(前略)
歴史上では中国
前漢の第7代皇帝、武帝が西王母から蟠桃を授かったとの記載があります。
(中略)
武帝は即位後、治世のほか仙人道術の修煉にも夢中になり、名山大河や五嶽(中国で古来崇拝される五つの名山)をよく訪問し、神霊を祀りました。
元封元年4月のある日、武帝が承華殿で大臣と話している時、青の色の衣装の綺麗な娘が目の前に現れ、「私は天宮の天女で、西王母の命令で王様を見に崑崙山から来ました」と言い、武帝にその日から国事は問わず、齋戒に専念するとことを求めました。そして
7月7日になると、西王母が自ら承華殿に臨むと告げると、さっと姿が消えました。
(中略)
7月7日その日がやって来ると、武帝は承華殿に西王母の玉座を設置し
(中略)... 誰も大殿の中を覗かないように命じ、華麗な礼服を着て、玉の階段の下で恭しく西王母の到来を待ちました。
夜中になると、西王母は九色の龍が引く紫雲仙車に乗って承華殿に降りました。それと共に簫(しょう)と鼓で奏でる美しい仙楽が鳴り響き、数千の仙人が西王母の左右に仕え、仙人たちの放つ光は宮殿を眩しく照らしました。
(中略)
宴会の途中に、西王母は仕える天女に仙桃を持ってくるよう命じました。しばらくすると天女は玉の皿に7個の桃を持ってきました。桃は淡い青色をしていて、
西王母は武帝に4個をあげ、自分は3個食べました。
(中略)
武帝が桃を食べてみると、とても甘くて美味しくて、食べ終わった桃の種は全て保存しました。西王母がなぜ種を保存するのかと聞くと、武帝は、後日植えてみたいと答えました。西王母は「この仙桃は三千年に一回実がなるもの、不毛な人間の土地では育てられないでしょう」と言いました。
(以下略)