かんなままの「ぴ・よ・こ・とライフ」(46)学び

かんなままさんの執筆記事第46弾です。 
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かんなままの「ぴ・よ・こ・とライフ」(46)学び

五感を研ぎ澄まし、全身で学ぶことが大切です。深い思想的なものをヒントに、人々から、様々なものから学びとろうとするのです。

普段、そのように生きている人は、小さな子どもの一言からも学ぼうとします。あるいは花から、自然から学ぼうとします。それを神の言葉、啓示だと思って耳をかたむけられるのです。

研ぎ済まされた、繊細な高い感受性で生きるのです。

出典:「ぴ・よ・こ・と2」竹下雅敏(著)


真実の人族


ハワイから帰ってきてしばらく経った頃、マルロ・モーガンの「ミュータント・メッセージ」という本を読みました。大自然の中で何も持たずにキャンプした後だったので、その内容に衝撃を受けました。そこには5万年も前からオーストラリアで生き続けてきた「真実の人族」というアボリジニの小さな部族の生き方が書かれていました。

* * *

ある時、アボリジニから招待を受けてオーストラリアに訪れたマルロ・モーガンが晴れやかな授賞式をイメージして待っていると、迎えに来たのは薄汚れたTシャツを着た若いアボリジニの運転手。ジープに乗って40度を超える赤銅色の砂漠を走り、連れて行かれたのは「真実の人族」の聖なるところ。

pixabay[CC0]


身に着けていたものを全て火の中に入れられ、代わりに与えられたのはボロ布1枚。その人たちはみんな優しい眼をして悪意はないようですが・・・ここから「真実の人族」との長い旅が始まるのです。初めは早く帰ることばかり考えていたのですが一緒に歩き続けるうちに、彼らの何も持たない生き方や必要なものが必ず与えられる事実を目の当たりにするうちに現代人、つまりミュータントが忘れていたものに気づき始めるのです。

まさに水も食べ物も持たずに灼熱の大地を裸足で歩き続けるのですが、彼らの聴力、視力、嗅覚は超人的で、地下水の音を聞き分け、植物の地下茎が見えるのです。それは人類に与えられたダウジング能力だというのですが・・・。

ある日、狩りを志願して出かけた若者が具合が悪くなって仲間にテレパシーを送りました。3キロも離れているのに皆はそれをはっきり受信したのです。これは皆が心を開き、嘘をついたことがないからできるのだそうですが・・・。あいまいな真実、作り話、想像などは無縁の生活なのでしょう。

そして彼らは文字を持たないがゆえに素晴らしい記憶力の持ち主です。知識は歌や踊り、絵画で伝えられます。又、彼らは恐怖心もありません。人間が聖なる一体について知り、つながっているという信念があれば恐怖を感じることはない。人は物を持てば持つほど恐怖心が募り、他国を武力で脅したり、自分の子どもを脅すというのです。

又、生まれてすぐに名前を付けられるのですが、成長するにつれて「癒し手」「裁縫の名人」「音楽の達人」など、その才能によって呼び名を変えていきます。彼らは何も持たないのですが自分の中に才能を持ち歩いているのを誇りに思い、皆も認めているのです。何て素敵なのでしょう。

さらに、彼らは物事について、どう感じるかが重要だと言います。感じたことが細胞、意識、魂に記録されると信じています。そしてそれが自分の永遠の魂の通信簿となっていくというのです。

pixabay[CC0]


彼らはこのような生き方で5万年もの間、森林を滅ぼすことも水を汚染することもなく、動物や植物を絶滅させることもゴミで汚すこともなく、動物や植物の命が自分たちに与える準備ができているかを確かめ、なおかつ宇宙に許しを得ながら食べ物を頂き、必要な水や日陰を与えられて生活をしてきました。でも、彼らはここを去る決心をしたのです。そして彼女が彼らの生き方のメッセンジャーとして選ばれたのです。
(以上、ミュータント・メッセージより抜粋)

* * *

私は読み進むうちに深い感動を覚えました。私達は快適便利な生き方を求めて何と多くの経験と才能と繋がりを失くしてしまったのでしょう!原点に戻って問うてみたいと思うようになりました。


マルロ・モーガンさん来日講演の企画


そんな時です。東京にいる友人から連絡が来て、マルロ・モーガンさんが来日して講演をするというのです。そしてそれを企画してくれる人を探しているとのこと。

会ってみたい!と思いました。でも、私は経験も人脈もないただの主婦です。企画するには荷が重すぎます。講演会に慣れている友人に相談したら乗り気になってくれました。彼女とならやれるかもと思いました。

それからはとんとん拍子で話が進みました。会場は1200人収容のアリーナホールになりました。チラシを作って様々なところに宣伝しました。この本は世界中でベストセラーになっていましたので読んで感動した人も多く、びっくりするように参加申し込みが来ました。何と一気に700人を超えたのです。何だか夢を見ているようでした。

ところが、東京の講演会で事件が起きました。講演会中にアボリジニの人達が乱入してきて抗議の声明を出し、講演会が台無しになったとのこと。そして、他の講演会も全部抗議しに行くと宣言したらしいのです。なぜ?それもアボリジニの人達が?信じられない気持ちでした。


話によると、この本はでっち上げで、こんな部族は存在しない。彼女はこんな嘘の話をあたかも真実のように書いてアボリジニを侮辱している。アボリジニはもっと近代的な生活をしているのに人種差別だ!講演会は売名行為だ!というのです。

私達はアボリジニの生き方に深い感動を覚えて、むしろこちらの方が学ばなければと思っていました。その頃の私は世の中に不都合な真実があることなど何も知らず、ただ戸惑うだけでした。でも、強烈な向かい風が吹いてきました。

アボリジニの絵画 pixabay[CC0]


その日から、抗議の電話が始まり、新聞の地方紙にまで書かれ始めました。マスコミから取材の電話もかかりました。「抗議をどう思いますか?それでも企画するのですか?」と聞かれても「私はただ、この本を読んで感動しただけです。100歩譲って、この事が事実でないとしても、この書かれた内容は素晴らしいものだと思います。だからやめません」と答えるだけでした。

他の会場も抗議団体の乱入で参加者が会場に入れなかったり、講演が中断したと聞きました。今度はチケットのキャンセルが始まりました。700人だったのが一気に300人になりました。マスコミの力は凄いと思いました。私達は1200人の会場をどうするのか考える必要に迫られました。会場費の問題もあります。参加者が減った分、講師謝金と交通費が払えなくなるかもしれません。

つづく

Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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