(前略)
冒頭にいった
「日本は世界一のお金持ち国」であるという事実はあまり知られていない。だがこれは紛れもない事実だ。主要国の対外純資産
【表参照】を調べると、
日本はプラスの341兆円で1位。ドイツが2位、中国が3位。
(中略)
黒字341兆円は、実際には3兆㌦の外貨で円ではない。国際決済はドルでやってきた。原油もドルで買うし、輸出の代金もドルで受けとる。だから黒字もドルで貯まる。
(中略)… では、なぜ世界一の黒字を稼いでいるのにみなさんにその実感がないのか。それはこの稼いだ3兆㌦がみなさんのために使われないからだ。この黒字は使わなければただの紙切れだから当然投資する。ドルならドルを使うアメリカに投資する。
(中略)… 黒字が増え続けたとしても海外投資になるため日本のみなさんは受けとれない。だからまったく実感がない。
(中略)
それどころか、
この30年間みなさんはとんでもない働き方をさせられてきた。1971年から2016年までの為替レート
【グラフ参照】を見るとそれがよくわかる。1971年には1㌦=360円だった。これが今は110円くらいになっている。円の価値が3倍になり、ドルが3分の1に下がっている。その契機が1985年のプラザ合意だ。
(中略)
プラザ合意前夜に1㌦=230円だった為替レートが、2年以内で一気に1㌦=120円にまで真っ逆さまに落ちた。
ほぼ半額のドル安、2倍の円高だ。
(中略)… 日本の輸出企業にはたいへんな事態で、今まで200円のコストで作っていたものが1㌦で売れていたのに、2㌦で売らなければならない。
海外からすればまったく同じ製品が値段が2倍になるため、日本製品は高すぎて買えないということになる。逆に、海外からの輸入では2㌦(200円)していたものが1㌦(100円)で買えるようになる。輸出がしにくく輸入がしやすいので赤字になる可能性がある。つまりアメリカに「日本の貿易収支を赤字にしろ」と要求されたのがプラザ合意だった。
(中略)
日本の経済構造は輸出企業が中心だ。彼らはコストカットを始めた。(中略)… 今まで200円でつくっていたものを100円のコストでつくれば、これまで通り1㌦で売れるという話だ。
(中略)… だが、コストとは、そのまま誰かの売上であり給料だ。それを30年もずっと削り続けて3兆㌦も稼いだわけだ。半分のコストでつくるといっても人間が2倍の速度で働けるわけもなく、要するに
コストカットの名の下に、みなさんが受けとるべき給料や代金がちゃんと支払われなかったということだ。
(中略)
いかにみなさんが受けとるべき給料が受けとれていなかったかは、もっと大きなデータを俯瞰して見ると一目瞭然だ。
お金の量は5倍に増えたのに給料は削減
ここに1980年から2018年までの4つのデータ
【グラフ参照】がある。すべて日銀からとってきたデータだ。
4本の線のうち、マネーストックM2というのは、日本中の現金・預貯金(ゆうちょ銀行や農協に預けたお金を除く)をすべて足した額だ。つまり、
日本には今お金がいくらあるのかという数値だ。
(中略)
私が就職した
1986年のマネーストックは340兆円だった。
このとき私が会社から受けとった初任給は20万円だった。そして、
私の息子が就職した2017年のマネーストックは990兆円。息子の初任給はまったく同じ20万円だった。31年たってお金が3倍に増えているにもかかわらず、大学生の初任給は変わっていない。
(中略)… 600兆円のお金が増えながら、この30年間ほとんど給料は上がっていないという話だ。
ではその600兆円はどこにいったのか? みなさん薄々気づいているだろう。
日本の大企業の内部留保は600兆円とか、500兆円といわれる。
(中略)
この30年で日本の企業というのは給料を払うのをやめたということだ。
(中略)… 小泉・竹中改革あたりから政財界は「会社は株主のもの」という明確な答えを出した。利益を上げるのがよい経営者で、利益を上げないものはクビになる。
ひたすら株主のために利益を上げ続けるし、そのために従業員の給料はひたすら削り続ける。(中略)… そういう仕組みの中で、法人税を下げたり、株式売買益に対する課税が極端に低かったりする。すべて一部の株主のためだとしか思えないような国家経営をずっとやっている。
(中略)
彼らには、国家経営という概念すらない。強いていえば、「GDPを上げる」「株価を上げる」という浅はかな答えが返ってくるだろう。
(中略)… 経済成長の目安にされている
GDP(国民総生産)とは、1年間にどれだけのお金が動いたかというだけの指標だ。今までお金の交換でなかったものをお金の交換にすれば上がる。例えば、子育てを保育サービスにするとGDPが上がる。母親が保育料を稼ぐために外に働きに出るとGDPが上がる。それで時間がなくなったから、自分でつくっていたご飯を外で買ってくるようになればGDPが上がる。
(中略)
GDPとは、消費+政府支出+投資+純輸出だ。純輸出とは、輸出から輸入を引いた差であり、黒字になればプラスで、赤字になればマイナスだ。日本の戦後復興はこの純輸出をプラスにするところからはじまった。
(中略)… 戦後復興はそれでよかったが、1985年のプラザ合意でアメリカから円高にされても基本的にやっていることは変わらない。そして、純輸出を上げるためにみなさんの給料を削った。それで売って稼いだ3兆㌦の黒字は海外に貸しっぱなしで、みなさんの幸せは置いてけぼりになっている。
(中略)
TPP(環太平洋経済連携協定)でも「これで日本の輸出が伸びる」という。そんなことをやってもみなさん幸せになれないことは30年間で証明されているにもかかわらず、いまだにそんなことを言っている。それに対して新しい提言をすべき野党が同じかそれ以下のレベルだからずっとこれが続いている。
(中略)
黒字を稼いでも使わなければ意味がない。(中略)… 政府が国家経営を誤ったために支払われなかった
30兆㌦を「黒字還付金」として国民に配る。1人100万円を1億3000万人に配っても130兆円。タダ働き分の3分の1に過ぎない。
(中略)
借金でお金をつくってきた現代の経済システム
もう一つは、財政金融の考え方を根本的に間違え続けてきた。政府の借金が大変だから税金でそれを返し続けなければならないとか、
プライマリーバランス(基礎的財政収支)の達成、つまり税収の範囲内で支出を抑えなければならないという発想だ。
(中略)
実は政府の借金とは、政府の無駄遣いのせいでも、税収が足りないせいでもない。もっと
根本的な原因はいまのお金の発行の仕組みにある。
(中略)… 「お金の発行の仕組み」とはなにか。日銀券だから日銀が発行していると思っているだろうが、それではつじつまが合わない。お金がどれだけあるのかは、さきほど見たとおり1980年に200兆円だったものが現在1000兆円を超えている。
(中略)… では、どうやって800兆円も増えたのだろうか。
(中略)… 1000兆円あるうち100兆円しか紙幣がないということは、ほとんどが預金でしかないということだ。
(中略)
現代のお金の増やし方=
信用創造の仕組みを説明する。
例えば、Aさんが100万円をA銀行に預けに行ったとする。するとA銀行は金庫に入れ、運用もする。銀行には預金準備制度というのがあり、預かった預金のごく一部を日銀に預けなければいけない仕組みになっている。
仮に預金準備率が1%とすると、100万円の預金を預かったA銀行は100万円の1%(1万円)を日銀に預けて、残りの99万円を貸すことができる。私がA銀行にお金を借りに行くと、銀行は必ず口座を持たせる。なぜかといえば私が99万円を借りると私の預金通帳に99万円と書き込むだけだからだ。これで私は自分が99万円を持っていると思う。Aさんも口座に100万円持っていると思っている。
その時点でお金は199万円に増えている。ただ私は借金だからあまり自分のお金とは思えない。
だが私がB銀行の誰かに99万円を送金してしまえば、それを受けとった誰かはその99万円を純粋に売上か給料かわからないが自分の預金として認識する。これがもともと私の借金であるかなど知らないし、気にもしない。晴れてめでたく、Aさんの100万円の預金は99万円の預金とあわせて、もともと100万円だったお金が199万円に増えることになる。新たに99万円を預かった
B銀行は、そのうち1%の9900円を日銀に預け、98万100円をまた誰かに貸すことができる。また同じことが起きる。これをC銀行の誰かに送金すれば、その誰かは98万100円を純粋に自分の預金と認識し、これを預かったC銀行はまた1%(9801円)を日銀に預けて、残りの97万299円を誰かに貸すことができる。もうこの時点で、私の99万円を受けとった人は99万円を持っているし、これを借りて送金した相手は99万100円を持っていることになる。もともとお金を預けたAさんはお金を1円も動かしていない。預金通帳に100万円と書かれたまま。だがお金は300万円に増えている。
これをぐるぐるとやっているうちに、貸せる金額は1%ずつ減っていくが、100万円の元預金÷預金準備率1%=1億円までお金を作り出すことができる。これが信用創造という現代のお金の発行の仕組みだ。
(中略)
実際に存在しているのではなく、
銀行が誰かに借金を貸すことによって作り出した数字が電子的に回ってきて、それをみんながお金と認識し、自分のものだと思っている。みんなが一斉に銀行にお札を取りに行っても金庫にお金があるわけではない。
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ただ、今日、我が家に電話での世論調査があり、与野党の最後に、れいわ新選組、その他がありました。世論調査でも、れいわ新選組の動向は気になるようです。
冒頭の動画で、日本の水道事業を売り飛ばそうとする麻生太郎のものまねが受けています。明らかに、自民党は日本を売り飛ばしています。山本太郎氏は、“日本を取り戻すのはこっち”だと言っています。
この意味で、山本太郎氏は保守(右)と言えます。また、明らかに99%側に立っているので、この意味で革新(左)だと言えます。要するに、彼は右かつ左の“ど真ん中の人物”だと言えるでしょう。
“続きはこちらから”の東海アマさんの記事をご覧になると、その“ど真ん中”というのは、“我々の価値観の代弁者”ということです。私たちが求めているのは、安全な水、空気、食品、社会です。それは、子供を健全に育てることができる持続可能な世界です。
昨日の長周新聞の記事で、大西つねき氏が言っていたように、母親が子どもを保育園に預けて働きに出れば、GDPは上ります。しかし、それが私たちが望む社会でしょうか。当の子供は母親の傍に居るのと保育園に預けられるのと、どちらを望むのでしょうか。もしも、母親も子供も傍に居ることを望んでいるのに、お金のために働きに出なければならないとすれば、それは悲しい社会だと言えるでしょう。
これは、貨幣に換算される価値よりも、換算できないものの方が大切な例のひとつです。