ぴょんぴょんの「怒れる東欧」 ~ロシア制裁とウクライナ援助を強制するEUに反発

 この4月は、ハンガリーとブルガリアで総選挙が行われました。
 ここでも書いたように、4月12日のハンガリー総選挙では、オルバーンに代わって「EUの忠実なしもべ」ペーテル・マジャール氏が首相になりました。
 オルバーンのいないハンガリーは、お先真っ暗か?と思ったら、マジャールの勝利演説にビックリ! ぜんぜん「EUの忠実なしもべ」じゃなかった。どころか「オルバーン2.0(第2世代)」と呼ばれています。
 そしてブルガリア。ハンガリー選挙の1週間後、4月19日、5年間で8回目というブルガリア議会選挙がありました。ハンガリーと同じようにブルガリアでも、EUによるSNSチェックが発動したにもかかわらず、ここでも「オルバーン2.0」、反EU・親ロシアのルメン・ラデフ氏が首相に選ばれました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「怒れる東欧」 ~ロシア制裁とウクライナ援助を強制するEUに反発

「オルバーン2.0」と呼ばれているマジャール新首相


※英文全文はツイッターをクリックしてご覧ください
要約:ブルガリア元国防相クラシミル・カラカチャノフは言った。ウルズラ・フォン・デア・ライエン(欧州委員会委員長)、カヤ・カラス(EU外交安全保障上級代表)、ベルリンの指導者(ドイツ政府)、パリ(フランスのマクロン大統領)、その他の西欧諸国の指導者らは、ロシアへのさらなる制裁、ウクライナへのさらなる武器供与を、絶えず推し進めていると。 
「もし、狂った欧州指導部がロシアとの戦争を望むなら、自分たちの命を危険にさらせよ — 俺たちの命じゃなくて。」

ハンガリー総選挙が終わって、はや2週間。

目の上のたんこぶ、オルバーンがいなくなって、EUもホクホクだろう。

それがさあ・・。

ロシア制裁に拒否権を発動するような、不届き者が消えて、晴れてEUの天下になった。

ところが、選挙後のハンガリーのSNSを見ていたら、なんか違うんだよね。

何が違うんだ?

マジャールについてネガティブな投稿をしたこと、すべて撤回します。オルバーンは笑いすぎて眠れなくなり、ウルズラは数日間姿を消しました! EU全体とすべての既存メディアがマジャールに騙されました。本当に日を追うごとに面白くなっています。システムの変更なんてなく、ただの名前変更だけ。システム・ペーテル・マジャール、別名オルバーン2.0。


ウソだろ?? マジャールが「オルバーン2.0」?! 夢でも見てるんじゃねえのか?

ぼくだって、SNSだし、ウソだと思ってた。ところが、スプートニクのマジャール発言集を見て、ウソじゃないとわかった。

マジャールは、なんて言った?

1つ目は「対ロシア政策」。対ロシア制裁に反対はしないけど、利益重視を重んじて、ロシア産燃料は引き続き輸入する。

あれえ?! マジャールは公約で、「ロシア産石油・ガスへの依存を終わらせる」と言ってなかったか?

言ってた。でも変わったみたい。2つ目が「対ウクライナ政策」。ウクライナへの900億ユーロのEU連帯融資について。

オルバーンが拒否権を発動していた、あれか?

オルバーン・ヴィクトル
Wikipedia[Public Domain]

そう、それについて、マジャールは言った。現在ウクライナが止めている、ロシア ⇨ ハンガリーの「友情」パイプラインが再開されたら、拒否権は発動しないが、融資の提供には参加しないと。

つまり、ハンガリー国民のカネはウクライナにはやらん、と言ってるんだな。

そして、ウクライナのEU加盟については、反対しないが、加盟を早めることは支持しない。ましてや、ウクライナのNATO加盟なんか論外だと。RT

おおう! 言ってくれるじゃん!

3つ目が「EU政策」。オルバーンが拒否権を行使したために凍結されている、EUからハンガリーへの補助金200億ユーロ(約3兆7000億円)。これがもらえたら、EUが求める改革要求に応じる用意があると。

なるほど。EUとウクライナには、ちょっと妥協するが、ロシアとの協力関係は継続する。

そして4つ目は、オルバーンが大事にしてきた「ハンガリー系少数民族」について。

それ、重要なのか?

かつて、オーストリア=ハンガリー帝国の一部だったトランスカルパティアは、今はウクライナに組み込まれていて、そこに取り残されたハンガリー人たちは、ウクライナ化政策を強制されている。そんな彼らにオルバーンは、ハンガリーの選挙権を与え、補助金も出してきた。そしてマジャールも、引き続き彼らを守ると言っている。RT

ウクライナのトランスカルパティアの位置
Author:TUBS[CC BY-SA]

そうか、良かったな。

5つ目は「戦争」について。マジャールは明言している。ウクライナと同じ運命をたどることは望まない、ハンガリーはウクライナに武器を供与しない、ハンガリーが戦争に巻き込まれることはさせないと。

良いなあ、実に良い。日本にも、こう豪語する指導者がいてくれたらなあ。

へええ〜? 前は、マジャールのことボロクソに言ってたのに?

選挙前は、いけ好かないヤツだったんだよ。選挙前と選挙後で、こんなに、いい意味で裏切られたケースは初めてだわ。

ところで、マジャールが勝利した翌日、EUは早速、言ってきた。凍結されている350億ユーロ(約6兆5,000億円)の補助金を解禁する代わりに、ハンガリーは27項目の条件を飲めと。たとえば、外国人に対する難民受け入れ規則など。

来たぞ、来たぞ!

ハンガリーは、2024年に承認され、2026年6月に発効する、EU移民協定に反対した。この協定は、移民・難民受け入れに関する、EU内の統一ルールを定めており、移民受け入れ枠や、受け入れを拒否する国が1日あたり約100万ユーロを拠出する義務などが含まれている。(RT

移民を拒否したら、1日あたり100万ユーロ(1億8500万円)? こりゃ、協定に反対するよな。

マジャールも、これに署名しないと言っている。

ペーテル・マジャール「すべてのウクライナ人およびEU外からの他の移民は、6月からハンガリーで就労許可を失い、国を離れなければならない! 」ウルスラはこれを予想していなかった 。

だが、そうしたら、EUからカネもらえないぞ。

そうだね。でも、マジャール、今は言葉だけでなんとも言えないね。

そうだな、実際の行動を見てみないと、わからんな。

ルメン・ラデフ氏の圧勝だったブルガリア選挙


と言うことで、ハンガリーの話はおしまい。ここからは、ブルガリアの話だよ。

ヨーグルトか?

たしかに、ブルガリアのスーパーでは、ヨーグルト売り場がかなりの面積を占めている。


って、ヨーグルトの話じゃないよ。ハンガリー選挙の1週間後、ブルガリアでも選挙があったんだ。

ブルガリアってどこだっけ?


人口668万人、EUの最貧国と言われるブルガリアは、ここんとこ政権が不安定でね。この5年で8回も議会選挙があったんだ。しかも、2021年にボイコ・ボリソフ首相が辞めてから、次々と首相が入れ替わって、現在のギュロフ暫定首相で7人目。(Wikipedia

日本も首相の入れ替わりが激しいが、ブルガリアに越されたな。

選挙やっても変わらないから、投票率も30%以下に下がって。だけど、2025年、当時のジェリャズコフ首相が、翌年度の増税と社会保険料値上げを発表したことで、ブルガリア国民の怒りが爆発。12月18日に各地で大きなデモがあった。

国民は政府を恐れるべきではない。政府こそが国民を恐れるべきだ。ブルガリア政府は、組織的な汚職をめぐる全国規模の最大規模の抗議活動を受けて、辞任した。

このデモによって、ジェリャズコフ首相が辞任。このジェリャズコフ首相は、ブルガリアの通貨をユーロにするために働いた人で、2026年の1月からブルガリアは、ユーロ圏になったんだよ。

ユーロはダメだ、自国通貨を手放したらアカン。 

だよね。この時の大統領、ルメン・ラデフも反対したんだよ。彼は、国民投票をやって、ユーロ加盟を遅らせようとしたけど、できなかった。ジェリャズコフ首相の辞任によって、2026年の総選挙が確定した後、ラデフは大統領を辞任して、首相になるべく出馬した。

と言うことは、先日の4月19日の選挙に出たんだな? 結果は?

ルメン・ラデフの圧勝だった。彼が、ブルガリアの新首相になったよ。

ルメン・ラデフ
Author:Bulgarian Presidency[CC BY]
ルメン・ゲオルギエフ・ラデフ( Rumen Georgiev Radev、1963年6月18日 -)は、ブルガリアの政治家、空軍軍人。ブルガリア空軍司令官、大統領を歴任した。
2016年の大統領選挙で当選、2021年の選挙で再選され、2026年に退任した。
Wikipedia

この人、ロシア戦闘機ミグ-29のパイロットだったって。

ひょえ〜!

※英文全文はツイッターをクリックしてご覧ください
新しいブルガリア首相の主要な立場は以下の通り:
ウクライナにおけるNATO/EU戦争への資金提供、キエフのナチ政権への武器供与、ロシアへの制裁の強制に反対。
■ 中国およびイランとの、より緊密な外交・経済関係を支持。
ガザの人々に対する、イスラエルのジェノサイドを強く非難。
ブルガリアでのユーロ導入に反対。
大規模移民およびLGBTQに反対。
■ EUの黙示録的なグリーン・ヒステリーに反対し、ロシアからの安価で信頼できる石油と天然ガスの購入を支持。
■ 年金、家族手当の増額と医療アクセスの拡大を支持し、これによりEU委員会のウォール街の人形たちを大いに失望させる。
(後略)

ルメン・ラデフ、なかなか良さげだな。

でもさ、おかしいと思わない? ブルガリアではハンガリーと同じく、選挙期間中にEUによるSNSチェックシステムが作動していたんだよ。なのに、オルバーンは落ちて、ラデフは当選した。

EUは、オルバーンを落とすのに必死で、ブルガリアはどうでも良くなったんじゃ?

それ、同じ考えの人がいる。

なぜ、ブルガリアの選挙はいつものプロパガンダ騒ぎを免れたのだろうか?まるで誰かが「しまった……ブルガリアのことを忘れてた?」と言ってるような。

これに対する書き込みが、おもしろい!

・だって、誰もおれたちのことなんてどうでもいいんだ。でも、それはある意味、メリットとも言える。(
・彼らは、全財産とエネルギーをハンガリーに費やした。(
・オルバーンは、メッシやC・ロナウドのようなものだ。彼をマークするには4人が必要で、その間に他の選手が得点できる。彼らの全精力がハンガリーの選挙に注がれていた。())

ブルガリア人、だいぶ、いじけてるなあ。

さらに、NATOはブルガリアなんかどうでもいいや、説。ブルガリアも一応、NATOの一員なんだけど。

・NATOの作戦に関して言えば、ブルガリアはルーマニアほど戦略的に重要ではない。(
・NATOの計画だと言うのか、地図を見てみよう、ルーマニアは重要だ、確かに、しかし、ギリシャの港はブルガリアの領土を通じてルーマニアとつながっている。(
・ブルガリアは彼らにとって単なる通過点であって、目的地ではない。彼らは、ブルガリア人が貧しいから簡単に買収できると考えている。(

たしかに、ルーマニアのカリン・ジョルジェスクは、選挙で勝ったのに、強引に落選させられた。彼は、ルーマニアのNATOの基地建設に反対していたからな。

とにかく、新しい首相を迎えて、ブルガリアの人たちが元気になるといいね。

ハンガリーのマジャールも、見てるからな、期待を裏切るなよ。


Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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