[櫻井ジャーナル]東電福島第1原発が「過酷事故」を引き起こして2年になるが、収束の見通しは立たず、健康被害がチェルノブイリ原発の場合より早く進んでいる兆候がある中、再稼働の動き

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東電福島第1原発が「過酷事故」を引き起こして2年になるが、収束の見通しは立たず、健康被害がチェルノブイリ原発の場合より早く進んでいる兆候がある中、再稼働の動き
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2年前の3月11日、東電福島第一原発で「過酷事故」が引き起こされ、大量の放射性物質が環境中に放出され始めた。事故が収束する見通しは立たず、被害がチャルノブイリ原発を上回るスピードで進んでいる可能性があることは本ブログでも書いた通り。にもかかわらず、安倍晋三政権は原発を再稼働させようと必死で、4月上旬にはフランスのアレバがMOX燃料を日本に向けて運び出す予定だという。

事故の引き金になった地震は11日の14時46分に発生した。政府や東電は津波が原因で全電源喪失という事態になり、メルトダウンへ進んだとしているが、地震で装置が破壊されたことが原因だとする指摘に説得力がある。

翌12日の15時36分に1号機で爆発、14日11時1分には3号機で爆発、両方とも映像が流された。政府や東電はいずれも水素爆発だとしているが、3号機の場合は1号機と明らかに爆発の様子が違い、別の原因だと考える方が自然。15日6時10分に2号機で「異音」、そして6時14分に4号機の建屋で大きな爆発音があったという。

アメリカでは、おそらく、こうした爆発が原因で、建屋から1マイル(約1.6キロメートル)以上離れた場所で1センチメートル程度の燃料棒の破片が見つかったと報道されているのだが、2011年7月28日に開かれたNRCの会合で、新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は、発見された破片が炉心にあった燃料棒のものだと推測している。

3号機の爆発で飛び散ったとするならば、爆発は使用済み核燃料プールでなく、炉心で起きたことになる。
NRCが会議を行った直後、8月1日に東京電力は1、2号機建屋西側の排気筒下部にある配管の付近で1万ミリシーベルト以上(つまり実際の数値は不明)の放射線量を計測したと発表、2日には1号機建屋2階の空調機室で5000ミリシーベル以上を計測したことを明らかにしている。この排気筒を通って燃料棒の破片が飛び散った可能性もあるだろう。勿論、これ以外にも可能性はあるが。

燃料棒の破片についてはNRCが公表している議事録にも記載されているわけだが、日本のマスコミがこの件を取り上げているのだろうか?(日本のマスコミは情報源としてあまり役に立たないので詳しくはチェックしていないが)

日本では政府や東電だけでなく、学者もマスコミも原発の新たな「安全神話」を広めたいようで、事実を隠蔽そうと必死だ。多くの人が指摘しているように、健康面への影響がチェルノブイリ原発のケースより早く出ている可能性がある。

そのチェルノブイリ原発事故から27年、被害が顕在化する時期に入っている。福島の事故が起こる少し前、ニューヨーク科学アカデミーから出版された『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する結果』によると、チェルノブイリ原発事故による影響で死んだ人や胎児は98万人に達し、健康などにも影響が出ているという。

この報告書を執筆したのはロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフ氏など3名で、英語の論文や報告だけでなく、現地で使われているロシア語などの文献にもあたり、実際に患者を治療している医師などにもインタビューしている。報告書の編集を担当したジャネット・シェルマンがこの辺の事情を説明している。

チェルノブイリ原発の直後、AAI(国際反原子力会議)はヨーロッパで約100万人が癌にかかるだろうと予測していた。被害者の数という点では予想通りになっているようだ。ただ、最近の研究では、癌だけでなく心臓病を引き起こし、脳神経にダメージを与え、免疫力を低下させてさまざまな病気を誘発するとされている。

アレバは今年中に日本は原発6基を再稼働させるのではないかと語っているが、これが正しいなら、正気とは言えない。女川原発や福島第2原発が「過酷事故」にならなかったのは幸運だっただけであり、4号機のプールが崩壊すれば地球規模の問題になることも忘れているのだろうか?もっとも、ただでさえ危険な原発を日本のような地震国に乱立させること自体、正気ではないが。

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