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2013年安倍政権下で行われた生活保護費の大幅削減が10年かけて最高裁で違法と判断、生活保護は「恩恵」ではなく憲法第25条で保障された国民の権利

 2012年、野党だった自民党は生活保護費の削減を衆院選の公約に掲げて、政権復帰を果たしました。当時の生活保護費の不正受給は金額ベースで全体の1%にも満たないものでしたが、生活保護を受けることがあたかも「ずるい」ことのような世論を国会議員があおり、メディアも加担しました。
 こうして厚労省は2013年から2015年の3回に分けて食費や光熱水費に当たる「生活扶助」の基準を平均6.5%、最大10%引き下げ、年最大670億円を削減したとあります。その算定の根拠とされたのが物価下落率に合わせて支給を減額させる「デフレ調整」と、一般の低所得世帯と生活保護世帯の均衡を図るとした「ゆがみ調整」と言われるものでした。自民党の公約を実現させるために、当時の実際の物価下落率2.35%をはるかに上回る4.78%を算出して根拠とし、また、生活保護世帯と低所得者世帯の分断を生む非情な政策でした。
 「人間らしく生きることを困難にさせる」生活保護基準の大幅な引き下げは違法だとして、2014年以降、全国各地で31件の訴訟が起こされました。そのうち地裁で20件、高裁では12件が違法と判断されています。このうち高裁判決2件が最高裁で争われていました。
 「生活保護が権利なのか恩恵なのか。国は『恩恵』なのだからこの程度の引き下げで我慢しろと言いたいのかもしれないが、私たちは黙らないということを確認していきたい」と訴えて「いのちのとりで裁判」と呼ばれた訴訟は、10年越しの2025年6月27日、最高裁はいずれも大幅な引き下げは違法と判断しました。安倍政権で行われた違法な政策がやっと是正されます。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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生活保護費の引き下げは違法 最高裁「裁量の逸脱、乱用」
引用元)
 国が2013~15年に生活保護費を引き下げたのは違法だとして、受給者が国と自治体に減額処分の取り消しなどを求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は27日、違法と認め処分を取り消した。引き下げの根拠とした物価下落を反映する「デフレ調整」について「裁量の範囲の逸脱、乱用があった」と判断した。敗訴が確定した国側は、減額分支給などの対応を迫られる

 最高裁が生活保護の基準引き下げを違法と判断したのは初めて。各地で起こされた同種訴訟も今後、この判断に沿った結論になるとみられる。国の賠償責任は否定した。

 第3小法廷は、導入の是非が争われたデフレ調整に関し、専門的知見を欠いていたなどと指摘した。
(以下略)
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生活保護の大幅引き下げは「違法」、原告側の勝訴確定 最高裁判決
引用元)
(前略)
 国は13年以降、食費などの生活費にあたる「生活扶助」の基準額を3年かけて平均6・5%、最大10%引き下げた。削減額は約670億円と戦後最大だった。生活保護を利用する当事者らが14年以降、引き下げは生存権を保障した憲法に反するなどとして提訴した

焦点は「デフレ調整」

 裁判の大きな焦点は、物価下落を反映した「デフレ調整」の妥当性だった

 08~11年の総務省の「消費者物価指数」では物価下落率が2.35%だったが、厚労省は独自の計算で4.78%と算定。この数値を、引き下げの主な根拠とした

 生活保護費の削減は、野党だった自民党が12年の衆院選の際に選挙公約に掲げ、政権復帰後に削減が実行された。

 原告側は、引き下げは恣意(しい)的で政治的意図に基づくものだと主張。デフレ調整には「客観的な統計や専門的知見との整合性がない」と訴えた。

 一方の国側は「現実の生活を無視した著しく低い基準ではなく、デフレ調整には合理性がある」と反論。厚労相の判断に裁量の逸脱や乱用はないと訴えていた。

 このほか、一般の低所得世帯と生活保護世帯の均衡を図るとした「ゆがみ調整」の妥当性も争われていた
(以下略)
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生活保護減額で「そんたく」 厚労省が「気が気でない」最高裁判決
引用元)
(前略)
10%減額は政権公約

 08年のリーマン・ショックで失業者が急増したことで、生活保護受給世帯は11年度に約150万世帯と07年度から40万世帯近くも増加。生活保護費の増大を招き、不正受給にも厳しい視線が向けられるようになる。

 11年度に発覚した不正受給件数は全体の2・4%、金額ベースでは全体の1%にも満たないが、人気芸能人が12年、親族の受給を巡り謝罪したこともバッシングに拍車をかけた

 世相を選挙公約に反映させたのが、当時野党の自民党だった。12年衆院選の公約の一つに給付水準の原則10%引き下げを掲げ、政権与党に返り咲いた

 厚労相となった田村憲久氏は就任直後の記者会見で「公約に書いてある部分もあるが、しっかりと現状把握しながら判断したい」と引き下げを進める考えを示した。
(以下略)

長崎大学BSL4が国の指定を受けたことでいよいよ本丸の「指定取消」新裁判へ、しかし先立つ費用が無い / 長崎と日本のために全国からの応援で注目の裁判を勝訴に

 全国的に注目されている長崎大学のBSL4に関する裁判に新たな動きがありました。
今、長崎では住民による3つの訴訟が進行しています。長崎大学を被告とした情報公開訴訟とBSL4基本構想中断の訴訟、そして国・厚労省を被告としたBSL4施設の指定差し止めの訴訟です。
三宅敬英弁護士は、2025年1月24日に長崎大学とBSL4施設に対して「特定一種病原体等所持者」の指定がされたことについて「実はこれは私たちが一番待っていたところです。」「私たちは指定取消が一番やりたかった裁判です。ただ指定されないと取消ができないから、指定が出るまでの間に情報公開と(指定が出る前の)計画差し止めを長崎大学と国に対してそれぞれやってきました。」と、これまでの戦略を説明されました。本丸の「指定」が出たことで、長崎大学を被告とした2つの訴訟は取り下げ、本来の指定取消の訴訟に専念することになりました。
 ただ問題が「お金」です。原告を3人立てるだけでも37万500円を裁判所に支払うことになります。他にも実務にかかるお金が必要になります。また広島で高名な足立修一弁護士という「岩国騒音差し止め訴訟」や「長崎県の被曝体験者」を応援されている方が、今回の訴訟も応援の確約をして下さっているそうですが、招く費用もないと説明されていました。この様子では三宅弁護士は手弁当で活動されているのかもしれません。さらに「本当はBSL4に関わる断層の地盤調査もしたいが、その費用30〜40万円、それも無い。」「厚労省に対して情報公開請求をしているが、そのコピー代が無くてやりたいことができていない。」ようやく本丸まで来ているのにお金がなくて提訴できない状況だそうです。取消訴訟は7月24日が期限です。
 ネット上ではこの長崎大学の危険なBSL4指定が非常に注目されており、長崎だけの問題ではなくなっています。広く全国からも応援して、ぜひBSL4指定取り消し訴訟を起こし、日本のために勝訴していただきたい。
(まのじ)
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長崎大学BSL4 国の指定を受けて、新裁判スタート!
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旧統一教会にやっと解散命令、しかし免税特権が無くなっても韓国への献金は続く / 旧統一教会と自民党との「縁は切れず」、N国との接近が危惧されている

 2023年に文科省が旧統一教会に対する解散命令を請求し、今年3月25日東京地裁はやっと旧統一教会に対して解散を命じる決定を出しました。今後、旧統一教会は即時抗告をすると見られ、東京高裁の判断で再び解散命令が出て初めて宗教法人の解散の手続きが始まります。けれども「もるすこちゃん」によれば、それは宗教法人の免税特権が失われるだけで信者の生活にはほとんど影響はなく、韓国への献金は続くそうです。「統一教会問題は もう終わったんでしょ?と多くの人に誤解されるのは良くない」。
 今回の解散命令によって、自民党と旧統一教会とは「縁が切れた」との印象を国民に与え、選挙に利用される可能性も指摘されています。「ほぼ旧統一教会で構成されている」自民党以外にも日本維新の会、立憲民主党、公明党、国民民主党、参政党など「統一教会が応援している」議員は多数確認されています。特に次期総理にと注目を浴びている国民民主党の玉木雄一郎議員は、これまでも旧統一教会との関係を指摘されていますが、2024年11月9日の日刊紙「世界日報」は「玉木氏は若者を政治的に一層、覚醒させよ」と激励し、玉木議員が若者の支持を集めていることに期待を寄せています。「世界日報」を出版する世界日報社は、旧統一教会と国際勝共連合によって設立された会社です。
 また鈴木エイト氏は「NHKから国民を守る党(N国党)」と旧統一教会が近づいている状況について問われ、「それが1番、危惧をしているところ。現状においても統一教会関係者が誹謗中傷を率先して行い信者がそれに乗ってるというところがあるがN国が絡む事によってその誹謗中傷の度合いが一歩進化してしまうんじゃないか。」と述べています。
 まずは統一教会と関係が指摘された議員を落選させることが日本再生の道です。
(まのじ)
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「種子法廃止違憲訴訟」東京高裁は「棄却」の判決 〜 “グローバリゼーションの破壊の壁は極めて厚いが、食を守る個々の権利を主張する歩みは止められない”、上告へ

 「種子法廃止違憲訴訟」の判決が2月20日に出ました。東京高裁は、理由を語らず控訴棄却しました。傍聴は溢れるほどの人だったそうですが、判決文の読み上げはあっという間に終わったそうです。
 田井勝弁護士から(10:53)「いかに不当判決だったか」の説明がありました。ミツヒカリ不正問題、昨年来の米の供給不足問題は、政府の言う「日本には優れた民間品種がある+コメの供給不足はない」という種子法廃止の根拠を覆す事態であるにも関わらず、高裁は判断することを逃げています。
 岩月浩二弁護士からは(30:15)「予想はされたがここまで酷い判決とは思わなかった。訴えを退けるためにできるだけ最短距離で書いた本当に不出来な判決。なぜそうするのか、裁判官の出世の問題とか司法官僚制の問題とかあるが、あえて言えば、"少しでも踏み込むと、この種子法廃止の筋が通らなくなる。少しでも原告の主張に反論しようとすると具体的には何も言えない。そもそも種子法廃止を強行した理由がどこにも見出せない"ということではないか。」「改めて(2015年の)TPP交渉差止訴訟から来て感じるのは、グローバリゼーションにともなって国民の行政を破壊していく一連の流れに抵抗していくのは"極めて、壁、厚いな"。ただ世界の情勢は変わってきて"国民のことも大事にしろよ"と必然的になるので、私たちはこの歩みを止めてはいけない。グローバリゼーションに対して個々の権利を主張し、国のあり方を変えていこう。」と前向きに語られました。
 「種子法廃止違憲訴訟」は、2015年の「TPP交渉差止・違憲訴訟」の第3次訴訟として起こされました。山田正彦先生は(45:25)「今日が一番くやしい思いをしました。」と述べ、しかし種子条例という形で実は種子法を守って来た、これまでの10年を思われたのか涙ぐみながら「10年以上無報酬で戦ってこられた弁護団に拍手していただけませんか。」と求めておられました。
 国民の声に向き合わない判決を前に、弁護団はすでに上告の意志を固めておられるようです。最高裁では、国民の食を守る種子法を廃止したことへの憲法判断となります。
今まさに「令和の百姓一揆」も始まり、正念場となりました。私たちは、これまで専門家に任せてきたこの訴訟をガッツリ支えて、種子法を取り戻しましょう。
(まのじ)
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[ライブ中継]結論ありきの不当判決に呆れる!種子法廃止は違憲!「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」判決後の報告・意見交換会 TTBジャーナル
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森友学園・公文書改ざん問題の控訴審で、赤木雅子さんが逆転勝訴「財務省による不開示の決定を取り消す」/ 森友学園問題そもそもの張本人は「私人」安倍昭恵氏

 森友学園問題の一画である公文書改ざん問題が動きました。自殺に追い込まれた近畿財務局の赤木俊夫さんの、妻・雅子さんが2021年に財務省に対して、改ざんに関する文書の開示を求めました。しかし財務省は文書の存在を明らかにせず、不開示の決定をしました。雅子さんはこの決定の取り消しを求める訴えを起こしましたが、2023年9月、一審の大阪地裁は「将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶおそれがある」という理由でその訴えを退けました。雅子さんは控訴し、その判決が2025年1月30日に、大阪高裁で言い渡されました。
これまで頑なに財務省を擁護してきた司法ですが、大阪高裁は財務省の「不開示の決定」を取り消し、原告の雅子さん側が逆転勝訴しました。判決では、 "一連の問題で刑事告発された財務省の職員全員が2019年8月に不起訴になり捜査が終結したことをふまえ、開示請求が行われた2021年は「情報を公にすることで、本件の捜査に支障を及ぼす恐れがあるということはできない」"との当然すぎる判断でした。
 判決を受けて、雅子さんは俊夫さんの写真を抱きながら「国はいくらでも体力があると思うんですよね。人事異動したりとか、お金の面でも。こっちは一人で戦ってるわけで、その一人の人間を痛めつけるようなことは、もう、私を最後に、(他の人には)しないでほしいと思います。」「夫のためにも、もうそういうことはやめてもらいたいと思います。」と訴えました。
 弱い立場の人を思いやる雅子さんと対照的に思い出すのは、そもそも森友問題の発端となった張本人の安倍昭恵氏です。国会の証人喚問も受けず、閣議決定で「私人」になったはずの者が、なぜかトランプ大統領との会談で脚光を浴びています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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