新ロシア(ドネツクとルガンスクの統合人民共和国)で11月2日に行われた選挙で自主独立派が圧勝した。この動きを国連の安全保障理事会は非難する決議を採択しようとしたらしいが、ロシアに阻止されたという。その前、
10月26日にキエフ体制が行った議会選挙では好戦派が勝利しているので、ペトロ・ポロシェンコ大統領もそうした流れに引きずられ、
西側メディアも世界を戦争へ導くプロパガンダをはじめる可能性が高い。
キエフ体制の議会選挙ではこれまで首相を務めてきたアルセニー・ヤツェニュクの「人民戦線」が22%強を獲得して第1党になり、ステファン・バンデラ派の一角を占める「ラディカル党」が7%、そしてティモシェンコ元首相の「祖国」が6%、ステファン・バンデラ派の「スボボダ」が5%だった。この政党はいずれも好戦派で、停戦には否定的。とりあえず停戦で合意したペトロ・ポロシェンコ大統領の「ポロシェンコ・ブロック」は22%弱で第2位に留まった。
今年2月にネオ・ナチが前面に出て実行されたクーデターに反発したウクライナ東/南部の人びとだが、
5月2日にオデッサで反クーデター派の住民が虐殺され、続いてドネツクやルガンスクでも破壊と殺戮が始まってから独立を目指す動きが明確になっている。
自治権で収まる段階は過ぎ、東西の対立は修復不能だろう。
こうした中、
キエフ体制がウクライナの領土を維持するためには独立派を消滅させるしかない。「イスラエル建国」のときと同じように、前から住んでいる人びとを殺すか追い出すということ。そしてオデッサの虐殺があり、東/南部での民族浄化作戦が始まる。
ドネツクやルガンスクからオデッサにいたるウクライナの東/南部は、1922年にウラジミル・レーニンが住民の意思を問うことなくウクライナへ贈呈した「元ロシア領」であり、今年3月16日に行われた住民投票で96.8%がロシアへの併合に賛成したクリミアは1954年にニキータ・フルシチョフが住民の意思を問うことなくウクライナへ組み込んだ「元ロシア領」。そうした地域に住む人びとを追い出し、自分たちのものにしようとしているのが西部の人びとだ。
こうした無茶な要求を可能にしているのはアメリカ/NATOが後押ししているからにほかならない。電話の盗聴を恐れたのか、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問してからウクライナ制圧作戦は本格化する。その2日後にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、それにタイミングを合わせ、オデッサでの作戦について話し合いが持たれている。そして5月2日の虐殺。
6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、ルガンスクへの空爆が始まる。ウクライナの正規軍の内部には、情報機関や治安機関と同じようにクーデターに批判的な人が少なくないため、
キエフ政権は東部や南部での民族浄化作戦にネオ・ナチのメンバーを主体に編成した「親衛隊」、あるいはアメリカやポーランドの傭兵会社が派遣した戦闘員に頼っているのが実態だという。アメリカ政府は
CIAやFBIの要員をキエフへ派遣、軍事顧問団も入れている。
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