提がある。
その前提があるから「若いうちから積み立てていくと金が育って増えていく」ことが良いとされる。
ではなぜお金は増えるのか
そのお金を借りて、金利分のお金をつけて返す人がいて初めてお金が増える。
お金自体には全く意味はない。現物のお金はお札でしかないし、ほとんどのお金は数字でしかない。
お金は交換できる実態価値があって初めて意味がある。
お金だけ増えても全く意味がない。増えるお金で交換できるサービスとか商品の実態価値も増えて初めてお金とバランスして、お金が意味を持つ。
しかし実態価値が増え続けられるかというと、それは不可能だ。地球は1個しかないし、必ず止まる。
経済成長が止まれば、その国の財とかサービスの生産は鈍化する。
お金を増やし続けるためには、お金を借りて金利をつけて返してくれる人が増え続けなければいけない。
しかし日本は経済成長が止まり、それができないから金利がどんどん下がっている。日本だけでなく世界的に低金利になっている。
今、何が起きているかというと、「お金が時間とともに増える」という概念、金利という概念が臨終を迎えようとしている。全世界的に絶滅しようとしている。
「お金と借金を増やし続けなければいけない」という仕組み、そしてそれを前提にした全てのシステムを作り替えなければいけない。
今の「借金でお金を発行する」という仕組みも、年金だけではなくて銀行システム、生命保険、損害保険など集めたお金を増やしていかないと立ち行かない仕組みは全部限界を迎えている。全部崩壊せざるを得ない。
(6:00)
政府が税金を集めて、それを政府が使うという政府機能の考え方も終りに近づいていると思う。
富の再配分は置いておいて、国家が若いうちは、年金を少しづつ集めて運用するとか、例えば政府が集めたお金をインフラに大規模投資するとか、民間の生産性を劇的に上げてサービスとか商品とかの財を作り出すことによって、お金もそれにつれて増えた時期があった。
しかし国家が成熟すると、そのシステムも立ち行かなくなる。
「お金が時間とともに増えるという、その概念そのものがもう壊れている」ということをしっかり認識した上で全く新しい仕組みを考えていく必要がある。
国が「年金運用を株の運用で失敗して大損した」ということはあってはならない。
しかし損したら大変だから株で運用をしてはいけないという話ではない。
利益を上げてもやってはいけないことだ。
年金のように公的なものの運用は、みんなの利益に資するものでないといけない。
年金運用基金が株で儲けたら何が起きるか。
仮に国内だけで株式売買をしたとすると、国内の誰かが損をしていることになる。
国家全体で見ると、所有権とお金を交換しているだけで何も起きていない。
公的なお金の運用方法として思想的に間違っている。
外国人投資家が相手だとすると、多くの場合、外国人投資家が儲けて年金運用基金が損をしている。
リスキーだからいけないということではなくて考え方そのものが間違っている。
低金利、金利ゼロが続いていて金利で増やせないから株式で運用することになったというのは、悲しい愚かな結果だ。
本来、年金は金利で運用すべき。そして金利は経済全体の成長率とほぼ並行して上がっていく。
年金も金利で増やすのがフェアな考えだ。
(12:00)
じゃあどうしたら良いのか
若い頃から集めて、歳をとって配るという考え方は完全にやめた方がいい。
年金が必要だったら政府がお金を作ってご高齢者に必要なだけ配ればいい。
年金本来の考え方からすると、お金が大事なのではなく老後も安心して働かずに暮らせる状態が大事だ。
そう考えると、暮らすのに必要な住居、衣服、食料など現物支給でも良い。
そうであれば、単にお金を配るのではなく、将来的にはタダで入れる住宅、介護、医療もつけた住宅を無料で提供すればいい。
なぜお金で配らない方が良いのか。
年金としてお金を配って、それで家賃を払うとすると、そのお金は土地や不動産の所有者に不労所得になる。わざわざその所有者を儲けさせる必要はないので現物支給で良い。
今、現状はすぐにできないので、年金給付の先延ばしや減額に対しては、政府がお金を作って配れば良い。それで全然問題ない。
そもそもあらかじめお金を貯めておく必要が全然ない。
お金を配るとインフレになるという人がいるが、インフレにはならない。
今の日本の問題は、お金が足りないこと。
生産力は十分過ぎるほど余りあるが、その生産応力を最大限発揮するだけのお金がない状態だ。
お金はバンバン作って配っていい。
ご高齢者の年金が足りないのであれば、政府がお金を作って今まで通り55歳から配り始めて良い。
若者たちから年金を取るのはやめましょう。徴収する必要はない。
若者たちが老齢になった時にお金を作って配れば良いだけの話。
そもそも年金を運用してやると言ってお金を集めること、特に現役世代から集めることは、破壊的にお金の回るスピードを落とす。
現役世代に今、必要なお金を使わせないことになる。
そんなことをする必要はなくて、単純にお金は作って配れば良いだけの話だ。
本当にみんなが老後のために2000万円貯めたらえらいことになる。
なぜかというとお金をそれだけ動かさなくなる。
それは今の金融システムでは致命的。
年金も含め、今のお金はほぼ全てが誰かの借金の裏返しで生まれていて、その借金を払うためにお金をどんどん動かして、借金を払うための生産活動をしていかなければいけないのに、お金を貯めたり、年金を払うために消費が減ると、サービスや商品など財が十分に生産されないことになる。
有り余っている生産能力ををさらに余らせることになる。十分生産されないされないことになる。
つまり2000万円を貯めると、逆に自分たちの首を絞めることになる。
年金の前提となっている考え方そのものが壊れているということをまず認識する必要がある。
そこから議論を始めないと残念ながらまともな年金の議論にはならない。
今の年金の考え方は「老後のために若いうちにお金を積み立てて、それを年金運用基金が増やして、老後にそれを給付することによって安心して暮らせるためのもの」です。その前提として「お金は時間とともに増えるものだ」という認識がありました。
ところがその「お金は時間とともに増える」という金利の概念が世界的に終わろうとしているのが今です。年金だけでなく、生命保険や損害保険など集めたお金を運用して増やす仕組みは全部、限界を迎えていることを解説されていました。
「ではどうすれば良いのか。」当面は「年金が必要な人には政府がお金を作って、ご高齢者に必要なだけ配ればいい。単にお金を配るのではなく、将来的には暮らすのに必要な住居、衣服、食料などを現物支給する。タダで入れる住宅、介護や医療もつけた住宅を無料で提供すればいい。」と述べています。「お金なんかいくらでも作れるし、配れます。それで全然問題ない。」国にお金が無いから年金が萎んでいくというのがウソだったのです。
そして「若者たちから年金を取るのはやめましょう。徴収する必要はない、それどころか現役世代からお金を集めることは、破壊的にお金の回るスピードを落とす。現役世代に今、必要なお金を使わせないことになる。」と重要な指摘をしています。
そして最も懸念されることとして「お金を配るとインフレになるという人がいますが、インフレにはならない。今の日本の問題は、お金が足りないこと。生産力は十分過ぎるほど余りあるが、その生産能力を最大限発揮するだけのお金がない状態だ。お金はバンバン作って配っていい。」
「年金運用基金が株の運用に失敗して大損した」ことはあってはならないが、それは根本的な年金問題ではなく、年金の前提の考え方そのものが壊れているということを認識しないと、まともな議論にならない、と結論されていました。
現役世代と高齢世代がお金を奪い合うのではなく、現役世代が高齢世代を支えることによって、現役世代が豊かになるような実態価値を生み出す年金制度がありそうです。