かんなままの「ぴ・よ・こ・とライフ」(19)思春期

かんなままさんの執筆記事第19弾です。 
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思春期
子育ては思春期になるまでは母親の母性愛が必要です。
子育ての後半、思春期になり結婚するまでは、父性愛が必要となります。
これが基本的な原則です

出典:「ぴ・よ・こ・と」竹下雅敏(著)


夏休み終盤の現実〜親の焦り、子供の疲弊


夏休みも終わりに近づき、ママ達の疲れがピークです。長期休暇でゆっくりしたい、日頃できない事をしたい、どこか連れて行ってあげたいと気持ちは焦りますが、日常の仕事や生活、宿題管理で余裕がありません。先日会ったママが「図書館に連れて行って、課題を見つけさせ、方法も教えているのに、自由研究の宿題を全くしません。それがすまなければ遊びにも行けないのに」と嘆いていました。

よく考えれば、早く宿題を済ませて遊ぶというのは親の優先順位で、自分が安心したいからでしょう。お膳立てしてあげたら自由研究ではありません。むしろその芽を摘むことになってしまいます。これは親が仕事や家事優先の生活をして、子どもも学校のルールが優先すると思っていることから起こる勘違いです。「夏休みで、家事など忙しくなる上に、子どもの事を心配して頑張っているのよね。でも怒ってばかりで辛いよね」と言ったら泣き出してしまいました。見ると他のママも「私も怒ってばかりで」と涙声です。

外国のように親も長期休暇が取れて、宿題も無ければいいのにと思います。中途半端な休みで走り続ける生活では自由で楽しい発想や心の切り替えもできません。現に疲れを残した子は、学校に行くのに何倍もエネルギーが必要で不登校になりがちです。9月1日は子どもの自殺者が一番多い日とか。

私は基本、宿題はどうでもいいと思っています。優先順位で言えば、生身の子どもが高い波動や徳を保っているか(ぴよこと3、P33)が先で、親自身の日頃の言動、行動の方がずっと子どもの教育として大事です。だから、子どもの宿題は強制しなかったし、家族で楽しむことや話すことを大事にしました。というより、私に宿題を見せたら勝手に暴走するから子どもの方から聞かなくなりました。自分が楽しくて宿題を乗っ取ってしまったり、「音には色があるのよ。それが広がっていくのよ」と教えて、子どもが学校でその話をしてバカにされたとか・・・。孫にも「ばあばには教えてもらっちゃだめよ」と言っているようです。

Author: MasahikoSatoh



脳科学的に証明された現代社会の弊害


とにかく、大人社会の勝手な都合に子どもを合わせるのではなく、思春期まではどっぷり母性愛で包み込んでほしいと思います。その守ってくれる保証があるから、子ども達は真似て、チャレンジして、失敗できるのです。このすべてが遊びであり、学びであり、生きる力となります。遊びの中で想像力も付きます。それは共感して配慮する力となります。危機管理、自己管理の基礎ができます。この土台があって初めて社会に出て行けるのです。



現代社会は母性愛を失くした社会です。6月に放送されたNHKスペシャル、「ニッポンの家族が非常事態!?」の「妻が夫にキレる本当のワケ」の中でも、子育て中のお母さんは愛情ホルモンと言われるオキシトシンが増える時期なのに、仕事中心の生活で子育てよりも仕事を優先していたら、男性ホルモンであるテストステロンの方が増えて、競争、共感しないという特質が目立つようになるという結果が示されました。

逆に子育てを積極的にしているお父さんは愛情ホルモンが増えるという結果も示されました。私達子育て支援者はこの異変に気がついていましたが、やっと社会が認知してくれたと思いました。お母さんの早期の社会復帰が子どもの育ちに影響を与え、お母さん自身もイライラして混乱しています。

又、このように母性愛を失くした社会で育った子ども達が思春期を迎えた時、更なる嵐が待っています。NHKスペシャルの「我が子がキレる本当のワケ」では、思春期の子どもの性ホルモンの科学的検証がなされていました。この時期は爆発的に性ホルモンが出て、脳の扁桃体に変化がおき、否定的な感情が起こりやすくなったり、リスクのある行動に快感を覚え、新しいことにチャレンジしたくなるらしいのです。記憶力も増大して学んだことが自分のものになります。まさに自立するための大切なホルモンだったのです。さらにこの時期は思考や感情をコントロールする前頭前野の成長にブレーキがかかり、この爆発が起こった後に成熟していくそうです。

だから、この時期からは父性愛で毅然と徳のある生き方を示し、本当の自立に向けて支えていくのです。

ところが現実は、母性愛が必要な小さい時から失敗が許されない競争社会の中で、勝者になったら一時的な優越感で人より秀でていると勘違いし、負けたら挫折感や無力感で自分を卑下し、いつまでたっても本当の自立ができません。

その上、大人の求めている自立は精神的な自立ではなく、経済的に独り立ちする事。「職に就くために勉強して、早く自分で食べて行けるようになってから、ものを言え」という事で、矛盾だらけです。


子供たちが本当の自立を果たすために〜親と社会の役割り


この混乱の中で、27年度の小中学校での暴力件数が年間5万件。児童数は減っていますが、件数は増え続けています。
さらに、離婚家庭が増えて、ひとり親世帯の問題も深刻になっています。離婚に至る事情は様々で、これを否定するわけではありませんが、母子家庭では、子どもの少年院や鑑別所の入所率が2人親の5倍、父子家庭では10倍になっています。

これは貧困という問題もあり、朝から晩まで働かなければならず、母性よりも父性中心の生活になりやすいためと言われています。父子家庭はそれが極端化するためとのこと。物理的に片親を無くし、心理的には母親をも無くすという事でしょうか?切ないです。

子育ては大変な仕事です。親の努力と同時に社会全体の母性愛が必要なのです。
そして、大人が徳のある生き方を示すこと!これこそ一生の宿題です。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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