[マスコミに載らない海外記事]イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対 〜自由貿易より地産地消が推奨されるべき〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 イギリスの保守党議員で、かつて自由貿易協定(ウルグアイラウンド)の貿易産業大臣として交渉した経験を持つピーター・リリー氏がTTIPに反対する記事をブログに書いたとのことで、これは“大変な造反行為”だということです。
 TTIPにしろ、TPPにしろ、問題なのは関税ではなく、“国家主権を国際企業に引き渡すこと”なのです。これこそNWO(新世界秩序)への大いなる一歩であり、庶民の生殺与奪の権限を、事実上、巨大企業にもたらすことになります。貿易協定からISDS条項を無くすべきなのです。
 もっとも私の場合、自由貿易が本来正しいのかどうか甚だ疑問があります。自由貿易で誰が利益を得るのかを考えると、輸入品が安くなる分国家は税収が少なくなり、消費税増税などでかえって余分に取られてしまいます。得をするのは大企業や株主ではないでしょうか。
 本来、地産地消が推奨されるべきで、保護すべきは、自然、環境、そしてそれらを守っている人たちのように思います。自由貿易は、そうした事に対する責任から最も遠いところにあるような気がしてなりません。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対
転載元より抜粋)
Eric ZUESSE
2016年4月9日
Strategic Culture Foundation

or-37167

まるで、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ大統領の共和党政権時代に、前大統領、共和党のロナルド・レーガンのために国際貿易協定交渉をしていた人物が、同党の仲間ブッシュ大統領が、熱心に承認を得ようとしている巨大‘貿易’協定反対を公言したようなものだ。大変な造反行為だが、それがまさに、日曜日にイギリスで起きたのだ。

(1990-92、マーガレット・サッチャーと、ジョン・メージャーのもとで)元イギリス貿易産業大臣をつとめ、現在も保守党議員(国会議員)のピーター・リリー、4月3日、保守党のウェブサイト“Conservative Home”にブログ記事を書いて、そうしたのだ。

私は自由貿易を信じている。常にそうだったし、今後もそうだ。成功した自由貿易協定(ウルグアイ・ラウンド - 1990年代、貿易産業大臣として)を交渉した唯一の現役議員として、現在アメリカとEUの間で交渉されている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)を、自由貿易協定だと思って、私は自動的に支持していた。

私がより子細に見ればみるほど、益々多くの部分が心配になってくる。自由貿易を信じている保守党議員は、TTIP支持には極めて慎重になるべきだ。EU残留派、離脱派双方の運動も、イギリスのEU加盟に対する、環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の含意をじっくり吟味すべきだ。

なぜかを説明させて頂きたい。

TTIPは関税や割り当てを廃止することが主眼ではない。ヨーロッパからの商品に対してアメリカが課している平均関税は、わずか2.5パーセントだ。それを無くすのは価値があるだろうが - 大したものではない。

主な狙いは、
製品の仕様調和させ、投資用の特別な体制を作り出すことだ。こうしたことには原則として特に反対はない。製品の調和というものが、国内生産者をこっそり保護するために導入された規則を廃止することを意味する限りは、結構なことだ。だが、我々は、有害な添加物などから、国民を保護する議会の権限放棄すべきではない

オバマのヨーロッパとの‘貿易’協定TTIPも、アジアとの‘貿易’協定、TPPも、その核心はまさにこれだ。

核心は、国家主権を国際企業による世界独裁に引き渡すことだ(大企業に対する説明責任を負った三人の‘裁定’評議員、裁定は不服申し立てできず、どの国の法律を忠実に守ることも要求されていない- 衝撃的なことだが、事実だ。)

彼は更にこう言っている。

私の主な三つの懸念は、投資家-国家紛争調停制度(ISDS)に関するものだ。これは巨大外国企業が、彼らの投資を損なう政策を推進したかどで政府を訴えることができる(しかし、逆はない)裁定委員会制度 - 特別裁判所 -を作り出す。

民間企業がNHSや、教育、その他でサービスを提供しているものを、イギリス政府が、公営に戻そうとしたり - あるいは、私企業に対し、参入を許すサービスを減らしたりしようとすれば、アメリカ企業は、イギリス政府を訴えることができる。EUやイギリス政府は、そういうことはありえないと否定している。だが、説得力のあるCounsel’s Opinionは、こうした裁定委員会は、無制限の罰金を科することができるので、政府の意思決定に対する“萎縮効果”を行使できると主張している。

こうした裁定委員会は、小規模外国企業にとっては余りに高価で(平均経費は800万ドルだ)、そこからイギリス企業が除外されている、特権的法体制を、外国多国籍企業に与えるのだ。しかも‘裁判官’は、裁定委員会で、仕事をしていない時は、大企業のために働いている商事弁護士で、それゆえ大企業に好意的だ。

もし政府が主張するように、こうしたISDS裁定委員会が、イギリス裁判所と同じ結果をだすのであれば、彼等は全く不要だ…

ISDS裁定委員会が必要なのかどうか問うべきなのだ。

彼の発言は本物だ - 単なるスローガンや言葉ではない。そして、この発言は、政治家たちや、(保守党の予備選挙で勝利するため)彼自身の党に投票する支持者以外にも影響を与える。

もしISDSが拡張されれば、例えば最近の地球温暖化対策のパリ協定は、事実上、おしまいになる。この協定は実に巨大なものなのだ。民主主義のみならず、我々にとって住みやすい地球の継続が、今や全て危険な状況にあるのだ。

記事原文のurl: http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/09/british-conservative-breaks-ranks-opposes-ttip.html

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